昨日の続き。
Appleのスティーブ・ジョブスみたいなビジョナリーはどうすれば生まれるのか? イノベーターは生まれつきか、それとも学べるものなのか?という難題に挑んだのが『イノベーションのジレンマ』の著者、HBSのクリステンセン教授。 共同で革新的な企業を起した起業家3,000人と新製品を開発した500人にインタビューした結果が”The Innovator’s DNA”として発行されました(『The Innovator’s DNA』
という本も出版されていますが、同タイトルでPDF指定して検索するとHarvard Business Reviewの記事が読めます)。
(クリエイターとイノベーターは厳密には違うんだろうけど、イノベーターはクリエイティブなアイデアを使って変革まで起せる人のことだと解釈してます。)
以下、要約。
イノベーターは左脳と右脳の両方を使い、新しいアイデアを生み出すために5つの”discovery skills”(発見のスキル)を研ぎすませている。
1. 連想のスキル
一見すると関連がなさそうな、違う分野からの質問・問題・アイデアを関連づけ連想させることはイノベーターのDNAの中心である。
経験や知識の幅が広いほど脳は多くの関連づけを行うことができる。 Appleのスティーブ・ジョブスが言うように「クリエイティビティーとは物をつなげること」。
連想のスキルは心の筋肉のようなもので他の発見のスキルを使うことで、より鍛えることができる。
2. 質問のスキル
ピーター・ドラッカーが50年以上も前に言ったように「重要なことは正しい答えを見つけることではなく正しい質問をすることだ」。
ほとんどのマネージャーが「”How”(どうやって)既存のプロセス(現状)を良くできるか?」に集中しているのに対し、イノベーターはそもそもの前提に疑問を呈している。 聞くべき質問は”Why not?”(なぜxxできないのか?)、”What if?”(もしxxしたらどうなるか?)
ほとんどの人は現実に障壁が出てきたときに対応を考えるが、イノベーターはわざわざ障壁を仮定し突破方法を編み出す。
3. 観察のスキル
まるで文化人類学者や社会学者のように他人を観察することによってビジネスのアイデアを得ることが多い。
IntuitファウンダーのScott Cookが会計ソフトQuickenのアイデアを思いついたのは、自分の妻が会計をつけるのに四苦八苦していたのを見たときだった(Scott Cookはライフネット副社長の岩瀬さんをインスパイアした人→こちら)。
4. 実験するスキル
イノベーティブな会社は例外なく意識的に、無意識に、実験し続けることをコアの活動にしている。
AmazonのJeff Bezosはトライ&エラーし続けることを企業カルチャーの根幹にしているし、IntuitのScott Cookも「イノベーションのカルチャーと普通の企業カルチャーが根本的に違うところは、たくさん失敗をすることを許しプロセスの過程で学んでいくところだ」と述べている。
違うカルチャーの国に住み働くことによってイノベーター度はあがる。 住んだことがある国が多ければ多いほど、その経験を活かして革新的な製品・プロセス・ビジネスを生み出せるという研究結果も出ている。
5. ネットワーキングのスキル
ほとんどのエグゼクティブが何かを得ようとしたり自社を売り込んだり自分のキャリアのためにネットワーキングするのに比べ、イノベーターは異なるアイデアや視点を持つ人と出会い自分の見識を広げるために人と出会う。 常に外国へ出かけたり、全く違う人生を歩む人と出会う努力をする。
彼らはTEDなど世界中から多くの分野の人(アーティスト・起業家・学者・政治家・冒険家・科学者・思想家、etc.)が集まる場所に出かける。
イノベーター思考が生まれつき備わっている人もいるが、実践によって伸ばすことができる。 遺伝ではなく積極的な努力なのだ。 Appleのスローガン”Think Different”はすべてを現していない。 イノベーターは絶え間なく”think different”のために”act different”しなければならない。
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