ルーム・シェアのススメ

話題になったらしい『Chikirinの日記:就職氷河期 サイコー!』というエントリー。 私はあまり本筋ではない下記の部分にかなり同意です。

当面、若者はどんどん貧乏になるから、高い家賃が払えなくなっていやおうなくシェアハウスに住む人も多くなる。 ああいうところは、神経質すぎる人、清潔でないと生きていけない人、違う価値観の人と折り合えない人にはとてもつらい。
子供の頃から個室が当たり前で育った僕ちゃんは、このままではアジアでなんて絶対働けない。 でもお金がなくなるとそうはいかない。 いやでも住む場所を他人とシェアすることになる。 すると、性格がおおざっぱになり、雑多な環境にも慣れる。 そう、インドや中国でぐちゃぐちゃになりながら働くのに適した性格の人がいつのまにか増えるのだ。

留学時にハウス・シェアをしたことは今までやってよかったことTop 3に入るくらいなので、ルーム・シェア大推進派なのです、私。 欧米では若い人がシェアするのは当たり前なんだけど日本でもっと一般的になればいいのに。
私が留学したINSEADフランスキャンパスはパリの南60kmの森の中にあり、学生は近隣の村に家を借りてシェアし車通学するか、学校目前のアパートのワンルームを借りて徒歩通学するか、という選択がありました。
それまでひとり暮らしが快適で他人と(しかも外国人!)シェアをした経験がなかった私は、「気が合わない人だったらどうしよう? 夜中まで騒がれたり、超不潔だったら? 赤の他人の男と住むなんて・・・」とひたすら2ヵ月くらい悩みました、今となっては信じられないけど。


悩み抜いたあげく「これもひとつの経験」とそれこそ(当時は)清水の舞台から飛び降りるくらいの気分でハウス・シェアに臨んだのですが、これが大正解でした。
1. ワンルームよりはるかに豊かな生活ができる
私たちは5人でシェア(すなわち5ベッドルームの家)するほど大きな家(庭・バーベキュースペース付き)に住んでいたので、広々としたコモンエリアと各自の部屋、両方のメリットが得られるのが最高。 100人規模のバーベキュー、ディナーに20人招待、などしょっちゅうでした。 話し相手が欲しいときは暖炉のあるコモンエリアに行き、ひとりになりたいときは部屋にこもる、もちろん家賃・生活費はひとりで住むより安い、といいとこどりができます。
あれを経験するともはや20平米のワンルームには戻れません。
2. 第2の家族ができた
これに関しては私はラッキーだったのですが(ハウスメイト同士が仲良くないケースもたくさんあった)、私たち5人(男3、女2)は第2の家族のように仲良くなりました。
メンバー:フランス人J(→『Home Sweet Home』『友人の昇進』)、アメリカ人A(→『MBA同級生に見る「フリーエージェント社会の到来」』『私の周りのフリーエージェント達』『戦争の月』)、カナダ人Z(Aに同じ)、ブラジル人C(→『Between jobsの過ごし方 – 3』
今はロンドンに2人(Cと私)、シンガポールに1人(J)、上海に2人(AとZ)と離れているので、5人揃って会える機会がなかなかないのですが、2年前の私の結婚式にはるばる全員集合してくれ主賓スピーチをしてもらいました。
3. 他人と暮らすのに慣れ、結婚後の同居の予行演習になった
一番、実質的に役立ったのはこれかもしれない。 誰とは名指ししませんが(ちなみに全部違う人)、食べた後の食器は(食べ残しも含め)3日くらいシンクに放置する人、ランニングした後の服を何日間も洗わず放置するので部屋から悪臭が漏れる人(彼の部屋は私の隣)、食生活は冷凍ピザ・冷凍ラザニア・パスタという3種類のローテーションな人、etc. という環境だったので、「これが欧米人の生活のスタンダード」だと思うようになりました。
他人に対する要求水準が格段に低くなり、自分も大雑把になったので、結婚が決まって夫と一緒に住み始めた当初は驚いた、「この人、ちゃんと食器洗う! 野菜も食べる! 体も清潔!」と(笑)。
私の日本人の友人で「結婚当初は洗った食器の重ね方が気にいらなかった」「一緒に住むのに慣れるのに1年かかった」と言っていた人が複数いますが、ルーム・シェアで予行演習をするといいと思います。 他人との折り合いの付け方がわかるので。
もちろん私のようにハッピーなシェア生活を送る人ばかりでなくトラブルは付きものだということも知ってます。 夫の最初のルームメイト2人はエバンジェリカル右派で怖いので口も利かなかったらしいし、義妹にいたってはルームメイトが薬による自殺未遂を図り第一発見者の義妹が救急車を呼んで付き添う、ということまでやってます。
それでも命まで取られることはまあないだろうし(昔、その名も『ルームメイト』っていうブリジット・フォンダ主演の映画があったなー)、いい人生の肥やしになるし、嫌ならやめればいいんだし、メリットが遥かにデメリットを上回る気がします。
日本にはあまりシェア用物件がないようですが、外国人用ゲストハウスに住むってのも、独身20代ならやってみたかったかも(実際、私の友達で住んでる人いました)。
若者にはホント、ぜひお勧めです。


3 responses to “ルーム・シェアのススメ

  • beerrr

    いつも楽しくRSS購読させていただいております。
    この記事読んだ後に記事の末尾にある
    Amazonのリンクがルームシェアのホラー映画
    http://www.amazon.co.jp/dp/B002MTS3WY
    になってたのがちょっと笑いましたヨ
    私ももう妻帯してるので今からルームシェアはできませんが
    今若いピッチピチの独身ならしていたでしょうねえルームシェア。
    日本でもじわじわと増えているようですよ。
    たとえば:http://www.hituji.jp/ とか。

  • Mondo

    こんにちは。
    今日ちょうどシンガポールのルーム・シェアについてcraigslistをみてたのですが、情報量が多くて驚きました。
    http://singapore.craigslist.com.sg/roo/
    シンガポールでは、単身のうちは実家に住んでいるのでワンルームが普及してないと聞いてます。国の広さを思い浮かべながら、ひとり納得していますが、そういうことなんでしょうね。
    再来週、初めてシンガポールに行くので、ちょっとワクワクしています。(仕事探しです)

  • la dolce vita

    >beerrrさん
    >Amazonのリンクがルームシェアのホラー映画になってたのがちょっと笑いましたヨ
    ははは、エントリーを書きながら思い出したので貼っておきました。 まあ、映画の世界ってことで。
    >私ももう妻帯してるので今からルームシェアはできませんが今若いピッチピチの独身ならしていたでしょうねえルームシェア。
    私も日本でやってみたかったです、探したことあるんですけど、なんでしなかったのか忘れました。
    カップルでも他の人とハウス・シェアしている人も結構いますけどね、さすがに子持ちっていうのはいないかな・・・
    >Mondoさん
    >シンガポールでは、単身のうちは実家に住んでいるのでワンルームが普及してないと聞いてます。
    そうです、国が狭いですからね。 外国人の若者はシェアしている人多いですよー、日本人もかなりしてます。
    仕事探し、がんばってください〜!(シンガポールはイケイケなので食らいついてれば見つかりそうですけどね)

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