移民の子どもの教育

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今週のThe Economistは表紙を見た途端、吹き出してしまいました。
ポールソン米財務長官が”I WANT YOUR MONEY”と読者を指しているこの合成写真、もちろん第一次世界大戦の米軍募集ポスターをパロったものです。
なんか顔まで似ている気がするんですが・・・
今週のThe Economistはまだ読んでいないので、先々週のThe Economistから面白かった記事を。


migrants_at_school.gif移民の子どもの学力(理数系)を出身国別、移住先別に調べた2006年の調査の結果についての記事です。
The Economist : Educating migrant children – Huddled classes
グラフの見方は以下の通り。
– 上から順に子ども(親)の出身国はトルコ、中国、旧ユーゴ、旧ソ連
– それぞれ移住先の国別に棒グラフで学力が示されている。 濃いブルーは点数、薄いブルーは移民固有の社会経済事情を調節した後の点数(どうやって調整したのかは書いていない)
– 真ん中の赤線500点はOECDの平均、右の数字は移住先の平均
「移民」とひと言で言っても「出身国」によって学力が大きく異なるのはすでに自明ですが、「移住先」によっても学力が異なることがデータで判明したことが、この調査の面白いところ。 学力は移住先の教育システムの善し悪しによって変わるというわけ(考えてみると当たり前ですが)。
今さら「出身国」を変えるわけにはいかなくても「移住先」を変えることはできそうなので、「子どもの教育にいいところに移住したい」と考える親心には影響を与える結果、なのかもしれません(もちろん、いまだに経済的事情による移住がほとんどなので、「頼れる親戚がいる」ことが移住先の第一条件で「教育がよい」ことなど考える余裕がないのが実態)。
トルコ系移民が移住先によって学力差が異なる理由については以下のように説明されています(拙訳)。

One reason is connected with how much countries “track” pupils (ie, sort them into ability groups and teach them separately). Large numbers of first- and second-generation Turkish children go to school in Austria, Germany, Belgium, Switzerland and Denmark. In the first four countries, pupils are tracked on leaving primary school. But those in Austria and Germany do worse than those in Belgium and Switzerland because, it seems, tracking is earlier and more rigid in the first two, and a child’s socio-economic status has a very large effect on the track he ends up on.
ひとつの理由はどれくらい生徒を学力別に分け別々に教えるか、に関連する。 多くの第一世代、第二世代トルコ系移民がオーストリア、ドイツ、ベルギー、スイス、デンマークの学校に行くが最初の4ヵ国では小学校終了と同時に生徒は学力別に分けられるが、コース分けがより厳格に行われるオーストリアとドイツでは、それほど厳格ではないベルギーとスイスよりもトルコ系移民の学力が低い。 生徒の(親の)社会経済的地位が進路に大きく影響を与えるのである。

つまり小学生という年少時に進路選択を迫られるため、子ども自身の適性よりも親の現在の社会経済的地位の影響が色濃く反映されてしまい、その後の「一発逆転」が難しい、ということでしょうか?
大学生でさえ何になりたいかわからないというのに、小学生で、というのはどう考えても早すぎる気がするのですが?
中国系移民の子どもの学力(特に理数系能力)が高いことは、どこの国でもそうですが、特にオーストラリアに移住した生徒の学力が高い理由は以下のように説明されていました。

Among the world’s best performers are Chinese children taught in Australia. The average Chinese first- or second-generation immigrant there outperforms two-thirds of all Australians (themselves no mean performers), and three-quarters of all the children who take the PISA test worldwide. Mr Schleicher praises the Australian school system for its diversity–within schools, not between them–and ability to capture the talents of all students.
世界でも特に学力が高いのがオーストラリアの中国系。 第一世代、第二世代の平均的な中国系移民は2/3のオーストラリア人の学力を上回り、世界で同テストを受けた生徒の3/4を上回る。 (同調査を指揮した)Mr.Schleicherはオーストラリアの教育システムの多様性(学校間ではなく学校内での)とすべての生徒の力を伸ばす力を理由として挙げた。

私の夫(オーストラリア人)は大学でエンジニアリング専攻ですが、同級生のほとんどは中国系。
もちろん中国系の教育ママっぷりあっての結果ですが、移民を受け入れてその能力を育てる土壌があってこそ、世界中から移民を惹き付けるのだなー、と。
また私の周りのシンガポール人(INSEAD同級生)は超エリートが多いのですが、みんな海外の大学を卒業しています(例:Oxford、Stanford、Imperial College、etc.)。
こちらは移民とは異なりますが、世界ではだいぶ前から、大学も世界中から才能集めを競う時代であれば、生徒も世界中のアプリカントと入学を競う時代なんですね・・・
子どもも大変だけど親も大変だ・・・


One response to “移民の子どもの教育

  • la dolce vita

    (過去のコメントは以下)
    snowbees  September 28, 2008 5:20 AM
    <小泉引退とホリエモン>
    http://ameblo.jp/takapon-jp/page-1.html
    なお、私はホリエモンの功績を評価している。
    la dolce vita   September 28, 2008 6:30 PM
    >snowbeesさん
    ホリエモンがブログを再開(?)していたとは知りませんでした。 ありがとうございます。
    マスコミがさんざん持ち上げた上で、一転、とことんバッシングするのは見てて気持ちのいいものではありませんでしたね。 ホリエモンに限った事象ではありませんが。

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