6家庭に1軒がメイドを雇う社会

私たちのシンガポール人(中華系)友達は、夫婦の場合もれなく共働きで住み込みのメイドを雇っています(正式にはメイドは”Foreign Domestic Worker”といいますが、ここでは呼び親しんでいる”メイド”で統一)。
ある夫婦は旦那さんが歯医者さん、奥さんが家族企業(といっても大きい)の2世経営者なので平日は2人ともフルタイム勤務で、メイドが家事・育児を一手に引き受けています。
たまに、一緒にレストランで食事をするとき、2人の子ども(2歳と1歳)と一緒にメイドを連れてきて、私たちが食事をしている横でメイドが子どもの世話をしているので、どう反応したらいいものか悩みます。 欧米人カップルの場合、子どもの世話をメイドに頼んで2人だけで出てくるのでこのへんは感覚の違いでしょう・・・
シンガポールには15万人のメイドがいるとかで、6家庭に1軒の割合でメイドを雇っている計算になり、この制度なしに夫婦共働きを維持できない家庭も多いはず。
以下のような制度になっています(XpatXperience.comより)。
– メイドのほとんどは近隣諸国(フィリピンとインドネシアで9割を占める)からの出稼ぎ労働者。 フィリピン人メイドは英語が話せるのがメリット。
– 探し方はメイド斡旋業者に頼むのが一般的。(例:bestmaid.com.sg
– 外国人メイドの雇用主になるため、メイド用の労働ビザ取得、健康診断などを経て晴れてメイドが家にやってくることになる。 契約期間は通常2年。
– 未経験のメイドの場合、家事のやり方などは教えることになる。
– 住み込みで週6日勤務、日曜はオフのことが多い(法的規制はない)。 1年に1回母国への里帰り休暇と往復の航空券を雇用主負担で補助する。
– 月給はフィリピン人メイドの場合、S$350(約28,000円)、インドネシア人の場合、S$250(約20,000円)。 加えて、政府に外国人労働者雇用者税のS$345/月(約28,000円)を支払う(小さい子どもがいる家庭は税控除あり)。
– 住み込みメイドが嫌な人には「通い」の制度もあり。 住み込みが一般的であるため、シンガポールの2ベッドルーム以上のアパートにはもれなくメイド用の小部屋がついている。


どうでしょう?
雇用主によるメイドへの暴力など社会問題も多く人権擁護団体から非難されていますが、シンガポールの女性労働人口が高い背景にメイド制度があることは間違いありません。
国の資源は「人」しかないことを認識している政府の政策(前述の税控除など)もこれを後押ししています。
なお、こうやって必死で共働きをして稼いだ給料の大半は子どもの教育費に消えていきます。 シンガポールは日本も目じゃない超学歴社会で、幼児は言語(英語と北京語)、算数、アートのクラスに通い熾烈な小学校での学歴選抜に備えます。
私の別の友人の6歳の女の子(来年から小学校)は漢字が書けるんだそう・・・あな、おそろしや・・・
教育の重視ももちろん国家競争力を高める国家政策です。 その成果ありスイスのビジネススクールIMDが毎年発表する世界競争力ランキングでは今年はシンガポールは米国に次いで2位。
IMD : The World Competitiveness Scoreboard 2008
国際競争力22位の日本としては(下のグラフ参照)、「ここまでしなければいかんのか・・・」と暗澹とした気分になるのでした。

日本の国際競争力ランキングの推移

Japan_competitiveness.gif
シンガポールのメイドの話がいつの間にか日本の国際競争力の話になってしまいました。 教育制度もなかなかすさまじいのでまた今度・・・


One response to “6家庭に1軒がメイドを雇う社会

  • la dolce vita

    (過去のコメントは以下)
    しん October 11, 2008 11:26 PM
    昔、10年ほど前、シンガポールに訪れたときに、シンガポール人の友達から
    聞いたのですが、塾が流行っているのあるのですが、びっくりしたのは
    空港で勉強している子供達がいっぱいいたこと。
    聞くところによると、クーラーが聞いているから空港にきて
    勉強しているらしい。今は変わっているかと思いますが。
    昔でそれくらいだったので今はもっと発展してそうな気がします。
    子供の頃から学歴が人生にかなり影響を及ぼすと、言われて育って
    いるんだなと思いました。 日本はゆとり教育ですが(笑)
    la dolce vita October 12, 2008 11:54 AM
    >しんさん
    >空港で勉強している子供達がいっぱいいたこと。
    >聞くところによると、クーラーが聞いているから空港にきて勉強しているらしい。
    気づきませんでした。 クーラーといえば、休みの日にはショッピングモールは涼みにくる家族でごった返しています。
    >子供の頃から学歴が人生にかなり影響を及ぼすと、言われて育っているんだなと思いました。 日本はゆとり教育ですが(笑)
    言われているだけではなく、本当に学歴が人生に影響及ぼしてますからね。 Top数%は奨学金で海外の大学に行かせてもらえるのです。 日本のゆとり教育・・・反省されていて、また揺り戻しがきている、と読んだ気がするのですが、どうなんでしたっけ?
    junko October 12, 2008 11:00 PM
    月2~2.8万+税金で、ベビーシッター+家事全般してもらえるなら、ほんと安いよね。
    我が家では、結局メイドさんは雇わず、お掃除ロボットを購入する方向へ行きそうよ(笑)
    ところで日本の国際競争力、H8→H10で、4位→20位まで急落してるのって何故?
    評価基準とかが変わったのかしら??
    しん October 12, 2008 11:15 PM
    >言われているだけではなく、本当に学歴が人生に影響及ぼしてますからね。 Top数%は奨学金で海外の大学
    >に行かせてもらえるのです。
    それはやる気と言うより、必須になってますね。
    子供の時代から競争ってのは可愛そうな気もしますが。
    >日本のゆとり教育・・・反省されていて、また揺り戻しがきている、と読んだ気がするのですが、
    >どうなんでしたっけ?
    メディア情報ははっきりと覚えていませんが、
    友達で塾や予備校の教師、オーナーの話では、今の30、40代世代より、
    二極化しているので、できる子と出来ない子の差がテストする以前に、
    態度、心構えに現れるのでだいたい分かると言ってました。
    昔は、態度、心構えがなってなくても、出きる子はそこそこいたのですが、
    今は中間層の幅が狭くなっているみたいです。
    オレンジ October 13, 2008 6:24 AM
    おはようございます。オレンジです。あの後、『3週間続ければ一生が変わる―あなたを変える101の英知 』の原書『Who Will Cry When You Die?: Life Lessons from the Monk Who Sold His Ferrari 』をアマゾンアソシエイトで購入しました。
    ところで、記事とは関係なくてごめんなさい。英単語は英語→日本語で覚えてもいいのでしょうか?この方法ですと、英語のイメージがつかみにくくなるので、しないほうがいいという意見もあるみたいです。僕は最初に単語を覚えて、それから多読で単語のイメージをつかめばいいとおもっています。la dolce vitaさんは英単語を英語→日本語で覚えたみたいですが、そうすることによって弊害はしょうじなかったのでしょうか?もう昔のことななので覚えていないかもしれませんが、よければ参考意見をお聞かせください。
    la dolce vita October 13, 2008 9:21 AM
    >junko
    >我が家では、結局メイドさんは雇わず、お掃除ロボットを購入する方向へ行きそうよ(笑)
    お掃除ロボット・・・単なるH氏の趣味では?(笑) どんなやつ? webに載ってる?
    >ところで日本の国際競争力、H8→H10で、4位→20位まで急落してるのって何故?
    こちらのページ(↓)にIMD国際競争力ランキングのクライテリアが載っていて、
    http://www.imd.ch/research/publications/wcy/Factors_and_criteria.cfm
    こちらには(↓)、2002年の指標に基づいて解説がされている。
    http://www.iti.or.jp/kikan49/49wada.pdf
    「ランキング」というのは、他の国ががんばって自国がそのまま留まっていたら、相対的に低下するものなので、政府の政策とか経営慣行、労働市場は他の国ががんばって効率化を進めているのに日本が進んでない、ってことじゃないでしょうか?
    >しんさん
    ありがとうございます。
    >昔は、態度、心構えがなってなくても、出きる子はそこそこいたのですが、今は中間層の幅が狭くなっているみたいです。
    二極化ってこんなところまで現れてるんですね。 知りませんでした。
    la dolce vita October 13, 2008 9:40 AM
    >オレンジさん
    ご質問の件ですが、単語にはそのものズバリを現す日本語がある場合と、1対1で一致せずにいろいろな意味を含む場合とあると思います。
    例えば、雑誌を読んでいて「xxさんの死因は”stroke”だった」とあった場合、前後の意味から類推するにも限界がある(「死因」と書いてあるから病気か事故なんだろうけど、それ以上はわからん)ケースが多いわけで、この場合は英→日を引くと「脳卒中、脳梗塞」と出てきて一発ですよね。 このケースの場合は、さっさと辞書を引いた方が速いと個人的には思います。
    ただ、ほとんどの単語は上記のように1対1の訳にはならずイメージでつかんだ方がいいので、イメージをつかむ方法としては、
    1. おっしゃるように量をこなす
    2. 辞書の例文を全部読む
    でしょうか?
    >la dolce vitaさんは英単語を英語→日本語で覚えたみたいですが、そうすることによって弊害はしょうじなかったのでしょうか?
    深く考えたことありませんし、弊害の記憶もありません(そもそも英→日で覚えた、とかそういうone or the otherな方法を取ったつもりもないので)。 量をこなしてドンドン読めるようになると、自然に両方ミックスするようになるんじゃないでしょうか? 別に「絶対、英語で覚えよう!」と気張る必要もないと思います。
    デレク October 13, 2008 10:31 AM
    初めてコメントさせていただきます。
    いつも知的なブログで、興味深く拝読させていただいております。
    私の初めての海外旅行がシンガポールだったのですが、その時に、超学歴社会を知り、「日本でよかった」と安堵したのを覚えています。当時、日本はまさにバブル絶頂の頃でしたので、教育に力を入れる理由というのが、よく分かりませんでした(笑)
    その旅行の目的は、母の親友がシンガポールに住んでいましたので、遊びに行ったのですが、その時5歳だった子供は、幼少期を強烈な競争社会で生きたせいか、10年前に日本帰国後も、物すごい勉強量をこなし、今年日本の大手企業に就職しました。
    先日、久々に会いましたが、今後20年の目標を聞かせれ、とても22歳とは思えない話ぶりに、頼もしさを覚えました。
    ただ、その根底には、「幼少期にシンガポールで育ったせいか、勉強するのは当たり前という感覚」だそうです。
    完全に刷り込みされているようです。
    今となって、シンガポールの政策の効果が表れているようですね。
    今後もブログ楽しみしております。
    la dolce vita October 13, 2008 8:51 PM
    >デレクさん
    はじめまして。
    >私の初めての海外旅行がシンガポールだったのですが、その時に、超学歴社会を知り、「日本でよかった」と安堵したのを覚えています。
    私も安堵しております。 こういっては何ですが、見るからに「ガリ勉」みたいな子どもの比率が異常に高いように思います。
    >その根底には、「幼少期にシンガポールで育ったせいか、勉強するのは当たり前という感覚」だそうです。 完全に刷り込みされているようです。
    すごいですねー、私の友人もそうですが。 ただ、シンガポール政府はこれまでのやり方では先進国に追いつくことはできても今後、新しいものを創りあげる力は育たないことを認識していて創造力を生む施策も実施し始めています。 こちらの成果が出るまでに、まだ何年もかかると思いますが。
    beaver October 15, 2008 3:26 PM
    貧富の差が大きい国や外国人労働力が豊富な国はメイドを雇う家が多いですね。サウジアラビア人の共働き夫妻は、フィリピン人のメイドを連れてカナダに来ていました。同僚のなかではインド人、ブラジル人、サウジアラビア人で「カナダに来るまで、自分で料理したことがなかった。」という人がいました。「作り方がわからなかったから、とりあえず牛肉の塊に塩こしょうして、電子レンジに入れてみたけど、おいしくなかった。」などというエピソードも。
    どうも他人であるメイドが家にいるというのは落ち着かないので、夫に頑張ってもらうことにします(笑)。
    la dolce vita October 15, 2008 7:07 PM
    >beaverさん
    >サウジアラビア人の共働き夫妻は、フィリピン人のメイドを連れてカナダに来ていました。
    連れてくるっていう発想がすごいですよね? 電子レンジの話もネタみたいです。
    >どうも他人であるメイドが家にいるというのは落ち着かないので、夫に頑張ってもらうことにします(笑)。
    パートタイムで来てもらっても落ち着かないですか? うちは週1回掃除の人に来てもらっているのですが、慣れてしまいました。 夫婦喧嘩の種が減るのでお勧めします。
    junko October 15, 2008 8:17 PM
    参照サイト教えてくれてありがとう。
    なのに何故かPDFが開けず・・・>。<また明日にでも職場でトライしてみます。
    ちなみにお掃除ロボットのWebサイトはコレ(↓)
    http://www.irobot-jp.com/
    この前、H氏に連れられて行ったROBO JAPANに展示されてたのよ。←マニアックやろ~^^;
    約7万円らしいので、まぁ家政婦さん(5~7000円/回)よりは経済的かな。。。
    あと自動アイロンロボットさえいれば、完璧なんやけど!笑
    la dolce vita October 16, 2008 12:26 PM
    >junko
    >H氏に連れられて行ったROBO JAPANに展示されてたのよ。
    このロボット、たしかまだ日本にいたとき、テレビで見たよ! くるくる床を動き回るんでしょ?
    でも掃除って床だけじゃないんだけど(お風呂の水垢、キッチンのシンク汚れ、本棚に積もったほこり、etc.)、このロボットくんはそこまで手が届かないんじゃない?
    私としては人間の方がお勧めです(機転が利く、笑)。
    sunshine October 29, 2008 10:09 PM
    はじめまして。
    こちらは、雪が降っていて寒くて暇なので、アイスランドの破たんについて検索をかけていたら、とても素敵なサイトに出くわして思わず、コメントをしてしまいました。
    いやあ。本当に素敵なサイトですね。読み応えあります。
    私も子持ちなので、どこの国の子供が一番勉強していて、どこの国の子供が幸せで不幸か?とうことには興味があります。折しも、明日の夜は、日本人(我が家)、シンガポール人、オーストラリア人、中国人(北京出身)、韓国人の夫婦で会食があります。明日のディナーの話題はどの国が一番勉強しているかということで決まりそうです。シンガポールと中国と韓国、軍配はどこの国にあがるのでしょうか?但し、中学受験中の小学生に限っては日本に軍配が上がる気がするのですがねえ。。
    最後に la dolce vira って素敵な名前ですねえ。今度フランス人の友人に会ったら、この言葉にはどんなニュアンスがあるのか聞いてみたくなりました。
    la dolce vita October 30, 2008 1:02 PM
    >sunshineさん
    はじめまして、コメントありがとうございます。
    >アイスランドの破たんについて検索をかけていたら、とても素敵なサイトに出くわして思わず、コメントをしてしまいました。
    そうなんです、なぜか「アイルランド 破綻」でGoogleトップページにきてしまうんですよね・・・
    >折しも、明日の夜は、日本人(我が家)、シンガポール人、オーストラリア人、中国人(北京出身)、韓国人の夫婦で会食があります。明日のディナーの話題はどの国が一番勉強しているかということで決まりそうです。
    >シンガポールと中国と韓国、軍配はどこの国にあがるのでしょうか?
    楽しそうな会食ですね。 シンガポールは小学校4年生で最初の進路振り分けと聞きました。 日本人も東京と地方じゃ違うでしょうね。 私が小学生のとき(って何年前の話だ?)、中学受験の存在さえ知りませんでしたよ。
    ぜひ会食結果も教えてください♪
    sunshine November 1, 2008 12:07 AM
    昨日の会食の結果、一番勉強しているのはシンガポールの子供たちということになりました。但し、いつも自分が一番と思っている中国人は自国が一番だと言って譲らなかったですがね。
    シンガポールが一番を獲得した理由は、シンガポール人が一時帰国してアパートにいたら、夜中の2時くらいに子供の泣き声と親の叫び声が聞こえるので、理由を問いただしに行ったら、なんと、勉強中だったということ。もちろん、わが友人は子供は睡眠が一番必要なのよ。と諭して帰ったらしいです。
    それから、日本でも勉強している子は一部の子供のみだけど、シンガポールは民族間の競争があって、そのために全員の子供が猛勉強しているとのこと。もう、オーストラリア人は口がポカンとしてました。そのオーストラリア人の名誉のために言及しますが、彼らはかなりの高学歴で社会的にもステータスのある仕事をしています。ですが、子供のころにそんなに勉強するなんて、と、絶句状態でした。
    ところで、la dolce vitaのニュアンスを聞きたかった友人は、イタリア人の夫とともに、冬の間はフロリダに住むため、明日からフロリダに行くらいです。来年の春に、きいてみようっと。
    la dolce vita November 1, 2008 9:53 PM
    >sunshineさん
    シンガポール人でしたか・・・
    都市国家で「学区」に当たるものはないので(国内の小学校は誰でもどこでも希望できる、もちろん選抜あり)、全国統一学区で競争しています。
    オーストラリアはいいですよねー(住んだことありませんが)。 夫は「いい学校は私立だからお金かかるよ」と言ってますが。
    >イタリア人の夫とともに、冬の間はフロリダに住むため、明日からフロリダに行くらいです。
    あまりにもうらやましいライフスタイルなんですが・・・まさにla dolce vita・・・
    ところで、sunshineさんはどこにお住まいなんでしょうか?

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