理想郷ってこんなとこ

このブログを始めたときに、「世界級ライフスタイル」の定義を以下のようにしました。

  • 日本国内だけではなく世界中から自分のライフステージに合わせてベストなライフスタイルを選ぶ生き方
  • 人の肩書き(国籍、年齢、学歴、会社名etc.)ではなく、内面(価値観・経験の共有etc.)を重視し世界中の魅力的な人との交流を楽しむ生き方

このうち2番目の点について、「そうそう、私が理想とするのはこういう世界!」という例を見つけました。
見つけたといっても、INSEADを卒業されたばかりのtrottolinaさんのブログの中で、ですが。
「INSEADならではのことって何ですか?」という質問に対し、「Diversity(多様性)が日常になっていること」を挙げられ、以下のように続きます。

そして、更に素晴らしいと思うのが、この多様性の環境が当たり前になっていること。
レバノン人とイスラエル人が一緒にパーティーで盛り上がっていたり、ギリシャ人とトルコ人が親友だったり。
先日、皆がくつろいでいる中、ポルトガル人のMが読んでいた雑誌の記事から顔をあげて、ギリシャ人のCに「なんでギリシャの軍事費はこんなに多いんだ?」と聞いたところ、隣にいた彼の親友でトルコ人のGが自分を指さして「私たちがいるから」と言ってギリシャ人と顔を見合せながら笑っていたのは面白かったです。

基本的に教養・精神的に成熟している人たちが多いこともあり、また学校の中においてマイノリティという感覚がないせいもあってか、国の歴史や国民性をネタにした冗談なども全くの日常になっています。 フランス人は働かない、スイス人のドイツ語はドイツ語ではない、などから始まり、部屋を掃除しなくちゃいけないからフィリピン人の彼を呼ぼう、とか、ギリシャには同性愛者が多い、まで内容は様々(注:すべて悪気なし)。 これは教授の講義などでもとても多く見られ、その度に笑いが起こります。 アメリカの社会などでこんな発言をしていたら、差別、ハラスメントなどという理由で訴えられそうです。INSEADの外に出たら発言には気をつけないといけません。
こういう環境においては、もはや出身、年齢、経歴、宗教などは全く誰も気にしません。
日々の生活・態度に表れる人格だけが、その人の印象をつくりあげ、波長が友達の輪を築いていきます。

そう、私も『’different’と’wrong’』というエントリーで書いたように、こういう空気をたっぷり浴びて居心地がとてもよくて人生観もだいぶ変わったなー、と思い出しました。
この引用がしたくて先週『シンガポールに長く居すぎる・・・のか?』という国ごとのステレオタイプだけを集めたエントリーをあえて書いてみたのですが、「個人差はある」「差別はいけない」という当たり前の前提は置いておいて、文化的ステレオタイプって当たってるんですよね、多くの場合。
私の友人達は仕事でもプライベートでも国境を軽々と越えて世界各地で住み働くグローブトロッターばかりですが、それでもイタリア人はマザコンだし、ブラジル人は時間守らないし、アメリカ人は服のセンスないもの(笑)。
でも「だからどうした?」という開き直りを超えて、「マザコンじゃないイタリア人なんてイタリア人じゃないよね?」くらいのノリで人格・キャラクターのみが重要でマザコン性なんてそれに深みを与える愛すべき対象にすらなるのです。
だから私たちの間でもエスニック・ジョークは当たり前。 下手にpolitical correctnessにビクビクしすぎるより、気兼ねなく笑える成熟した環境が好き。
逆手に取るのもありで、私のアメリカ人嫌いを治してくれた(と本人は露ほどにも思っていないと思うが)友人Aなどは(こちらで登場→『’食わず嫌い’と’食った嫌い’』)、「アメリカ人はアメリカ以外のことに関して無知である」というステレオタイプを活かして(?)、「いやー、ほんと無知なアメリカ人でごめん。 ところでモーリシャスってどこ?」とクラスメイトのモーリシャス人に面と向かって聞いてました(ちなみに私もモーリシャスの場所を知らなかったのですが、人前で恥をかけない日本人(笑)なため、聞けず・・・)。
もちろん「レバノン人とイスラエル人が一緒にパーティーで盛り上がる世界」なんてのは特殊な一部の人だけの理想郷だというのはわかっていますが、これからもこういう志向の人と友達になりたいな、と思うのでした。
以前、公式な場で国を笑えるジョークというのはオーストラリアとニュージーランドくらいではないか?と書きましたが(→『オーストラリア、ニュージーランドを笑う』)、小国でフレンドリーな国に対するジョークはあまり悪意なく笑えますよね。 ベルギーもいい線行ってるかな?(以前、The Economistの記事で「ベルギーがいよいよ分裂しそうである。 でも、分裂したところでいったい誰が気にするんだろうか?」と辛辣ジョークが炸裂していて大笑いしました)
日本企業で、Diversity(多様性)といえば「男女共同参画」のことだったりして、その40年くらい遅れている発想にぶっ飛びそうになるのですが、ジョークにして笑える日は・・・くるのだろうか?


10 responses to “理想郷ってこんなとこ

  • ろちょーる

    文化的ステレオタイプ、当たってます。
    これを受け入れて乗り越えないことには始まらないと思ってます。また、これを自虐ギャグにまで高めている人を見ると、こいつ、できるな、と思います。
    今まで出会った中で抜きん出ていたのはベトナム系フランス人のエンジニアです。友達の会社を訪問して受付嬢に”どちら様?”と聞かれると”あー、○○さんに中華の出前が来たって言って”。
    しかし難しいですよね。手榴弾を放るようなものというか。誤った”中国ネタ”を日本人の私に放られても、という場面もあったりしました。それは”東アジア一緒くた”なレベルの層と交わってしまった自分に自己嫌悪に帰着。

  • tomokolea

    私はワサビが食べられないし、ワインがキライなフランス人の友達も、チーズが嫌いなイタリア人の友達もいるなぁ(笑)
    日本企業におけるDiversity(多様性)=「男女共同参画」っていうのはとってもAgree!
    「女性の昇進を」「いやいやそんなのむしろ差別だ」なんていう言い合いが、当たり前のようになされてますもんね~


  • >○人の肩書き(国籍、年齢、学歴、会社名etc.)ではなく、内面(価値観・経験の共有etc.)を重視し世界中の魅力的>な人との交流を楽しむ生き方
    クローデンさん、肩書きのことかなり重視されてませんか?
    Diversityが日常になっている環境で暮らしてきた人が優れていて、
    同じ国でずっと暮らし同じ会社でずっと働いてきた人が劣っている、
    というような認識をお持ちだと思います。
    様々な分野にわたる内容が興味深くて以前からずっと愛読してきましたが、
    最近どうも不快感を感じることが多くなってきたのでコメントさせて頂きました。

  • JA1

    これだけ民度の低いことをオージーにされたら罪人の末裔というのもあながち…とかですね。これって、世界的なジョークになってます?いえ、知りません。ただ、現実に直面しているだけです。再度言いますが、ごくごく一部のならず者の仕業。で、教養の高低を問わず貴女も将来、卵を投げつけられる可能性は充分にある訳です。
    不愉快なことですが、直視せねば、「世界級」も成り立ちません(断定)。これからは国(場所)を選ぶ時代とか、何処かで見聞きしました。私も肯定的に捉えているのでこちらに来ています。
    理想郷ですかぁ。うーん。以前(何年前だったか?)、NHKで観ました、アメリカの特定の収入のある人間達が暮らす人達の暮らしぶりを。鋼鉄の(おおげさか)門で囲われた狭いエリアに住み、自治会もあって規定に従わねばならない。ある旦那さんが長いこと奥様のもとに帰りたくないない模様も克明に放送されてました。ご覧になりましたか?恐怖、嫌悪感を覚えました、正直。現実社会を小さな小さなエリアで具現化しようとする。怖かったー。ヒッピーがそれで失敗しているのにねー。
    ま、貴女が将来こちらで生活したとして呑気に構えていると卵を投げつけられる可能性も無きにしもあらず。
    バイアスは私も持ってます、貴女と同じように。気をつけましょ。

  • わっきー

    うんうん。こういう感覚好きですね。
    「違い」は「違い」だと思います。
    「違い」に目をつぶって、みんな平等に=差別がないってこととする、みたいなの、とても理解不能。
    trottolinaさんのブログもちょこちょこ読んでいたのですが、
    ほんと、INSEADって、いろーーーーーーーーーーんな人がいるんだろうなぁ。。。
    私の中では、なぜかMBAというカテゴリーではなく、INSEADという別カテゴリーができあがってます(笑)。

  • りむたん

    いつも楽しく拝見しています!
    人が知識を持てば持つほど、
    何かに対してステレオタイプなイメージをを持ってしまうのは仕方のないこと、
    ただしそれをprejudiceに変えてはいけない。
    って、ドイツの人類学者(たしか)が言っていていて、
    なるほど、とふに落ちて、
    それ以来、ステレオタイプを楽しむ余裕ができたように思います。

  • la dolce vita

    >ろちょーるさん(私、以前「るちょーる」さんって間違えてましたね、すみません)
    >友達の会社を訪問して受付嬢に”どちら様?”と聞かれると”あー、○○さんに中華の出前が来たって言って”。
    自虐ギャグですねー、そんなこと言われても受付嬢も困ると思いますが(笑)。
    >”東アジア一緒くた”なレベルの層
    “東アジア一緒くた”は、アジア人以外では相当多いでしょうねー ”一緒くた”のレベルもピンキリですが、私たちもアフリカや南米になるとそうだろうし。
    >tomokoleaさん
    >私はワサビが食べられないし、ワインがキライなフランス人の友達も、チーズが嫌いなイタリア人の友達もいるなぁ(笑)
    私もワサビが食べられないし、親友フランス人はチーズが嫌いだけど、それは個人の好き嫌いっていうのでは?
    「文化的ステレオタイプ」っていうのは、「日本人は人前で恥をかくことが苦手」「アメリカ人はdirectに言うけど、イギリス人は本心を隠すので何考えてるかわからない」とかそういうやつです。
    >「女性の昇進を」「いやいやそんなのむしろ差別だ」なんていう言い合いが、当たり前のようになされてますもんね~
    そうなの? 前の会社で「社内のDiversityを考える」目的かなんかで管理職以下の社員全員集めて10人くらいの少人数グループに分かれてフリーディスカッションをする、ってやつがあったんだけど、「Diversityのない母集団でDiversity考えてどうすんだろうか?」と思ったもんです。
    >優さん
    >クローデンさん、肩書きのことかなり重視されてませんか?
    もう読まれたかもしれませんが、以前も同じような質問を受けたのでこちら(↓)に書いてます。 違えば教えてください。
    http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2009/05/post-193.php
    >同じ国でずっと暮らし同じ会社でずっと働いてきた人が劣っている、
    >というような認識をお持ちだと思います。
    それはないですねー、私の日本人の友達は半分以上そう(同じ国で暮らし同じ会社で働いている)ですし。

  • la dolce vita

    >わっきーさん
    >ほんと、INSEADって、いろーーーーーーーーーーんな人がいるんだろうなぁ。。。
    >私の中では、なぜかMBAというカテゴリーではなく、INSEADという別カテゴリーができあがってます(笑)。
    いろーーーんな人がいるんですが、ある側面ではみんな似てるんですよ。 ま、冷静に見るとちょっとカルトちっくですけどね、笑(前、書きましたが↓)。
    http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2009/04/post-180.php
    >りむたんさん
    >人が知識を持てば持つほど、
    >何かに対してステレオタイプなイメージをを持ってしまうのは仕方のないこと、
    >ただしそれをprejudiceに変えてはいけない。
    おーーー、そういうことが言いたかったのでした。 教えて頂きありがとうございました!

  • haustin

    アメリカだとどうしても、相手がどういう人かわからない(どういうバックグラウンドの人かわからない。人種が多すぎて)ので、できる限りオフィシャルな職場ではあまり個人的なことは根掘り葉掘りきかないようにはしますね。ある意味、センシティブになりすぎなんだと思います。
    もちろん、会社でBBQしたりのみにいったときに、パートナーを連れてきていたりすれば、家族の話になるし、個人的な話はそういうところでしたり。あと会議中にスモールトークもしますから、身近になれば、いろいろと深い話もしますけどもね。
    少しでも仲良くなれば、オフィスでも二人だけでしゃべってるときなら平気で、子供はいつ?とか聞いてきますよ。
    有料チャンネルのコメディーセントラルのジョンスチュアートのThe daily showなど見てると、差別発言やステレオタイプ的な発言がバシバシ出てくるので、その辺、全国放送とはきちんと分けて、コントロールがかなり効いてる国だなあ、と思います。
    黒人差別があったり、アジア人だって地域に行けば差別もあるし、そういったバトルを歴史的に乗り越えてきているからこそ、センシティブすぎるところもあるのかなと思いますけどね。

  • la dolce vita

    >haustinさん
    >黒人差別があったり、アジア人だって地域に行けば差別もあるし、そういったバトルを歴史的に乗り越えてきているからこそ、センシティブすぎるところもあるのかなと思いますけどね。
    今でもまだバトルを乗り越えてる途中ですもんね、先日のニュース – 自分の家に入ろうとした黒人教授を白人警官が逮捕して大論争になりオバマまで出てきた件(あのオバマの記者会見めちゃよかったです) – しかり。
    センシティブにならざるをえない、というのもわかる気はします。
    あと外国から見えるのってカリフォルニアとニューヨークくらいで真ん中あたりは本当に何が起ってるのかわからない、とは思います。

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