少子高齢化が進み人口が減少に向かった国がある一方で、全体で見ると人口急増が進む世界。
今回の金融危機はサブプライムローンという住宅ローン債券が不良化し住宅バブルがはじけたのが契機になったにも関わらず、一部の都市ではすでに新たなバブルが進行しています。
The Economist : Global house prices – Froth and stagnation
(表が大きいので次のページに貼りました、「続きを読む」をクリックしてください。)
まず目につくのがこの1月まで住んでいたシンガポール。
去年の7月から今年の6月までの1年間で住宅価格が40%近く値上がりしています。 私が住んでいた時も『1年で家賃相場45%上昇』したと以前書きましたが、金融危機でいったん下落した後、半年くらいで再び上昇に転じすでにピーク時を上回ったよう。
国民の80%以上はHDBと呼ばれる政府供給の公団に住んでおり、民間のアパートは外国人用でもともと投機の対象になりやすいのです。 国土が狭く住宅用地が限られているにも関わらず、人口は増える一方(人口650万人を目指すという政府施策→『疾走するシンガポール』)、世界経済の中で存在感を増すアジアのハブとしてますます投資・投機マネーを呼び込んでいるのでしょう。 買って1年未満の転売も多く、住宅用不動産には頭金の支払いや印紙税を義務付ける規制も焼け石に水とか。
こういう街では、普通に賃貸物件に住むのも大変ですねー ある日いきなり大家に「更新したければ家賃2倍払え」とか言われるので・・・
続いて目につくのが、(長年バブっていた香港をとばして)オーストラリア。
金融危機の影響が先進国の中で最小だったと自画自賛ですが、気になるのは住宅価格の上昇スピードもさることながら、完全に’face value’(長期の賃料収入合計から割り出される現在の額面価値)から逸脱し’overvalue’されている(割高になっている)点。
オーストラリアでは1990年代から続く好景気で不動産にお金が流れたのに加え、80年代にベビーブーマーが子育て期だったため一斉に買った、大都市には移民流入が続いているetc.の要因で需要の伸びに供給が追いつかず、不動産が値上がりを続けています。
シドニーやメルボルンの大都市では、きちんと仕事につき収入があり初めて家を買おうという若い人(first time buyer)に手が出ないほど家が高くなりすぎてしまったことが問題となっています(すでに家を持っているベビーブーマーが資産価値が上がった持ち家を担保にセカンドホームを購入したり転売したりして住宅価格を吊り上げている)。
また不動産大好き・持ち家信仰が強いイギリス系のメンタリティーも影響しているでしょう。 「家のひとつでも持って初めて一人前」という感覚は日本人だけのものではないことを、私は結婚して初めて知りました(ただイギリス系は自分が住むためではなく投資用に買う人も多く本当に「不動産好き」)。
ロンドンでも再び不動産の価格が上昇し出しています(イギリス国内の他の地域が今年6月までの1年間に上昇率8.4%だったのに対し、ロンドンは12.2%)。 なかでもロンドン中心部の10億円以上の高級マンション・ハウスはロシア人・アラブ人ら石油マネーが買い占め品薄になっているとか。
The Economist : London house prices – Still buoyant
我が家も持ち家信仰が血に流れる夫の強い熱意に動かされて調べ始めたのですが、ロンドン市内は高すぎて普通に働く人に買えそうにないじゃないですか・・・ 夫の友達、ロンドン在住オーストラリア人たちの話題も「ロンドンは高くて買えないし、オーストラリアに戻っても高くて買えない」と暗い話ばかり(→『ロンドンにとっての地方』)。
あら、右の表で突出して不動産が’undervalue’されている(割安になっている)国がありますねー
そう、日本。
東京はさほど割安でもないだろうから東京除いた数字がどうなっているのか気になります。
August 10th, 2010 at 1:41 am
こんにちは、初めまして。 最近ここのサイトを知り、楽しく読ませて貰ってます。
セミリタイアしてシンガポールに住んでいます。本当に最近、レストランもアパートも
高く、ほんの7~8年前までのシンガポールとは様変わりしてしまって悲しいです。
NHKの「クローズアップ現代」でも、「シンガポールは10人にひとりが100万USD以上の
資産を持つ国」と紹介されていました。 (不動産込みなのでしょうが。)
下の週刊ダイアモンドのサイトで不勉強ながら初めて知ったのですが、シンガポールは
このたった7~8年で一人当たりGDP(名目)が倍になっているんですね!
http://diamond.jp/articles/-/9007
これでは何でも高くなるはずです。それにしても日本、こちらは逆の意味でどうにかならないですか
ねえ。最近都心の高級新築マンションに中国人の購入者が相当数いる、と聞きましたが、日本も
裕福な外国人をどんどん取り込まないと将来がない気がします。 インフラはいろいろな意味で
東京のレベルはすごく高いので、人さえ取り込めば将来は明るいはずなのに。
August 11th, 2010 at 2:09 pm
タイムリーな話題で思わずのっかります。
ちょうど先月築5年で買ったマンションが売れました。
東京都S区内。5年住み、内装綺麗にして、購入時の1.11倍で売れました。
単純に手数料込みで、5年間ただ住まいというのは、驚きでした。正直もっと下げないと売れないと思っていたので。
日本も新築崇拝が薄れつつあるのかな。
我が家もこの10年近く不動産の勉強だいぶ身についてきたような気もします。
売れるものは回転いいけど、新築でも売れ残り、人気ないエリアは全く動かない感。。
日本の田舎にくると、豪邸並みの立派な家が、ぼんぼん立ってるのに、幸せどもかなり高そうな田舎もたくさんあるのに、人気エリアとブランド力はすごいんだなーと感じました。
逆に永住する気なら狙い目とか。
August 12th, 2010 at 3:01 pm
>ダンさん
はじめまして、コメントありがとうございます!
>セミリタイアしてシンガポールに住んでいます。
それはうらやましい! ダイアモンドの記事もいいまとめ記事で面白かったです(そうだ、カジノ、オープンしたんだ、とか)。
>インフラはいろいろな意味で東京のレベルはすごく高いので、人さえ取り込めば将来は明るいはずなのに。
レベルは高いんですが、とにかく外国人にオープンじゃないですよね・・・(一例↓)
http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2009/12/post-289.php
>riさん
>東京都S区内。5年住み、内装綺麗にして、購入時の1.11倍で売れました。
へー、へー。 5年前と比べどのくらい相場が上がってたのかしら? 内装も結構重要ですよね。
>売れるものは回転いいけど、新築でも売れ残り、人気ないエリアは全く動かない感。。
上の表のundervalue度 -34.6%は田舎がきいてるんでしょうね。
私だって京都の田舎とか住みたいですけどねー(って何度も書いてますが↓)。
http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2009/09/post-260.php
August 13th, 2010 at 10:47 am
オーストラリアの住宅価格高騰の一因にネガティブ・ギアリングもあると思ってるんですが、あの制度ホントどうかと思います。国が、国民に借金をして投資することを勧めてるってことですよね。私の同僚には、投資用不動産を10軒も保有し、ほとんど税金を払っていない(らしい)人がいます。。。
ヘンリー財務次官は税制改革提案の中でネガティブ・ギアリングの問題性を指摘してましたけど、政府は今のところ応じる気配無さそうですし。(豪州銀行の貸出に占める住宅ローン比率の高さを考えると、政府としても着手が難しいのだとは思いますが。)
いつか綻びが生じる日が来るのではないかと心配になっちゃいます。
August 15th, 2010 at 5:27 pm
>HappieMonkieさん
>いつか綻びが生じる日が来るのではないかと心配になっちゃいます。
私もそんなに詳しくないですが、明らかにバブルで心配ですよね。 夫いわく、90年代からずっと好景気で不況の記憶がないそうで、いつ弾けるのか?と外から見てて心配です。
August 18th, 2010 at 11:14 am
オーストラリア、住宅バブルが弾けた時の経済へのインパクトは・・・
ScribdにKareninaFayさんが載せてるプレゼン「How to Profit From the Coming Aussie Property Crash (and Banking Crisis)」、なかなか恐ろしいですよ~
http://www.scribd.com/doc/29520921/How-to-Profit-From-the-Coming-Aussie-Property-Crash-and-Banking-Crisis
August 22nd, 2010 at 6:46 pm
>HappieMonkieさん
>ScribdにKareninaFayさんが載せてるプレゼン
ありがとうございます〜、Richmondに家買った義妹に転送しておきます(笑)