こういう話に出会ったときは、いつもイエローモンキーのJAMの歌詞が頭の中をぐるぐる回る(こちらから懐かしのJAMのライブビデオ見れます)。
僕は何を思えばいいんだろう
僕は何て言えばいいんだろう
このブログでは単なるニュースのコピペではなく、「何か思って」から書くことにしているので、1週間ほど何を思えばいいのか考えていたのですが、1週間経ってもJAMの歌詞が頭で流れるだけなので、そのまま書くことにしました。
Emannuel Jalという人をご存知ですか?
彼のオフィシャルウェブサイトやインタビューから経歴を紹介。
1980年頃(彼も周りの子供と同じく自分の正確な生まれた年を知らない)、戦乱の最中のスーダンで生まれる。 1987年、6歳か7歳の頃、家族から連れ去られ、血で血を塗るスーダン内戦の反政府軍の少年兵になる。 村は焼かれ、父親も反政府軍に加わり、母親は殺される。 後の家族も行方はわからない。 5年間、少年兵として自分の身長より大きいak-47ライフルを構え戦線で戦う。
13歳のとき、反政府軍の分裂に伴い400人の仲間と軍を離れる。 何ヶ月もさまよい、その間ほとんどの仲間が飢餓や野生動物に襲われ命を落とす。 400人中彼と共に生き残ったのは11人。 餓死寸前で、イギリス人の援助ワーカーEmma McCuneに助けられ、Emmaの養子としてナイロビに移り住む。
しかし、その第2の母Emmaも数ヵ月後に交通事故で命を落とす。 失意のどん底から立ち上がり、生きていくために、Emmanuelは歌を歌うようになる。 2005年に出したデビューアルバム”Gua”(彼の母語で「平和」の意)はケニアでNo.1ヒットとなる。
その後ネルソン・マンデラの90歳誕生日を祝うコンサートで歌うなど、世界中に音楽活動の場を広げる。
経歴を読むだけでもすさまじいのですが、私が何を思えばいいのかわからなくなってしまったのは、このインタビューを聞いてから。
残念ながら日本語字幕はないのですが、Emmanuelの英語は難しくないので聞いてみてください。
人が飢餓のあまり、餓死した自分の友達を食べようとしたときの心境を聞いたことがありますか?
私はない。
13歳の少年が餓死した友達を食べようかというところまで追い込まれる世界っていったい何なんだろう?
また、スターリンが言ったというこの言葉も思い出しました。
一人の死は悲劇だが、100万人の死は単なる統計に過ぎない
たしかにEmmanuelのストーリーは衝撃だけど、スーダン内戦の死者数は200万人以上。 生まれた難民の数はそれ以上。
200万人のストーリーを想像しようとしてもうまくいかない、私のマイミク、Facebook友達、その友達の友達合わせてもそんなにいないもん。
言葉というのはすべての感情を表せるほどうまくできていなくて、何を思えばいいのかもわからないので、最近のEmmanuelの活動を紹介しておきます。
Emmanuelは今、音楽活動と共に、スーダンに学校をつくるプロジェクトをしていて$300,000を募っています。 $300,000が集まるまで毎日17:00まで断食をしているんだそうです。
Facebook上にプロジェクトに賛同する人が集まっています。
Facebook : Emma Academy Project
7月16日まで彼の半生をイラストにしてミニブックにするコンテストへの参加者を公募しています。
イラストかー、私、描けないなー・・・
こんな経験をした彼が立ち直れるってことが奇跡だ。
http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=sekaikyulifestyle-22&o=9&p=8&l=as1&asins=1408700050&fc1=696969&IS2=1<1=_blank&m=amazon&lc1=708090&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1
July 2nd, 2009 at 4:03 pm
彼が苦難の時を過していたとき、私はのほほんと学生をしていた。
悩み事もつらいこともあったけれど、銃口を向けられたことも地雷原を歩かされたこともなかった。
なにより、命の危険におびえ、今この瞬間に死んでいく多くの子供達がいる事を知らなかった。
それを幸せと言うのだろうか?
私もアフリカの少年兵たちの記事を読んで以来、そのことが頭から離れません。
理解するために今、「戦争における人殺しの心理学(ON KILLING)」Dave Grossman著を読んでいます。
殺人は人間における最大の禁忌であり、多くの兵士は殺すよりは発砲することなく殺される事を選んだ、とあります。
一方で、憎悪がぶつかり合い、虐殺が行なわれている。
ナポレオン時代のドイツの軍人クラウゼウィッツはこう言ったそうです。
「おぞましさのあまり目をそむけたくなる部分があるからといって、
その営為について考えまいとしても無駄である。
いや、無駄どころか有害でさえある」
私もまだ回答には程遠いです。
July 2nd, 2009 at 5:30 pm
こういう話を聞くたびに、自分の無力さや能天気さをまじまじと感じて、すごく謙虚な気持ちになります。
ちょっと前にNHKのプロフェッショナルで、中東やアフリカでDDR(武装解除・動員解除・社会復帰)を行っている女性の話がありました。
http://www.nhk.or.jp/professional/backnumber/090421/index.html
同年代の日本人女性が、果敢に向き合っている姿みて、ものすごく衝撃を受けて、日記にしよう・・・と思いながら数ヶ月が経過。いまだに何を思えば良いのかわからないまま、彼女の言う「やらない言い訳はしない」が頭の中でリフレインしてます。結局は、自分の出来る事を出来る範囲でやっていくしかないのかな。。。
July 2nd, 2009 at 11:19 pm
そういえばチャップリンも
「1人殺せば殺人者、100万人殺せば英雄」
みたいなこと言ってましたね。
彼のインタビューで一番印象に残ったのは
「寝たら死ぬ。寝てはダメだ。」ってところです。
もし僕が彼の立場だったならば、死ぬと分かっていても寝て楽になりたい、と思っただろうなぁ。
彼の『生きる意志』はもの凄く強いのだと感じました。
でも、その反面、話し方がもの凄くおっとりした優しい感じですね。
あと飢餓って雪山の凍死みたいに、寝たらそのまま死んじゃうんですね。初めて知りました。
July 3rd, 2009 at 9:08 am
>コザキさん
>殺人は人間における最大の禁忌であり、多くの兵士は殺すよりは発砲することなく殺される事を選んだ、とあります。
そうであるからこそ、まだ価値観の定まらない6,7歳の子どもを殺人マシーンに洗脳して仕立てあげるのだそうです。 その悪質さに声も出ません。
>junko
>結局は、自分の出来る事を出来る範囲でやっていくしかないのかな。。。
言うのは簡単なんだけどね・・・
アフリカでは死にたくないのに飢餓や戦争や病気に殺されてしまうので自殺率が低いのだそう。 自殺率が高いという幸せって何?とかも思うよね。
>まつーらさん
>「寝たら死ぬ。寝てはダメだ。」ってところです。
すごい冷静ですよね。 普通の人は気が触れると思うし、実際気が狂っていったのだと思う。
>その反面、話し方がもの凄くおっとりした優しい感じですね。
そう、この青年の話し方と言っている内容のギャップを埋めるのに時間がかかります。 YouTubeや彼のwebsiteや他にもいろいろなところにインタビューがありますよ。
July 3rd, 2009 at 11:00 pm
英語が得意ではないので、何度も聞いてしまいましたが、本当に何を思えばいいのでしょうか?
個人的にアフリカの悲劇を取り上げた映画(ニコラス・ケイジ主演の「Lord Of War」や、ホテル・ルワンダ、ルワンダの涙、ブラッド・ダイアモンドなどなど…)をよく見ましたが、見る度に心を痛めていましたが、これを正に具に体験した人の話など…
想像を絶するとしかいいようがありません。
先進国の横暴によって繰り返される悲劇…
繰り返してはならないと思うものの、自分に何ができるのでしょうか?
まさにJAMの歌詞です。
そして、その場にいたら、私は「死」を選んでしまうでしょう。
だって、楽になりたいから。
July 4th, 2009 at 11:04 am
>デレクさん
繰り返し聞いて頂いてありがとうございます。
最近多いですね、アフリカの映画。
私は暴力シーンや戦闘シーンがどうしてもダメで(目の裏に残虐シーンが焼き付いて夢に繰り返し出てきて、しばらく悪夢にうなされるはめになる)、ブラッド・ダイヤモンドも最初の暴力シーンで「ああ、無理」とやめてしまいました。
スクリーンの中のシーンさえ見られない私は一体何?と思ってしまいます。