楽天の社内英語公用語化

先々週のThe Economistに楽天の記事が載っていました。
The Economist : E-commerce takes off in Japan – Up and away
去年The Economistは方針転換し、オンライン記事は購読するかウェブ会員にならないと読めないので(→『読む価値のあるメディア』)要約すると、「欧米に比べると出遅れていた日本のE-コマースがついに急速に伸び出した。 が、リーダーである楽天は2つの戦略(= 自社ショップの開設と海外展開)でさらに成長しようとしている」という内容。
先週はさらに東洋経済の三木谷さんのインタビューが話題に。
東洋経済:三木谷浩史・楽天会長兼社長 – 英語ができない役員は2年後にクビにします
私がインタビューの中で気に入った箇所はここ。

グローバルにコミュニケーションできるといろんなノウハウを吸収できる。 なぜ楽天が強いかというと、僕が世界中の成功例にアクセスして、いいアイデアを見つけてくるから。 僕は天才でも何でもない。 世界中のいいものを見つけて、結び付けて日本でやる。 はっきり言って、僕がやってきたのはそれだけ。

ここまで「やってきたのはマネだけ」と言われると気持ちいい。


The Economistはそのあたりよく把握していて辛口です(以下、拙訳付き引用)。

Although Japan is a technology trendsetter in many respects, e-commerce lags far behind the West. People seem to prefer shopping in person, perhaps because they tend to surf the web using mobile phones, which are less suited to online shopping than computers, with their bigger screens and calmer surroundings. (中略)
Hiroshi Mikitani, Rakuten’s founder and boss, hopes to move into around 30 markets – with ten countries to be added in 2010 alone.(中略)
But the inefficiencies that Rakuten exploited in the Japanese market do not exist to the same extent elsewhere. (中略)
To foster a cosmopolitan spirit, Rakuten is making English the working language of its top brass. Yet the factors that have made it a striking success may be purely Japanese.
日本は多くの分野でテクノロジーのトレンドセッターではあるものの、E-コマースでは遥かに欧米に遅れを取っている。日本人は対面でのショッピングを好むようにみえる、それはPCよりオンラインショッピングに適していない携帯でウェブサーフィンする傾向があるからかもしれない。(中略)
楽天の創業社長 三木谷浩史氏は30ヵ国に進出を計画しており、2010年だけで10ヵ国の予定である。(中略)
しかし、楽天が日本市場で享受してきた非効率性は他国には存在しない。(中略)
コスモポリタン精神を養成するために、楽天は幹部の使用言語を英語にした。 しかし、楽天を大成功させた要因は純粋に日本的なものである。

この三木谷さんが言う「世界中のいいものを見つけて、結び付けて日本でやる。」はビジネスの常套手段で、中国のネットサービスはすべて英語での知にアクセスできる人による英語サービスのマネで何千万人と会員を集めているのです(中国版Facebook、中国版eBay、etc.)。 中国には『パクス・イングリッシュの時代は続くか』で紹介した動画のような世界が訪れているし、元々英語話者が多いインドは言わずもがな、今後成長可能性のある発展途上国の市場を開拓するには世界中からベストプラクティスを学びその国にあった方法を見つけいち早く広めることが必要でしょう。
世界中の知の100%が英語になっているとまでは言わないが、70 – 80%くらいはなっている気がします。 それは『英語のひとり勝ち』『英語は言語の”最大公約数”』で書いたようにインターネットによって知の集積が起り始め、人や情報が加速度的に言語圏を超えて交流するようになった時代に「たまたま」世界で最も多くの「知識人」に話されている言語であったからであり、米英におもねるとかとは全く違う次元の話。
私は三木谷さんのインタビューの中の下記の箇所のようには以前から思っていたのですが、

昔から「英語だけしゃべれて仕事ができない奴がいっぱいいる」という人が必ずいるが、もう英語は必要条件。 読み書きそろばんのそろばんと同じ。

ついに日本の会社で英語を社内公用語にする会社が出てきたのかー、とここ数年、私が日本を出てからの変化に思いを馳せたのでした。
日本でもだいぶ人々の意識が変わってきたのでしょうか?


6 responses to “楽天の社内英語公用語化

  • フィリピン滞在

    自分もこれ読みました。ユニクロも英語を社内公用語にしたみたいですね。いいトレンドです。うちの会社もこれぐらいやってくれると面白いのですが。
    自分の仕事は通訳で、日本人とフィリピン人のギャップを埋めることが仕事です。こちらでの問題は、フィリピン人の基礎学力が低すぎて自分も含め、フィリピン人のレベルが理解できないことです。日本人の英語ができないのは常に問題ですが、フィリピン人の平均的な学力が大卒でも日本の小学3年生ぐらいだというのを日本人は想像できません。
    たとえば統計学などを教えようとしたのですが、最終的に分かったのは従業員のほとんどが九九を覚えていないので、自分がいくら一次関数のグラフや分数の計算を教えて(というか翻訳して)も意味がないことでした。0.1の二乗が0.01だと計算できないのが95%の大卒です。うちでの問題はこんなもんです。

  • meimei

    The Economistの記事確かに辛口ですね。
    日本企業がグローバル化を目指し、新卒採用で日本人より外国人または海外での採用が増加傾向にあったりグローバル化するのに移民受け入れを増やすなどさまざまな考えがありますが
    三木谷さんのように英語ができなければクビ!だと宣言されると、応援したくなります。特に”役員”というのが、他企業のお偉いさんのマインドにも影響が出てくれるといいと思います。


  • 日本のほかの会社も社内公用語を英語にしてみたら
    今まであったお偉いさんの力関係も見事に変わってしまうんでしょうね、、、
    私の会社ではメールは日本人同士でもすべて英語と決められています。海外にもすぐ転送できるからかな。
    プレゼン資料のみもなぜかすべて英語です。
    英語の資料を見ながら日本語で説明をします笑
    やはり日本人同士で英語を話すというのはないですね~
    やってほしいな。

  • mignon1117

    私は、クライアントとして、これらの日系企業(日産のような会社も含む)を見てきましたが、ほとんどのケースが「外国人の上司+私+スタッフ数名」で会議すると、私は通訳に回っていました。その当時いつも思ったのは、彼らも、弊社の上司と直接話せれば効率的で、彼らにとってもプラスに働くことが多いということでした。
    社内に外国人がいらっしゃる会社もありましたが、重要な意思決定を握っているのは(年配の)日本人、それも英語を使いたがらない人がまだまだ多い中で、(楽天の三木谷さんやユニクロのケースを見ると)「それでも一歩踏み出さなければ何も始まらない」という切迫感の表れなのかと思っています。

  • la dolce vita

    >フィリピン滞在さん
    >フィリピン人の平均的な学力が大卒でも日本の小学3年生ぐらいだ
    英語が世界語になったこの世の中で英語ができるというのはものすごいアドバンテージなんですよね、インドの例に見る通り。 フィリピンが英語ができる人が多いにも関わらず、英語ができる体のいいメイドや肉体労働者の出稼ぎ国で終わってしまっているのには、やはり汚職まみれの政府・社会や教育レベルの低さがあるのでしょう。
    今の現状は何とも残念です。
    >meimeiさん
    >特に”役員”というのが、他企業のお偉いさんのマインドにも影響が出てくれるといいと思います。
    古くからある日本企業ではまず役員会で通らないでしょうね、英語公用語。 英語できない人がそんな案通すはずないですから。
    >ぴさん
    >やはり日本人同士で英語を話すというのはないですね~
    日本人同士で英語で話すのは効率悪いけど、それくらいの気持ちでやる、という三木谷さんの本気の現れでしょうねー

  • la dolce vita

    >mignon1117さん
    >ほとんどのケースが「外国人の上司+私+スタッフ数名」で会議
    すみません。 誰がどちらの会社なのか状況が読めませんでした・・・
    >(楽天の三木谷さんやユニクロのケースを見ると)「それでも一歩踏み出さなければ何も始まらない」という切迫感の表れなのかと思っています。
    私は日本の会社全部が英語を社内公用語にするべきだとは思ってませんが、おっしゃる通りトップが「できない人はクビ」というショック療法を与えるくらいしないと人は動かないのでしょうね。

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