投資銀行の次はユニバーサルバンク。
世界屈指の大手銀行が次々と国有化(準国有化)されています
英銀大手のロイヤル・バンク・オブ・スコットランド(RBS)はすでに政府出資比率が70%くらいに達しているし(優先株転換後)、シティグループがまたもや米政府から資金注入を受け、実質政府管理下に入っています。 次はバンカメだと言われているし。
REUTERS : RBSが英企業史上最大の赤字、政府資産保護スキーム活用へ
REUTERS : 米政府がシティ普通株転換で出資率最大36%に
The Economist : Citi limits
もちろん政府の資金注入の財源は国民の税金なので、米国民や英国民が今後どうやってこのツケを払うのか、という点は気になるところ。
一方、以前『アイスランド破綻に思うこと』で書いたのですが、アイスランドのニュースを聞いて一番先に脳裏に走ったことは「ひょっとしてシンガポールもやばい?!」。
小国は機動力があるので大胆な政策実行が可能であることは、このブログでもシンガポール政府の政策を例にあげ何度か書いていたのですが、カラダが小さいので、いったん逆風が吹き大津波が来ると一気に飲み込まれてしまう可能性があるのではないかと小国のvulnerability(脆弱性)に思いが及んだのでした(アイスランドは銀行がGDP数倍もの借金を抱え、その経済規模に比してレバレッジがかかりすぎたのが原因との認識ですが、違えば教えてください)。
今のところ、シンガポールは経済構造的には貿易国なので大不況になっています。 政府系投資ファンドのテマセックが去年3月から11月の間に投資ポートフォリオの評価額が31%下がり、CEOが交代したりしています。 銀行預金は政府によって全額保護されているので、シティにほぼ全財産がある私たちは静観していますが(頼むよ、ほんと・・・)、小国ゆえに内需だけで復活できないため、今後については読めず・・・
IHT : Value of Temasek portfolio slides with global markets
一方、著作やこちらのコラムで、今までアイスランドやシンガポールを絶賛していた大前さんが新著『「知の衰退」からいかに脱出するか?』で、この2国をどう評価するかは興味があったのですが、要約すると以下のようになっていました。
- 金融危機で「集団IQ」の高い国のアドバンテージが消滅したいま、これまで「負け組」に甘んじていた国は大チャンスを迎えている。 今が正念場。
- 世界の「勝ち組」国は、中規模国の中ではドイツ、イギリス。 小規模国の中ではシンガポール、ドバイ、アイルランド、フィンランド、デンマーク。 シンガポールとドバイは独裁で引っ張ってきたのであまり参考にならないとして、日本は他の国から学ぶべし。
- 一方、負け組はルーマニアとウクライナ。 この2つの国は日本の状況と似ている。
- アイスランドは金融危機であっという間に「勝ち組」から「負け組」へ。
「ドバイもバブル崩壊したのでやばいんじゃないか?」とか、細かい点は置いておいて参考になります。 日本も中規模・小規模いろいろな国から学ぶべし、という点は賛成。
この本は大前さんの説教本なので耳が痛いことばかりですが、本当に「おっしゃるとおりです」という内容ばかりなので、口に苦い良薬だと思ってお薦め。
もうひとつ納得した箇所もあげておきます。
グローバル企業はどこも母国には期待していない。 母国だから「よくなってくれたらなあ」くらいには思っているが、「母国がダメでも世界で生き残るぞ」がメンタリティ。
これは日本企業でもすでにグローバル企業となっているトヨタ、ホンダ、ソニーetc.には当てはまることで、この危機を乗り越えるためにもっとカラダをスリム化するために世界に出ていくんじゃないでしょうか?(市場及び雇用の両方で) すると日本企業の復活 = 日本国内の雇用増ではなくなるかもしれません・・・
このトレンドが逆戻りするとは思えないので、上記の文の「グローバル企業」を「個人」に置き換えて読まないといけないのかなあ、と思ったりしています。
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March 4th, 2009 at 10:51 am
<Citiのこと>
在英・日本人元アナリストのBlogより:
つまり、Citiをつぶさないという前提に立てば、仕方がない決定と言えなくもないのです。そして、「Citiは(大きすぎて)潰せない」と言われるなら、それはそうも知れないなと思う。上記のMishkinの言葉に返す言葉として、「日本よりより積極的な政策を行っているのは認めるけど、それは失敗したときのロスが日本の比ではないことを意味するのですよ」と申し上げておきましょうか。
バラバラに解体されていくCitiから今回の普通株転換で政府がとったリスク(さらには悪しき前例を残すという将来への課題)に見合うだけのリターンが確保できますか。アナリスト的な発想で書くと、発行済株式の40%近い潜在的な追加供給を抱えている利益成長のシナリオも書きにくい会社の株価がそんなに上昇するもんですかね。
まあ、政府にすれば「そんなことは分かっている!ほかにどんな選択肢があるんだ!」と怒られそうなので、この辺でやめときましょう。確かにほかに選択肢もないので。はぁぁぁ。。。
http://paddington.blog.shinobi.jp/Entry/96/
March 4th, 2009 at 1:58 pm
>snowbeesさん
なるほどー、です。
私は正直、巨大金融機関を政府が救うことのMagnitudeや影響などあまりよくわかっていませんが・・・