子どもが産まれるまで私の居住用不動産(平たく言うとマイホーム)に対する態度は「買うより借りろ」でした。 引っ越しばかりしてたし(最近では珍しく長かったシンガポールでさえ出張でいた期間が長かったので住んだのは結局1年半)、若い頃はカバンまとめてすぐ引っ越せるような身軽さが気にいってたし。
でも公立小学校でもレベルの差が激しく、人々がOfsted(*1)の評価が高い(= 人気のある)公立小学校のキャッチメントエリア(*2)にわざわざ引っ越すため何年もかけて希望のストリート(*3)に狙った物件が出てくるのを待っているような環境の中、「4年後住む場所なんてわかんないし〜」(*4)と悠長なことを言っている場合ではないことに気づき、持ち家信仰の強いイギリス系オーストラリア人の夫の熱意にも動かされ、ロンドンのマイホーム事情について調べ始めました。
こうやって人はだんだんコミットする対象が増えていくのだな〜(笑)
*1・・・政府運営の学校監査機関。 学校だけではなくナーサリーなど保育施設も監査の対象で、その評価レポートで与えられるグレード(4段階評価)は親の学校選択に絶大な影響を与える。
*2・・・日本の公立小学校のように学区に住んでいれば全員入れるわけではない。 1. 兄弟が学校に通っている(イギリスでは学校は親又はシッターなどの送迎が必要なので兄弟が同じ学校に通えるよう配慮している)、2. 学校からの距離が近い(キャッチメントエリアに住んでいる)順に入学優先権があるが、人気がある学校は兄弟枠だけで多く埋まってしまい、キャッチメントエリアがどんどん狭くなる傾向にある。 またそのような事情を知らずに引っ越してきた日本人駐在員家族が「近所の学校に全然入れない」と困っている話もよく聞く。
*3・・・『都市内部での(自発的)コミュニティ化』に書いたように、ロンドンは治安のいい通り・悪い通りがパッチワーク状に入り交じっているので、人々はエリアどころかストリートにまでこだわる。
*4・・・イギリスの小学校は日本より早く5歳になる前の9月から。 その前の春に入学できる学校が決まる。
よく知られた話だと思いますが、普通のイギリス人には「家を建てる」という発想がほとんどありません、家とはすでにあるものを買って自分好みに改装していくもの。 ロンドンだと新築はほとんど建築許可下りないだろうし、皆「古ければ古いほどいい」と思っているので新しいものは人気がありません。
ロンドンの住宅の建築年の内訳は以下の通り。
1851年以前 2%
1851 – 1918年 24%
1919 – 1944年 34%
1945 – 1964年 18%
1965 – 1984年 15%
1985 – 1994年 3%
1995年以降 5%
(Communities and Local Government : Housing and Planning Statistics 2009より)
半分以上が第二次大戦以前に建てられていますねー
古い建物の中でも何年代に建てられたジョージアン・スタイルだとかヴィクトリアン・スタイルだとか細かいうんちく区分があります。
現在、私たちが借りているのは築100年くらいのヴィクトリアン・スタイルのテラスハウスだとか(右のような家、写真は『Chanel 4 : Style of Architecture – Victorian Architecture』より拝借)。 築100年は「まだまだ甘ちゃん」ってレベルですね。
なお私は真新しいコンドミニアムばかりが立ち並ぶシンガポールで歴史的建造物のショップハウスに住んでたくらいなので(→『佐賀の民家、NYのホテルに』)古い家を改装して(設備が古いので住みやすくして)住む文化は断然私好みです。
長いので明日に続きます。
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