MBA女性の10年後 – 王道対策編

先週の『MBA女性の10年後』は紛れもない現実ですが、

このままキャリアを求めてがんばって行くことの不安とある意味先が見えてしまったような(がんばっても仕方ないのではないか)そんな思いにかられてしまいました。

というMaikoさんのコメントにあるように、20代女性の希望を打ち砕いてしまったかもしれないので、巷ではこの現状にソリューションっぽいものも議論されていることを紹介。
明るい話の前に、前エントリーに補足して現実の例を。
先週ランチしたINSEAD友達Y(→こちらに登場)。 米系名門投資銀行(ロンドンオフィス)のヘッドハントを受けNYからロンドンに引っ越してきたばかり、2歳半と1歳の2児をフルタイム・ナニーを駆使して育てながらウォールストリートのエクイティセールスという激務ポジションで生き残ってきた、私の友達の中では最もバリバリと音がするほどのキャリアウーマン。
彼女が言っていたひと言。

前職のファーム(同業同職種)では、パートナー(共同経営者)まで残った女性はたったの3人。 うち1人はレズビアン、1人は未婚、1人は旦那さんが専業主夫。 そのどれも私には当てはまらない。 先行き暗いわよね・・・

暗い現実はこのくらいにして、The Economistの同じ号からWomenomicsという記事(長いので、以下私の意訳)。

第一世代のキャリア女性は男性と同じ基準で評価されることを主張した。 ”The sisters”として特別な扱いを受けるのではなく、誰よりも働き、頭が良くなることで人の先を行くことにこだわった(例:マーガレット・サッチャー元英首相、ヒラリー・クリントン米国務長官)。
ところが、最近のフェミニストの間では、男性のルールに従ってゲームをプレイしている限り女性は決して自らのポテンシャルを花咲かせることはできないと主張している。 「ガラスの天井」を破るだけでは十分ではなく、ビル自体に埋め込まれている「性差のアスベスト」を調査すること、つまり企業社会の構造やプロセスそのものに内在している性差別を根絶することが必要であると。

新しいフェミニズムでは、「女性は本質的に男性とは違う特性(ラテラル・シンキングが得意で交渉時も理想主義的)を持っている、男性の特性のうちいくつか(リスク・テイキングでなりふり構わず競争する)が金融危機に導いたことは自明。 企業は家父長的なヒエラルキー組織ではなく、緩やかなマトリックス型組織で”協調”や”ネットワーキング”という女性の特性を活かすべきだ」と主張する。

この新しいフェミニズム論、どうでしょう?
私は「理論はいいとして、実践的じゃなく、私たち世代が恩恵を受けそうにはないなー」と思ってしまいました。
The Economistもこの新しいフェミニズム論には「男女の生来の違いに注目しても、男女間の違いより、男性内・女性内での個人の違いの方が大きいから、個々のケースに当てはまらない」として異論を唱えています。
では、こちらはどうでしょう?
Business Week : THE LADDER IS OUT, THE LATTICE IS IN

従来型の”Corporate Ladder”(出世階段)モデルでは、ちょっとでも外れると階段から落下してしまう(up-or-out)。 そのようなシステムの中では、能力が優れているだけではなく、家族を犠牲にして仕事に献身することが必要。
このような”one-size-fits-all”(万能サイズ)システムはもはや全員にフィットしない、どころかフィットする人がどんどん少なくなってきた。
そこで作られたのが”Corporate Lattice”(格子)モデル。 個々の私生活に合わせてワークロード(労働負荷)や責任をカスタマイズしよう、というもの。
例えば、来年大学進学と共に家を出ることがわかっている高校生の息子と多くの時間を持ちたいと願う社員がいた場合。 ”Corporate Ladder”システムでは上司に言い出しにくいし出世にも響くが、”Corporate Lattice”の組織では長期的な視野に立って個々のニーズが年月と共に変わることを通常事態と捉え、1年間は仕事量を”Dial Down”させ、1年後には再び”Dial Up”できるよう調整する。

現在、HRコンサルタント等が企業に導入を呼びかけているそうです。
こちらもコンセプトはいいのですが、実際本気で”Corporate Ladder”モデルを捨てる企業がどれだけいるのかなー? 私の世代にはあんまり関係なさそうです。
私の現時点でのもっと現実的な解は、
1. 企業がカスタマイズ・キャリアに対応してくれる時代を待つのではなく、自分でカスタマイズする(同じ志向の仲間をつくる)
2. 「仕事での成功 = 人生の成功」というAlain de Botton言うところの”job snobbery”から自分を解き放つ(→『親切で優しい成功哲学』
です。
ロンドンでは周りに同じライフステージで奮闘している友達がたくさんいるので、続きはまた追々。


7 responses to “MBA女性の10年後 – 王道対策編

  • iloveapple

    私は現在出身校と同じ町に住んでいるのでOGのみの集まりがものすごく沢山あり、刺激になってます。(上は60代から最近の卒業生まで)
    で、色々な年代のOGを見ていると皆さんやはり専業主婦率はそれなりに高い様ですが(そもそも主婦の人はこういう会合に滅多に来ない)、働いている女性はアメリカだからか、子供3人が基本、そして子供の年齢にもよりますが子供一人あたりナニー一人が基本です。そうでもしないと出張が多くて実家の親に頼らない(親も近所に住んでいない)、かつ産休が産後2か月しかないアメリカでは、両立は無理です。
    となると、やはり自分がそれなりに稼いでいないと働くインセンティブがないのでは?この辺り、日本の女性が保育園代を払えなくて専業主婦になってしまうのと似ていますが。。。ある程度稼げて、かつ家庭でもナニー2〜3人を管理できるマネージメント能力のある、バイタリティ溢れる女性じゃないと結構きついものがあります。私は。。。どうかな?とりあえず第一子が生まれたらナニーを雇って試しにどんな感じか見てみようと思います。
    私もLa Dolce Vitaさん同様、Corporate Latticeモデルは厳しいかな、と。プロフェッショナルファームに勤務する人は男女関係なく一定のルールの元競争をしているので、今更そのルールを変えるってのも簡単にできる事ではないと思うし。

  • DODOLELA

    皆いろいろなソリューションを提供しているようですが、結局はla dolce vitaさんの解が現時点で最も現実的であるような気がします。
    前回はネガティブなコメントを書いてしまいましたが、夫(フランス人)も家庭を第一に考えてくれますし、「もっとがつがつ仕事していきたい自分」と「安定した家庭を築きたい自分」とのバランスをうまくとりながら、job snobbyから自分を解き放ちながらやっていくしかないと思います。
    (そもそもフランスでは、外国人が企業のマネジメント層に入り込み、がっつり働くためには相当レベルのフランス語ができないと至難の業で、私はまだまだ精進中なのですが・・・これはまた別問題です)

  • toyojiro

    ここ最近の記事を興味深く読ませてもらいました。
    欧米企業のほうがもっと女性進出が進んでいるというイメージがありましたが、やっぱりいろいろな壁があるのですね。いずれにしても、日本よりはアメリカのほうが女性のキャリアアップがしやすいと感じています。日本よりもロールモデルが断然おおいですから。
    わたしも解決1の意見に近いです。存在価値を高めて、職場に無くてはならない人となり、雇用先に融通をきかせてもらうくらいの立場になってから自己流のキャリアパスをいくのが理想です。

  • la dolce vita

    >iloveappleさん
    >子供3人が基本、そして子供の年齢にもよりますが子供一人あたりナニー一人が基本です。
    アメリカ人、子沢山ですよねー 日本で3人ってのはほんと見ないですが。
    ナニーは住み込みですか? 月いくらくらいかかるんでしょう?
    シンガポールは安いので(↓)、住み込みメイド2人雇っている家を結構知ってます。
    http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2008/10/61.php
    ロンドンはバンカーじゃないと、住み込みナニーは無理ですね。
    >DODOLELAさん
    >夫(フランス人)も家庭を第一に考えてくれますし、「もっとがつがつ仕事していきたい自分」と「安定した家庭を築きたい自分」とのバランスをうまくとりながら
    ほんとパートナーによるところが大きいですよね。 それはそうと結婚おめでとうございます!
    >toyojiroさん
    >日本よりはアメリカのほうが女性のキャリアアップがしやすいと感じています。日本よりもロールモデルが断然おおいですから。
    キャリアアップが「上位層に女性が多い」という意味だと、アメリカがやっぱり世界で一番多いですよね。 「仕事に就いている女性が多い」という意味だと北欧が多いですが。 このへんの違いも面白いので、今度書きたいと思います。

  • toyojiro

    >キャリアアップが「上位層に女性が多い」という意味だと、アメリカがやっぱり世界で一番多いですよね。 「仕事に就いている女性が多い」という意味だと北欧が多いですが。 このへんの違いも面白いので、今度書きたいと思います。
    たしかにいろんな解釈可能ですね(笑) 子供がいてもマネージャー職に就いている女性がたくさんいる、子供を生みながら昇進もしている女性がいる、ということで、上の表現になりました。

  • iloveapple

    住み込みかどうかは各家庭による様です。
    単にスペースがない場合もありますし、他人と一緒に住みたくない、という場合もありますし。そういう場合は「通い」で来てもらいますが、その代わり通勤用の車をプレゼント、なんて事もあります。相場は直接聞いた事はないのですがネットで調べると一人当たり月$2500-$3500位ですね。デイケアだと$2000位ですが、さすがに生後2ヶ月の乳児を終日でデイケアに預けるのはちょっと。。。って感じです。
    うちの会社には女性MDやディレクターがゴロゴロいますが、皆結構激しくて(笑)、出張もがんがんこなしますし出張先から母乳をFedex、なんてこともやってます(そこまでしなくても。。なんて日本人の私は思ってしまいますが)。

  • la dolce vita

    >iloveappleさん
    >相場は直接聞いた事はないのですがネットで調べると一人当たり月$2500-$3500位ですね。
    ありがとうございます。 やっぱり高いですね、ロンドンと同じくらいかな。 これを x 3人となると・・・
    >出張先から母乳をFedex、なんてこともやってます
    爆笑。 生鮮品として冷蔵(冷凍)配達? Descriptionに”Breast milk”と書くのかしら?
    なんかそういう話聞くと、アメリカ人キャリア女性は別世界ですねー ヨーロッパ人(& アジア人)はそこまでの人いないです、maternity leaveももっと長いし。 マネジメント層に一番女性が多い国がアメリカというのも納得。

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