決める力

次男が9月から学校に入りました。 2012年7月生まれの次男は日本式には幼稚園の年少ですが、イギリスではレセプションクラスと呼ばれる準備クラスが4歳の9月から始まります。

我が家の小学校組が2人に増え、親である私の仕事は増えました。 これは俗に言う「小1の壁」に加えて、イギリスでは11歳以下の子どもがひとりで外出してはいけない(*1)ことがあります。
*1・・・法律で決められているわけではなくガイドラインであるが、学校は厳しく遵守しており、授業が終わると大人(事前に連絡すれば友達の親なども可能)のお迎えがない児童は学校の敷地から出られない。 参照:『その規制は本当に子供のため?』

イギリスの「小1の壁」は日本より高いです。 2歳の娘のナーサリー(保育園)は8:00 – 18:00ですが、小学校は8:45 – 15:15、両方とも送迎必要。 日本の学童のような放課後保育はなく、学校の敷地内にある民間の放課後クラブ(有料、15:15 – 18:15)か、学校のクラブ(有料、曜日も時間もまちまち)に預ける。 春・夏・冬休みに加え各学期の半ばにハーフタームと呼ばれる1週間の休みがあり、年間の授業日数は日本の205日前後に対し、190日。

6歳の長男はYear 2(小2)で、学校のクラブのオプションが多いので、
月:アート・クラブ@学校 15:30 – 17:00
水:水泳@外部の教室 16:00 – 16:30
木:サッカー・クラブ@学校 15:30 – 16:30
土:日本語@外部の教室 9:30 – 12:45
という状況で、時間と場所の確認をしながら2人のスケジュールをジグソーパズルのように組み合わせ、毎朝持ち物を確認し送迎(お迎えに遅れると罰金のところも)。 3つの学期と年6回あるホリデー期間(*2)の2人分の学校外のアクティビティーを、定員に達する前に申し込み、締め切りに遅れないように正しい金額を支払い、お弁当の有無など持ち物をチェックして準備し送迎を行うのです。
*2・・・子どもだけで留守番がさせられず、学童もないので学校の長期休暇は本当に大変。 参照:『イギリスの小学生の夏休み』

加えて、2人は公立小学校に通っているので政府からの資金が財源ですが、学校の運営や付加的な資金調達をかなり親のボランティアとPTAに頼っています。
例えば、学校の運営に関しては、低学年の子どもの遠足は先生だけでは手が足りないのでボランティアの親が付き添い、本の読み聞かせ、外国語のヘルプ、プリント類配布の手伝いなど授業時間中にさまざまなボランティアがあります。 授業の形式が講義スタイルが少なくグループ学習が多いので、どうしても人手が必要なのです。
PTAは登録チャリティー団体で年間の目標ファンドレイズ金額があり、年間を通してさまざなイベントで資金を募ります。 その資金で、学校の備品を購入したり図書館の本を増やしたり、外部からミュージシャンやアーティスト・アスリートなどを招聘して子どもたちが本物に触れる機会を増やしたり・・・ PTAがあまりに盛んなので、公立小学校であっても親の財力が如実に学校施設や教育プログラムの充実度に反映されるという訳。

今年は長男のクラスのPTA委員になったので毎週、学校との連絡事項やイベントのボランティア集めなど山のようにやることがあります。
以前、『週休3.3日のワーキングマザー』というエントリーを書きましたが、子どもと過ごす時間を増やすために仕事の時間を減らしているのに、子ども関連の雑務が多すぎて、子どもだけを見つめて過ごす時間が足りないという意味不明な状況(苦笑)。

我が家では夫は家庭の共同経営者として重要事項の決定だけではなく、日々のタスクをこなす重要なプレーヤーなのですが、子どもたちの学校に関するアドミはなぜかすべて私の担当(*3)。
*3・・・『漏れなくダブりない家事の方法』
ある程度、定型化できる業務であれば自動化やアウトソースするのですが、どれも微妙に私の決断の数を増やし、「決断疲れ」(*4)を起こさせています。
*4・・・小さな決断でもその数を重ねることによって大きな決断の正確性が落ちてしまうこと。 数々の決断により精神的な疲労が蓄積し、日々の生産性が下がってしまうことを指す。 参照:『世界の成功者たちが「毎日同じ服を着る」興味深い理由』

私は、生前のスティーブ・ジョブスのように黒のタートルネックとジーンズだけ着る、ほどの割り切りはできていないのですが、服・食料品などの買い物に関してはなるべく決断の数が減らせるように工夫しています(*5)。
*5・・・子ども服は2つのブランドからしか買わないし、平日の料理は献立を立てるところからアウトソースして、私はリストにあるものをオンラインで買うだけ。

ところが、子どもの放課後アクティビティーとなると、長男に「月曜はR(長男の仲のいい友達)がいるからアート・クラブに行きたい」と言われても、「アートもいいけど、同じ時間帯にあるプログラミング・クラブの方が将来使えるのでは?」とか思ってしまうのです。 日本と違い、学校のクラブは有料なので親がそれなりのお金を払うわけだし。

私の決断疲れについて夫にああだこうだ、と愚痴っていると、夫がこうひと言。

ボクが子どもに身につけて欲しい力はただひとつ、「良い決断をする力」だ。 良い決断をしてくれるなら、どこで何してもいい。

へ? そうなんだ? 6年半、一緒に子育てしてるけど初めて聞きましたけど・・・

確かに、私も初めの就職までは何となく世間の敷いたレールに乗って生きてきたけど、27歳で「MBAを取らずに一生嫁にいけないのと、MBAを取って一生嫁にいけないのでは、後者の方がまだましだ」(*6)と決断して渡仏して以降くだした人生の数々の決断については全く後悔していません。 
*6・・・『就活中の学生へ – 1』

自分の頭で考えて自分が良いと思うことを決める力を身につけられるのであれば、その過程で何をしようが手段は何でもよく、手段を通して得る経験が重要なのでしょう。
以前、私が子どもに身に付けさせたい力として『立ち直る力 – 1』『 – 2』というエントリーを書きました。
「立ち直る力」に「決める力」というのも付け加えておこう。 この2つを身に付けられるか?を指針とすると、私の決断の数が減るのかどうかは不明ですが。

今日はこのブログの800回目の記念エントリーでした。


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