Twitter上でお知らせしたら、意外に多くのRTがついたので(RTとは他人のつぶやきを自分のフォロワーに広めることができるもの)、ブログでもお知らせ。
友達の友達の産婦人科医 宋 美玄さんが本を出版しました、『産科女医からの大切なお願い – 妊娠・出産の心得11ヵ条』。
実はこれ、去年の秋に自身のブログ『LUPOの地球ぶらぶら紀行』に『妊娠の心得11か条』として載せたところ、ネットニュース(→1, 2)になるなど大反響を呼び、講演の依頼がきたので講演したところ講演に来ていた出版社の人から声がかかったとのこと(私も去年ブログで読んだので、当時妊娠していた友達に転送しました)。
まずは11ヵ条をどうぞ。

この11ヵ条は簡潔にまとめられているので、解説は彼女のブログ元記事や21世紀医療フォーラムの記事をどうぞ。 本はブログ記事の後、ロンドンに胎児超音波と胎児治療の勉強のために留学している間、日本の臨床から離れ客観的に見つめなおした視点で書いたとの本人談ですので、興味のある方はぜひどうぞ(私はシンガポールで手に入らないのですが・・・)。
さて、先週はロンドンで帰国間近だった彼女とランチしました。
私たち自身、団塊ジュニアのちょい下で少子化反転の「ラストチャンス」と社会からプレッシャーを受けている世代なので盛り上がりました。
– 以前は女性なら誰でも経験したことなので医学的知識のないまま自分の経験(ときには迷信)を他人に当てはめる人が多い
– 正しい知識がなく周りの経験者の話だけで思い込んだり悩む女性が多い
– そもそも出産はリスクを伴うものなのに「お産は安全で当然」と思い込まれているため、訴訟が多い
– 医療現場は疲弊し、現場を去る人が増える一方・・・
妊娠・出産の正しい知識って実はほとんど身につける機会はなく、すぐそこに迫った産婦人科医療崩壊の危機もマスコミによってねじ曲げられて伝わっています。
現状に危機感を持つひとりの医師の真摯な思いが、ブログという表現手段で世の目に触れ、出版という形で広く伝わるって素敵なことですね。 応援してます!
December 7th, 2009 at 1:48 pm
いつも、楽しく拝見させていただいております。貴重な情報を有難うございます。
実際、出産経験者として、この11か条は全て、心にグッときます。おっしゃっているように、日本でも「少子化」への危機感は強いものの、妊娠や出産に対する正しい知識を得る機会は、その当事者になってみないと得られないと思えます。
国民皆保険が整っているとはいえ、産婦人科のみならず、日本でも、医療の崩壊が見られるようになってきていて、出産や妊娠に対する概念同様、「医療」の位置づけや概念も根本的に見直さなければらないのではないかと、個人的に危惧しています。
December 7th, 2009 at 8:31 pm
>医療現場は疲弊し、現場を去る人が増える一方
これを知ってる人は、日本では少ないんですよ。
マンパワーが足りないのですが、月200時間くらい残業してる医者が沢山。
で公立だと給料払えないので、当直として安く使ってるんですね。
(当直の仕事は急患みるとかはホントはしない。)
(新小児科医のつぶやき)というブログに結構現実とか書かれてますよ。
>産婦人科医療崩壊の危機もマスコミによってねじ曲げられて
福島大野病院の話ですね。あれは医者が無罪になって良かったです。
あれが有罪なら産婦人科辞めるって意見多かったですね。
この11カ条は男にも見せた方が良いですね。
December 8th, 2009 at 5:46 am
とてもシンプルに書かれていて、でも、それぞれに深い意味がある。
すばらしい11条です。
保健体育の本に載せてもいいですね。
個人的には、2.4.7あたりがぐっときます。
December 8th, 2009 at 9:31 am
>mignon1117さん
>日本でも「少子化」への危機感は強いものの、妊娠や出産に対する正しい知識を得る機会は、その当事者になってみないと得られないと思えます。
本当にそうですね。 今まで知る機会って全然なかったな、と我ながら愕然とします。
>櫻庭さん
>これを知ってる人は、日本では少ないんですよ。
そうなんですか。 私はたまたま周りに医師の友達が何人かいるので聞いてますが、たしかにさほど緊急性は伝わっていないような気はします。
>福島大野病院の話ですね。あれは医者が無罪になって良かったです。
この件は恥ずかしながら知りませんでした。 私の出身地奈良ではいわゆる「妊婦たらい回し事件」他、産院が立て続けにマスコミに叩かれて減りました。 マスコミが世の中を改悪してどうするんだ?と思います。
>この11カ条は男にも見せた方が良いですね。
ほんと、そのとおりです。 案の上、女性からのコメントが多いので櫻庭さんのコメントは嬉しいです。
>sunshineさん
>保健体育の本に載せてもいいですね。
私も高校生だったらこれくらい全員必修で教えてもいいと思います。
December 8th, 2009 at 8:07 pm
la dolce vitaさん、
ちょっと調べてみると、周産期死亡率というのはこの30年くらいで劇的に下がっているんですね。他の病気と比べても恐らくこれほど死亡率が改善したものって無いんじゃないか?というくらい。そこに至った医師の努力や激務を変な形で歪めて欲しくないですね。
これは物凄く言い方が難しいことなんですが、お子さんが亡くなる事と医療体制や医療過誤をちゃんと検証すべきでしょう。それがマスコミの仕事なんですが、その機能は全く働いていないですね。場合によっては「また子供をダシにクレームしてるんじゃないか?」という見方も出てくるわけで、感情と現象を切り分けないと駄目ですね。
うちのかみさん、ドイツでの二人目の出産時は子宮口が途中で開いてきて絶対安静の身に。かみさん自身、上の子供で嫌と言うほど医者に行っていたので言葉の問題は無かった(もう医療ドイツ語は鍛えられたから、だそうです)んですが、「やっぱ絶対はないよな」と思った次第です。うーん、その時は会社が近かったし、朝飯作って会社行って昼飯作りに戻って子供を幼稚園から迎えにいってまた晩飯作って…という生活を一ヶ月くらいしましたかね?結構会社がアットホームだったんでみんな助けてくれました。私も自炊は全然問題ないんで、ある意味楽しんでました。
ちなみにドイツは出産に立ち会うんですね。で、私も立ち会ったのは良いが、最後にほっとしてちょっとした暴言を吐いたら今に至るまでちくちく言われています。出産の発言には世の男性、気をつけましょう(苦笑)。
December 9th, 2009 at 9:20 am
>ドイツ特派員さん
>ちょっと調べてみると、周産期死亡率というのはこの30年くらいで劇的に下がっているんですね。
すごい! 調べて教えて頂きありがとうございます。
>そこに至った医師の努力や激務を変な形で歪めて欲しくないですね。
おっしゃる通りです。
>私も立ち会ったのは良いが、最後にほっとしてちょっとした暴言を吐いたら今に至るまでちくちく言われています。出産の発言には世の男性、気をつけましょう(苦笑)。
どういう暴言ですか?(笑) ちなみに、うちの母は私を産んで退院する日に父が会社の休みを取らなかったため、生後1週間の私を抱いて家までの道40分を歩いて帰ったことを、30ウン年経った今もチクチク言ってます。 一生言われますよ、きっと・・・
December 9th, 2009 at 6:06 pm
ありがとおお~
あの時手元にあったら読んでもらえたのになあ。
December 10th, 2009 at 7:24 am
la dolce vitaさん、
暴言はですね、出産して子供を洗ったあと、「(私が思ったより)楽そうなお産で(よかったね)」というもの。いや、当然初めての立会いじゃないですか、テレビなんかで出産ってそれこそ泣き叫んでるという印象しかなかったもんで….。既に下が生まれて13年、さらに向こう40年以上は覚悟しています。こういう不幸が無いためにも正しい出産知識は必要だと思います(笑)。
December 10th, 2009 at 9:46 am
>LUPOさん
どういたしまして〜
>あの時手元にあったら読んでもらえたのになあ。
そうやなあ、誰かに頼むわ〜
>ドイツ特派員さん
>出産して子供を洗ったあと、「(私が思ったより)楽そうなお産で(よかったね)」というもの。
あああ、それは暴言ですねー・・・ 「カラダはってんのはこっちじゃ〜!!!」と叫びたくなります(笑)