笑顔の国ケララ

インドの南西に位置するケララでのバカンスから帰国しました。
あたり一面にココナッツの木が生い茂る水と緑の豊かな楽園というイメージで決めたバカンス先でしたが、一般的に信じられているような常識がことごとく、くつがえさせられた場所でした。

常識その1. 都市は田舎よりも豊かである

ケララ観光の目玉であるバックウォーター(無数の河川、水路が広がる水郷地帯、人々の生活水路)にある田舎の村に3泊したのですが、そこでの人々の生活が実に豊かでした。
「豊か」というのは、物質的な豊かさというよりも、次にあげるような皮膚で感じる豊かさです。
mother&daughter– 家族で過ごす時間が長い・・・朝と夕方、集団で登校する子どもの姿をたくさん見ましたが、村には塾も外食するレストランも娯楽施設もなく、近所で働くお父さんが帰ってきたら後の時間は家族一緒に過ごしているのでしょう、実によく家族連れをみました。
– 教育水準が高い・・・識字率ほぼ100%というインドNo.1の教育水準を誇るケララでは田舎でも、英語を話す人がそれなりにいました。
– 域内で食料は自給自足・・・どこにでもココナッツ、バナナの木が生え、水田が広がり、魚も取れる村では、近所の人から買うだけでまかなえる状況。 ケララは1人あたりGDPは約US$1,000と低いのですが、食べるものにはあまり困っていない印象。
– 安全である・・・物騒な場所というのは歩いていても人々の目つきや物売り・乞食の多さでわかりますが、旅行者への身の危険はほとんど感じません。


cochin_kids.JPGそして、何より一番印象的だったのが、笑顔の人が多いこと。
旅行者から何かを期待する笑顔でも、こちらが話しかけて始めて見せるはにかんだような笑顔でもなく、デフォルトで満面の笑顔の人が多いのです。 今までいろいろな場所に行きましたが、こんなに笑顔の人が多い場所は始めてだったかも。
私は2001年に北インド(主にラジャスタン地方)に行ったことがあり、農村部の貧困というのは旅行者の目にも明らかだったので、南インドだとこんなに豊かな場所があるのだなー、とその違いに驚きました。

常識その2. インドは宗教間で対立している

インド、パキスタンの対立にみるまでもなく、インド国内でも異宗教徒間の争いは頻繁で旅行中に読んだ新聞でも社会面でよく見かけました。
ところが、なぜかケララでは各宗教徒間の対立がほとんどないのです。 ケララの宗教構成は下記の通りでキリスト教徒が多いのが特徴。
ヒンズー教 56.2%、イスラム教 24.7%、キリスト教 19.0%
インド亜大陸の要所に位置し、古代から貿易風に乗ってフェニキア人、ギリシャ人、アラブ人、中国人が、近代ではポルトガル人、イギリス人が入植したため、宗教が混在しています。 Cochinというケララの州都にはユダヤ人のシナゴーグまであります。
kerala_religion.jpg私たちが滞在したホームステイ(という形式ですが民宿みたいなところ)はキリスト教徒でしたが、お隣さんはヒンズー教徒、いつも来る魚売りはムスリムということで、3宗教徒が仲良く暮らしているのには驚きました。 タクシー(リクシャー)の中では、3宗教のシンボルを合わせたようなシール(→)もよく見かけました。
笑顔の国ケララ。
実際には中東への出稼ぎ人口が多く、若者の就業機会が少ないので自殺率が高いなど問題も少なくないようですが、素晴らしい場所です。 続きは明日以降。

どこまでも広がるココナッツの木と水田

rice_paddy.JPG

2週間食べ続けた南インド料理

vegetable_meals.JPG


6 responses to “笑顔の国ケララ

  • snowbees

    一人当たりGDPの「失われた10年」
    <下記の論文は面白い>
    ~日本はこのまま内需が弱いままなのか~
    第一生命経済研究所 経済調査部
    担当 熊野英生(03-5221-5223)
    group.dai-ichi-life.co.jp/dlri/kuma_index.html

  • la dolce vita

    >snowbeesさん
    面白い論文をありがとうございます。
    日本の1人あたりGDPはアジア諸国にもどんどん抜かれていきますね。

  • snowbees

    原丈人氏の講演内容
    <木鶏さんのブログより:>
    ・米国では今後証券化されていない一般債権の劣化が顕在化。
    ・米国よりも今後は欧州金融機関の淘汰が予想。
     各国が十分な公的資金を投入できないのではないか。
    ・オバマ就任10日前に、米共和党・民主党幹部に会ったが、またしても
     財政金融メンバーがウォールストリートのグループ。
     喰い止めるというより対症療法にとどまろう。
     そしてまた新たなバブルが・・・・。
    ・英米の間違いは次の基幹産業を「金融業」としてしまったこと。
    ・次なるまやか商品は「排出権取引の証券化」。
    http://blog.goo.ne.jp/dancing-ufo/e/6cea982266b790ede53268d403d111c7

  • snowbees

    <ウエルチ・GE元会長とのインタビュー:日経ビジネス2009.1.05>
    !)引用:「80年は米国にとって困難な時期でしたが、結局、乗り越えました。2009年は米国がマイナス成長となりそうで、実態経済が困難な時期を迎えますが、それもいずれも終わります。」
    2)現在と82年との比較:プライムレート、失業率、ガソリン価格など
    http://www.mrswing.com/articles/The_Economy_Is_Bad_but_Was_Worse.html

  • snowbees

    そろそろ、「悲観論」の本は止めにして、前向きな本を読むべきでは。(笑)
    <読書:「本質を見抜く力ー環境・食料・エネルギー」
         養老孟司、竹村公太郎
    http://books.yahoo.co.jp/book_detail/AAT65832/

  • la dolce vita

    >snowbeesさん
    >読書:「本質を見抜く力ー環境・食料・エネルギー」
         養老孟司、竹村公太郎
    いつもご紹介ありがとうございます。 膨れ上がる一方の「読みたい本リスト」に加えました。

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