自分に一番近い8人が「自分」

あー、また坂之上洋子さんが突き刺さること書いてるー(→『私が影響されている3つの言葉』

Look at your closest 8 friends, they are who you are.
あなたの一番近い8人の友人を思い浮かべて下さい。 彼らが実は『あなた』なのです。

私もこの言葉をどこで最初に聞いたのか忘れてしまったけれど、聞いたときは本当に衝撃を受けました。
前にちょろっと書いたけど、大学時代の私は暗く、社会人になっても1, 2年はその暗さを引きずっていました。 当時は人と交わることが嫌いで、「自分のことを既によくわかってる人としか話したくない」とか言ってたような(笑)。 今年の3月に開催したブログの第1回東京オフ会に来た高校・大学時代からずっと私を知ってる男友達が「お前がこんな会を仕切るようになったとはな〜」と心底感慨深そうにしていた、というくらい暗かった。
この言葉を知ったのはもっとずっと後だったけど、「そりゃあ人間関係が広がるわけがない」という生活をしていたし、学生時代の友人と思い出話をし、会社の同期と愚痴を言い合うだけの私には進歩はなかった。
で、ずっと後になって知ったこの言葉、

なりたい自分になるためには友人は選ばなければいけない。 その友人は友人で自分の8人を選んでいるので、そこに入りたいのであれば、選んでもらえる自分にならなければいけない。

という意味なのですが、8人には恋人・配偶者、毎日会う会社の人、など接触時間の多い人を含みます。


これ以来、意識はしています。
一例。
『MBAの同窓会』というエントリーに背景を書いてますが(最近コメントで質問が来たのでそれにも答えた)、「お金」は人を変えてしまう力を持っています。 MBA直後の2大就職先は戦略コンサルと投資銀行なのですが、やはり若くしてボーナス込みで1億円という年俸が期待できた(かつての)投資銀行(のフロント業務、M&Aとか)に行く人には「お金」というインセンティブが強く働く傾向がありました。
去年の11月、リーマン・ショック後さらにマーケットが暴落して底が見えなかった週末、友人夫婦が新居のハウス・ウォーミング・ディナーを開きました(この新居ってのが親の援助だと思うけど3億円くらいかかりそうな豪邸)。 私はたしか前日、インターン先の米系VCから「仕事は良かったんだけど、採用凍結になってしまい雇えない」と言われたばかりでとてもディナーに参加する気分じゃなかったのを体を引きずって参加。
集まったのが見事に投資銀行のバンカーばかりで(夫のINSEAD同級生。 普段なら週末も働く人たちだけど、市場暴落により仕事が暇だったよう)、バブル崩壊前は、プライベートの旅行に飛行機ファーストクラスに乗ったり、1歳の子どもの誕生日に小洒落たレストラン貸し切って150人くらい呼んでシャンペン飲み放題ビュッフェしたり、誕生日にホテルのプール付きスイート貸し切ってシャンペン・パーティーしたり・・・まあ、そういう金銭感覚の人たちでした。
断っておくと、彼らも(金銭感覚以外は)楽しいし面白いし友達思いのいい人たちなのです(だから友達なのである)。 金融危機後、高給取りの投資銀行バンカーたちを「金の権化」とか呼んでバッシングが流行ったけれど、誰も「金の権化」に生まれついていないし完全に悪い嫌なヤツなんかじゃない、ちょっとずつちょっとずつ世間と金銭感覚がズレていったんだと思います。
で、そのディナー。
これが見事に、暴落する一方の株価・社内で吹き荒れるレイオフの嵐・大幅な減収(さらに自分も切られるかもしれない恐怖)・この悪夢がいつまで続くのか?の話しか出ませんでした。 途中、あるバンカーの奥さんが「もっと楽しい話しよう! 次のバカンスとか!」と話題を変えようと試みたものの全く効果なし。
彼らも辛い時期だったと思うけれど、シンガポールのVC業界が壊滅的であることを知らされたばかりの私にこのディナーは辛かった。 帰って夫に「3時間のディナーの間、お金とレイオフの話しかしない人とずっと付き合ってるとおかしくなる!」と泣き、それ以来、2人でToastmastersに入って「普通の」人と出会う努力をしたりしています。
このディナーの2週間後くらいに、テクノロジー会社に勤める夫婦と食事してiPodの話とかするので、「あー、普通の人だ(笑)」と心底ホッとしたのを覚えています。
自分に一番近い8人が「自分」。 本当に本当にそうなのである。


9 responses to “自分に一番近い8人が「自分」

  • yum

    「自分に近い人が自分」これ、本当にそうですよね~。
    夫婦って年々似てくる、ってのも、同じ理屈でしょうかね。良くも悪くも。
    元気いっぱいの友人たちや、幸せそうな家族って、
    お互いに、元気さや前向きさを伝染し合いつつパワーアップしている気がしますよね!
    近くにそういう人がいると、ほんと「あーありがたや、ありがたや」って思っちゃいます。
    もちろん、実際に近くにいられるのが一番だけど、
    最近は、物理的に遠くにいる人たちとも
    そういうエネルギー伝播がしやすくなったので、うれしいです。

  • ドイツ特派員

    la dolce vitaさん、
    うーん、何でこうネタが被るのか、しかも記事のレベルが違うんで恥ずかしいじゃないですか(笑)。
    >誰も「金の権化」に生まれついていないし完全に悪い嫌なヤツなんかじゃない、ちょっとずつちょっとずつ世間と金銭感覚がズレていったんだと思います。
    確かに「金の権化・亡者」に生まれついていないんだと思います。ところが、この世間とのズレが、当事者は「ちょっとずつ」なために意識されず、大半の世間はちょっとの積み重ねを見て「何だあ?」という怒りになるわけですね。正直私なんかも、「何億単位の金貰ってざまあみろ」と思うことはあります。これ自身、恥ずかしい妬みだし、分かっていてその感覚がなくならない自分が更に恥ずかしい。
    やはり仕事というのは大きな位置を占めていると思いますが、だからこそ、そこでの世界が全くない関係はとても大事だと思います。私がやっているバンドメンバーなんてお互いの会社なんか知らないし、話題にも上らない。で、楽器の話やピンセットの話やハンダの話で4-5時間つぶれているわけです。もうタモリ倶楽部みたいなもんですが、意味なく大切な時間だと思っています。
    自分は何かアウトプットをしているのか?相手にとって必要なのか?楽しいのか?ふと考えてしまい、その不足具合に愕然とする自分がいます。

  • haustin

    ああ、私もこの記事読みました。
    昔、8人じゃなくて、6人版の記事をどこかで読んだことがあります。
    あれは、Dolce vitaさんの日記だと思っていたのですが、ちがったっけ??(笑)
    私はこっちにきて、すっかりのほほーーーんとしてしまった気がします。
    ふと周りをみると、結婚して子持ちの専業主婦だったりする友人が増えたからかも。
    クラスをとったり、仕事をしていると、そうではない友人も増えて、ちょっとずつ軌道修正されているような気分。私は公私のバランスよく、余裕のある人でありたいと思ってるので、今くらいのバランスがちょうどいいのかもしれないな、と思ったり、でも一方で、La dolce vitaさんのようにお仕事バリバリのキャリアウーマンをみると、やっぱりかっこいいな!とも思ったり。
    ポジティブに自分が生きられるような環境に身をおきたいですね。

  • la dolce vita

    >yumさん
    あー、普通の人だー(笑) iPod夫婦だって気づきました?
    >夫婦って年々似てくる、ってのも、同じ理屈でしょうかね。良くも悪くも。
    ほんと影響し合って怖いですよね、酒井法子事件見てるとそう思う。 yumさんとこは「まだ」そんなに似てないですよ。
    >お互いに、元気さや前向きさを伝染し合いつつパワーアップしている気がしますよね!
    それはある。
    >最近は、物理的に遠くにいる人たちともそういうエネルギー伝播がしやすくなったので、うれしいです。
    それもある。 距離は感じなくなりました、ほんと。 特にここ数年めざましい進展です。
    >ドイツ特派員さん
    >私がやっているバンドメンバーなんてお互いの会社なんか知らないし、話題にも上らない。で、楽器の話やピンセットの話やハンダの話で4-5時間つぶれているわけです。
    そういう関係は貴重ですね。 私も東京にいたときは写真仲間がそうでした。 新しい写真仲間探そうっと。
    >haustinさん
    >あれは、Dolce vitaさんの日記だと思っていたのですが、ちがったっけ??(笑)
    よく覚えてますねー、たしかに書いたかも。 どこに書いたのか忘れちゃいました・・・
    >でも一方で、La dolce vitaさんのようにお仕事バリバリのキャリアウーマンをみると、やっぱりかっこいいな!とも思ったり。
    私、全然バリバリじゃないですよ。 今の仕事は時間で縛られていないので労働時間は普通のお勤めの人よりかなり少ないと思うし、年3回は長期休暇取ってるし(夫の会社がイギリス系なのでシンガポールの会社より有休多い)。
    >ポジティブに自分が生きられるような環境に身をおきたいですね。
    上記8人でも6人でも、タイプの違う人でいいのかな、と思いますけど。

  • まつーら

    8人ですか。。
    すぐにパッと4人は出てきました。
    でもってそのあと3人出てきました。
    更に絞って1人出てきました。(8人中、女性2名)
    僕の場合、「自分に近い人が自分」というよりは
    「自分に近い人が”自分がなりたい”自分」のような気がしますね。
    基本的には、僕に持っていない素晴らしい何かを持っている人に憧れてしまいます。
    でもって、そーゆー人に自然に近づいていきます。
    > 大学時代の私は暗く、社会人になっても1, 2年はその暗さを引きずっていました。
    いやいやー、ぜってーうそだーーー(笑)
    人間ってそんなに変わるもんなんですか??

  • la dolce vita

    >まつーらさん
    >僕の場合、「自分に近い人が自分」というよりは「自分に近い人が”自分がなりたい”自分」のような気がしますね。
    それって、”自分がなりたい”自分に近づいてるってことで、理想的では?
    >いやいやー、ぜってーうそだーーー(笑)
    >人間ってそんなに変わるもんなんですか??
    ははは、高校までは能天気に明るかったので、一時期(5-6年)ですけどね、暗かったのは。 「変わった」というより「戻った」という感じ。

  • かん

    はじめまして。
    haustinさんのブログから飛んできた、彼女の「結婚して子持ちの専業主婦だったりする友人」の一人です。(笑)
    年を経てくると、友人はだんだんと淘汰され、自分と波長があう人間が近い人間になる気がします。
    だから、「自分に一番近い8人が「自分」」なんでしょうか。
    そういう友人とは、しばらくご無沙汰していても、以心伝心でメールをやりあったり、ということがあったりします。
    自分に近い、人生に対して同じ姿勢を持っている友人とは、その活躍する分野がなんであっても、必ず繋がっているんでしょうね。
    そういう友人たちも自分の一部、又は自分がもしかしたらなっていたかもしれない姿、と思えるのは少しくすぐったいような、でも嬉しいアイデアです。

  • la dolce vita

    >かんさん
    はじめまして。
    >そういう友人とは、しばらくご無沙汰していても、以心伝心でメールをやりあったり、ということがあったりします。
    そうですね。 でも私がこれを本で読んだときは「心理的に近い友人」というよりは「日常生活の中で接触時間の長い人」という意味で、例えば、嫌いな上司・同僚、いつまでズルズルと一緒に居続けてしまう腐れ縁の恋人・友達などに囲まれていると自分もそうなってしまうから気をつけよう、という意味でした。
    日常生活で接触が長い人に染まってしまうというのは(多くの人が会社人間になっていくように)当たっていると思うので、まつーらさんが上で書いてるように意識して「自分がなりたい人」に近づいていくようにしようと思っています。

  • かん

    >でも私がこれを本で読んだときは「心理的に近い友人」というよりは「日常生活の中で接触時間の長い人」という意味で、例えば、嫌いな上司・同僚、いつまでズルズルと一緒に居続けてしまう腐れ縁の恋人・友達などに囲まれていると自分もそうなってしまうから気をつけよう、という意味でした。
    ああ、そういう意味でしたか。(笑)
    朱に交われば、ですよね。確かに、人間は環境-周囲の感性や思考に影響されやすいですもの。同感です。
    私はそういうことを10年くらい前に実感し、それ以降、自分がなりたいロールモデルや考え方をお持ちの方から学ぼう、その視点から自分を見直そう、としている部分が少なくありません。
    日本の母校の教え?の一つに、「お互いに欠点や長所を指摘しあい、切磋琢磨して共に向上していくのが友人」というものがあります。そういう友人づきあいをしたいな、と思っています。

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