シンガポールからロンドンに引っ越して来るフライトの中で観た映画が1987年公開の『ウォール街』でした。 マイケル・ダグラス演じる金の亡者Gordon Gekkoの”Greed is Good.”, “Money Never Sleeps.”など名言(?)を生んだあの映画、あれから20年以上経って世界はデジャヴをみたのかな、と思ったものです。
YouTube : Wall Street – Trailer (1987)
するとオリバー・ストーンが続編を撮ってたんですね、イギリスではもうすぐ公開。 主演はもちろんマイケル・ダグラス。
この続編“Wall Street – Money Never Sleeps”に対し「今度こそ金融界がこの映画から学んでくれることを願う」という趣旨のレビューを読んだのですが、うーーん、そうは一筋縄にはいかない。
イギリスでは総選挙前の世論を考慮して、
- 15万ポンド(約2,100万円)を超える所得に対し税率を40%から50%に引き上げ
- 2万5000ポンド(約350万円)以上のボーナスに対し、税率50%の1回限りの特別税
が、検討されているので、高額所得者が続々と国外脱出していると報道されています(以前も書きました→『お金持ちが逃げてしまう国』)。
行き先は香港・シンガポール・ドバイなど税金の安い国。
有名どころでは、HSBCのCEO自身が香港に移住してしまったし(もちろん個人的な理由ではなく「成長市場に集中したい」という理由になってますが)。
Reuters : HSBC CEO moves to Hong Kong
そして、2007年にニューヨークを抜き世界一の金融都市に輝いたロンドンはあっさりとその地位を返上しそうになっているとか(City of London : Global Financial Centres)。
結局、
アメリカやイギリスなど欧米先進国政府は公的資金(= 国民の税金)を使って銀行救済
→ 国家財政は危機に陥り国民に多大な負担
→ 救済された銀行はさっさと返済を済ませ高額ボーナス復活
→ 怒り狂う世論を受けて政府が懲罰的税制を導入し金融規制を強化
→ 銀行と従業員は香港やシンガポールなど税制・成長性ともに魅力ある都市へ移動
→ 高額納税企業を失った国は財政再建の目処が立たず
→ 香港・シンガポールなどの新しい金融センターで”Greed is Good”が復活し歴史は再び繰り返す
・・・という悲観的なシナリオしかあまり見えてこないです。
今のままだとGekkoが場所を変えるだけな気が。 映画の続編でのGekkoは今度は何と言うのでしょう?
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March 14th, 2010 at 12:53 am
悲劇的シナリオがイヤなら、class envyを煽るLabourとオバマ民主党の応援は止めましょう。
Kleptocracyじみた大きな政府より、法規制を遵守するGreedのほうが世のため人のためになりますよ。(笑)
金の亡者では困りますが、渋沢栄一は「論語と算盤は、甚だ遠くして甚だ近いものである」と論じています: 「(実業界が)富をなす根源は何かといえば、仁儀道徳。正しい道理の富でなければ、その富は完全に永続することはできぬ。・・・商才というものも、もともと道徳をもって根底としたものであって、道徳と離れた不道徳、欺瞞、浮華、軽佻の商才は、いわゆる小才子、小悧巧であって、決して真の商才ではない。」
Enlightened self-interestと言ったり、Consious capitalismなどと言ったりしますよね。
そのよい例のFondazione Zegnaについての記事が、今朝のWSJ Magazineに出ていました。
http://magazine.wsj.com/hunter/donate/line-of-duty/