世界に広がるオープン・ハウス

今年もOpen House Londonを皮切りにロンドン・デザイン・フェスティバル(LDF)が始まりました(→LDFのオフィシャルサイト)。 デザイン・フェスティバルについては以前『ロンドンのデザイン・エコシステム』というエントリーで紹介していますが、9月に市内各所で行われるデザインの祭典です。 著名デザイナーによる実験的なアートの巨大インスタレーション、各種展示会(*1)は恒例ですが、近年ではデザインディストリクト(*2)と呼ばれるデザインオフィスや工房が数多く集まる地区がオフィスやショップを一般に開放しストリートパーティーを催したりしています。
*1・・・コンテンポラリーであればDesign Junction100% design、ラグジュアリー・インテリアのDecorex、若手デザイナーのお披露目場であるTentなど。
*2・・・今年はBanksideBromptonClerkenwellChelseaIslingtonShoreditchQueens Parkの7地区が参加。
近年、国外からの訪問者が増えているようで、観光客の利便性を重視してか密な日程で行うようになったので、毎年消化不良を起こしてしまいます。

そのデザインの祭典の幕開けは我が家はいつもOpen House Londonです。 正確にはLDFのイベントではないのですが、いつもフェスティバル初日の週末2日間に開催されるOpen House、あまりにも素晴らしいコンセプトなので、以前も紹介しています(→『現代建築の都ロンドン』『廃墟に2万人が並んだ日』)。

建築を理解する最良の方法は体験すること

というコンセプトのもと、普段は一般公開されていないロンドン中の800近くの建築物が一般に無料公開されるのです。 その中身の幅広いことと言ったら・・・

BarbicanThe Gherkinといったロンドンのアイコン的存在のビルもあれば首相官邸(事前申し込み・抽選)も公開されます。 個別の建築物だけではなく、最近はRegeneration(再生)と呼ばれる都市の中の廃れた地区の再生が盛んで、様々な再生プロジェクトも公開され、都市計画アーキテクトの解説でツアーが行われます(*3)。 また環境に配慮した住宅、狭く不便な立地を劇的に改造した住宅など個人の住宅も一般開放されますし(多くは建築家の個人住宅)、公園・緑地・運河などの戸外ツアーもあり(*4)、かなり何でもありな感じ。
*3・・・有名なのは2012年オリンピックの会場となったイースト・ロンドンの再生(→『ロンドン2012から東京2020へ』)。 最近ではKings CrossNine Elmsなど。
*4・・・公園や庭にはOpen Houseとは別にOpen Garden Square Weekendという普段公開されていない庭が一般公開されるイベントがあります。

そして一般の人のBuilt environment(*5)への関心が高いことにいつも感心します。 皆さん、関心が高すぎて有名な場所は長蛇の行列ができるので子連れの我が家は1日2件くらいしか行けません(涙)。 『廃墟に2万人が並んだ日』に書いた通り、3年前には大規模修繕・改築前の旧バタシー発電所に2万人が並びました。 
*5・・・人間が人間のためにつくった人工的な環境のことで建造環境と訳されるよう。 自然と調和させた街並み、ヒューマンスケール(人間的なサイズ)の街計画など含めて呼ぶ。

ロンドンに住むと感じることですが、みな自分の住むコミュニティ・住環境への関心が高く積極的に参加します。 移民都市ロンドンでは多くの住人にとって生まれ育ったコミュニティではありません。 新参者もこれから自分と自分の家族の歴史を紡いでいく舞台に積極的にコミットし一緒に街づくりをします。 その背景にはOpen Houseのような建築や都市計画、住環境を身近に感じられるイベントがあり、無料(or 低料金)でアクセスできることで、一般の人の意識や知識が向上し、街づくりのプロセスを公開しディスカッションに巻き込むことでステイクホルダー(当事者)化しているからだ、と感じます。

1992年にロンドンで始まったOpen Houseはその成功を受けて世界33都市に広まっているそうです(リストはブログの最後。参照:Open House Worldwide)。 
このリストを見るとなぜ東京でまだ始まっていないのか不思議な感じ。
– スカイツリーにまつわる今だから言える建造秘話は?
– 建て替えられる前の国立競技場に入ってみたい。
– 建て替え後のホテルオークラってどんなデザインコンセプト?
– 国会議事堂の建築的な魅力ポイント
– 普段は一般公開されていない東京都の定める歴史的建造物のお屋敷見学
こんなストーリーを現場で建築士やディベロッパー、オーナーの口から直接聞けたらわくわくしませんか?

日本ではまだないようですが、お住まい・お近くの街でやっていないかチェックしてみてください(リストは開催開始の古い順)。 Open Houseを中心に旅行計画を立てるというのも、街をより深く知れて楽しそう!
ニューヨーク(米)
ダブリン(アイルランド)
テルアビブ(イスラエル)
エルサレム(イスラエル)
ヘルシンキ(フィンランド)
オスロ(ノルウェー)
メルボルン(豪)
バルセロナ(西)
ブリスベン(豪)
スロベニア
シカゴ(米)
ローマ(伊)
リスボン(ポルトガル)
パース(豪)
テッサロニキ(ギリシャ)
リムリック(アイルランド)
グディニャ(ポーランド)
ブエノスアイレス(アルゼンチン)
ウィーン(オーストリア)
アテネ(ギリシャ)
モンテレイ(メキシコ)
コーク(アイルランド)
ヴィリニュス(リトアニア)
プラハ(チェコ)
マドリッド(西)
ベルファスト(北アイルランド)
ポルト(ポルトガル)
ラゴス(ナイジェリア)
ミラノ(伊)
チューリッヒ(スイス)
ストックホルム(スウェーデン)

毎年、ロンドン・デザイン・フェスティバル期間中は忙しくてブログに書けないのですが、Facebookのページで写真中心でアップデートしています。 ご興味のある方はぜひ→こちら


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