クリエイティブ・プロジェクト – 2

昨日の続き。
フランスのスパークリング・ウォーターブランド ペリエがロンドンデザインフェスティバル中に出すポップアップ・バーのコンセプトは「ペリエを五感で体験する」、歩行者だけでなくサイクリストも自転車から下りずに入れます。 自分がミニチュアになってペリエのボトルの中に入ってしまうような感覚を再現するものですが、当日まで来場者に内容は秘密(クリックすると大きな画像になります)。

期間中の2週間だけ使われる建物は、ペリエのボトルを再現するためにドーム型のテント構造を採用。 クリエイティブオフィスが多数集まるClerkenwell中の路上にミステリアスな足跡と自転車マークが散りばめられ、その足跡に誘われるように追っていくと内から照らされた緑のドームが突如広場に姿を現します。
歩行者とサイクリストがぶつからないようにそれぞれ専用の入口から中に入ると初めてペリエのボトルの中に入ったんだとわかる仕組み。


小さな入口をくぐり抜けるとセンサーが感知し”シュパッ! シュワ〜〜〜”というスパークリングウォーターの栓を抜いた音が響きます(実際のプレゼンではデモしました)。 そこにはぼ〜んわりとした緑の光に包まれた幻想的な空間が広がり、あるのはシンプルなバースタンドのみ。 ローラーブレードに乗った店員が注文を取りにきます。 ペリエの瓶の緑色に光るドームの天井からは時折ほんのりレモンの香りをのせた冷たい霧状のエアが噴射され、デザインフェスティバルの会場周り汗だくになった肌を優しく冷やします。
メニューは3種類、無料で「ペリエ度」を測るもよし(ビーカーに息を吹き込むと水の色が変わり脱水症状度がわかるジョーク)、瓶のまま買って立ち去るもよし、レモン色のグラスに注いでもらって(ドライアイスの)小さなショーを楽しむもよし。
建物の材質は柔らかいバルーン、上のスライドの左下の赤ちゃんのように寝転がってこの不思議なペリエのボトル内にいるような体験を楽しむことができます。


「これそのままペリエ(Perrier)に売れるんじゃない?」と良い評価を受けたこのプロジェクト、正直言ってデザインは全く私のスタイルではないのですが(街角にいきなり現れる緑に光った怪しい巨大なブツ、だし、笑)、望まれるデザインとは「自分好みのデザイン」とは無関係であることを学びました。

おそらく評価を受けたポイントは、
– ペリエ(Perrier)というブランドを理解していたこと(何百もの飲料ブランドが現れては消える世界で、世界最古の飲料「水」を売るというチャレンジ)
– デザインフェスティバルに来る客層を理解していたこと(彼らは新しいものや美しいものは日々見慣れている、違う「何か」が必要)
でしょう。

デザインとは「顧客の問題解決」であることを知ると同時に、「ひとりでデザインしなくてもいい」ことも学びました。 というのも、ここにも書き切れなかった細かいアイデアがいろいろあるのですが、私自身で考えたのはその1/3くらい、あとの2/3はいろいろな人がぽんぽん出してきた中からプロジェクトの趣旨に合ったものを選んだものだからです。

一学生が机上で行ったひとつのプロジェクトに過ぎませんが、とても貴重な発見でした。


4 responses to “クリエイティブ・プロジェクト – 2

  • ままき

    こんにちわ。はるか昔に数度コメントさせていただきました。ので、お久しぶりです、かな。
    スクールの修了、そしてご出産(!)おめでとうございます。
    大きなおなかで卒業だったんですね~。(以前のコメントに書いたのですが、私は大きなおなかで入学でした・・・笑)

    建築デザインとはかなりビジネス直結なのですね。その中にどうやって自分の色をしっかり織り込んでいくかが醍醐味でありジレンマなんでしょうか。ペリエプロジェクトおもしろい!個人的には純粋にアートプロジェクトとしてElephant&CastleとかPeckhamど真ん中とかで同時開催してほしいなあ。人とか街とか違いすぎて成り立たなさそう・・・なところがおもしろい気が。

    ちなみに、ひとつ前のエントリで、
    >最後まで「何十枚もスケッチしながら考える」というデザイナーっぽいと私が思っていたスタイルは全く身につきませんでした。
    これ、ある日過去ワークを振り返ってると、それらすべてが現在のためのスケッチだったのでは・・・!と思うことがありますよ。
    子供の時の落書きとか好きな絵とか写真とか歌とか映画とか、全部が急にしっかりつながる瞬間っていい意味でぞくっとします。

    • la dolce vita

      >ままきさん
      ありがとうございます。 あの後、無事に出産されましたか? ひょっとしてもう赤ちゃん、1歳近く?

      >建築デザインとはかなりビジネス直結なのですね。
      Professional Diplomaはキャリアチェンジする人向けなので年齢も高め、卒業してすぐ働けるように実務を身につけるコースなので、同じ建築インテリアでもBAやMAだともっとconceptualだと思います。

      >これ、ある日過去ワークを振り返ってると、それらすべてが現在のためのスケッチだったのでは・・・!と思うことがありますよ。
      ほんとですか?! 楽しみな反面、過去ワークは捨てちゃいけないんですね?! かなりワークブックかさばってジャマなんですが?(笑) 子どもの落書きとかなんてこれからどんどんたまって片っ端から捨てないとやってられませんよ(笑) デジカメで撮って保存かなー?

      • ままき

        はい、健康に産まれてきてくれました。Boxing Day生まれなので、なんとかれこれ10か月ですよ。
        きゃー、早い!と、言いたいところですが、色々な意味ですごーく濃い10か月なので、
        物理的に早く過ぎ去った感はないかな~。

        >過去ワークは捨てちゃいけないんですね?! かなりワークブックかさばってジャマなんですが?(笑)
        すっごくわかります!なんですけど、経験上、ヴィジュアルは直感とリフレクションがとても大事なので、いざ振り返る時に頭の中だけじゃなく、実際に目の前にブツがあると、イメージや思考の広がりが全然違いますよー。

        わたし厄年に長年の夢だったファインアートのBAやったんですが、それまでの人生ちょこちょこ移動して暮らしていたせいか、すっかり「荷物が増えるフォビア」を発症し、作品とかスタディとかが増えていくのが(tutorに厳しく「捨てるな」と言われた・・・)こわくてこわくて。で、現在、年に2回くらい「役目が終わった作品」ノミネートして、さよならしたりしつつ、ですが、本当はもっと捨てたい。。

      • la dolce vita

        おめでとうございます! Boxing Dayですかー、ギリギリですね。

        >「荷物が増えるフォビア」
        わかります、特に子どもの物が本当にひどいです。 バンバン捨てたり売ったりあげたりしてますが、それを遥かに上回るスピードで物が増えます。
        デザイン関係の物も整理の仕方がわからず困ってます(特にサンプルマテリアルとかペーパーじゃないもの・・・)

Leave a Reply

Fill in your details below or click an icon to log in:

WordPress.com Logo

You are commenting using your WordPress.com account. Log Out / Change )

Twitter picture

You are commenting using your Twitter account. Log Out / Change )

Facebook photo

You are commenting using your Facebook account. Log Out / Change )

Google+ photo

You are commenting using your Google+ account. Log Out / Change )

Connecting to %s

%d bloggers like this: