京都というのはとにかく学生が多い街だったけど、クラシックな純喫茶、客が入っているのか心配になる映画館などサブカルチャーで溢れた街でもありました。 京大は私がいた頃はまだ度々角マル派と中核派(左翼の各派)がバリケード張ったり、拡声器を持って授業妨害に来ていたりしてアングラな雰囲気が充満していました(さすがにもうなくなった?)。
アングラとは程遠い私ですが、そんな京都の雰囲気に毒されたのかミニシアター系映画だけは大好きでよくひとりで見に行ってました。 勢いあまって、インディペンデント系映画配給会社に就職内定もらったくらいです。 みなみ会館などミニシアターや関西日仏学館・イタリア会館など文化機関が充実していて本当に文化の都だったなー 懐かしい・・・
ところが、以前も『都市の文化度』というエントリーで愚痴った気がしますが、シンガポールはエッジー、アングラ、キッチュ、スタイリッシュあたりの形容詞とは無縁の国で、ミニシアター系映画の公開はほとんどありません・・・
が、こういうときに頼りになるのが、フランス政府の公的文化機関であるアリアンス・フランセーズ(alliance francaise)。 当然フランスものに限られてしまいますが、常時質の高いイベントが開催されており、世界へフランス文化を普及させようとするその熱意には感服。
・・・と、前置きが長くなりましたが、2007年カンヌで審査員賞受賞、2008年アカデミーで外国語映画賞にノミネートされた『ペルセポリス』をアリアンス・フランセーズで観てきました(みなさん、とっくにご覧になったかもしれませんが)。
イラン出身パリ在住のイラストレーター マルジャンの自伝グラフィックノベルを映画したもの。
1970年以降のイラン – ホメイニ革命、革命後の反動的宗教政治、イラン・イラク戦争と続く激動の少女時代を過ごし、戦火を逃れた先のウィーンでの孤独、傷心の帰国、新たな旅立ち、と経ながら、いつもユーモアとロックな心とおばあちゃんの教えを忘れなかった女性の視点から描いた秀作。
まず、白黒グラフィックでここまで心動かすものが描けるのか?というのが驚き。
シンプルなラインなのに、ユーモアと細やかな感情を見事に描き出していて、ピクサーや宮崎駿だけがアニメだけじゃないのね、と感動。
さらに、イランの体制や政治を批判するのではなく、あくまで小さな女の子マルジの体験を通すことによって、より哀しみ・理不尽さ・逆境を強く生きる人の姿が伝わってきます。
とりわけ粋なのがおばあちゃん。 ブラジャーにジャスミンの花を忍ばすなんて粋過ぎ!ですが、続きは映画でどうぞ。
今年のイラン選挙後の暴動で「いったい何が起ったんだ?」と驚いた人にも驚かなかった人にもお薦め。 決して身近な国ではなかったけれど、ちょっと身近になった気がします。
興味を持った方は監督も務めた原作者マルジャンのインタビューも。 白黒グラフィックにした狙い、映画で伝えたかったこと、など熱く語っています。
私は映画を見てからインタビューを見たので「おお、あのロックな女の子がこんなに成長して・・・」と見事にその姿が映画の中の少女マルジと重なったので映画を見てからの方が楽しめるかも。
久しぶりに見た、素晴らしいミニシアター系映画でした。 ちょっと火がついたので、今年の秋(←常夏です・・・)はアリアンス・フランセーズに通いつめてみよう、っと。
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September 10th, 2009 at 11:14 am
大ファンです!DVDはもちろん、原作はフランス語、英語、日本語バージョン全て持ってます。
何度読んでも号泣です。この感動を知人友人みんなに。。。と英語も日本語も買ったのですが、ことごとく反応イマイチでした。
どうして?やはりイランは感覚的に遠い国なんでしょうか。
September 11th, 2009 at 12:54 am
戦時中に東大を出た後に生国の台湾に戻っていた邱永漢さんは、2.28事件直後に台湾から香港に政治亡命し、香港で金儲けに成功したが、香港にはあまりに文化の香りがないので辟易して東京に引っ越してきたと言っていましたね。
私も日本にいるときには渋谷あたりのミニシアターに行ったりもするのでla dolce vitaさんのお気持ちは良くわかる気がしますw
例えて言うなら、どこを探してもお子様ランチのサビ抜きのお寿司しかない環境で暮らしていると、どうしてもときどき生ワサビを効かせた新鮮なネタの鮨を食べたくなるというような感じでしょうか。
駆け込み寺がAlliance Francaiseというのはさすがですね。
私はドキュメンタリー系が好みなので最近はこんなのを適当に見たりしていますw
http://journeyman.booserver.com/
September 11th, 2009 at 9:07 am
>ろちょーるさん
>この感動を知人友人みんなに。。。と英語も日本語も買ったのですが、ことごとく反応イマイチでした。
えええ??? なぜ?! インタビューでマルジャンも言ってますが、イランのことを知らなくても共感できる、すごく普遍的な物語に仕上がっていると思うのですが・・・
>Blondyさん
>香港にはあまりに文化の香りがないので辟易して東京に引っ越してきたと言っていましたね。
わかります、香港なら中国文化が大好きなら探せばありそうですけどね(シンガポールはそれすらあまりないけど)。
京都・奈良という古都で育ったせいか、この国の薄っぺらさはかなりこたえます。 ヨーロッパ人も同じこと言っていて、ものすごい高いボロ家(black and whiteというコロニアル時代の建築)を買って直して住んでるのはヨーロッパ人が多いです(今は高くなりすぎて買えないですが)。
Journeymanのご紹介ありがとうございます。 早速面白そうなのが見つかりました。 これで週末困らなそうだ(笑)。
September 13th, 2009 at 8:47 am
この映画は以前から気になっていました。こちらの記事を読んで、ついにamazonで注文しました。職場のイラン人を誘って、一緒に観れたらと思っています。
ところでPersepolis: The Story of a Childhoodの日本語版と英語版で表紙が微妙に違っています。
英語版はこちら。
http://www.amazon.co.jp/Persepolis-Story-Childhood-Marjane-Satrapi/dp/037571457X
以前読んだMarjane Satrapi のもう一冊の本「刺繍」の書評で、「刺繍」にきわどい意味があると書いてあったのを思い出して、表紙が違う意味がわかりました。日本の出版社が自主規制したのかも。回りくどい言い方で申し訳ないのですが、どのように文字にしてよいものやら、、、。dolce vitaさんと読者の皆様の想像力にお任せします。
September 13th, 2009 at 11:31 am
>beaverさん
>職場のイラン人を誘って、一緒に観れたらと思っています。
おお、いいですね。 私、イラン人って世界各地に散らばってるイメージなんですが、ウィーンでのマルジの孤独が「そんなにイラン人って周りにいなかったものなの?」と不思議でした。
October 26th, 2009 at 9:34 am
札幌アリアンス・フランセーズ(フランス語学校&フランス文化センター)は日本政府とフランス政府との間に結ばれた文化協定に基づいて設けられたフランス政府の関連機関。世界各国へのフランス語及びフランス文化の紹介と普及を目的として、1987年に札幌に設立されました。北海道に於けるフランスを代表する組織として、フランス語学校だけでなく、フランス文化センターの役割も果たしています。
札幌アリアンス・フランセーズの講師陣は次の通りです。
マルタン・ラフィット(パリ・ディドロ大学卒業)
エヴェリナ・パブロフスカ(パリ・ディドロ大学卒業)
レイラ・ラウアティ(パリ・ソルボンヌ大学卒業)
ナディーヌ・フェルチ
ブリジット・モゼール
トマ池田ドレット
札幌アリアンス・フランセーズ
〒060-0062
札幌市中央区南2条西5丁目10-2 南2西5ビル2階
TEL: 011-261-2771
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