さすがにインドネタはもう飽きたかと思いますので、今日から通常ブログに戻ります。
いきなりですが、クイズ。
次の実在する夫婦の普段の共通言語と、彼らの間の子どもの母語を類推してみましょう(数字は1から順に母語、第一外国語、第二外国語です)。
A. ニューヨーク在住
夫:スペイン人(1. スペイン語、2. 英語、3. フランス語)
妻:中国人(1. 北京語、2. 英語、3. フランス語)
B. ロンドン在住
夫:フランス人(1. フランス語、2. 英語、3. ポルトガル語)
妻:ブラジル人(1. ポルトガル語、2. 英語、3. フランス語)
C. アムステルダム在住
夫:デンマーク人(1. デンマーク語、2. 英語)
妻:日本人(1. 日本語、2. 英語)
簡単ですね、A. B. Cの夫婦ともに普段の共通言語は英語、子どもの母語は英語です(Aのカップルなんかは、生まれたときから3ヵ国語で話しかけておりトライリンガル目指しているので、英語が母語とは言いがたいが、外の世界は英語)。
3組とも私の友人夫婦ですが、英語が共通言語である理由はただひとつ。 「話す言語のうち、英語は”最大公約数”(= 2人とも話せる言語)のうち最上位に位置する(= 最も流暢)から」、ただそれだけです。
「2人の共通言語で仕事ができる場所を居住地としている」点も共通しています(Cの夫婦はアムステルダム在住ですが、職場の言語は英語)。
以前、『英語のひとり勝ち』というエントリーを書きましたが、ひとり勝ち現象は人や情報が加速度的に言語圏を超えて交流するようになった結果、お互いに言語の最大公約数を探ってみると、「あらま、英語だった」というそれだけのこと。
フランス人とイタリア人のように言語的にお互いの言語の方が近い(=学習が容易)な場合も英語なので(もちろん国境近くの人はお互いの言語を話せたりしますが)、「何カ国も学ぶの面倒だから英語でいいじゃん」と何千万人、何億人もの人が暗黙の了解に達した結果と言えるかもしれません。
もちろん最大公約数が2ヵ国語以上見つかる人同士もいます。 先週まで旅したケララには北インドからのハネムーナーが多かったので(インドは冬がブライダルシーズン)、南インド人と北インド人の間の言語を注意して聞いていたのですが、英語、ヒンズー語、相手によって切り替えていました。
・・・という現状から考えると幼稚園や小学校の英語でマザーグースの歌を歌ったりするのは、ほとんど意味がないのでは? コミュニケーションの相手がマザーグースを知ってるとは限らないし。
文化については、興味を持った文化を後から(大学でも大人になってからでも)学んでも遅くないので、普遍的なことがらを「英語で学んで」使えるようにすることが先決かと思います。 具体的には算数や理科、社会(の世界史と世界地理)の一部の授業を英語でやるとか(英語で授業できる先生がいない、という問題があるが)。
英語の時代は「アメリカにおもねている」のでも何でもなく(プライド高い中国人やフランス人が率先して英語を学んでいる時代です)、「あらま、英語だった」と「何カ国も学ぶの面倒だから英語でいいじゃん」と思った人がたくさんいた(これからもっと出る)ことの帰結です。
以前、シャドーイングのやり方を書きましたが、ブリティッシュ・イングリッシュの教材について質問を受けました。
「音声はあってもtranscript(原文テキスト)がない」という方は、BBCのサイトで”transcript”と検索すると、ブラウン首相のインタビューとかが音声と原文テキストで出てきましたよ。 ただ、シャドーイングは「文字を見ずに聞こえたままの音を口に出す」のがポイントなので原文テキストを見るのは最後にしてくださいねー。
オバマのスピーチのシャドーイングはちょっとしたブームだそう(→参考)。 何もしてないけど、ちょっと嬉しい。
February 4th, 2009 at 5:27 pm
こんにちは。
ことばの話題は好きなので出てきました。(先日はお返事をどうもありがとう!)
国際カップルの共通言語は、ただ書かれたような理由で英語になるだけでなく、出会いの場所で使われていた言語になることもありますよね。例えば、カップルBがフランスの大学の同級生だったら、共通語はフランス語になっていたかも?
そういえば、フランスで中国人とフランス語で話していたら、そばにいたイタリア人、フランス人に大変驚かれました。日本人と中国人は「自然に」互いの言語を話せるものと思い込んでいたそうで、大爆笑でした。(筆談ならOK?)
February 4th, 2009 at 8:14 pm
la dolce vita様
ご紹介ありがとうございます。それにしても、自分でまず検索してみるべきでしたね・・・お恥ずかしい限りです。
February 5th, 2009 at 10:37 pm
インドネタが終わってしまって残念です。la dolce vitaさんのインド紀行は、インドに帰ってしまった友人が語るインドとはまた少しちがう、そして最近見た「slumdog&millionaire」とも違うインドで興味深かったです。
ところで、英語のネタも大好きなので、今回しゃしゃり出てしまいました。
以前、呪文を唱えているわが子が何を唱えているのかとおもったら、英語で三角形、四角形、5角形、6角形、、、、を順に言っているのです。随分前に光合成の仕組みを習った時も、えーーーーこんな単語知らない??しかも、一読しただけでは発音もできない???困った。。。。それから宿題で子供が家で実験をした時に「あ!これって液体のブラウン運動だ」って思ったのに、ブラウン運動って英語でなんて言うのかしら?と、これまた考え込んでしまい。。。。
私のようなラテン語の素養のない一般的な日本人が算数、理科、歴史などを英語で教えるというのは、絶対無理。でも、これが世界共通語なんですよね。
日本人と欧米人との間に生まれた子供でも、小さい頃は理解した日本語も20歳を過ぎる頃は全く喋れないというケースもちらほらいますね。知り合いで、英語、仏語、スペイン語、アラビア語、そして日本語をしゃべる人がいますが、彼女は日本語がいちばん難しいと言ってます。
わが子に日本語の某通信教育をさせていた時のこと、主語と述語を見つける問題で、テキストには最初に述語を見つけてから主語を見つけなさいと書かれてありました。最初にSありき。という言語を操る人々にとって日本語ってやはりあいまいな言語なのでしょうか?ご主人はなんとおっしゃってますか?
February 6th, 2009 at 10:05 am
>mkkさん
初コメントありがとうございます。
>国際カップルの共通言語は、ただ書かれたような理由で英語になるだけでなく、出会いの場所で使われていた言語になることもありますよね。
結局、会話に参加している人全員にとってもっとも通じる言葉になるってだけなんですけどね。
>フランスで中国人とフランス語で話していたら、
フランス語、うらやましいです〜
私も大学時代+留学直前で足かけ4-5年はフランス語やったんですが、留学から帰ってきて以来、全く使っていないので忘却の彼方です。 言葉は使わないと全然ダメですねー
>hkさん
いえいえ、私も見つけられたのでよかったです。
>sunshineさん
>la dolce vitaさんのインド紀行は、インドに帰ってしまった友人が語るインドとはまた少しちがう、そして最近見た「slumdog&millionaire」とも違うインドで興味深かったです。
インドは広いんですねー、ケララは私が以前行ったラジャスタンとも全く違っていました。 次、インドのどこに行こうか今から楽しみです。 ”Slumdog Millionaire”、よかったですか? インドでtrailer見ました。
>英語で三角形、四角形、5角形、6角形、、、、を順に言っているのです。
わかります! 私も初等・中等教育を日本語で受けたので数学や理科の英単語は全くわかりません。 MBAの受験にGMATという試験が必須で、日本でいう高校1年くらいまでの数学が試験問題なのですが、単語が全然わからないんですね。 でも単語さえわかれば、日本人はすごくいい成績取るんですよ。 数学のように、普遍的な教科は中身は一緒なので英語でやった方が後々苦労しないかも(全員がやる必要はないんですが)。
>最初にSありき。という言語を操る人々にとって日本語ってやはりあいまいな言語なのでしょうか?ご主人はなんとおっしゃってますか?
うちの夫の日本語はまだまだそんなレベルじゃないです・・・ 今は敬語を習っている真っ最中で英語にはないコンセプトに頭を抱えています。
アラビア語より日本語の方が難しいんですか・・・? まあ、英語より難しいとは日本人の私でさえ思いますが・・・
February 6th, 2009 at 9:28 pm
slumdog…はおすすめ度☆5つです。たしか同じくオスカーの作品賞候補になっている「the curious case of Benjamin Button」なんて足元にも及びません。凄いです。一緒に見た友人は涙ボロボロになって「so intense!」と連呼してました。そういえば、こちらの友人でこの映画を見た人は国籍を問わず皆「intense」と言ってます。ご覧になったらコメント載せてくださるのを楽しみにしています。
February 6th, 2009 at 10:00 pm
>sunshineさん
>slumdog…はおすすめ度☆5つです。
調べたところ、シンガポールでは2月12日公開でした。 お薦めありがとうございます!
見たらこちらで報告しますね。