以前ブログのコメント欄でsunshineさんにお薦めされたので、”slumdog millionaire”(邦題:スラムドッグ$ミリオネア)を観に行ってきました。 数々の賞を受賞しており、今年のオスカー最有力候補の呼び声高い大ヒット作。 日本では4月公開です。
2時間、片時も息をつかせぬ展開で、思いっきりのめりこんで観てしまったので、終わったときは疲労困憊、立ち直るのにたっぷり1時間はかかりました。
映画のレビューを書こうと思ったのですが、クライマックスに向けてバラバラの糸が紡ぎ合っていく脚本がとにかく素晴らしい。 あらすじを初めとする予備知識はない方が楽しめると思うのでやめておきます。 私はインドでヒンディー語の予告編を見ただけ、どんな映画か全く知らずに見たので、見事に衝撃を受けました。
なので、映画の内容と関係なさそうなことを書きます。
「随分インドっぽくなく洗練された映画だなあ」、と思ったのですが、それもそのはず。 監督は『トレイン・スポッティング』のダニー・ボイル監督、主演はボリウッドではなくイギリスのTV番組で主に活躍していたインド人俳優なので、インドを舞台にしたイギリス映画といった方が正しいかも。
それだけに、この映画の大ヒット後に起っている論争が興味深い。
主人公はムンバイのスラム街でストリート・チルドレンとして育ったという設定なので、スラム街の貧困や犯罪の現実(内容は映画でぜひどうぞ)を描いているのですが、インド国内では「スラムを美化したり犯罪を”エキゾチックなインド”と宣伝している」「インドに対する偏見を助長する」と批判が起っているそう。
確かに、外国人の目から見たインドなのは否定しないけど、スラムのシーンは悲惨さよりもむしろ少年たちがたくましく生きる姿の方が心に残るし(これを「美化」と呼ぶんだろうけど)、映画に感動した観客の多くはインドに対してより興味をかきたてられるだろうし、あまり「偏見を助長した」ようには見えなかったな。
今後、インドを舞台にした映画はどんどん増えそうな予感がします。
対して、インド人の好きな映画はゴージャスな衣装、濃い顔の俳優・女優による歌あり踊りあり、笑いあり涙あり、ロマンスあり家族愛あり、ストーリーてんこ盛りの大河ドラマ仕立てが主流。 最近はスポーツものや社会派ドラマも多いし、海外ロケも多いけど。
私たちがインドにいた1月に超ヒットだった『GHAJINI』はハリウッド映画『Momento』のコンセプトだけパクったアクション&ロマンス映画でした(下は予告編)。
YouTube : Ghajini trailer
ちなみに、『GHAJINI』の映画の主演でありインドを代表する俳優のAamir Khanは、夫の上司(インド人)の義弟であることが判明。 世界って狭いのね・・・
そんなわけで、4月公開の『スラムドッグ$ミリオネア』、お薦めです。
『スラムドッグ$ミリオネア』の英語版予告編。 このくらいならストーリーがわからないので、いいかな? カメラワークと鮮やかな映像が素晴らしいです。
インドと言えば、去年放送されたNHKスペシャル『インドの衝撃』が面白かったです。 本もお薦め。
Googleビデオ : NHK Special “Impact of India” Part 1
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『スラムドッグ$ミリオネア』がアカデミー作品賞をはじめ8冠獲得しました。 おめでとう!!!
OSCAR : 81st Annual Academy Awards – Winners
February 23rd, 2009 at 1:19 pm
たった今、アカデミーショーが終わりました。
オスカーとりましたね。
はじめて飛行機に乗ってきた子供たちも可愛かったですね。
それから、日本人も2つ程オスカーをゲットし、大躍進の81回でしたね。
ところで、私のコメントを覚えてくださっていてわざわざブログに上げてくれてありがとうございました。
February 24th, 2009 at 9:00 am
>sunshineさん
オスカー取りましたね!
BBCで見ましたが、子役の興奮ぶりが可愛かったです。
お薦めして頂いてありがとうございました!
October 5th, 2009 at 8:50 pm
こんにちは。飛行機で観れる映画のリストにSlumdog Millionaireがあったので、dolce vitaさんのお勧めされていたことを思い出して観ました。
>インド国内では「スラムを美化したり犯罪を”エキゾチックなインド”と宣伝している」「インドに対する偏見を助長する」と批判が起っているそう。
映画のストーリーと相性が合わなかったのか、暴力的なシーンが気になって「欧米や日本の人たちの目にはどのようにうつっているかな。」というのが観終わってまず考えたことです。イスラム教徒がヒンズー教徒?を襲うシーンや、Latikaが頬をナイフで切られるシーンが怖かったです。大学生の頃に観た”City of Joy”というインドを舞台にした映画にも、女性が顔を切られるシーンがありました。終わってから「怖かったね。」と一緒に観た人と顔を見合わせました。多分、このときの恐怖感がよみがえってきたのだと思います。
もうひとつ機内で観た映画はオペラ座の怪人でした。こちらは高校生のときに初めて観た思い出のミュージカルで、ストーリーも音楽も好きということもあり、楽しめました。
いずれの映画の印象もこれまでの自分の経験によるところが大きいと気づきました。
October 6th, 2009 at 9:58 am
>beaverさん
>暴力的なシーンが気になって「欧米や日本の人たちの目にはどのようにうつっているかな。」というのが観終わってまず考えたことです。
私も暴力シーンは本当にダメなので、ジャマールの前の孤児の子供が歌を歌っているあのシーンで席を立とうかと思いました(実際、耐えきれず途中で見るのをやめる映画はたくさんある)が、席を立とうかと思うほどだったのはあのシーンだけで、見終わって席を立たなくてよかった、と思いました。
「欧米や日本の人たち」ですが、スラムドッグ$ミリオネアより暴力的な映画は数多あり(私もそういう映画は見ないですが)、特別という感じは受けないと思いますよ。
スラムに住む少年達の劣悪な環境を描くのに必要なシーンと判断したのだろう、と思いました。