ある人によると「世界一簡単に永住権(Permanent Residency)が取得できる国」(*1)であるシンガポール、私の周りにも永住権保持者(Singapore PR)がうようよいます(*2)。 現在、シンガポールの人口が約500万人、うち市民が320万人(64%)、PRが53万人(11%)、残りが外国人なのでどれだけ外国人の多い街かわかることでしょう(Statistics Singapore)。
*1・・・どこの国でもそうだけど、その国に留学するのは長期滞在→永住への最も近道(血縁関係がない場合)。 INSEADの場合、1)2ヵ月 x 5ターム = 10ヵ月間のプログラム中、3ターム(= 6ヵ月)をシンガポールキャンパスで過ごすこと、2)シンガポールキャンパスで卒業すること、の2つを満たし、卒業後シンガポール内で職を見つけると永住権申請資格があります(2004年時点)。 夫はこの方法でPRを取得し、私はPRの配偶者としてPR取得しました(→『シンガポール永住権取得!』)。
*2・・・日本人永住者は意外と少なく、在留邦人25,969人中、永住者は1,352人のみ(外務省 海外在留邦人数統計 平成20年速報版)。 民間企業関係者が多く、2 – 5年で帰る人が多いため、と思われます。
永住権はワーク・パーミット・ホルダー(シンガポールではEmployment Pass)と異なり市民に準じるような利点(ベネフィットについては下記リンク参照)も多いですが、一方で義務も生じます。
Singapore Permanent Residence – Benefits and Drawbacks
シンガポールPRの間で最もよく出るトピックが「第二世代PRに課せられるNational Service(兵役)の義務」。
シンガポール人の男子には18歳から2年間(その後、40歳まで毎年40日間)、兵役の義務があります。 ヨーロッパ各国と異なり良心的兵役拒否権はないので、私のシンガポール人の男友達・知り合いはほぼもれなく兵役に行き、今も時々、仕事を抜けて訓練の義務を果たしています。
そして、この義務がPRの第二世代男子にも課せられるのですが、男の子の親にとっては「シンガポールに永住はしたい、でも子供は兵役にやりたくない」と本当に悩みどころ。
なお、2年の兵役といえど国によって内容はまちまち。
シンガポールの場合、幸い戦争をしていないので前線に送られることはないし、軍以外の警察や消防に就くこともあるし、毎週家に帰れる(はず)。 「規律の厳しい男子校」みたいなもんなのか、兵役終了者は「一生の友達もできたし、トレーニングにもなって良かった」と好ましい評価をする人も多い一方、若い男子は2年もキャリアで女子に遅れを取ることをすごーく嫌がってます。
ところが(話は脱線しますが)トルコはこんなもんではない(友達にトルコ人が多いので、よく話を聞く)。 男性皆兵制で通常15ヵ月(大卒12ヵ月)。 常に隣国との国境付近で紛争状態にあり、危険地帯への任務の可能性もあるし、国内の貧富の差が激しいので任地ではイスタンブールのボンボンと東部の貧困地帯出身者が一緒に過ごす。 任期中に「何かある」可能性はシンガポールの比ではないので、私の友人たちはあの手、この手を使って兵役逃れ(期間短縮)をしています(海外在住者は先延ばしにできる、お金を払うと期間が短くなる、etc.)。
・・・とまあ1ヵ国だけで大変な兵役ですが、友達の子供に二重で兵役の義務が生じることを知りました。 夫がイスラエル人、妻がシンガポール人で来月産まれてくる男の子はイスラエルとシンガポールの二重国籍。 シンガポールで2年、イスラエルで3年の兵役の義務があります。
イスラエル(のユダヤ人)は男女ともに皆兵制、内容も実地訓練で肉体的・精神的に厳しいものであることで有名。
5年も行ったらそれだけで青春が終わってしまうではないか・・・と思うのですが、さすがに「その前にどちらかの国籍を放棄することになると思う」とのことでした。
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