昨晩これを書いているとTwitter上に次々と流れてくる「人生は厳しい・・・」「一発勝負の世界は厳しい・・・」という悲鳴にも似たツイートで何があったかすぐわかってしまいました。 BBC以外ほとんど見ないので昨日だったことも知らなかったのですが・・・ 同時にこれだけの人が早朝まで起きて見ている彼女の背負っているものの重さも感じました。 今日は笑顔が見られるといいですね。
さて、
欧米エリートには勝てないから○○
(○○には適当に最近の流行り言葉を入れてください)という言い回しに何とも言えない違和感を感じます。
一応、私自身「欧米エリート」の受けた高等教育を受け(東洋経済のコラムにあるくらいだから、一般的にはそういう認識なんでしょう。→『グローバルエリートは見た!』)、コラムにあるような友人が周りにたくさんいて、彼らが受けたような早期教育を息子が受けているのですが、「エリート教育」という言葉でイメージする「スイスのボーディングスクール」的な手の届かないところではなく、普通の公教育が大事にしている視点、社会が理想としている前提・土台・基礎の部分が違うんだなー、と感じ始めています。
それは、
– 自分の意見や視点を持つ
– 自信を持って人前で発表する
– 多様性を受け入れ、多様であることを良いとする
– 正解を探すのではなく、自分の答え・ストーリーを創造する
というようなことが、普通の保育園・小学校で重視されているからです。
先日、息子たちをナーサリー(保育園)に迎えに行ったところ長男(来月4歳)のクラスで、
今日は○○くん(長男)は、立派にみんなの前でStory tellingをしました。
と言われました。 何のことかと思いきや、3 – 4歳の子どもが集まるこのクラスでは、ひとりずつみんなの前に立って自己紹介をし自分がつくった物語(ストーリー)を語ることが奨励されているそうです。 今まで恥ずかしがって嫌がっていた長男が初めて立派にみんなの前で王子さま・お姫さま・恐竜などたくさんの登場人物・動物が出てくる話をしたとのこと。 重要なことは、物語の内容ではなく、自信を持って話せること、自己紹介から始めてきちんと起承転結がある話ができること、だそう。
ビックリしました、ほんとに。 日本でも素晴らしい想像(創造)力を働かせてお母さんに自分のつくった話をする子はたくさんいると思いますが、それをみんなの前で発表することを奨励されましたっけ? 私の記憶では小学校でもありません(注)。
注:「私の記憶」ってそれいつの話?なので今は違っていたらご指摘ください。 ただ私立やインターナショナルスクールではなく普通の公立学校を話題としています。
話が飛躍しますが、うちには日本の絵本と英語の絵本がたくさんありますが、日本の絵本がしつけ・教訓的な内容があまりにも多いのに対し(例:ノンタンシリーズ、しろくまちゃんシリーズ)、英語の絵本は大人でもワクワクするようなファンタジー・想像の世界を描いた絵本が多いです。 これは日本で戦後、母親が家庭でしつけをしていたので子どもの想像力を掻き立てるための本ではなく母親のしつけを助けるための本が量産されたのだからではないでしょうか。 日本の絵本でも昔話にはファンタジーが多いですね(例:かぐや姫・花咲じいさん)。
もうひとつ、長男が今年の9月から小学校なので近所の公立小学校に学校見学に行ったときの話(イギリスはレセプションクラスという準備クラスが小1の前にあり、4歳の9月から始まります)。
ヘッドマスター(校長先生)が学校を案内しながら、一般的に小学校低学年は男の子の発達(特に読み書き)が女の子より遅れるので、そういう子たちに興味を持たせる試みのひとつを話してくれました。
この小学校には各クラスにマスコット(動物のぬいぐるみ)がいてみなが世話をしています。 ある朝、朝礼で全校生徒が集められ、先生からこういう話がありました。
昨夜のうちに泥棒が侵入し、全クラスのマスコットが誘拐された。 あなたのクラスのマスコットが誘拐されてから救出されるまでの物語を書きなさい。
校長先生いわく、最もエキサイティングで創造的な物語を書いて発表したのは、普段作文のクラスで嫌がって何も書かない男の子たちだった、とのこと。 学力テストや生活態度の観察に押し込めるのではなく、あらゆる角度から良さを引き出そうとする姿勢を感じて親一同は感心。
これは、早期教育・初等教育が何を重視しているか、というほんの一例です(多様性を認めるところも徹底していますが、長くなったのでまた今度)。 もちろん日本の早期教育・初等教育では日本人の美徳として讃えられる「礼儀正しい」「秩序ある」「和を重んじる」「集団としてレベルが高い」などが重視されているのでしょうし、どちらがいいとか悪いとかそういう問題ではありません。 一方、「幼少期から英語を勉強すればいい」とかそういう問題でもないと思います。
ダニエル・ピンクが何かの本で、時代の変化に対応するのが早い順に、民間>NPOなど非営利団体>政府>教育機関、とあげていました(うろ覚えですが)。 人としての土台をつくる早期教育・初等教育がこんなにも重要であるならば、とりわけ変化に疎い公教育機関任せにしている場合ではなく、子どもが社会に出る20年後を想像しながら親がポリシーを持っていなければならないんだ、と今さらながらに思います(→『20年後に活きるクリエイティビティー』)。 いやあ、大変な大仕事です。
February 20th, 2014 at 10:21 am
欧米って考え方が全然違いますね。日本は学力が全てみたいな風潮があるけど。
February 20th, 2014 at 8:45 pm
真央ちゃん6位でしたね。でも、自己最高得点だし、演技も良かったと思います。
February 26th, 2014 at 8:10 am
真央ちゃん、よかったですね。
こちらはほとんど冬季オリンピックはカバーされていないので、いまだ真央ちゃんの演技も1回YouTubeで見ただけです(すぐ削除されてしまったみたい)。
February 24th, 2014 at 2:07 am
それと日本の小学校が良しとする作文の随筆風な書き方と、英文のエッセイの構成の仕方はまるでちがうじゃないですか。
私はUndergraduateのころ、Blue bookのエッセイ答案を書くのに七転八倒した覚えがありますが、娘は小4からそれらしき書き方を習い、中学が終わるまでにはちゃんとマスターしていたのにはビックリしました。あれではかなわん。
February 25th, 2014 at 8:28 am
tygertygerさん
お久しぶりです。 たしかに英文エッセイは構成がないとどうにもならないですね。 私は3歳のストーリーのプレゼンで自己紹介と起承転結(Beginning、Body、Endingがあること)が重要だと教えられているのを見て驚愕しましたが。
February 25th, 2014 at 6:16 pm
三つ子の魂なんとやら。森元首相が真央ちゃんがいつも大事なときに転ぶ発言で大分叩かれていますね。あれはもっと叩かれるべしで、ちゃんと前もって言いたいことを頭の中でしっかりと整理しておかないと、こういうヒドイことになりますよという良い例。
February 25th, 2014 at 6:40 pm
お勧めの本の紹介ですが、古い情報なので、新しくしたほうがいいと思います。僕は買うとき戸惑いました。ところで、不躾な質問してすみませんでした。でも、葉子さんの記事が面白いので、また寄らせていただきますね。よろしくお願いします。
February 26th, 2014 at 8:09 am
ああ、そうなんですよ。
書いてる本人がお勧め本のリンクがブログ上にあることを忘れてるくらいで・・・ リンク外しておきます、あまりに古すぎるので。
February 25th, 2014 at 6:44 pm
書くの忘れてました。ご結婚、出産おめでとうございます!