私が今まで「日本に(主に)ヨーロッパ人が喜ぶような滞在型ツーリズムがない」とこういうエントリー(→『インドに学ぶ田舎滞在型ツーリズム』、『日本の田舎の魅力を世界に – 1』、『 – 2』)を書いている理由は、日本政府がビジットジャパン・キャンペーンをしているから・・・では全くない。
よく日本旅行に行く友人からお勧めの宿を聞かれるのですが、彼ら(特にヨーロッパのツーリスト)は長期旅行(最低1週間、2週間以上も多い)なのでお勧めできる宿がないのですよ・・・(知らないだけかもしれないので、ご存知の方は教えてください)
東京は「オーセンティック(本物志向な)な日本旅館はあきらめて、交通の便を重視して都心のホテルにした方がいい」とアドバイスしているのですが、京都はやはり「日本旅館に泊まりたい」という人が多い。
でも俵屋などの老舗旅館は連泊するには高すぎる、グルメ度の高い京都で2食付きはいらない、かといってバックパッカー向け素泊まり宿やゲストハウスよりは高いクオリティが欲しい・・・という要望なので、本当に希望の宿を見つけるのに苦労していました。 ここ数年は「町家の自宅を改装した宿で集客は紹介のみ。 Webにもどこにも電話番号も載せない」という宿(というよりご自宅)を見つけたので、特別に親しい人だけに紹介していたのですが、ようやくお勧めできる長期滞在用の宿(バケーションハウス)が見つかりました。
オーナーはフランス在住、フランス人と日本人のご夫婦(& 昨日登場したtomokoleaさんの家の大家さん)、やはり『外国人だからわかる良さ』なのですねー
最低4泊からのバケーションハウス(京都に13軒、東京に1軒)のサイトがこちら。
英語サイト:Houses in Kyoto
フランス語サイト:Vivre le Japon
日本での長期滞在客のニーズをよく捉えたポイント。
1. 家を丸ごと貸し切り
バカンスは家族で家やアパートを1軒借りるスタイルに慣れているヨーロッパ人には、人数に応じて請求される日本の旅館スタイルは奇異に映ります。 彼らにとって、
バカンスとは、基本的に場所を変えて毎日の決まったルーティーンワークをこなすこと
名所旧跡を目指すでもなく、望むらくは、普段より美味しい空気のある場所で、通常より少し時間的余裕を持ち、しかし毎日の決まったことをやること(『ヨーロッパの目 日本の目』より)
なので日本のようにエキゾチックな国で住人のように暮らせるこのスタイルはとても魅力的。
1軒家だと小さい子ども連れでも気兼ねがありません。
2. 現地に精通した”Travel Angel”がいる
言葉が通じず文化も異なる京都での生活を助けるために”Travel Angel”というコンシェルジェのような(英語 or フランス語が話せる)担当者がいます。 彼らはチェックイン時に家で待っていて、近所のスーパーの案内からベビーシッターの手配(超重要!)まで細かな要望に応えてくれます。
3. インテリアはオーセンティックかつ機能的
フランス人が好む日本文化を熟知しているオーナー夫婦、古い家を買い、一軒一軒改装しているのですが、伝統的なインテリア(畳・ふすま・障子・ちゃぶ台・床の間)を保ちつつ、キッチンやバスルームは使いやすく機能的にしているそうです。
感心するのはゲストの好みを押さえているというだけでなく、地元住民にも配慮していること。 京都は(私は母が京都人なのでわかるのですが)ヨソ者にはとりわけ閉鎖的な土地柄。
京都に住んでいる”Travel Angel”の人が地域の自治会に参加し、家の前を掃除し、「この家は外国人が泊まるのですが、静かにしますので、なにとぞよろしくお願いします」的なご近所の挨拶周りをことあるごとに行っている・・・のだそうです。 さすがですね。
京都でのお勧めは谷崎潤一郎の養女が住んでいた、という歴史あるTerrazzaという家。 外国人だけでなく日本人も宿泊可能です(サイトは英語とフランス語ですが)。 ぜひどうぞ。
私は(京都は実家から行けるけど)東京に泊まるところがないから、東京にも増やして欲しいなー
February 7th, 2011 at 2:31 am
クローデン 葉子様
初めまして。
キャリアのことや、お子さんのことも含め、自分よりライフステージの1.5歩ぐらい先を歩んでいらっしゃるので、いつも興味深くBlog拝見し、参考にさせていただいております。
初めてコメントを差し上げます。
私も、Backpackerや長期滞在希望の旅行者に適した宿泊所はなかなかないなと思っておりました(需要は間違いなくあるのに)。
友人を泊めたいと思っても、日本のマンションですと、家族連れで来られたら厳しいですし。
お薦めできるものがないかとのコメントを拝見して、コメント差し上げました。前の職場の先輩が、世界一周バックパッキング旅行にご夫婦でいかれるべく、結婚・退職、帰国後に「日本は今後インバウンド・ツーリズムの時代だ」と立ち上げられた事業です。
飛騨高山で、古民家の再生とか、サイクリングツアーとか、いろいろやっていらっしゃいます。先方も、外国からのお客様は大歓迎と思います。英語も全く問題ないですし。
ご参考になさっていただけるのではないかと存じます。
取急ぎ、ご参考まで。
乱筆ご容赦下さい。
February 7th, 2011 at 9:40 am
>TksMackyさん
>前の職場の先輩が、世界一周バックパッキング旅行にご夫婦でいかれるべく、結婚・退職、帰国後に「日本は今後インバウンド・ツーリズムの時代だ」と立ち上げられた事業です。
知ってます! ちょっとサイトが見つかりませんが、いろいろググってたときに見つけました。 サイト、わかれば教えてください。
飛騨高山は日本の田舎の中では、比較的外国人観光客を集めるのに成功していますよね。 英語での発信力が肝だと思います。
February 8th, 2011 at 1:12 pm
はじめてコメントをさせていただきます。
いつも楽しく拝見させていただいています。
今回のエントリーも「なるほど」と思いながら拝読いたしました。
私自身は外国で生活したことがないので、なかなか実体験としてなかったので改めて考えることができました。
大学時代に京都のある企業にインタビューに行ったことがあります。
京都町家 庵
日本人の方が代表をされているのですが、もともとは「美しい日本」著者のアレックス・カー氏と設立されたとか。
いくつかの町屋に加え、体験モノもあるので、一度旅行でこられた時に紹介したところウケはよかったです。
インタビューさせていただいた社長もとても気さくで楽しい方でした!
一度ご覧ください。
では、突然しつれいいたしました。
これからも愛読させていただきます!
February 9th, 2011 at 6:06 am
おお、有益な情報をありがとうございます。
わたしもよく香港・シンガポール人の友人に長期滞在の宿のことを聞かれるので次回から教えてあげようと思います♪
赤ちゃん連れの友人(香港)は新宿のウイークリーマンションに炊飯ジャーを持ちこんで1週間滞在してました。京都の宿だったらメイドさんも連れていけそう。
そして
>京都に住んでいる”Travel Angel”の人が地域の自治会に参加し、家の前を掃除し、「この家は外国人が泊まるのですが、静かにしますので、なにとぞよろしくお願いします」的なご近所の挨拶周りをことあるごとに行っている・・・のだそうです。 さすがですね。
感動しました!
ただ宿をやりっぱなしじゃないところが素敵です。
きっとご近所さんも外人宿泊客が近所でウロウロしていたら優しく手助けをしてくれるんじゃないかと思います。
February 12th, 2011 at 6:06 pm
>naomi0164さん
>京都町家 庵
ありがとうございます。 庵についてはこちらの下の方に以前書きました〜 私は祖谷の篪庵(ちいおり)の方に行ってみたいです。
http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2009/06/post-205.php
>MyFireTanさん
>わたしもよく香港・シンガポール人の友人に長期滞在の宿のことを聞かれるので次回から教えてあげようと思います♪
ぜひ教えてあげてください! シンガポール人はほんとよく日本行きますよねー
February 14th, 2011 at 2:45 am
肝心要のWebsiteを忘れるとは、大変失礼いたしました。
会社のURLはこちらです。
http://www.chura-boshi.com/
ちなみにご夫婦のBlogはこちらです。
http://chura-boshi.cocolog-nifty.com/blog/
お返事遅くなりすみません。
取急ぎご連絡まで。
February 14th, 2011 at 3:14 pm
早とちり・勉強不足で失礼いたしました。
>篪庵
ちょうど庵と同時期に知りました!国内にいながらまだ行ったことはないのですが。
国内旅行でもこのような古民家・町屋のニーズはかなり多いと思います。