昨日の続き。
Antenatal class(出産前クラス)で感心したこと、2つめ。
イギリスでは母親だけを対象にしたクラスは「母乳セッション」というのがあるだけで、あとは基本的にパートナーと参加します。 私たちが行ったのは、日曜・月曜の2日間クラスと土曜の半日クラスでしたが、有休を取らなければいけない月曜も含め、全カップル、パートナーとともに参加。 私の夫はantenatal classに参加するために同僚が2週間している出張を1人、1週間で切り上げて帰ってきました(当然の権利ということで認められています)。
そこで男性陣はたーっぷりと「出産と育児は2人でするものなのよ!!! あなたは観客じゃないのよ!」と教え込まれるのです。
パートナー(たいてい父親なのでこう書くが、NCTのクラスでは”birth supporter”と呼ばれていた。 シングルマザーなどパートナーがいない人もいるので)がやることは結構多い。
- 入院に備え病院用バッグに必要なものを詰める。 赤ちゃんが産まれた後で、助産婦に「はい、服出して」と言われて手渡すなど全部パートナーの仕事。
- 昨日書いた”Birth Plan”とインフォームド・コンセントの質問リストを手元に、自分たちの望むお産になるよう母親の代弁者になる。
- 陣痛が始まったら、呼吸を助け、マッサージをし、陣痛の間隔と長さをはかり病院に連絡する(クラスではこのマッサージの練習もした)。
- 長丁場の陣痛の間、母親に水分補給と栄養補給をする(父親にとっても長丁場になるため、陣痛初期の頃は父親は起きていずに睡眠を取っておくように、というアドバイスも)。
- 後産中や赤ちゃんが産まれた後の母親への医療処置中、生まれた直後の赤ちゃんを抱くのはパートナーの仕事。
そして産後はpaternity leave(父親の育休)中、一手に家事を引き受けるのはもちろんのこと、オムツ替え、お風呂入れ、ミルクを哺乳瓶で飲ませる、など山のように仕事が・・・
単に「サポートしましょう」と言うのではなく、具体的にする仕事を指示するのがポイントなんでしょう。 また、「妻(パートナー)を手伝う」のではなく「あなたのことなのよ!」という当事者意識の植え付けも。 クラスの男性陣は一生懸命メモを取っていましたが、この中で産後、誰が積極的で誰が傍観者的なのかはちょっと見もの(NCTクラスのメンバーは、住んでいる場所が近いので、定期的に会うことになりそう)。
イギリスでは父親の法定育児休暇(有休)は2週間、取得率は60%だそう(下記は「なぜもっと多くの父親が取らないのか?」という新聞記事)。
The Guardian : Why don’t fathers take more paternity leave?
周りの北欧諸国の男性の育児参加率が極めて高いので「イギリス人男性はダメよね・・・」とこれでも責められているのです。
スウェーデンは子供が8歳になるまでに、両親合わせて480日間(16ヶ月間)の育児休暇が取得でき、このうちそれぞれ60日間はお互いに譲ることができない(つまり父親の育児休暇は最低60日)、父親の取得率は75%で平均52日取るそうな(参考:スウェーデンの今『男性の育児休暇の取得率』)。
イギリスや日本と違う点は民間企業の努力義務ではなく国から補助が出ること(財源が国民の税金であることは言うまでもなし)。 たしかに民間企業の自助努力に期待するのは無理でしょうなー
日本は去年の調査で父親の育休取得率は1.23%でした。
MSN産経ニュース:女性の育休取得率9割超、男性は1%・・・厚労省調査
さらっと書いたけど、すさまじい数字だ。
February 25th, 2010 at 1:36 pm
腰痛はその後いかが?落ち着いているといいけれど、、
日本の育休取得率は、どうやったら上がるのかねぇ。。
保育業界に少しの間いたけれど、いろんなことがあまりに複雑に絡んでいると思ったよ。
とりあえず子育て支援金で片付けようと思う日本の政府は情けない。
わたしもいい年して結婚すらまだだし
業界にいたからといって答えが見つかったわけではないけれど
長期的に広い視野でビジョンを持たない限りは何にも解決しないだろうなぁ。
行き当たりばったりじゃダメなんだと思う、自省の意もこめて。(苦笑)
ところでイギリスの取得率60%は、いつからその数値なの?
背景や歴史が何か分かったら教えて欲しいな♪
ではでは、無事なお産をお祈りしています。
February 25th, 2010 at 3:21 pm
1%のひとりです。
育休を取る/取った時に、周りの男性の反応として多かったのは「自分には絶対無理」
「育休取るなんて考えもしなかった」というもの。
制度が整っていても、支援があったとしても、日本では育休を取らないであろう男性は
すごく多いやろうなと。
制度以前の問題やね。
おれにとっては当事者であることは当たり前の感覚で、育休を取ることもごく自然な
ことやったけど。
うちは妻も出産までは自分と同じぐらい働いてて、家事も二人で分担してたし、そういう
環境で生活してきたことも自分の意識の形成に影響してるのかも。
でも日本の多くの女性は結婚や出産を機に仕事をやめてしまうから、そこで男は仕事で
女は家庭っていう流れができてしまって、男性側の意識もなかなか変わらないのかな。
そういう意味では、女性が働き続けられる仕組みを整えることが、男性の育児参加
(「参加」っていうも言葉もイヤなんやけど)を促すのかも。
February 25th, 2010 at 4:42 pm
これからは旦那様、ご自身、お子様のライフステージに合わせて、世界中を飛び回る生活になられるのですね。元気な赤ちゃんが生まれることをお祈りしています。
日本では「育児休暇を取るのは男女関係無く当然の権利」という文化が依然定着しないので、システムとして確立できても文化的に受け入れられなければ難しそうですね。フランスでは、例えば父親のために「出産休暇」(「育児休暇」とは別物。)が2002年に導入され、70パーセントの男性が利用しているとのことですが、「家族のために休暇を申請するのは当然の権利」という風潮が根底にあるからこそできるのだろうなあと思います。
February 26th, 2010 at 1:23 am
我が家は共働きですが、
典型的な日系企業駐在員で、
休みの日は上司とゴルフやら遊び旅行が多い夫に、
もっと家族との時間を増やしたほうが、自分の将来の幸せな家族生活のためだよ、
と言ったら、
『でも、それじゃ出世しないけどいいの?』
と切り替えされてしまいました。
私が家事と育児の助けを求める先はヘルパーさんです。
転職するしかないのでしょうかー?
話は変わって、
女性は子供をお腹に抱えた期間が1年あるわけで、
それがないパパには、子供が生まれた瞬間に、
精神面でもうハンデがあるんですよね。
子供が生まれた瞬間に、女性は母親モードになれるけど、
男性は父親モードになるのに時間がかかるな、と思いました。
antenatal classみたいなクラスがあって、
参加できる環境が整っていれば、もっとスムーズに
子育て生活に突入できるのかも知れないですね。。。
February 26th, 2010 at 6:12 am
こんにちは。
ウチの奥さんは3年前に北京で出産をしましたが、出産時は勿論、毎月の検査時も父親がつきそう家族がすごく多く、時には祖父母も一緒の家族総出という家もかなりいました。男性が手伝うのは当たり前という認識で、休んだり仕事を抜け出すのを躊躇している私を会社の中国人達は不思議そうな目で見ていました。出産も立会いは当然で、かぶりつきで出産の全てを見させられました。
先生からは同じように「あなたも当事者意識を持ちなさい」と何度も説教されました。そのトラウマか育児に興味を持つようになり、今では妻ががっちりフルタイムで、私が育児の多くを担当する立場になっています。フルタイム仕事は一時休止で、自宅で出来るパートタイム仕事に切り替えています。
ただ、育児関係のイベントや教室等に顔を出すと、女性ばかりで「この人何?」という感じを冷たい視線をひしひしと感じ、とても孤独な立場に置かれます。(笑)
無事、元気な赤ちゃんを産んでくださいね。
February 26th, 2010 at 11:14 am
>ごうさん
>腰痛はその後いかが?落ち着いているといいけれど、、
ありがとう。 赤ちゃんが動いたので、だいぶ改善されました。 今はわりと歩けるようになった。
>とりあえず子育て支援金で片付けようと思う日本の政府は情けない。
お金渡せばいいって問題じゃないんだよね。
>ところでイギリスの取得率60%は、いつからその数値なの?
わかんないけど、意識が変わったのはここ20年くらいじゃないかなー? 私たちの親の世代はまだまだだったんだと思うよ。
>あづ
>1%のひとりです。
はい、私はあなた1人しか知りません。 ケージとかどうしたんでしょう?
>男性の育児参加(「参加」っていうも言葉もイヤなんやけど)を促すのかも。
私も「参加」に抵抗ある、他に書き方がわからないのでそうしてるけど。 「そもそもあんたの子供でしょう!」ってことよね。
>DODOLELAさん
ありがとうございます。
>「家族のために休暇を申請するのは当然の権利」という風潮が根底にある
以前、出張・転勤などとfamily reasonが重なった場合の日英比較を書きましたが(↓)、意識のギャップはすさまじいですよね。 変わるのにどのくらいの年月が必要なんでしょうか・・・?(私たちは社会が変わるのを待てなかった組?笑)
http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2009/09/post-252.php
February 26th, 2010 at 11:30 am
>りむたんさん
>典型的な日系企業駐在員で、休みの日は上司とゴルフやら遊び旅行が多い夫に、もっと家族との時間を増やしたほうが、自分の将来の幸せな家族生活のためだよ、と言ったら、『でも、それじゃ出世しないけどいいの?』と切り替えされてしまいました。
私もそういう会社にいました(私は休日は休んでましたが、平日の夜は多かったですよー)。 根本的に会社のカルチャーがそうなので、個人の努力だけに求めるのはかわいそうな気もしますが、その個人が多数派になったら会社だって変わらざるをえないので甘んじるのも違うと思うし・・・ でも日本は労働市場が硬直化していて転職しづらいので現状で我慢するしかないんでしょうね、多くの人は(・・・と、結局日本の労働法にまで話がとんでしまう)。
>女性は子供をお腹に抱えた期間が1年あるわけで、それがないパパには、子供が生まれた瞬間に、精神面でもうハンデがあるんですよね。
それは国を問わずにそうなんですが、毎回検診時についていってスキャンで育っている子の姿を見る(これがまた日本の会社だと「毎回ついていくなんてありえん」のでしょうが)、出産・育児本を読む、夜早く帰ってきて一緒に胎動を感じながら寝る、antenatal classに参加する、etc.できることはあると思いますよー うちなんて夫の方が本をよく読んでるので、夫の方が詳しかったくらい。
>wgaraiさん
>時には祖父母も一緒の家族総出という家もかなりいました。
ははは、結婚式会場の下見みたいですね。 中華系は結婚式もド派手に何百人も招くので、両家の両親がついてきて本人たちより熱心に質問してる光景をよく見ました。
>育児関係のイベントや教室等に顔を出すと、女性ばかりで「この人何?」という感じを冷たい視線をひしひしと感じ、とても孤独な立場に置かれます。(笑)
わかります! 私は女性も悪いと思うんですよ、「男子厨房に入らず」じゃないですが、日本の出産・育児関係の情報誌も男性読者のことを完全無視してます。 ただでさえ、男性には入ってきにくい世界なんだから、もっとwelcomingになればいいのに。
March 1st, 2010 at 5:11 am
3-4年前の出来事ですが、私も病院主催の母親学級(勿論、平日)に、仕事を抜けて(なので遅刻する)、参加していました。言うまでもなく、参加者の大半は専業主婦の方々でしたし、自己紹介で「仕事をしている」と言うと、奇異な目で見られたことを覚えています。一方で、職場のほうにも、決して、「母親学級に参加する」とは言えない雰囲気でした。当時上司だった、子供のいるキャリアバリバリの女性にすら、「そんなものに参加して何になる?」と公然と言ったことに、とても驚いたのを覚えています。確かに、私の周りで、働いている妊婦が、平日に母親学級に参加しているというのを、聞いたことがなかったのですが。
ブログを拝見して、日本における、二つの寒い事情(「出産・育児は女性のみの領域であるという誤った認識を、未だに、当の女性たちが受け容れている」、「職場社会が、family matterに対し、極めて冷たい」)を改めて感じました。
ちなみに、私の場合、出産後に夫ともに沐浴の指導があり、それ以来、入浴は夫の仕事となりました。
March 1st, 2010 at 6:21 pm
>mignon1117さん
>確かに、私の周りで、働いている妊婦が、平日に母親学級に参加しているというのを、聞いたことがなかったのですが。
へー、母親学級や両親学級って一般的ではないのですか? なお、私が参加した2つのクラス(NCTと病院)は合計13組のカップルがいましたが、男性はもちろんのこと女性も全員、100%仕事しているプロフェッショナルで専業主婦はひとりもいませんでした。 ダブルインカムでないとロンドンで暮らせないというのがメインの理由でしょうが。
>私の場合、出産後に夫ともに沐浴の指導があり、それ以来、入浴は夫の仕事となりました。
入浴、いいですねー♪ うちも大張り切りです。 何となく「育児の美味しいとこ」をあげるのがポイントかな、と思っているのですが(入浴は美味しいのか? 授乳やオムツ替えより美味しい気が)、どうなんでしょう?