「世界級」の次にあるもの

家で仕事をしているので平日はほとんど外出せず、週末も幼児2人を連れて移動するのが億劫で近所で過ごしてるため、ブログのタイトルが恥ずかしい近頃です。
このブログの背景はABOUTページに書いていますが、2008年に生活の拠点を東京からシンガポールに移した時点で始めました。

社会人になってから10年弱、海外出張ばかりしていました。 特にシンガポールに移る前の4年間は、一応東京に拠点はあるものの荷物置き場と化し、空港⇆ホテル(or サービスアパート)⇄客先の3点移動をタクシーで繰り返す生活でした。 ビジネススクール同級生の生活も似たようなものでした。 その頃もう英語圏ではFacebookが流行っていたので、「明日からシンガポール出張」と書くとすぐ「僕も〜、時間合ったら会おうよ」、「惜しい! 先週までいたのに」と誰かからレスが返ってきました。 地球の裏側まで友人の結婚式のため飛んで1泊で帰ってくるなんて普通でした(マイルが余りまくってるため。 夫はシンガポールからLAの友人の結婚式に1泊3日で行ってました)。

そんな生活スタイルが似た友人との会話は「今どこ住んでるの?」、「今後どこ住むの?」でした。 グローバル根なし草だった20代後半〜30代前半の私たちは、世界中の美しい場所を見て、世界中の美味しいものを食べて、得意面と一種の刹那感を同時にまとっていた、と思います(→『旅とデジャヴ』『Home Sweet Home』)。 同じ生活スタイルを持つ彼らとは、高校・大学の同級生や会社の同期よりもずっと似た悩みを共有していました。

あれから時が経ち、あんなに忙しく飛び回っていた私たちはどうなったでしょう?

同じライフスタイルを(ペースは落ちたけど)続けている人はわずかながらいます、ほぼ全員が独身男性。
結婚してもペースは落ちなくても、さすがに子どもができるとガクッと落ちます(だいたい戦略コンサルなど出張がベースの職業についていた人たちはこの機に転職)。 そして最も変わったのが、国境を越えた転居をするケースが圧倒的に減ったこと。 特に一番上の子が学齢期になってからは、学校を変えなければならないような地域移動はほぼなくなります。 どこの国でも「いい学校」に入れる競争は熾烈ですからねー

私の周りでは、夫の方が今の居住国ではかなりシニアポジションまで昇進し、さらなる昇進を臨むには勤め先の本国に転勤しないとポジションがないのに妻の猛反対で転勤できず、仕事に不満はないけど夫が転職を余儀なくされてるケースが2件も。

自分の身ひとつ、もしくはパートナーと合わせて身ふたつだった時は身軽でした。 でも子どもが産まれるとさまざまなサポート体制(保育所・学校・コミュニティ)の構築が不可欠、遠くの親戚より近くの他人、みなどっぷりと自分の住んでいるコミュニティーの生活に浸かっていきます。

世界中から人が集まるロンドン、いくら転々とした生活をしても、最終的にはリアルな世界の徒歩圏でのコミュニティーの充実を求めるところに落ち着くんだなー、というのが実感です(→『グローバル上京物語』)。 INSEADにいた頃は新婚にも関わらずパーティー三昧していた友人が、「娘の通う小学校でのボランティアが楽しい」と言ったのに、微笑ましくも声をあげて笑ってしまいました。 生活の充実ってそういうもんなんだなー、と。

このブログを始めてから700回目(!)の記念エントリーでした。


8 responses to “「世界級」の次にあるもの

  • しん

    人生の転機はいろいろとありますが、「子供」は大きなキーワードですね!40代半ばくらいの友達は子供も大学入れたのでのでまた海外動けると行ってました。やっぱ「子供」が大きいみたいですね。後、生活の充実も自分のとりまく環境によって変化し、人生の醍醐味を味わっていくのかなと(^^)

  • しん

    あ、送信してしまった。700回エントリー記念、おめでとうございます!\(^0^)/

    • la dolce vita

      700回の本当に初めの頃から読んで頂きありがとうございます! 励みになります。

    • しん

      こちらこそ良い刺激を貰っています!僕はたまにコメントしますが、ROMのファンの方はもっと多いと思いますよ(^o^) これからも楽しみにしています!

  • Misako Tan

    700回目おめでとうございます。何処もそうかもしれませんが、香港の教育事情もかなり厳しいです。人気のプリナーサリー(英語と中国語)の100人枠募集に4000人応募です。ということでオフィスのランチタイムはどこの学校がいいかの情報交換会と化しています。つい1年前はどこのリゾートにいくか海外の話ばっかりしてたのに。これからもロンドンの子育て事情、世界で暮らす人の情報を楽しみにしています。

    • la dolce vita

      コメントありがとう。

      >何処もそうかもしれませんが、香港の教育事情もかなり厳しいです。
      すごそうですねー、シンガポールもすごかったですし。
      大昔の記事ですが→ https://blog.ladolcevita.jp/2008/11/28/300/

  • hitchenhatch

    お久しぶりです。お家の改装のほうはどうですか?

    このエントリー、とっても興味深く読ませてもらいました。

    世界的な活躍の選択肢があっても、
    子供ができるとなかなか身軽に移動するわけにはいかないジレンマは、
    どの家族でも同じということを知り、なんだかホッとしました。

    ある意味、人生の第二ステージに立つ事ができたということで、
    こういうことで悩める家族ができた幸せをあらためて感じます。

    • la dolce vita

      家の改装は遅々としていましたが、ようやくビルダーが決まりました。 はぁ〜、長いプロセスですねー

      >子供ができるとなかなか身軽に移動するわけにはいかないジレンマは、どの家族でも同じということを知り、なんだかホッとしました。
      前に「超富裕層の悩み」というエントリーを書いたので、それもググってみてください。 悩みの内容ってみな一緒なんです。

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