ロンドンでは”SUSHI”が本当にどこでも見られるようになりました。 今ではどこのスーパーでも売ってるし、サンドイッチ屋でも売ってる。 どこでも「見られる」だけで「食べられる」わけじゃないんだけどね・・・
大手サンドイッチチェーンのPret A Mangerの寿司はシャリがあまりにも機械で固められすぎて落下させたらはずむ、との報告まであります(笑、→『ロンドングルメ – 持ち帰り寿司食べ比べ、落ちても崩れぬ固さに絶句』)。
基本的に、世界のSUSHI業界は、少数の本物志向レストランと多数のなんちゃってSUSHIに分かれており、前者は日系、後者は中国・韓国など非日系が経営しているという人が多いと思います(農水省がスシ・ポリス設立してましたね・・・→『なんちゃって日本食レストラン』)。
今日はカリフォルニア・ロールなど寿司ではなくSUSHIとして知られるロール寿司で有名なGENJIをご紹介。 このアメリカではお馴染みの寿司テイクアウェイ・チェーンは日系で、イギリスのManaging Director(社長)を私の友だちYくん(INSEAD卒)がやっています。
Whole Foodsというオーがニック・スーパーと共に急成長したGENJI、ロンドンではケンジントンという高級住宅街に3階建ての旗艦店の中、店内の自然光降り注ぐ一番いい場所にイートイン・スペースを構えています。 お客さんは近所の住人や観光客、日本人は1%くらい、とのこと。 店員は半分近くは日本人。
最近のお薦めのうなぎ・アボカド・ロールとソフトシェル・クラブ・ロールをご馳走になりながら、いろいろ話を聞いたのですが、実に面白かった。
1. 日本の外食産業が外に出ていく将来の形
GENJIは日本人よりローカル客(アメリカ人・イギリス人)の圧倒的な支持を得ているのですが、Yくんが語ってたのが「日本は人口が縮小していくのでどの産業も外に出ざるを得ない。 これがひとつの形なのでは」。 日本人の私が食べても「寿司」と思わず”SUSHI”だと思えば美味しい、素材は新鮮だし、サステイナビリティにも気を使っている。 実際、魚の質は値段に比例するので、NOBUなど高級和食レストランと同じ魚卸し業者から調達しつつコストパフォーマンスを出しているらしい。
オーナーは日本人で、今まで社長は日本人だったり非日本人だったり。 SUSHIが世界的に広がる起爆剤となったカリフォルニア・ロールも、まるでアメリカ人考案のように言われているけど考案者は日本人だったそう。 日本にだって創作和食レストランはたくさんありオリジナリティがないわけじゃない、現地の人の舌を喜ばせるのが、これからの外食産業の外の形。
2. 日本人が外に出ていくひとつの形
Yくんは大学卒業まで日本で暮らし、新卒で戦略コンサル入社。 INSEAD留学を経てロンドンで働き始め、3年前GENJIに現地採用され、今はイギリスの社長です。
ここ最近、ユニクロや楽天など日本の企業が英語を社内公用語にしたり(*1)、パナソニックが新卒の8割を外国人にしたり、日本の採用慣行を揺るがすようなニュースが相次いでいます。 それはいいのですが、「相変わらず日本人は日本の本社で雇うの? ”グローバル人材”なのはいいけど、どこの国に送られるかは会社任せ? いまだ駐在員と現地採用の二重給与体系なの?(社長は本社から送るの?)」(*2)と思っていました。
*1・・・『楽天の社内英語公用語化』、『どうやって英語が世界語になったのか』
*2・・・『最近、本気で憂えること』
Yくんのケースは、なかなか新しいケースです。 海外留学してそのまま現地で就職したい人にも魅力的なオファーですよね。
「日本にいた頃のように他人と比較する人生から抜け出して幸せ」とも言っていました。 たしかに他人と比較する人生に幸せはない。
こんな風に未来を感じられるGENJI Kensington店の場所はこちらです。
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