結構よく「どういうVISAでイギリスに行くのか?」と聞かれるので書いておきます。 海外で働こうとすると、避けて通れない問題ですものね、VISA。
ただし、ほとんどの日本人には全く関係ないVISAですし、外国で永住権を取ろうと苦労している人からは刺されそうな内容ですが・・・
もともと、夫の会社で転勤という形なので、夫の会社がスポンサーとなり労働許可付VISAはおりるのですが、この方法は会社にとっても高コスト(*1)だし、本人にとっても転職が容易ではない(*2)ので、違うVISAで行くことにしました。
*1・・・なぜ同じような人材がイギリス国内で雇用できないのか、EEA欧州経済圏に適格者がいないことを証明するために求人広告を出す必要がある、などコストがかかる。 会社ごとにスポンサーできる人員の上限もあるはず。
*2・・・スポンサーである会社あってのVISAなので、転職の場合はスポンサーとなってくれる企業を探す必要があり、労働許可証を必要としないEU出身者と比べ不利となる。
この「違うVISA」とは”UK Ancestry Visa”と言う、
1. The Commonwealth(イギリス連邦)の市民
2. 祖父母のうち1人がイギリス国籍を持っている/持っていた
という条件を満たしていれば、「イギリス人を祖先に持つ」とみなされ、「血縁関係を証明」でき、「イギリスで働く気」があれば(職の内定はなくてもよい)、5年有効の労働許可付VISAがおりてしまうという、トランプのジョーカーみたいなもの(5年経つと自動的に永住権申請資格がある)。
The Commonwealthとは大英帝国の植民地だった国が独立後も緩やかな連合体を形成している仲良しクラブ(加盟国:カナダ、オーストラリア、ニュージーランド、南アフリカなど)のことですが、単に集まってクリケットして遊んでるだけじゃなくて、実質的なメリットもあったのね・・・
UK Ancestry VisaはThe Commonwealthの市民であるだけではダメで、イギリス国民の孫でなければいけないので、端的に言うと「大英帝国時代、二度の世界大戦時代に、(本人の積極的意思ではないケースも含め)旧植民地に移り住んだイギリス人の子孫がイギリスに戻りたがっているのであれば帰してあげよう」という趣旨のもの。 時もだいぶ経ち、時代にそぐわなくなってきたので廃止が検討されているそうですが・・・
そして私が取ったのは夫のUK Ancestry VisaのDependent(配偶者)というVISA。 イギリスではアメリカと異なり労働許可証を持つ外国人の配偶者は同様の内容の権利を与えられるので、私も就労可能です(シンガポールでもEmployment Passホルダーの配偶者は働けます)。
ちなみに、どのくらいこのVISAがトランプのジョーカー的かというと、何と申請して3日で取れてしまいました・・・ 公式サイトには「最長12週間かかる」って書いてあるし、他のイギリスで就労可能なVISA(Highly skilled workers – Tier 1 Generalなど)を申請した友達は3 – 6ヵ月かかっているのに・・・
私はもちろん自分が関係者になって初めてこのVISAの存在を知ったのですが、同じく血縁を大事にする日本でこの類いのVISAの存在を知らないんだけど、どうなんでしょう?(日系ブラジル人が優遇されるとかあんまり聞かないけど)
[ お知らせ ]
来る12月11日にシンガポールで開催予定の『第4回 世界級ライフスタイルをつくる会@シンガポール』は会場予約人数を超えたので締め切りました。
December 6th, 2009 at 3:25 am
UK Ancestry Visa、うらやましいです!(笑)
英国連邦では英国の弁護士や会計士の資格がほぼそのまま使えるらしいですし、現代のノマドライフスタイルには英国連邦のパスポートはものすごい強い味方ですね。
次世代で重要になるのは華僑、印僑ネットワークでしょうか。
しばらく前にUK Ancestry Visaが多少厳しくなったようなことを新聞で見かけましたが、自分に無関係なので内容は忘れてしまいました。どちらにせよ一般国からのワークビザ申請の敷居の高さを考えたら、ものすごく有利ですね。
December 6th, 2009 at 1:13 pm
>Kazさん
日本人にほとんど関係ないVisaの話に反応して頂き、ありがとうございます(笑)。
>英国連邦では英国の弁護士や会計士の資格がほぼそのまま使えるらしいですし
そういえばそうですねー 夫の妹は弁護士資格で、夫のBest Manは会計士資格(2人ともオーストラリア人)でロンドンで働いてました。
フランスも旧植民地間で同様のVisaがあるらしいですよ(未確認情報)。
こうやってみると、日本のパスポートってほとんど有利にならないのに、なんで日本の国籍法ってあんなに厳しいんだろう?と思うことしばしば。