幸せって何だろう?

私は本屋をぶらぶらするのが大好きなのですが、昨日ぶらぶらしていると、どこかで聞いたことがあるフレーズがタイトルになっている本が・・・”Dance with Chance”。
どこだっけなー?と思いながら本を開いてみると、著者に見覚えあり。
去年行ったINSEAD卒業生対象のイベント”Meeting in Asia 2008″で語ったINSEADの統計学教授3人が著者で、そのプレゼンのタイトルが”Dance with Chance”でした。 同名の本『Dance With Chance』が先月出版されたよう(専用Websiteまでできていた)。
去年のプレゼンは面白く、ざっくり以下のような内容でしたが(→『INSEAD誘致失敗で失ったもの』)、

「昨今の金融危機で露呈されたように、人間は自らの力を過信し実際以上に現実をコントロールできると思いがちである。 この”コントロールできるという幻想”がさまざまな局面で「幻想」に過ぎないことを示し(例:5年後のダウ・ジョーンズ予想)、コントロール不能な現実が多くあることを自覚することによって、自分の人生を取り戻そう」というもの。

プレゼンに出てきた幾多の例はそのままに(*1)、本の後半ではさらに「では、自分の人生を取り戻すにはどうすればよいのか?」というところまで踏み込んでいます。
*1・・・現実を”コントロールできるという幻想”の例で私が好きなのが、「911後、航空旅客は急減し車に切り替える人が急増したが、航空事故の死亡者数は自動車事故の死亡者数よりはるかに少ない(2002年と2003年は米国での航空事故死亡者数ゼロ)。 「車のハンドルを握れば自分が生死をコントロールできる」と思うのは幻想である」、というもの。
私はこれが大きな理由で日常生活では車に乗らなくて済むところに住もうと決めています。 Not worth the risk…


そして、最終章では”Happiness, Happiness, Happiness”と題して「幸せって何だろう?」という問いに答えることに試みています。
– 日常生活の中の行動(「おしゃべり」「TVを観る」など)の幸せ度(平均)を調査し(*2)、それぞれの幸せ度にその行動に費やす平均時間をかけて、総点数が高ければ幸せなのでは?
– 「結婚」「離婚」「健康」などそれぞれのライフイベントに値段をつけてみよう。
などの試みが非常に興味深い。
*2・・・日常生活で最も幸せ度が低い行動が「通勤」。 この点については、『Quality of (Traveler’s) Life』という以前のエントリーで「通勤時間の長さが幸福度に反比例する」という調査結果について書いています。
今週カナダ留学から東京復帰した弟から新しい東京での住所が送られてきましたが、職場まで徒歩3分だそう・・・ 都心で、ここまで徹底している人も珍しいかもしれませんが・・・
「幸せ」について研究している人は結構多く、GNPならぬGNH(= Gross National Happiness)という指標を使って幸せ度を測ろうという試みは長年されていますし(参考:International Conference on Gross National Happiness)、BBCはHappinessについてシリーズで特集を放送したそうで、こちらで公開されています。
この手の調査では「結婚している」「家族との関係がよい」などが必ず幸福度を決める上位にくるのですが、今朝亡くなった世界最高齢113歳の宮崎県の男性、

113歳の誕生日を迎えた時点で、子どもが8人、孫が25人、ひ孫が53人、玄孫(やしゃご)が6人いた。(YOMIURI ONLINE

やしゃごの漢字を初めて知った・・・ やしゃごいる人なんて知らないし・・・
これだけの情報なんだけど、「本当の幸せってこういうものなのかなー?」と思ってしまいました。
なお、この『Dance With Chance』、Nassim Talebの『Fooled by Randomness』(日本語訳:『まぐれ』)と似ているな、と思っていたら、やっぱり学者同士、交流があるようでINSEADキャンパスで4人で『Dance With Chance』について語っているビデオを発見(→こちら)。


14 responses to “幸せって何だろう?

  • sophie

    人生のイベントに点数付けるやつは大学の授業でありましたね。個人的な感情に思える幸福も不幸も、多くの人で、ある程度共通の感じ方をするというやつですね。授業の趣旨は忘れてしまいましたが、配られたプリントにあった幸福/不幸度の数値価標は面白かったことを覚えています。
    以下、誤植です。
    志望者の数→死亡者
    「通勤時間の長さが幸福度に比例する」→反比例

  • ドイツ特派員

    la dolce vitaさん、
    私も最近「成功」だの「幸せ」だの考えていたところに、このエントリーに加え山崎元さんも同様のエントリーをしているのはシンクロニシティーでしょうか(笑)。
    http://blog.goo.ne.jp/yamazaki_hajime/e/b96efcce07112b0b2e3c20b98e33a1b6
    ちなみに、山崎さんの意見は結構好きです。

  • しん

    20世紀型の相対評価主流から21世紀になって絶対評価が注目されてきた感じがします。
    「幸せ」の感じ方も人と比べるより、自己評価をもって判断する人が認められる時代になってきたかと。
    「ダイバーシティー」と言うのも一つのキーワードの傾向かと思います。
    la dolce vitaさんの「チャイナ・ドリーム」の彼女の話や「世界級ライフスタイルのための婚活」の話などもその傾向にあるかと思います。
    http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2009/06/post-200.php
    http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2009/05/post-196.php
    共通しているのは「強い意志」「自分軸」をもっていることは大切かなと思いました。
    これって指標にするのはドイツ特派員さんの紹介のサイトであるように、
    共通項目を上げていって、自分でどうつけていくかってところでしょうかね。
    年度ごとに自分の大切なポイントチェックみたいなもの作るのも良いかもしれません。

  • hiroko

    なるほど、幸せを点数化する試みですか。面白そうですね。不幸を研究するより、研究してる本人たちも幸せそう(笑)
    数字で見ると私の幸せ度はいくつだろうか。
    通勤時間は20~30分以上はつらいですね。そういう意味では家で仕事できたり、渋滞を避けて通勤できるアメリカの今の仕事環境は幸せ度高いかも。
    ただ、アメリカという国に住んでいることで疑問を感じる、インフラの部分(医療、食事、税金など)に対する漠然とした不満、実際不都合が起きたときの不幸は、人の背景によって感じ方が違うと思うので、日常の出来事だけ点数化しても、正しくは出なさそうですね。
    本を見かけたら読んでみます。

  • Junko

    タイトルに飛びついたわ・・・(笑)
    私にとっては「健康で、好きな人・好きなものに囲まれて、好きなことが好きなようにできること」が幸せで、
    死ぬ瞬間に、「あぁ、幸せな人生だったなぁ」と思えるのが一番の幸せだと思っているけど、
    何を幸せと思うかは人によって違うわけで。
    結婚してなくても子供がいなくても幸せな人は沢山いるし、通勤に時間がかかっても幸せな人もいるし。
    主観的なものを客観的に評価しよう、という試み自体は面白いし、めちゃくちゃ興味ある分野だけど、
    結局、自分の認識次第だと思うので、それで幸せ度を他人や他の国と比較しようとするのはナンセンスだと思うな。
    >コントロール不能な現実が多くあることを自覚すること
    これは大切だよね!何でも自分でコントロールできると思うこと自体が不幸を招く気がするよ。

  • ドイツ特派員

    la dolce vitaさん、
    もう人生の終盤が見えている40台半ばのオヤジとしましては、「自分がいたことで誰か他人が幸せになった」というのが究極の幸せかな?と思います。子供であっても配偶者であっても友人であってもペットであっても何であっても、そこに幸せの希望が見出せるんじゃないでしょうか。
    これは棺桶に入るまで分かりませんが、胸を張ってこれが言えれば(例えば「俺は学も金も無かったけど子供はちゃんと育てたな」という感じかな)、世の中的な認知がなくても「天晴れな人生、幸せな人生」と言えると思います。

  • la dolce vita

    >sophieさん
    >人生のイベントに点数付けるやつは大学の授業でありましたね。個人的な感情に思える幸福も不幸も、多くの人で、ある程度共通の感じ方をするというやつですね。
    へー、大学でやるんですね、面白い。
    ちなみに面白かったのは、Socializeの幸せ度は一般的に高いのですが、「誰と」socializeするのが一番点数が高かったかというと、FriendsでSpouseより高かった・・・ え???みんなそうなの???と驚き。
    誤植の指摘ありがとうございました! 直しました。
    >ドイツ特派員さん
    山崎元さんのエントリーは知りませんでした、ありがとうございました。 
    たぶん「成功」だの「幸せ」だの考える時代なんだと思いますよ、みんなが内省する、いいことだと思います(前にもZENのエントリー書きましたが)。
    http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2008/11/zen.php
    >「自分がいたことで誰か他人が幸せになった」というのが究極の幸せかな?と思います。
    なるほど、深いですね。
    私も結婚して初めて「自分以外の誰かを死ぬほど幸せにしよう」と思いましたよ、なーんちゃって。
    これをもうちょっと広く対象を広げるのが目標です。 まだまだ道入り口。
    >しんさん
    >共通しているのは「強い意志」「自分軸」をもっていることは大切かなと思いました。
    そうですね! 他人と比べない、っていうのは言うや易し行うは難しで、私も日々自分を戒めています。
    来週、楽しみにしています!
    >hirokoさん
    >インフラの部分(医療、食事、税金など)に対する漠然とした不満、実際不都合が起きたときの不幸は、人の背景によって感じ方が違うと思うので、日常の出来事だけ点数化しても、正しくは出なさそうですね。
    たしかにそうですね〜
    インフラの部分はたしかにじわじわ影響しそうですが、「足るを知る」で、なければないで幸せな人もいるかもしれないので難しいですね。
    >Junko
    >タイトルに飛びついたわ・・・(笑)
    飛びつくと思ってた(笑)。
    >結婚してなくても子供がいなくても幸せな人は沢山いるし、通勤に時間がかかっても幸せな人もいるし。
    このエントリー自体もこの本自体も別に「結婚 = 幸せ」「通勤 = 不幸せ」っていうことを言いたいんじゃないだが・・・ 
    >死ぬ瞬間に、「あぁ、幸せな人生だったなぁ」と思えるのが一番の幸せだと思っているけど
    たぶん、こういう風(↑)に幸せを定義しない人はあまりいないと思う。 これは普通にみんなが思う。
    でも、これでは曖昧すぎるから、もうちょっと分解して分析してみようという試み。
    「自分の認識次第」というのは当たり前の前提として、(それでは話が終わってしまうので)点数つけてみたらどうなんだろうね?という試みで、知ってて損はないと思うんだけどね。
    単に私が「統計大好き」というのはあるが。

  • とおりがかりのもの

    113才のおじいさんは、宮崎の方ですよ^^

  • HZ

    BBCの番組をちら見しました。
    子供を持つ幸せは、子供を持つことによる苦労でキャンセルされて、必ずしもプラスにならないとは・・・身も蓋もない結論ですね。
    でも、面白そうなので、近々、まとめて観ることにしてみます。
    本業(精神科医)にも使えそうです。
    メタの視点で見ると、経済学に心理学を応用し、心理学に神経科学を、、、、と次々に還元していく強い意志を感じます。私は神経科学を分子で説明しようと研究していましたが、これからは新たな知見のよきユーザーになろうと思っています。

  • la dolce vita

    >とおりがかりのものさん
    すごいベタなミスでしたね。 訂正しました、ご指摘ありがとうございました!
    >HZさん
    >子供を持つ幸せは、子供を持つことによる苦労でキャンセルされて、必ずしもプラスにならないとは・・・身も蓋もない結論ですね。
    そんな身もフタもない結論でしたっけ? だいぶ前に見たので内容忘れてしまいました。
    >メタの視点で見ると、経済学に心理学を応用し、心理学に神経科学を、、、、と次々に還元していく強い意志を感じます。
    通常考えられている学問分野と異なるアプローチ、という観点からは、Jared Diamondの『銃・病原菌・鉄』と『文明崩壊』が飛び抜けていました。 HistoryをScienceする、というものです。
    http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2009/02/113000.php
    http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2009/05/post-189.php
    自分が当たり前と思っている視点と違う視点を得ると目うろこですね。

  • まつーら

    僕も海外に出てから、人にとって&僕にとっての「幸せ」ってなんだろう?って日々考えてます。
    1つだけ分かったことは、色んなことを知れば知るほど幸せに近づくって思ってたんですけど、決してそうとは限らないってことですかね。
    アダムとイブは知恵の実を食べなかった方が幸せだったんじゃないかなーなんて思ったり。
    それでも僕は知識を追い求めていきたいですけど。
    ただ人それぞれ価値観が違うので、個人個人での脳波を調べない限り「幸せ」なんて概念的なものは計れないと思ってます。
    通勤時間だって、人によっては有効活用してて、その時間が好きって人もいるでしょうし。

  • la dolce vita

    >まつーらさん
    >1つだけ分かったことは、色んなことを知れば知るほど幸せに近づくって思ってたんですけど、決してそうとは限らないってことですかね。
    全く同じことをこの心理学者がTed.comで”Paradox of Choice”と題してスピーチしてました。
    http://www.ted.com/index.php/talks/barry_schwartz_on_the_paradox_of_choice.html
    かなり納得しましたけどね。

  • かんばせ

    幸せって?
    「すべて無条件に信頼できる関係」 を幸せである
    「それは 数とか大きさなどとは関係ないものです」
    と私は 考えております。

  • la dolce vita

    >かんばせさん
    >「すべて無条件に信頼できる関係」 を幸せである
    「他者との関係性」ということですか? 「(他者とは関係なく)自分の心のあり方」ではなく?

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