これからのモノづくりに必要な思考法を学ぶ授業

なにこれ? 私がこの授業受けたい。

というのが、まず頭に浮かんできた偽らざる感想でした。
次に、浮かんできたのが、

私が授業受けられないなら、子どもに受けさせたい。

こんな授業の選択肢がある東工大の学生が羨ましかったし、こんな教育を受けた若い世代が社会に出て何をつくるのかが本当に楽しみになりました。

『エンジニアのためのデザイン思考入門』で知った東京工業大学の「エンジニアリングデザインプロジェクト(以下、EDP)」という名のプロジェクト型学習の話です(Kindle版はこちら)。 共著者の坂本啓氏(東工大准教授)は高校時代の同級生(献本御礼)。 「エンジニアのための〜」という題が付いているのでエンジニアではない私はすぐ食指が動かなかったのですが、読むのにエンジニアである必要は全くありません。 むしろ営業でも企画でも生産管理でもデザイナーでも職種を問わず「モノが売れなくなったと言われている時代のモノづくり」に少しでも思いを馳せたことがある人は楽しく読めて、仕事に使えるヒントが得られるのではないかと思います。
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独立してから最初の3年間でやった間違い5つ

私がMBAを取ってバリキャリへの道を歩みかけていたにも関わらず、潔くそのキャリアから下りて全く異なる畑のデザイナーに転身し海外でビジネスを興したという背景もあるのでしょう・・・(*1) キャリア系の職種の人から「私もデザイナー(もしくは類似職種)にチェンジしたいんだけど、海外で本当にやっていけるのか・・・」というような相談をちらほら受けます。
*1・・・背景はこちら→『MBAを出た後デザイナーになった理由』

「やっていけるのか」なんて人に聞いてわかるものではないし、「やるべきかどうか」は自分の人生で最も重要な人以外に相談するのは無駄です。 私は夫にしか相談しませんでした(*2)。
*2・・・それでもキャリア相談したい方はこちら→『キャリアアドバイスになってないアドバイス』

そう言ってしまうと身も蓋もないし、独立してからたくさん失敗したので、誰かの参考になるかもしれないその失敗を書き留めておきます。 かなり恥をさらしているので、同業の人は読まないでくださいね(笑)。
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「コンプレックス」と「多様性」のあいまいな関係

だって私、背が高い金髪のイギリス人じゃないもの。

去年の暮れ、聞いたこの言葉に耳を疑った。
言葉の主は、イギリスのインテリアデザイン業界の重鎮・・・と言っては失礼だが、業界団体会長を務め、雑誌記事の執筆・展示会のトークゲスト、など引く手あまた、ロンドンで最も成功しているインテリアデザイナーのひとりAのセリフである。 オーストラリア出身で小柄なブルネット(茶髪)のおかっぱ頭、50代後半(?)でミニスカートを履きこなし、いつも明るく朗らかで誰とも分け隔てなくフレンドリーに接する彼女のファンは多く、私もそのファンのひとりだ。 あるディナーで彼女の席の隣になった時に、若くしてロンドンにやってきて業界経験なしにデザインビジネスを始めた当初は苦労したことを語ってくれた。 その時に出てきたのが冒頭のセリフで、その後こう続けた。

オーストラリアから出てきたカントリーガールだし。

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会ってすぐ鬼ごっこをする、という交流の仕方

年末年始と日本で古い友人とキャッチアップしました。 みんな子どもが幼稚園から小学校高学年くらいの年になったので、子ども同士がわちゃわちゃと遊ぶ様子を、二十年来の友人と笑いながら眺めるというのが何よりも楽しかったです。

大学の同級生たちと京都でお昼に集まった時、貸し切りレストランで小学生男子4人をひとつのテーブルに集めてみました。 ところが、小学生男子って初対面だと(一年半前にも会っているので初対面ではないけど本人たちの感覚だと初対面に近い)、同じテーブルに座っても、
「はじめまして。 僕は○○に住んでいる□年生の△△ XXです。」
とひと通り自己紹介して、
「君の好きな電車は何?」
と当たり障りのない世間話を始めたりはしないんですね・・・
全員、持参した漫画や本を読みふけって沈黙。 同じテーブルの相手を意識はしているんだろうけど、交流は皆無。 もう少し大人っぽく振る舞おうよーーー

ランチを終えて外に出て、サッカーや鬼ごっこを始める。 するとようやく会話を始め(「ジャンケンポン!」とかなので会話に入らないか・・・)、笑顔が出る。 ケイドロやダルマさんが転んだ、など弟や妹もできる遊びを1時間して帰る頃にはすっかり仲良くなっていました。 でもたぶんお互いの名前はよく把握していない、大事なのは名前や肩書きじゃなくて、「こいつは遊べるやつかどうか」のみ。
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さあ黄金の10年がやってきた、何をしよう?

2組の親子の物語を始めよう。
—–
アラフォー、働き盛りのビジネスマンAには妻と子どもがいる。 大学ではエンジニアリングの学位を取ったが、25歳の時にMBA留学をし、その後は一環してコンサルティングファームで顧客企業の戦略立案や買収案件のビジネスDD(デューデリ)などを行ってきた。 インドネシア・キルギスタンからコンゴまで出張で訪れた国は数えきれない。 30歳で結婚してから10年間、彼の最大の悩みはキャリアと家庭の両立だった。 彼がキャリアの悩みを相談する相手はMBA同級生だった妻ではない。 妻は「家族を最優先にした上で、あなたがハッピーになれる仕事であれば何でもいい」という非常にざっくりしたガイダンスしか示さないので、あまり細かい相談はしないのだ。 ブラック上司にパワハラを受けた時の上手な会社の辞め方から転職時の給与・待遇の交渉まで、とりわけ人間関係を中心とした現実的な相談はいつも70歳になった父にする。 地球の裏側に住む父とは、唯一話せる時間帯、朝の通勤のわずかな時間を縫って、何もない時は月1回ほど、転職活動中など相談がある時は週3回ほど電話する。 時によっては妻よりたくさん話しているかもしれない。
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2017年よく読まれた記事ランキング

今年は11年ぶりに日本で年越しのために日本に一時帰国中です。

日本のクリスマスから年越しにかけての感じ・・・
都会ではやたらと綺麗でこじんまりと整ったクリスマス・デコレーション(日本のケーキのデコレーションを街に施したらあんな感じ?)やイルミネーションで溢れ、でもクリスマスにまつわる歴史のひだみたいなものが一切ないところ、25日を過ぎたら一斉にクリスマス関連の飾りが外されてお正月の準備ムードが一気に高まるところ、25日からの数日間は仕事納めで大忙しなところ(キリスト教の国では食べ過ぎ・飲み過ぎで二日酔い、久しぶりの家族と数日一緒にいて食傷気味になる時期なので大違い)、田舎に帰ると地元の友達に会う以外何もやることがないところ・・・ 全てが変わってなくて「これ、これが正しい年末の過ごし方よ!」と口角泡を飛ばして夫に力説してみるのですが、夫にはこの情緒がわからないようです。

東京では、8年前の東京オフ会(→こちら)も4年前のロンドンオフ会(→こちら)も一部の参加者の間でまだずーっと集まって人生相談をし合うかけがえのない仲間になっていると聞いて本当に嬉しかったです。
更新頻度もまちまちで歴が長いのにブレイクするわけでもない地味なブログですが、リアルで長期に渡る友人関係が築ける人を見つける、私だけでなくこのブログを通して読者の間でそんな出会いをつくる、ことをずっと目指してきました。
地味でもそんな出会いの場になっていることがわかって幸せな年末です。

今年最後の記事は年末恒例のよく読まれた記事(ページビューの多かった記事)ランキングです。
みなさまも良いお年をお迎えください!

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2017年も終わるというのに今年何を成し遂げただろう?と悩むママたちへ

2017年が終わる。

今年は9年ぶりに妊娠も授乳もしなかったのでお酒が飲めるようになった。
8年ぶりに家の中からオムツが消えた。
8年ぶりに家の中に赤ちゃんがいなくなった。

いつの間にか私のあごの下まで背が伸びた長男以下の3人(7歳、5歳、3歳)を見ながら、「キミたちは成長したけど、私は今年何をしたのだろうか?」と思う。

そんな時いつも思い出すのは、子ども3人が誰ひとりとして怪我をせずに1日を乗り切るだけで精一杯だった日々のこと。 子どもたちが5歳、3歳、1歳だった頃は3人3方向に走り始める子どもを交通事故に合わせないこと、が1日の最大にして最重要な目標だった(→『「最近の親」が誇るべき1つの事実』)。
幹線道路の真ん中に飛び出したり、バス停に入ってくるバスに触ろうとしたり、出発し始めた電車に触ろうとしたり、2階の窓枠に座ってオモチャの車を窓枠に沿って遊ばせていたり・・・「これは危険かも」という概念が一切なく危ないことを次から次へしでかした次男が5歳になり、ようやく「この子は私が一瞬目を離した隙に死んでしまうのではないか?」という絶え間ない恐怖からは少し開放された。 今のところ体に残るような傷は、今年夏に金属柱に激突した時につくった目の上の傷だけに留まっている。

同じように「私は今年何を成し遂げたのだろうか?」と思ってしまう時につぶやくと良い言葉がこれ。

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キミたちはいつ日本人になるチャンスを失うのだろうか?

辻仁成さんの「息子よ」で始まるツイートにはまっています(@TsujiHitonari)。 いつも美味しそうな手料理と共に息子さんへの愛がドーバー海峡の向こうから伝わってきて、「ああ、親業って大変だけど、どの親も精一杯に親やってるんだなー」とほっこりします。

(「残り物」のクオリティが高すぎ!)
少し前にYahooニュースでこの記事を読んで、思わず「やっぱり!」と叫びそうになりました。
AERA.net:「僕は正直言って帰りたいんです」パリ在住の辻仁成、本音がポロリ?
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「絶え間ない幸せの泉」と「自分の周り」

橘玲さんが『言ってはいけない 残酷すぎる真実』で取り上げていた本『子育ての大誤解〔新版〕上』『子育ての大誤解〔新版〕下』が気になったので原著『The Nurture Assumption: Why Children Turn Out the Way They Do』を読みました。 初めに書いておきますが、邦題の副題「重要なのは親じゃない」はミスリーディングです。 原著の副題「Why Children Turn Out the Way They Do」(どうして子どもはこういう人間になるのか)の方が良いニュアンスです。
1998年という、もう20年も前に書かれた原著の原題は、人間がどういう人間になるのかを決定すると考えられる2つの論派のうちのひとつ、Nature Assumption(遺伝がほぼ全てを決定するという考え方)に対するNurture Assumption(環境がほぼ全てを決定するという考え方)です。 ところが、当時のNurture Assumption派は「環境=親の育て方」の一辺倒だったのですが、これに対し、環境は親だけが与えるものではない、むしろ子どもが育つ同姓・同年代グループの影響が多大、というのがおおざっぱな骨子。 長いですが、興味深い箇所がたくさんありました。

その中で’Relationship’と’Groupness’という言葉が盛んに出てきました。 人間関係を考える上で非常にわかりやすいフレームワークなので今日は’Relationship’と’Groupness’の話です。 邦訳でどう訳されているのかわからないのですが、「関係性」と「集団性」と訳しておきます。
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「どこ」で「誰」と「どのように」生きるのか

最近、30代前半の女性とお話する機会がたて続けにありました。 いずれも日本企業からの駐在員、MBA社費派遣、米企業の日本法人社長などバリバリのキャリア女性たちです。 彼女たちの悩みは、海外キャリア・結婚・出産など・・・ 過去の自分を見ているようです。 この世代の悩みって変わらないものですね・・・

私にとって30代は激動の10年でした。 結婚→シンガポール移住→ロンドン移住→第一子誕生→キャリアチェンジ→第二子誕生→第三子誕生・・・と息つく暇もなかったような。
今年夏に末っ子が3歳になり、ふっと体中にぶら下げてていたダンベルが落ちたようにラクになりました。 なぜラクになったのかは別の記事として書くとして、東京でキャリアウーマンとして30代を迎えた私が、ロンドンで3児のママとデザイナー業をジャグリングしながら40代を迎えることになったのかまとめておきます。 あまり参考にはならないと思いますが(苦笑)。
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