イギリスに住むと言ったとき、アメリカ人やオーストラリア人に「あんな階級社会・・・」とよく言われました。 移民でできた新しい国は階級がないことを出発点としているので(もちろんその後、経済格差による格差はできるのだが)反発心も強いんでしょう・・・ と思いつつ、イギリスには今年初頭に引っ越す前に10回くらい来たことがあったのに(→『Back to London-on-Thames』)、階級社会ってどういうものなのかいまいち肌身でわかりませんでした。
ロンドンに引っ越してきて2ヵ月、ようやく何〜となくわかってきました。 着ている服が違う、行くスーパーが違う、住む場所が違う、住む家のタイプが違う、読む新聞が違う、そして何と言っても話す英語が全っ然違う!
以下、『小林恭子の英国メディア・ウォッチ』より階級の内訳と特徴です。
上流: 貴族、紳士階級、土地所有者など。先祖代々の土地や資産を受け継ぎ、国内で最も裕福な層。 BBCのアナウンサーなどが使う発音で英語を話し、パブリック・スクールで教育を受ける。 狩猟、乗馬などを楽しむ。ビジネスを嫌悪する傾向も。
上・中流: 教育程度の高い家庭出身で自分自身も良い教育を受けた層。アッパークラスの発音や生活様式を模倣しようとする。 弁護士、医者、軍隊幹部、学者、官僚、株式ブローカーなど。 文化的リーダーシップを取る。
中・中級: 上の階級よりは教育程度がやや低いブルジョアジー。 地元企業の経営者、大企業の中間管理職など。 BBC英語に少々地元のアクセントを入れて話す場合もある。
下・中流: ホワイトカラーに従事するが、大学には行かなかった場合が多い。 多少地元のアクセントが入った英語を話す。
労働者階級: 農業、鉱業、工場勤務者、ブルーカラーの仕事に就き、地元のアクセントの英語で話す。 教育程度はあまり高くない。 サッカーや大衆紙を好む層とされる。
貧困層:低所得者か社会保険を受給している層。
階級の話は長く深く複雑になり、私もまだよくわかっていないので、もっと後にするとして、今日はそれぞれの階級の人の英語を聞いてみよう!ということで、それぞれの階級のアクセントで話す英語をYouTubeで集めてみました(暇だな、私・・・)。
お暇な方はお付き合いください♪
*上流階級
今度の総選挙で勝利し首相になると目されている保守党党首デービッド・キャメロンが先日行った「イギリスを回復させられるのは我々保守党だ!」と気を吐くスピーチ。
Sunday 28 February 2010 Tories he can turn Britain around
お次はロンドン市長のボリス・ジョンソン。 この人もキャメロンと同じく名門イートン校の出身なんですが、このアホ・スポーチ(?)を見ていると、彼が市長でいいのか?ロンドン?(笑)
Boris Johnson Ping Pong Speech
*労働者階級
『Jamie Oliverの食の革命』で紹介したJamie Oliverのドキュメンタリー(日本語版)を発見。
CBSドキュメント Jamie Oliver (イギリス有名料理人 ジェイミー・オリバー) Part1
CBSドキュメント Jamie Oliver (イギリス有名料理人 ジェイミー・オリバー) Part2
*貧困層
こういう社会階級はないと思うのだが(労働者階級の最下層か?)、一応。
リアリティ番組「ビッグ・ブラザー」で超有名人になり、去年子宮頸がんで亡くなったJade Goody。 日本では知らない人が多いかもしれないが、カメラの前ですさまじい生き方をした彼女の追悼ニュース。 ニュース・アンカーとの英語の違いがよくわかるかと。
Reality TV star Jade Goody dies
どうでしょう?
ちなみに何でこんなことしているかというと、私が慣れていたのはアッパー・ミドルクラスの英語なのだということがここ2ヵ月でつくづくわかりました。 ワーキングクラスの英語がとにかく分からんのですよ・・・(何となくわかる人が多いけど、たまにぜんっぜんわからない人がいる)
デリバリーのおじさん、バスの中で「予定日いつなの〜?」と話しかけてくるフレンドリーなカリビアン・ママ、コールセンターのおにいさん・・・特に毎日配達に来るRoyal Mail(郵便局)のサンタみたいなヒゲのおじさん、私にはあなたの英語がさっぱりわかりません・・・
イギリスではさらに、これに何百ある地方のアクセントが加わります。 地方訛りまで加わると、夫もわからないそうなので、あんまり気にしてませんが・・・(→『英語コンプレックス – 1』、『- 2』)
March 10th, 2010 at 1:54 am
私も、ロンドンでの研修期間(new graduates training)中、アメリカ以上に、英語の多様性があると感じました。
夜遊びの後、流しのタクシーの運転手の英語がよく分からなかったのを思い出します。
あと、講師の先生も、WalesやScotland、もちろん、インドや南アフリカといったイギリスと縁のある国からの人が多く、ちんぷんかんぷんでへこんでいたのですが、London hireの子達も『分からない』と言っていたので、安堵しました。
あまりにアクセントの強く、こちらも理解困難な先生がいて、研修担当の人事に、その先生を降ろすようにクラス全体でboycottしたほどでした(笑)。
March 10th, 2010 at 4:21 am
こんにちは。若干、小林恭子さんのカテゴリーに?な部分があったので。
イギリスでUpper Class(上流)はほんの一握りです。パブリック・スクールで教育を受けると思いますが、パブリック・スクールのほとんどはUpper Middle(中流の上)でReceived Pronunciation(BBCの英語)を話します。Upperは別世界なのでUpperの模倣をするということはないように思います。Upper Middleは大体オックスブリッジに行きますが勉強があまり好きでないお子さんはほかの大学にも行っています。Upper MiddleとMiddleの間で線がひかれるような感じでしょうか。Middleの人はUpper Middleの模倣をする傾向はあると思います。90年代半ばでも中・中流、下・中流の層はあまり厚いように感じませんでしたが、90年代後半からぐっと厚みを増してきていて、最近は中流とワーキングクラスの境もあまりはっきりしていないですね。ちなみに私は90年代半ば、1年ほどLSEでお世話になりましたが、その当時は(多分今も)中流クラスの学生(と留学生)が多いところでした。親はワーキングクラスで移民系の学生もいました。大学の授業料は無料(今は違うのかな)でしたから、格別不思議なことではなかったと思います。Upper Middleの英語はやはりちょっと気取った感じがするので、本当のUpper MiddleはあまりUpper Middleぽっくならないように話しており、Upper Middleっぽい話しぶりは実はMiddleクラスだから、ということはあると思います。Jamieの番組、あとで観させてもらいますね☆
March 10th, 2010 at 5:28 am
Cockneyなんてすごく分かりづらいですよね。
IT業界の会議にはよく不思議なアクセントのスピーカーが出てくることがありますが、一度インド大陸系でしかもコクニーがかっているとしか思えない人にぶつかって、同通チーム全員で恐怖におののいたことがあります。一対一なら聞き直すことも可能ですが、同通中はそうはいかない。
その反対で以前シンガポールFort CanningのBattle Box見物に行った時に、インド系で超きれいなOxbridgeを話す若い人が、微に入り細に入り日本のマレー侵攻、パーシヴァル将軍の降参の説明をしていました。妙な取り合わせだなあと感心しながら、日本人ではないふりをして聞きました。
La Dolce Vitaさんはあまりミステリーなぞ読んでるヒマは特にこれからはなさそうですが、Ruth Rendellという一風変った作家の小説には、英国中流以下の思考形態がなかなか興味深くでてきますよ。
March 10th, 2010 at 12:20 pm
>mignon1117さん
>あまりにアクセントの強く、こちらも理解困難な先生がいて、研修担当の人事に、その先生を降ろすようにクラス全体でboycottしたほどでした(笑)。
English nativeなのにアクセントでボイコットされるとはせつない話ですねー 私は学生時にロンドン大学に短期留学していたとき、Scottishの先生の発音がとてもセクシーでよくマネしてました。 ちっともアクセントは移りませんでしたが(笑)。
>tanupさん
>パブリック・スクールのほとんどはUpper Middle(中流の上)でReceived Pronunciation(BBCの英語)を話します。
ありがとうございます〜! 私はアッパー・クラスの知り合いはいないはず(貴族の子供とか知らないし)なのに、知り合いはRPを話してOxbridgeが多いなー、と思っていました。
>90年代半ばでも中・中流、下・中流の層はあまり厚いように感じませんでしたが、90年代後半からぐっと厚みを増してきていて、最近は中流とワーキングクラスの境もあまりはっきりしていないですね。
階級ってどうやったら移動できるんですか? 本人の自覚?
>tygertygerさん
>一対一なら聞き直すことも可能ですが、同通中はそうはいかない。
同通をされてたんですか?! たしかに同通中に突然すごいアクセントが出てくると恐怖でしょうねー
Royal Mailのおじさんのセンテンスはいつも2語か3語なんですよ。 もう少し長いセンテンスで話してくれるとわかる単語から類推できるのに・・・と思ってます。
>Ruth Rendellという一風変った作家の小説には、英国中流以下の思考形態がなかなか興味深くでてきますよ。
ご紹介ありがとうございます! 読書リストに加えました。
March 13th, 2010 at 3:06 am
実は夫(アメ人)と結婚する前、留学先(米)で知り合った英人と2年くらい付き合ってました。
超ーなまりがひどくて、イギリスでもいろんなアクセントがあるんだって思い知りました。
彼(ブリストル出身)もブルーカラークラスの両親だったと思います。でも一生懸命大学で勉強してました。
イギリスに行ったとき、NorwichとLondonにいったんですが、Norwichのこれまた方言がすごくて、面白かったです。そして、イギリスの大地に立ってみて、あぁ、この土地でイギリス文学がうまれるのかーなんて「嵐が丘」のストーリーを思い出してみたりしてました。800年前のパブとか古いものもたくさん残っててよかったです。
イギリスの階級の雰囲気は少ししかいなかったけど、重みを感じましたね。なつかしー。
March 13th, 2010 at 5:23 pm
>riさん
ブリストルもNorwichも行ったことないです。 イギリスの田舎はきれいですよねー
ポンドが暴落しているので、仕方なくしばらくは国内旅行でも満喫しようかと・・・