シンガポールで北京語?

先週、このブログを縁に知り合った東京在住の、ある女性起業家の方がシンガポールに来るので会いましょう、という話になり、初めてお会いしました。 シンガポールで冒険投資家ジム・ロジャースの講演に行くとのことで、「そういえばシンガポールに移住したんだった」と思い、ググってみるとシンガポールに移住した理由を語ったインタビューを発見。
ジム・ロジャース独占インタビュー 「米国に代わる国は、中国以外にない」
その理由だけ引用します。

週刊ダイヤモンド(以下D.W):米国を離れ、シンガポールに移住した理由は何ですか?
ジム・ロジャーズ(以下J.R):端的に言えば、中国語圏の都市に移住したかったからです。
 ひとつはパーソナルな理由によるものです。私には中国語が話せる4歳の娘がいますが、その語学力をさらに伸ばしてあげられるような環境に移りたかった。その点、英語や中国語などを公用語とするシンガポールは移住先として申し分ありませんでした。
 ただ、それだけではありません。私自身、”未来の波”に乗りたかったからです。現在の中国語圏に居を構えることは、1907年のニューヨーク、1807年のロンドンで暮らすことに等しいと思っています。
D.W:しかし、なぜ北京や上海ではなくシンガポールなのですか?
J.R:むろん北京や上海などの中国本土の大都市に加えて、香港も考えました。しかし、公害がひどく、どうしても踏み切れなかった。その一方で、シンガポールには優れた医療や世界最高レベルの教育制度があり、これから先何年も住みたい場所だと思ったのです。

いろいろ気になるところはあるのですが、私が一番気になったのは「シンガポールって中国語圏なんだ・・・」ということ(確かに中華系がマジョリティーなので「華僑圏」ではあるが、言語としては「英語圏」だと思っていた)。 なお、文中では「中国語」になっていますが、実際には「Mandarin(北京語)」と言ったはずです(娘さんのベビーシッターは北京語を話すらしい)。
ところが、シンガポールという国に限定した場合、「北京語」は中国の各方言を話す人たちの「共通語」というイメージで日常的に北京語を話す人は実は少ないんじゃないかと思っていました。


シンガポールの言語事情は複雑なのですが、下記の表現が一番的確だと思います(書いたのはシンガポール人なので正しいと思う)。
SGRA : シム チュン キャット「ところでシンガポール人は何語を喋るの?」

中国系76%、マレー系14%、インド系8%とそのほかの民族からなる多民族国家シンガポールでは、三世代も遡れば国民のほとんどのおじいさんとおばあさんは、より豊かな生活を求めて遥々中国やインドと周りの国々からやってきた移民たちばかりなのです。もともとの出身地がばらばらであるために、言葉ももちろんばらばらです。しかも、多くの移民が中国とインドのような「場所が変われば言葉も変わる」という「方言大国」から来ているゆえ、言葉の問題はなおさら複雑になっていきます。たとえば、一言「シンガポールの中国系」といっても、福建系、広東系、海南系、客家系、上海系…などという非中国系でもわかるような違いもさることながら、同じ福建系でも福州系、福清系、南安系、アモイ系、安渓系…などにさらに枝分かれして、同じ福建語といってもそれぞれ微妙に違ってきます。
(中略)
さて、家庭の言語環境が大きく異なるうえ、能力によって学校で習う言語のレベルも違ってくるのですから、同じ英語、同じ北京語、同じタミル語、同じマレー語といっても人によって上手・下手があるのは当然です。さらに世代が違えば、教育制度や生まれ育ちの違いから、言語能力の上手・下手はよりいっそう顕著になります。そのため、シンガポール人同士で喋るときでも、TPOはもちろん、相手の人種、職業、年齢などまでも考慮に入れて言葉を選ぶのが粋なシンガポール人というものです。

そうなんです、めちゃくちゃ複雑なんです(英語しかわからない私にはその複雑さも肌で理解できないのですが)。 ジム・ロジャースの言う英語と北京語という観点に戻ると、シンガポールに住む中国系は大きく以下のカテゴリーに分けられるかと(中国語の話なのでマレー系、インド系は、便宜上省きます)。
1. 英語(シングリッシュ含む)でコミュニケーションが取れる人
2. 英語ではコミュニケーションが取れないが、北京語だと取れる人
3. 自分の出身地の方言(福建語とか)でしかコミュニケーションが取れない人
私には、2.と3.の区別がつきません。 1.の人は基本的には明らかに外国人とわかる人(ジム・ロジャースの娘は白人なので明らかに中華系ではない)とは英語で話します(私は中国人と間違えられるのか、2. 3.の人からよく中国語で話しかけられます)。
2. 3.の人は年輩の人、もしくは最近中国から移住してきた人であるため、ジム・ロジャースの娘が交流するような人は1.の人が多い(つまり英語がコミュニケーション言語)と思います。 よって北京語が生きるのは2.の人とのコミュニケーションだけでは?(もちろん小学校から北京語を教えるので北京語の教育環境としては米国よりいい)
私がなぜ気になったかというと、別にジム・ロジャースにいちゃもんをつけたいのではなく、シンガポールでMandarin(北京語)を学ぼうとして挫折した外国人を結構知っているため。 中華系の人と北京語を話そうとしても英語に切り替えられてしまうため、実践の場がない、と嘆いていました。
最近、友人(上海在住ギリシャ人)から相当強力に北京語の学習を勧められたので、私も悩んでいる最中なのであります。
それにしても税金が安いのでシンガポールに移住してくる富裕層が多いのは知っていましたが、北京語のため、っていうのは初めて聞いたなー さぞかしシンガポール政府も喜んでいることでしょう。
彼の本はまだ読んでいないのでお薦めというわけではないですが、興味のある方のためにリンクを貼っておきます。
http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=sekaikyulifestyle-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4532193311&fc1=696969&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=708090&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1http://rcm-jp.amazon.co.jp/e/cm?t=sekaikyulifestyle-22&o=9&p=8&l=as1&asins=4532353041&fc1=696969&IS2=1&lt1=_blank&m=amazon&lc1=708090&bc1=FFFFFF&bg1=FFFFFF&f=ifr&npa=1


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