ポルトガルでのシュールな1日

Algarve map年末年始は南ポルトガルのAlgarveという地方に行ってきました(右の地図はWikipediaより、より詳細な地図はポルトガル観光局のサイトをどうぞ)。 日本では馴染みのない地方かもしれませんが、大西洋と地中海に面するこの地方、海辺にはお隣のスペイン、コスタ・デル・ソル(太陽海岸)並のリゾート・マンションが立ち並び、イギリス人・ドイツ人を初めとする北ヨーロッパ人で賑わうリゾート地です。 夏はビーチ、冬はゴルフが人気で、年末年始も海辺の町には北ヨーロッパの観光客が多く訪れていました(2012年には「ヨーロッパ一のビーチ」に選ばれています→Tourism : Portugal Top of the list at World Travel Awards 2012)。

私たちは、Algarveの玄関口Faro(ロンドンからは直行便就航)から内陸へ車で30分、農家の古い納屋を改装したセルフ・ケータリングの宿に泊まり毎日周辺の見どころを訪ねました。 海辺の漁村で食べる魚介類の新鮮さはヨーロッパ一、(ロンドンではままならない)毎日シーフード三昧していたのですが、内陸部の土地のものも食べてみたいなあ、と観光パンフレットを頼りに出かけました。

Louleという郡のSalir区が作成したと思われる小さなパンフレットには、”places of interest”(見どころ)として、チョリソー・チーズ・蜂蜜・藤製品など、生産農家・工芸家の場所が詳しく地図に載っています。 たくさんあるので、町の観光案内所にお勧めなどアドバイスを聞こうと行きました。

田舎町Salirの小さな観光案内所にはこのパンフレットがたくさんと40代くらいの女性が2人、観光客はゼロ。 英語を話す人は見つからず、フランス語を話す女性(仮名Aさん)をつかまえて、パンフレットの地図を見せながら「この土地のチョリソーとチーズが買いたい、できれば養蜂農家も訪ねたいけれど、どうすればよい?」と聞く私たち。
A:「うーーん、困ったわね〜 ここに載っている農家は生産農家でどこも一般公開はしていないのよ」
私:(・・・じゃあ、なんで”places of interest”って書いて観光パンフレットまでつくってるんだ???)「農家が訪ねられないなら、どこか土地の産物を売ってる店でもいいんですけど?」
A:「本当に困ったわね〜 特にそういう店もないのよ」
私:(見せるところも店もないなら、なぜ特産物と記されているのか理解に苦しみながら)「どこかの町の市場とかでもいいんだけど??」
A:「そうねー、あなたたち車? GPSある?」
私:「GPSはないけど、iPhoneの地図アプリならあります」(とiPhoneを取り出し見せる)
A:(iPhoneの地図の意味がわからなかったらしい)「この前の道を右に曲がってひとつめをまた右に曲がるの(しばらく道案内が続く)。 二股に分かれるからそこを左に進んで3つめの家、半分は石で半分は木でできているドアが目印の家をノックしてみて。 そこの人は英語をしゃべるから聞いてみたら?」

・・・と、「英語をしゃべるおじさん」の家を教えてくれたのでした。

そこの観光案内所とお姉さんの存在意義を問いながら観光案内所を出た私たち。 「英語をしゃべるおじさん」に会いに行きたかったのですが、時間がないのでやめて、iPhoneの地図を頼りに養蜂農家がある村とチョリソー・チーズをつくっている村をダメ元で目指しました。

養蜂農家がある村、のどかな山間に民家が4, 5軒、外からではどれが農家かもわからず、人の姿も見えず、車で通り過ぎるのみ。 でも景色はとても綺麗。
チョリソーとチーズを生産しているという村に最後の望みを託して向かいます。 山を2つ越えた山頂近くのその村は農家3軒。 豚(=チョリソー)とヤギ(=ゴート・チーズ)がいるはずなのに姿は見えず、代わりに羊と犬と鶏を発見。 朝から車で連れ回された2歳の息子がようやく喜ぶのを見ながら、この国の将来を案じてしまった私たち。 人里離れた山奥に来ているのではなく、年間700万人の観光客が訪れる海沿いからわずか1時間弱のドライブの場所に来ているのに、こんなにやる気なくて大丈夫でしょうか?(観光業は国のGDPの8%→こちらより)

CachopoそしてAlgarve(の特に山間地方)をドライブしていて気づくのが廃墟の多さ。 家主に捨てられ、おそらく過去数十年という長い年月をかけて廃れた石造りの家や土台があちらこちらに、村の中心にも廃屋が多いのです。 15世紀に海洋帝国として世界にを支配下に置いたポルトガルは、19世紀後半以降、一貫して他国への移住者を輩出しており、これが深刻な社会問題も生み出しているよう(参照:Portugal – Emigration)。 ユーロ参加で外国資本が流れ込んだのですが、最近の財政危機でまた若者が流出しているとか。 たしかに村には老人ばかり、若者の姿は見えません。
右の写真は、音も立てず動く風力発電のタービン(遠くの山の上にうっすら見えます)をバックにし廃墟が残る村。 都市・村の中でも勝ち組と負け組に分かれる近未来のようなシュールな光景でした。

食べ物が美味しくて、歴史遺産も十分、人も親切ないいところです。 がんばれ、ポルトガル!


4 responses to “ポルトガルでのシュールな1日

  • NWtyger

    フーム、やる気のある人たちはブラジルへでも行ってしまう?
    問題はやる気をそいでしまうシステム。日米英欧共々、他人事ではないですね。
    連れ合いは「火星に行こう!」と言い出すタイプ。「ホー、そう来るか」と感心。

    • la dolce vita

      >フーム、やる気のある人たちはブラジルへでも行ってしまう?
      最近はブラジルどころか旧ポルトガル領のアフリカまで行ってしまうらしいですよ。

      >日米英欧共々、他人事ではないですね。
      米はともかく、日英欧はそうですねー

  • ゆう

    こんばんは!ご家族がブラック企業から逃れられて良かったですね!
    ヨーロッパにはブラック企業がある印象がなかったので少し意外でした。

    「田舎町Salirの小さな観光案内所には」というところで、「サリール(?)って人がどんどん去っていきそうな名前だなぁ」と思ったら、そのままの展開で笑ってしまいました。
    夏休みにミュンヘンでとったドイツ語のコースでは、クラスの多くがスペインからの若者で、口々に向こうでは仕事がないと呟いていました。ぐったりした表情の生徒の前で、先生が「ここは年寄りばかりだけれど、若い人がたくさんラテンの国から来てくれて良い事よね。」っとニコッと仰っていたのが印象的でした。

    EUのお陰で以前よりは移動先で仕事を見つけやすくなったのは、南ヨーロッパの若者にとって不幸中の幸いかなと思います。仕事もなく、移動もできず、経験をつめないまま歳をとって後で大変なことになる状況は、日本の就職氷河期よりは防ぎ易いのかな、と。

    (すみません、書いている途中で間違えてエンターを押してしまったので、一つ目の方を削除してください。お手数をおかけします。)

    • la dolce vita

      >EUのお陰で以前よりは移動先で仕事を見つけやすくなったのは、南ヨーロッパの若者にとって不幸中の幸いかなと思います。
      そうですねー、ロンドンも南ヨーロッパ人は本当に多いです。 スタッフがフランス人だけのフレンチ・ベーカリー、イタリア人だけのバルもたっくさん(だから最近のエントリーの「食べ物美味しい」につながるわけですが)。

      でも若い人が常に出て行ってしまったら、南ヨーロッパの田舎はどうなっちゃうのかなー?と南欧の田舎好きはとても心配なのですが。

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