このブログもだいぶいろいろな方からコメントを頂けるようになりました。
基本的にご質問頂いたことは何でも答えるようにしていますし、新たな視点がまた刺激になるので、「へぇー」とか「いや、それはちゃうんちゃう?」とか短くてもいいので、反応してもらえると嬉しいです。
気づいたのですが、マネー・ファイナンス系のトピックになるとトピックそのものに関するコメントは減りますね・・・ 難しいんでしょうか? 興味がない?
今日は日本にいる友人からのメールを引用しながら(本人の了解済)、私が重要だと思っている点もご紹介します。 反論歓迎。
以下、友人と私のメールのやり取り抜粋(前後で近況報告をし合っているので、こんなに冷たいやり取りではないです)。
友:インデックスとかすごく興味あるのだけど、いかんせん、平日、信託銀行に行って話を聞く時間がない・・・。
私:話聞きに行くくらいなら本読んだ方がよっぽどためになるよ、なぜなら彼らの仕事は「手数料の高い商品を売ること」だから。
友:あ、そうよねぇ。なので、銀行主催の無料のセミナーとか勉強会に参加して独学してたのだけど、今はそれも難しくて、。
結論からいきます。 私の思うところは2つ。
1. 「目の前の人は何でご飯を食べているのか?(給料の源泉は何か?)」を常に問う
2. 金融の世界にフリーランチはない(There ain’t no such things as a free lunch)
1. 「目の前の人は何でご飯を食べているのか?(給料の源泉は何か?)」を常に問う
メールのやり取りですでに書いてますが、証券会社の窓口(もしくは一見客を相手にする顧客担当)の仕事は「自社商品を説明すること」「自社商品を売ること」です。 それも「手数料の高い(もしくは利益率の高い)商品」を「何度も(&多く)売る」ことが仕事であり、間違っても一見客に「一番手数料が低い商品」を「買った後、30年持ち続けることを勧める」ことが仕事でもなければ「顧客のために親身にたったアドバイスをすることで、満足して帰ってもらう」ことが仕事でもありません。
生活のために与えられた職務を全うすることは当たり前なので、彼らを責めるのは筋違い。 また、金融機関の中で優秀と認められた人材は窓口に座って一般客を相手にしていることは(おそらく)100%なく、ポートフォリオマネジャーをやっていたり投資銀行部門で機関投資家を相手にしていたりするので、下手するときちんとした商品説明すらできなかったりするかもしれません。
2. 金融の世界にフリーランチはない(There ain’t no such things as a free lunch)
「無料セミナー」にかかるコストは無料ではありません。 会場費、講師の人件費、その他諸費用がかかっているので、これにかかった費用はどこかで回収する必要があります。 金融機関主催の「無料」セミナーの場合、費用回収は金融商品を売ることによって得る手数料収入です。 私もこれらのセミナーに何回か出席したことがありますが、セミナーによっては、30分アナリストとかが「BRICS市場の展望」を説明したかと思うと、後の30分はその金融機関が販売するBRICS投資信託の説明と資料配布だったりします。 例え、前半30分が聞きたかった内容だったとしても、後半30分は時間のムダですね・・・ 無料でいいセミナーはひとつもないので、もし行くのであればすでに評判が確立された有料セミナーに行きましょう(ただし、投資の世界は本当に怪しいものが多いので、選択には十分気をつけて・・・)
私もたくさん失敗した経験からの実感ですが、費用対効果、及び時間対効果が一番高いのは本だと思います。 勝間和代さんが『効率が10倍アップする新・知的生産術』で言っていますが、本の値段と価値には逆の相関関係があります。
マネー系雑誌は広告主の商品宣伝が入り、時節によってトレンドを追いかける(配当前なら「高配当銘柄特集!」など)ので全然ダメです(私は「安い」という理由で雑誌から株式投資に入りました、最大の失敗)。
1,000円台のソフトカバー本で、個人の一体験談はあくまでその著者の体験であり再現性がないので全くダメ。 著者の現職が金融機関・資産運用会社である場合は、その著者の業界・会社の宣伝本になっているという事実を割り引いて読む必要あり(上記ポイントの1. 参照)。
以前紹介した『お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践』もいいですが、株式投資の古典と呼ばれる『ウォール街のランダム・ウォーカー 株式投資の不滅の真理』
はお薦めです。 初版は1973年なのにその内容が色あせていないのが驚き(最新版ではきちんと内容も改訂されています)。
それにしても、私も今日書いたような内容を4年前投資を始めたときに知っていれば・・・ 痛みを伴わないと勉強しないのが人間なのかもしれません。
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December 31st, 2008 at 10:12 am
(過去のコメントは以下)
EDGE August 22, 2008 9:18 PM
挙げられているマルキールの本は(その主張と相反する行動を生業とする)アクティブファンド、ヘッジファンドの運用者からも高い評価を得ている良書ですし、多くの「不都合な真実」を知る上で必読書として勧めますが、所詮バックミラー運転の世界であることは留意が必要だと思います。
この分野は高価な駄本も多く、読み手の知識、スキルに依存すること大ですが、マルキールを評価されるのであれば、併せて投資が不確実性が短期間に顕在化しやすい分野であることを明快に解いて業界的には高い評価を受けているNicholas Talebの”Fooled by randomness” 邦題「まぐれ」と”Black Swan”を強く推奨します.
身もふたもなくて楽しい本ですよ(笑)。
la dolce vita August 23, 2008 12:05 AM
>EDGEさん
コメントありがとうございます!
>所詮バックミラー運転の世界であることは留意が必要だと思います。
そうですね、過去のパフォーマンスは未来を予測するものではない。 私は(少なくても私が生きている間は)世界の(日本の、ではありません)未来は明るいものと信じているので、株式市場全体には投資しますが、明るくなければどうすればいいかわからないですね・・・
>Nicholas Talebの”Fooled by randomness” 邦題「まぐれ」と”Black Swan”を強く推奨します.
ご紹介ありがとうございます。 Fooled by randomnessは読みたい本リストに入っていましたが、Black Swanは初耳です。 早速、読んでみます。
>身もふたもなくて楽しい本ですよ(笑)。
そういう本、好きです。 楽しみにしています。
basilika August 24, 2008 4:47 PM
個人的な意見としては、投資の正否を決める8割は精神的なもの、と思っています。
なんらかの試験や試合でも、本番で実力を出せるかどうかは、精神的なものが大きいですよね。
しかしながら、勉強もせずに始めることは、敵陣の中に武器も持たずに踏み込むようなもの。
カモにされて終わり、なんて私はいやです~。
文中のお友達には、吉本佳生著の『金融広告を読め』がおすすめできるのではないでしょうか。
少なくとも、何も知らずに信託を買うなど、金融機関にだまされることは減ると思います。
la dolce vita August 24, 2008 9:06 PM
>basilikaさん
>個人的な意見としては、投資の正否を決める8割は精神的なもの、と思っています。
>なんらかの試験や試合でも、本番で実力を出せるかどうかは、精神的なものが大きいですよね。
なるほど、試験や試合で自分の精神状態をコントロールして勝つことは容易に想像できますが、投資で例え精神状態をコントロールできたとしても、外部の不確実要素が多すぎて、勝てる状況が簡単に想像できないんですけどね・・・
ま、「勝てる」というのは、どのくらいのタイムスパンのことかによるので、私は長期で世界の市場の成長を信じることにしました。
>文中のお友達には、吉本佳生著の『金融広告を読め』がおすすめできるのではないでしょうか。
ご紹介ありがとうございます。 友達もこのブログを読んでいると思います。
basilika August 25, 2008 12:46 AM
そうですね、言いたいことをうまく伝えられなかったかな、と思います。
自分のルールを作り上げ、それを守り抜く精神的強さ、のことを言いたかったんです。
多くの人にとって難しいことの一つに、損切りのタイミングがよくあげられますよね。
外部の不確実要素というのは何にでも常につきまとうものだと思います。
私は投資資本に不安があるので、長期は不利ですね。お互い、うまくいくといいですね!
la dolce vita August 25, 2008 9:21 AM
>basilikaさん
>多くの人にとって難しいことの一つに、損切りのタイミングがよくあげられますよね。
私は見事に損切りができなかったので、耳が痛いです。 短期投資では、本当に精神的強さがモノを言うんでしょうね。
>私は投資資本に不安があるので、長期は不利ですね。お互い、うまくいくといいですね!
そうですね! まだ投資ではちっとも成功していないので、ブログでもちょこちょこ進捗公開していこうと思っています。 また、いろいろと情報交換お願いします。
January 3rd, 2009 at 10:30 am
>1. 「目の前の人は何でご飯を食べているのか?(給料の源泉は何か?)」を常に問う
理由って大事ですよね。本質を理解する必要があるかと思います。
理由によって意思決定が変わりますし。
>2. 金融の世界にフリーランチはない(There ain’t no such things as a free lunch)
#無料ほど高い商品はないとも言いますしね(笑)
証券系はあまりやってませんが、個人的に思うのは売るタイミングと買うタイミングを
いくらか最初に決めておく。後はタンス貯金的に放置しています。時がきた時に売る。
暴落や紙切れになってからでは遅いと言うリスクはありますが、株価チェックにかける時間
コストは浮くので、OKかなと。(買ってる金額も少ないので)
株を勉強することによって、世界情勢や意思決定をする機会が増えるので、決断力が鍛えられるかなと。
自分はどんな理由で意思決定しているのかなと。メモしていると後から見ると面白いです。
投資スタイルによるのかなと。ちなみに私はバリュー投資が好きです。
January 3rd, 2009 at 8:54 pm
>しんさん
>ちなみに私はバリュー投資が好きです。
バリュー投資、できたらいいですよね。 バフェットみたいに、自分に理解できるビジネスで30年先も持ち続けたい銘柄でしたっけ?
私はそれすらもできないので、ブログに書いているとおり、マーケットと運命を共にすることにしました。