サウジアラビア便り – 3

サウジアラビア便り最終回(第一弾第二弾)。
私には全く未知の国ですが、ブログに書いた途端にリヤド在住者や経験者にコメントでもっと詳しく教えてもらえたりして、ブログの威力を改めて感じる毎日。
最終回の今日は『サウジアラビアのワーク・カルチャー』。

『ワーク・カルチャーと7時間会議』
サウジアラビア人はおしゃべりが大好き、おしゃべりを聞くのも大好き。 これは職場でも当てはまる。 クライアントとボクたちが書いたプロジェクト・レポートについて議論するために出張するのだが、この会議の平均時間が7時間、最短で4時間かかる。 仕事においてすぐ本題に入り議論のポイントをダイレクトに議論することに慣れている欧米人が(シンガポール人でも)数分で話す内容は、彼らにかかると10 – 15分かかる。 これは全く議論と関係ないトピックやボクたちや自分の同僚に対するお世辞なども含まれる。 また会議に出席している全員が、時には人が話している最中に割り込みながら、すべてのトピックについて意見を述べる。 そしてその全員が同じくらい長く話す(ちなみにクライアントの社員は全員男性である)。 その結果、欧米やアジアで1日会議をやればできるようなことに2週間もかかる。
サウジアラビアでこの長時間会議を避けてビジネスをすることはできない。 またface-to-faceで話すことを非常に重んじる文化でもあり、E-mailや電話会議はコミュニケーションの手段としてはかえって非効率なほどである。 電話はE-mailでは言わんとするところはよく誤解され、クライアントは突然怒り出したりする。 ところが、面と向かうと、クライアントは(時には過剰なほどに)いつも丁寧な物腰で、物事は解決に向かう(それでも、7時間会議の末に、だが)。

30秒で話せる内容に10 – 15分かかったり、会って話さなければ気が済まない人は日本にもいたなー、と思い出したり・・・


9 responses to “サウジアラビア便り – 3

  • sakuramura

    はじめまして(だと思います)。以前からこちらのブログを読ませていただいていました。
    サウジアラビアなんてまったく未知の国だったので、一連の記事を興味深く読みました。
    女性差別(というか、区別なんでしょうね、彼らにとっては)や今回の「対面の長い会議」など、「グローバリズムの席巻した現代でも維持できているんだ」とびっくりしてしまいます。
    これもそれも、彼らが「外国にとって価値のあるもの」を持っているから(外国に対して強みがあるから)ですよね。
    もしそうでなかったら、誰もこの国に毎日7時間おしゃべりするために出向かないでしょう。
    ガラパゴス化しつつある日本とは別の意味で「非常にユニークに閉じた国」という感想を持ちました。
    子育てでお忙しい中、楽しい記事をいつもありがとうございます。

  • 臥竜

    アラブ人が「Arabic Time」で動いており、待ち合わせ時間をきっちり守る日本人がいつも待たされる、というのは知っていましたが、まさか時間感覚がこれほど違っているとは思っていませんでした。彼らの考える「効率」と私たちの考えるそれとは全く違ったものなんでしょうね(それとも、もともと「効率」などということを意識した経験がないのかもしれませんが)。
    イスラム教信者は宗教上の義務として「礼拝」を行わなければなりませんが、仕事をわざわざ中断して、しかも一日5回もお祈りすることは、日本人にとっては奇異なものに映ります。私がリヤドを訪れてアラブ人ビジネスマンと一緒にオフィスで過ごしていた時、お昼の12時になるといきなり彼が「ちょっと失礼」と言って目を閉じてコーランの文句を唱え始め、オフィスの床にひざまずいたのには正直驚きました。
    また、夕方5時ごろになると町中の電柱に設置されている拡声器からコーラン読誦の声が流れ、それに合わせて一般の人々が小さな路地に一斉にひざまずいて祈っているのを目撃したりしたのも私にとって衝撃の光景でした。
    こういった行為は、いわゆる「宗教心」のきわめて薄い日本人には「時間のムダ」のように感じられ、一朝一夕には理解し得ないものであると思われます。ですから、単に時間を守ることのみを重視してその内容をあまり問うことのない日本人の時間感覚は、逆にアラブ人の立場から見ると意味のないことに感じられるのだと想像します。現代のスピードと効率に過剰に適応した日本人の持ち合わせない独特の時間感覚が、実は生きていくことにおいて重要なことなのではないでしょうか。

  • tsubaki

    こんばんは。久しぶりにお邪魔しました。
    私は対個人でしか付き合ったことがありませんが、中東は欧米のカルチャーに慣れきった私たちアジア人からしても大分遠いなと感じます。しかし会議に7hとは驚きですね。。ビジネスの仕方もグローバルスタンダード化していく中で、あえて自分たちのやり方を通せる彼らのカルチャーの強さはやはり思想・宗教観の違いですね。そして会って話さないと気が済まないのは日本でも多いですね~、メールで済ますと怒られたり・・私もけっこうありました(笑)
    またアップデート楽しみにしております。

  • mina

    la dolce vitaさん、初めましてー。
    minaと申します。
    バラエティーに富んだ記事、いつも楽しく拝読してます。
    育児でお忙しい毎日でしょうに、楽しい記事を有難うございます。
    今回のサウジ便りも、とっても面白いですね。
    サウジ便り1の男女交際についてのエントリなのですが、ふと日本の平安時代を思い出しました。
    宮廷の女性は、御簾や几帳の陰から着物の重ねの色目を出したり、髪の毛を出したり、お香を焚きしめたり、機会あらばすかさず和歌を読みかけたりといった方法で、「ここにいい女がいるわよアピール」をしていたと言いますね。
    少し似ているとも思ったのですが、日本の場合は宗教警察なんてものは無かった訳で、だからこそ、限られた方法であっても、割と自由に女性側からアピールすることが可能だったのだと気づかされました。
    女性が表に出られない点は同じですが、男女交際自体が禁じられているか否かによって、精神の自由さが大分違ってくるのかも知れませんね。
    それでふと思ったのですが、平安時代の場合は、ファッションセンスや才能が最大のアピールポイントであり、その良し悪しに準じて、引く手数多な女性もいれば、全然モテない女性もいるという状況が生まれます。しかし「(多分)女の子だから、取り敢えずアタック!」というサウジ的世界では、男女交際に限っては意外と機会平等ではあったりする、かも…?

  • la dolce vita

    >sakuramuraさん
    >「グローバリズムの席巻した現代でも維持できているんだ」とびっくりしてしまいます。
    イスラム教の世界はまた欧米ともアジアとも全く異なる価値観で動いてますよね、そしてその存在感は強まるばかり。
    ヨーロッパはアラブ各国が近いので、アジアにいたときよりも触れやすいのがロンドン引っ越しの際に楽しみにしていたことのひとつです(↓)。
    http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2009/11/post-284.php
    子どもができて私自身は訪問する機会は遠のいていますが、夫の経験を通してでも少しだけ伝わります。
    >臥竜さん
    >彼らの考える「効率」と私たちの考えるそれとは全く違ったものなんでしょうね(それとも、もともと「効率」などということを意識した経験がないのかもしれませんが)。
    そもそも私たちが言うところの「効率」を守るべき価値観の上位に置いてないのでしょうね。 上位にあるのは宗教心・信仰なのでしょう。
    >tsubakiさん
    >会って話さないと気が済まないのは日本でも多いですね~、メールで済ますと怒られたり・・私もけっこうありました(笑)
    意外と「日本とそんなにも遠くないぞ」と思いますよね(笑)。
    >minaさん
    >宮廷の女性は、御簾や几帳の陰から着物の重ねの色目を出したり、髪の毛を出したり、お香を焚きしめたり、機会あらばすかさず和歌を読みかけたりといった方法で、「ここにいい女がいるわよアピール」をしていたと言いますね。
    おお、いい比喩ですね! たぶんそういう感覚です!
    私はUAEしか行ったことありませんが、あの真っ黒のベールの裏地はものすごく凝っていて金ぴかの人もピンクの人もいるし、香水の匂いも数メートル離れて匂うほどすごかったです。

  • snowshoe-hare

    少々ご無沙汰しておりました。目下一時帰国中で日本の実家に戻っておりました。
    子ラクダのお肉は普通のスーパーでは売られておりません。大人のラクダ肉ならいくらでもあるのですが・・・大人は肉質が固くて圧力鍋調理がいいと聞きました(トライしたことがありませんが)。私はたまたまパーティーで’某プリンスの差し入れ’で子ラクダの丸焼きが乗ったカプサをいただきまして。恐らくラクダスークで特別に購入するものなのではないか?と推測しています。
    アラブ料理は全般的にあぶらっぽいなーと感じますが、アツアツだとおいしいです。チキンは日本より軟らかくておいしいかも(でもブロイラー??)。豆ペーストやナスのペーストも好きです。
    高級なレストランにはムタワは来ません。夫婦ごっこ(デート)だなというカップルをちょいちょい見かけます。挙動不審なのでバレバレ(笑
    ムタワの縛りもだいぶゆるんできたと思います。数年前までは「べディキュアの色が派手だ」と注意されたそうですが、今は何も言われません。「カバーユアヘッド(頭を隠しなさい)」と言われたらとりあえず黒スカーフで髪を覆えばそれ以上のことは何も起きないのが普通です。なので、私は多くの非ムスリム女性達同様、普段は首にスカーフはひっかけてはいるものの、頭丸出しです。
    写真撮影も以前はピリピリした空気を感じましたが、サウジ女性達がケータイで写真を撮るのをよく見かけるようになり、女性へのマークは男性よりも甘いなーと感じるようになりました。
    サウジ人が男女共におしゃべり好きなのは、他に娯楽がないせいかも知れません。家にこもってみんなでお茶と甘いお菓子でおしゃべりするのが最大の娯楽なんじゃないかと思うくらい(最近はお金にものを言わせてショッピングや外食という娯楽?もありますが)。
    砂漠でバギーを飛ばしたりして憂さ晴らしをするのはもっぱら男性達です。妻子をほったらかして砂漠遊びに興じるご主人に離婚を突きつける(!)サウジ人若奥様もいるそうですよ。私は砂漠好きなんですがねぇ・・・日本では到底経験できないスケールの景色で心が揺さぶられました。
    昔の日本人も挨拶が長かったですが、サウジはそれをいまだにやっているんだなーと感じます。いろんな意味で『中世』な国です(^^;)いまどき’絶対王政’ですもん。
    1に宗教2に家族、3・4がなくて5に仕事、がくればいいんだけど・・・な状態です(苦笑)
    ’乳兄妹’の概念がちゃんと生きていて、乳兄妹同士で結婚をしてはいけないそうです。ところが結婚して子供ができてからそれを知ってしまい、離婚しなきゃ!と大騒動になることも。
    女性は運転もできませんし、一昔前までは身分証すら持たせてもらえませんでした(夫やお父さんの身分証に’併記する妻・娘’扱いでした)。
    今は男性も女性もイカーマと言うIDカードを(外国人も)持たされ、パスポート並に大切なものと見なされています。
    じわじわと自由になっているのかなーと感じております。今の王様がそういう主義らしいです。
    長々と失礼しました(汗

  • la dolce vita

    >snowshoe-hareさん
    全部のトピックにいろいろ教えて頂きありがとうございました! ご不便も多いかと思いますが、貴重な経験ですね。
    >私は多くの非ムスリム女性達同様、普段は首にスカーフはひっかけてはいるものの、頭丸出しです。
    へーーー、サウジに出張直前の友達(中国人、女性)が白人かアジア人かで厳しさが異なると言ってました。 金髪白人女性だと注意されたり、入国ビザが下りなかったりするらしい。 やっぱり「西洋的なもの」は締め出したいのでしょうか?

  • snowshoe-hare

    金髪の西洋人の方が頭丸出し状態が目立ってしまうのでよく注意されてしまうようです(黒い髪でよかったー)。しかも若い女性が注意されやすいです。やはり魅力的に見えちゃうんでしょうね(笑
    ビザが下りない理由は様々で、単なる引き伸ばし(嫌がらせ?)だったり、係員が休みで手続きが止まっているだけだったり(夏休みが異様に長いんです)、会社の事情で下りない事もありますね(規定以上のサウジ人を雇わないと外国人従業員の家族ビザが下りないらしい)。
    まぁ、よく分からない国です・・・
    西洋的なものを締め出したいというより「郷に入らば郷に従って欲しい」ようです。
    西洋人の友人達は真っ黒けルックやスカーフに対して「断固抗議すべきだわ!」と言う人が多いですが(元気だなぁ・・・暑くてそんな気力ありませ~ん)、アジア系は大人しい人が多いですね。
    アメリカンな物は街にゴロゴロしていてびっくりですよ。マクドナルドにケンタッキーにクリスピークリームドーナツ、スターバックス、ヨーロッパのいわゆるブランド物のお店もたくさんあって(しかも日本より安い)、駐在員マダム達はセールの時期を虎視眈々と待っています(笑)

  • la dolce vita

    >snowshoe-hareさん
    >アメリカンな物は街にゴロゴロしていてびっくりですよ
    そうそう、YouTubeを見ていると街にあまりにアメリカのチェーン店が多いので驚きました。 そのあたりは現金ですねー
    まあ郷に入れば郷に従ってほしいのはわかります。 その逆バージョンで、フランスやヨーロッパ各国が公共の場所でのスカーフ着用禁止に動いていて物議を醸してますねー 難しい・・・

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