本、大人読み

『本1冊で13,000年を俯瞰する』でご紹介した『Guns, Germs, and Steel: The Fates of Human Societies 』(日本語訳:『銃・病原菌・鉄』)があまりに面白かったので、続けて同じジャレド・ダイアモンド『Collapse: How Societies Choose to Fail or Succeed』(日本語訳:『文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの 』)を読みました。
いやー、『銃・病原菌・鉄』に負けずとも劣らず面白かったです。
『銃・病原菌・鉄』が西洋文明が繁栄した理由を解明した本でスリリングだったのに対し、『文明崩壊』は過去の偉大な文明がなぜ滅亡していったかを解明するもので、前半の章(日本語版では上巻)はイースター島、マヤ文明などの文明が崩壊していく経緯が克明に描かれていてどーーん、と暗く読んでいました。 ところがそこから彼の圧倒的な専門知識(植物相、動物相、気象、地理etc.)と広い視野を駆使して現代社会が直面する環境問題につないでいく手法が圧巻。 ジャレド・ダイヤモンド(現在はUCLAの教授)は71歳なのですが、本の最後でなぜ自分の半生を地球環境問題に捧げることにしたかという理由にも触れ、感動ー。
こういう読んでいるだけで自分の血流が速くなるのがわかるような素晴らしい本は、やはり原著が英語のものに多いです。
感銘を受けたときはその本の著者の本を片っ端から読む「大人読み」をすることにしています。 次に私が最近大人読みすることにした著者を紹介、全員、超有名人ですが。 このブログですでに紹介した本はかっこ内にエントリーへのリンクを貼りました。


トーマス・フリードマン・・・すでに現代ビジネスマンの常識となった『The World Is Flat』(日本語訳:『フラット化する世界』『本の「旬」』参照)の著者、ピュリッツアー賞3度受賞のジャーナリスト。 『Hot, Flat and Crowded』(日本語訳:『グリーン革命』)はその続編かと思いきや全然違いました。 オバマの政策の基ともなった本だそうで必読。
The New York Timesにコラムを書いているので、彼の考えていることの最新情報はコラムで読めます。
gladwell.jpgマルコム・グラッドウェル・・・INSEADのMBAの授業で『The Tipping Point』(日本語訳:『ティッピング・ポイント』)を読んだのが彼の著作との出会い。  『Blink . The Power of Thinking Without Thinking』(日本語訳:『第1感 「最初の2秒」の「なんとなく」が正しい』『読書は思考を言語化する』参照)もとてもよかったので、新著の『Outliers: The Story of Success』も早く読まなきゃ!と意気込んでいたら、勝間さんが翻訳本を出されるそうです。 さ・さすが行動が速い!
本の内容と全く関係ありませんが、マルコム、すごい髪型なんですよね・・・ これはアフロ? 天然?
ダニエル・ピンク・・・『Free Agent Nation』(日本語訳:『フリーエージェント社会の到来』『MBA同級生に見る「フリーエージェント社会の到来」』参照)で新しい働き方を、『A Whole New Mind』(日本語訳:『ハイ・コンセプト「新しいこと」を考え出す人の時代』『写真で感性を取り戻そう!』参照)で新しい感性の時代の到来を示したジャーナリスト。 私はどちらの本にも影響を受けています。 最近は日本がお気に入りらしくよく来日していて、マンガのビジネス本も出すとか出さないとか・・・
他にも大人読みしたい著者はたくさんいますが、個人的にお薦めの読み方を。
1. できれば書かれた言語で読んでみる。
あまりに読むスピードが落ちるようであれば本末転倒ですが、著者が書いた言語で読むのが一番著者の意図がストレートに伝わると思います。
2. 著者の講演ビデオ、オーディオを聞いてみる。
YouTubeやTed.comで探すと、著名人のスピーチ、講演がたくさん見つかります。 著者は本を出版した後、講演をすることが多いので聞くと理解が深まるし、著者のキャラクターがわかり親近感がわかります。
ツボだったのがジャレド・ダイアモンド。 非常にアカデミック(学者なので当たり前だけど)で知的な話し方なのですが、話し言葉が書き言葉とほとんど変わらない! 講演を聞いてから本を読むと彼が読み聞かせてくれているかのような錯覚効果まで得られました。
ブログで紹介したお薦め本はBOOKSページに載せています。
また、『書評の読み方』のエントリーも合わせてどうぞ。


4 responses to “本、大人読み

  • yum

    「2. 著者の講演ビデオ、オーディオを聞いてみる。」
    これ、いいアイデアだね!今の時代ならでは。
    本そのものの内容に、音声、映像、著者のキャラが加わって、
    読んだ本の印象がより深くなりそうだわ。
    私はもともと寡読なうえ、出産後はさらに読書時間が激減しておりますが
    このアイデアは、次回以降の読書に活用させていただきます。

  • ドイツ特派員

    la dolce vitaさん、
    ワクワクする本と出合うのは嬉しいもんですね。今回のエントリーに関連して言えば、「The future is wild」という本がそれに近いかな?これはこれから数百万年後・一億年後・二億年後の世界がどうなっていて、どんな生物がいるのかを科学者が想像しているんですが、何ていうかな、その科学者が寄ってたかって楽しみながら生物を想像しているのが分かる本です。その類似では「Afterman」というのもお勧め。当然のことながら人間は居なくなっていて、こういう本を読むと、現実に右往左往しているのがバカらしくなってきます。
    実はこの「The future is wild」を過去に逆回しさせたような企画がNHKで昔ありまして、「地球大進化」という番組が組まれました。その後のDVD三枚組を買いましたが、科学番組を見て、本気で感動して涙しそうになるとは思いませんでしたね。
    あと、小説でいけば船戸与一ですかね?虐げられた弱者がどうしようもなく戦うという姿勢が一貫していて、滅びの美学を感じます。このエントリーでいう「大人読み」をしたのは彼とドラッカーだけです。
    原書で読めれば越したことは無いですね。残念なことに私には無理ですなあ。日本語の本でさえ、少し気が乗らないと直ぐに前のページは忘れるし…。語学が苦手かつ嫌いな自分が恨めしいです。

  • beaver

    タイムリーな話題、嬉しいです。ちょうどマルコム・グラッドウェルのTipping Pointを借りてきたところです。Outlierはオーディオブックで聴きました。
    >本の内容と全く関係ありませんが、マルコム、すごい髪型なんですよね・・・ これはアフロ? 天然?
    多分、髪型はお母さんがジャマイカ人だからじゃないかしら?マルコム・グラッドウェルはOutlierで、ジャマイカで生まれ育ってイギリスの大学を出たお母さんと彼女が育った環境について書いています。
    トロント大学でマルコム・グラッドウェルの講演会があったのですが、講演会のことを知って行こうと思ったときにはすでにチケットは完売でした。まさに時の人ですね。
    Tipping Pointのような本もMBAのコースの教材になるのですね。楽しそうでいいですね。大学の教養の語学でも、このような本が教材だったらよかったのにな、、、。(と、ドイツ語が身につかなかったことを教材のせいにしてみたりして。)

  • la dolce vita

    >yumさん
    >本そのものの内容に、音声、映像、著者のキャラが加わって、読んだ本の印象がより深くなりそうだわ。
    ほんとYouTubexさまさまです。 US発のものならビックリするほど何でもあるのでお試しあれ〜
    >ドイツ特派員さん
    『The future is wild』『Afterman』ともに面白そうですね! 読みたい本リストに追加します。
    >このエントリーでいう「大人読み」をしたのは彼とドラッカーだけです。
    私ドラッカーはほとんど読んだことないんですよね。 小学校のときは怪盗ルパンが好きで全シリーズ読破したので、昔からなのかも。
    >beaverさん
    >髪型はお母さんがジャマイカ人だからじゃないかしら?
    なーるほど、言われてみればそんな雰囲気ですね。
    マルコムの講演、やっぱり大人気なんですね。
    >大学の教養の語学でも、このような本が教材だったらよかったのにな、、、。(と、ドイツ語が身につかなかったことを教材のせいにしてみたりして。)
    大学の教養の語学はひどかったですねー
    私はムダなことをするのが嫌いなので、京大で唯一まともな教養の語学を提供していた「フランス語8時間コース」っていうのを取っていました。 先生も生徒もまじめで実践的で(話す・聞くが中心)すごくよかったです。

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