「あーあ、ここまで言うか」って記事ですごい反響になってます、The Wall Street Journalに掲載されたイェール大学教授Amy Chuaの“Why Chinese Mothers Are Superior”。 大西洋を越えてイギリスの新聞でも話題になっていました。
WSJ.com : Why Chinese Mothers Are Superior
先に出版された著書『Battle Hymn of the Tiger Mother』から一部抜粋された内容ですが、ざっくり言うと「なぜ中国系の子どもが学力テストや音楽コンクールの上位を独占してるんだと思う? それは中国系の母が自らの人生を捧げて教育してるからよ」と自分の2人の娘に施した家庭でのスパルタ教育ぶりを明らかにしたもの。
日本語版に一部訳されていますが(↓)、自身の2人の娘が子ども時代に「してはいけないこと」リストがこちら。
ウォール・ストリート・ジャーナル日本版:中国の母の恐るべきスパルタ教育
- 友達とのお泊まり会
- 放課後、友達と遊びの約束をすること
- 学校の学芸会に出演すること
- テレビやテレビゲームをすること
- 自分で課外活動を選ぶこと
- A以外の成績を取ること
- 体育と演劇以外の科目で成績トップにならないこと
- ピアノとバイオリン以外の楽器を習うこと
・・・etc.
ギャグかと思うほどすさまじいのですが、Amyさんは大まじめ。
“Chinese parents”と”Western parents”を比較し、中国系の親は「子どもはラクな方に流れるに決まってるのだから”自主性”なんかに任せていてはいけない」、「何事もうまくなるまでは辛いに決まってる」、「子どもにとって何がベストかは親が知っている」、「子どもは永遠に親に負っている、親に従い親を誇らしげにさせるのが子の勤め」、「中国系の母親は子どもにすべてを捧げる」、「子どものためを思うからこそ厳しくしつけ、将来に備えさせるのだ」と持論を展開。
“Parenting”(日本語でうまい訳がないけど「親によるしつけ・教育」)スタイルが違う、という話なのですが、『アジア人はなぜ数学ができるのか』にも書いたように「アジア系は学力が高い」というトピック、アジア人以外(主に白人系)は嫌います。 それでも痛いところを付かれたと思う人が多いのか、反響(もっぱら反論)がすさまじく(現在この記事へのコメント数6,991)、(”Western parents”を代表して)ユダヤ系の母親から反論記事まで。
WSJ.com : In Defense of the Guilty, Ambivalent, Preoccupied Western Mom
ま、Parenting styleは人それぞれですが(うちの場合まだ赤ちゃんなので、そこまで考えが及んでいない)、「中国系の親」のしつけが(一般的に)この記事の通りだとすると、「学力テストや音楽コンクールで1位になること」と「子どもの将来の幸せ」がイコールで成り立っているというのが根本的な前提。 私はそもそもその前提を疑っているし(多少の関連性は認められるだろうけど相関1ではないと思う)、今後その前提ってどんどん古くなっていくと思うんだけどなー どうでしょう?
NSさんから教えてもらいました。 WSJの記事では、実際の本(Amyさん個人の追想録 – 親として一人前になるまでの葛藤や自分が固執していたしつけ法の見直し – であり、How to本ではない)の前半の極端なエピソードだけが引用され本人が意図したものと違った形で出てしまったようです。
下の記事が参考になります。
SFGate : Mother, superior?
January 19th, 2011 at 12:07 pm
この記事、実は数日前に息子と読んでいたのですが。
そのときのコメントです。
「あほちゃう?」
「日本人でよかった」
です。
January 19th, 2011 at 2:17 pm
結局、金ですね。ChineseはPRCに限らず際限のない欲望と自分、家族で思考が成り立っているようですね。母親の権限、決定が強いのも特徴。
January 19th, 2011 at 2:41 pm
すごい記事だと思いました。
中国や韓国では日本より熾烈な学歴社会だとよく言われていてこの記事に似たようなスパルタ教育のようなものが
よく記述されていますが、これを強いている親自身は実際にそのような経験をしたのでしょうか。
いつもこんな事を思ってしまいます。
言っている本人がこれを強いることに対して、それなりの根拠や自信の経験を反映させれば子どもでも
納得してくれるのではないかなと思います。(子どもどころかまだ結婚もしてない身分でこんなこと言ってすみません)
日本は良くも悪くもアジアであってアジアではないのかなと思ってしまいます。
#数学系は西洋よりも強く英語は弱いといったアジアらしさ(?)がある一方で
国民の成熟度(民度?)など世界の先進国といわれている国々と同等(?)であり
近隣諸国よりも成熟はしている・・・こんなイメージを持っています。
January 19th, 2011 at 10:08 pm
日本人でも、ちょっと教育熱心な親なら、ここまで極端じゃなくても、結構普通にある話だと思います。お受験ママって正にこの世界です。
詰め込み(押し付け)教育にトラウマを抱えている人も多いし、またYokoさんが書かれている通り、痛いところずばりをつかれたと感じる人が多いというのが真実かな~と思います。 これだけ反対者の声が大きいと、”これ、そんなに驚くこと?結構普通だと思う” なんて怖くていえなくなってきます(笑)
親として個人的には、わが子が、放っておいたら平均か平均より下のパフォーマーらしいとわかった時点で、真価が問われるかと思います。 放っておいてもできる子供の親が、うちは詰め込み教育には反対、のびのび育てます、といってもあまり説得力ない、結果論だよ、と思えます。
私も関連記事書いておりますので、よろしければご参考に。
http://www.suzukinoriko.com/2011/01/blog-post_13.html
January 20th, 2011 at 2:07 am
私のまわりでもすごい論争となっています。日本人は皆批判的なようですね。
でも、彼女のやり方も一理あると私は思います。80年代にアメリカに留学していたとき、ダメダメアメリカ人キッズが両親に褒められてるのを見て、これではろくな大人にならないのでは?と思ったことを思い出しました。
January 20th, 2011 at 2:13 am
これだけ話題にれば、本のいいPRになったでしょうね。Amyさん、してやったり?
January 20th, 2011 at 4:10 am
タイムリーな話題の選択、本当に感心してしまいます。こちら(NY)でもこの記事かなり話題になっています。
私の職場にも中国系アメリカ人が非常に多くいるので、彼らの育ってきた環境については普段から話を聞いたり、議論をしたりしていて関心をもっていました。今回の記事・著者のやり方については極端な部分も多いかと思いますが、基本的な考えは、”High Achiever”になること、そうすることで、後々、どんなことに興味を持ったとしてもその分野で成功できる(別に経済的・社会的な成功だけでなく)、ということかな、、、と感じています。
そうはいってもこれまでは、投資銀行に行くことが成功というような風潮もあったようですし、それが最近、大分変わってきていろんな分野に行くようになった、見たいな話も目にします。例えば、ファッション業界なんかも大分増えているようです。ただ、そもそもアジア系アメリカ人の人口自体が増えている可能性があるので、きちんとした相関はわかりませんが。ちなみに、日本版の記事ではMainland Chineseの話みたいなまとめ方されてますが、元のWSJとちょっと違う気がするのですが。。。
January 20th, 2011 at 11:50 am
>sunshineさん
>「あほちゃう?」
子どもで「ママもこうして!」って人はいないでしょうね(笑)
>harahireさん
>母親の権限、決定が強いのも特徴。
そうなんですかね? 家父長制なんだと思ってました。
>tkykさん
>言っている本人がこれを強いることに対して、それなりの根拠や自信の経験を反映させれば子どもでも納得してくれるのではないかなと思います。
もともとの本は、2番目の娘がこのスタイルに抵抗を続け、Amyさん自身も一部見直すという葛藤も綴ったものだそうです(ブログ本文に追記しました)。
January 20th, 2011 at 12:00 pm
>NSさん
>親として個人的には、わが子が、放っておいたら平均か平均より下のパフォーマーらしいとわかった時点で、真価が問われるかと思います。 放っておいてもできる子供の親が、うちは詰め込み教育には反対、のびのび育てます、といってもあまり説得力ない、結果論だよ、と思えます。
その通りですね。 「放っておいたら平均か平均より下」って何歳くらいにわかるんでしょうか?
NSさんのエントリー、ご紹介ありがとうございました(ブログ本文に追記しました)。
ところで「たかがスポーツ、されどスポーツ」は全くもってその通りで、夫はうちの子どもが何のスポーツをするべきか、今から入念に考えてます(イギリス & オーストラリアで「ポピュラー」な子がするスポーツはアメリカと異なります。 そのうち記事にします)。
「映画『リトル・ダンサー』(原題:”Billy Elliot”)みたいに、バレエやらせようよ〜」と言ったら「男の子がバレエなんてありえない!!!」と猛反対(笑)。
>ろちょーるさん
>80年代にアメリカに留学していたとき、ダメダメアメリカ人キッズが両親に褒められてるのを見て、これではろくな大人にならないのでは?と思ったことを思い出しました。
状況、とてもよくわかります(笑)。
>gshibayamaさん
>これだけ話題にれば、本のいいPRになったでしょうね。
本が売れた代りに家に脅迫状まで届いたそうですよ(追記で書いたSan Francisco Chronicleの記事に載ってました)。
>Playlandさん
>基本的な考えは、”High Achiever”になること、そうすることで、後々、どんなことに興味を持ったとしてもその分野で成功できる(別に経済的・社会的な成功だけでなく)、ということかな、、、と感じています。
たしかに「何事も上手くなるには努力と練習が必要」というのは教えるべきことだと思います。
>ちなみに、日本版の記事ではMainland Chineseの話みたいなまとめ方されてますが、元のWSJとちょっと違う気がするのですが。。。
おお、日本版の記事ちゃんと読んでませんでした。 一応、WSJ日本版なのに、、、変ですねー
January 21st, 2011 at 5:17 am
WSJよりかGuardianの記事のほうが背景がよく分かりますよ。
http://www.guardian.co.uk/lifeandstyle/2011/jan/15/amy-chua-tiger-mother-interview
Amyさんの両親はフィリピン在住の福建系で、そこから米国移住したというから、Immigrant ethicが2倍にかかっちゃってるみたい。だから娘さんたちがエライ目にあった。
でもうちのムスメの育ち方を考えるに、私ももう少し気合をかけても良かったかなと思います。
ところで、bilingualに育てたい男の子向けのスポーツとして、なにか武術などいかが?
剣道、柔道、合気道、空手などなどおすすめですね。体を動かしながら、日本文化を学べるみたいです。
January 24th, 2011 at 10:18 am
>tygertygerさん
>WSJよりかGuardianの記事のほうが背景がよく分かりますよ。
ご紹介ありがとうございます!
>bilingualに育てたい男の子向けのスポーツとして、なにか武術などいかが?
>剣道、柔道、合気道、空手などなどおすすめですね。
Good idea! 私も夫もチームスポーツだったので思いつきませんでしたが、スポーツは1つに限る必要もないですしね。
January 28th, 2011 at 10:20 am
直接関係はないかもしれませんが、中国の状況も考慮する必要があるかな、と思います。
中国は、所得格差が日本や米国の比ではなく、内陸部と沿岸部の高学歴者では100倍以上の差が普通にあります。
「ゆとり教育」も良いですが、結果、子供の年収(Not月収)が5万円になる可能性が、普通にあるわけです。
また、内陸部と沿岸部には、戸籍の問題もあります。
自由に引っ越せる日本や米国と違い、内陸部の戸籍の人は、一生、内陸部の戸籍で
就職や年金・医療で差別を受けます。
その戸籍を、一生に一度だけ、変えられるチャンスが受験なのです。
もっと遡れば、下放や天安門事件等の状況もあります。
そのような背景を持つ中国の人々にとっては、
教育とは命がけであり、まさに「人生を懸ける」べきものです。
米国や日本の基準では計れない世界も世の中にはあります。
January 30th, 2011 at 5:32 pm
>Starfieldさん
Amy Chuaさんの場合はtygertygerさんの言うとおり、immigration ethicだと思います、中国本土の事情よりも。 移民ファミリーは程度の差こそあれ似たような状況は多いですよ(イギリスのインド系移民もマインドは似ている)。