アイスランドの火山灰さえ流れてこなければ、明日夫が出張から帰ってくるはず。
ここ9ヵ月くらい、夫はサウジアラビア(首都:リヤド)のプロジェクトに従事しています。
アラブ諸国の中でも最もイスラム教の戒律が厳格なサウジアラビア。 観光業も発達しておらず、女性の入国は男性親族の許可証がいるため、男性で、しかも仕事でなければ足を踏み入れることはない国でしょう。
今まで訪れた国の中で最も西洋的な文化から程遠く、出張者の娯楽は皆無だそうで、Skypeで「つまらない、つまらない」と連発しているので、「サウジアラビアの変わった文化・風習をレポートしてよ」と言ったら本当に書いてきてくれました。 よっぽどやることないのね・・・(笑)。
今日はレポート第一弾「ティーンエージャーのデート事情」です。 もちろん夫の独断と偏見満載(& 私の適当な訳)。
『サウジアラビアのティーンエージャー デート事情』
リヤドには何も娯楽がない – 映画館もバーも、家の外で若者を惹き付ける娯楽がない。 結婚していない男女は隔離されているために、10代の男の子が女の子に会う機会はほとんどない。 そんな独身男女が編み出したひとつの出会いの方法がこれ。
始終渋滞している6本のハイウェイでできた都市リヤドに、1本(1本だけ!)レストランが並び歩行者用通路がある道路がある。 ボクの仕事相手の弁護士(レバノン人)は”シャンゼリゼ通り”と呼んでいる。
水曜の夜(サウジアラビアの週末は木曜と金曜なので水曜は我々の世界で言うところの”花金”に当たる)、10代の男の子は歩行者用通路をバイクで何度もブルン・ブルンと往復する。 10代の女の子(・・・と見分けるのは難しいのでとにかく女性)がレストランに車で到着すると(女性は運転することを許されていないので、ドライバーに降ろしてもらう)と男の子たちは彼女が車から降りてレストランの女性用席(レストランでは独身男性の席と女性及びファミリーの席は隔離されている)まで歩くわずかの距離に近づき、自分の携帯番号を叫ぶ。 初めて見たときはかなり驚くが、女性たちは慣れているのか気にならないようである。 面白いのが、この戦略が効果があること! 女の子が自分の携帯を取り出し聞いたばかりの番号を登録している姿は珍しくない。
もうひとつ興味深いことに、女性は頭からすっぽりベールでカラダを隠し、そうしないと宗教警察(宗教警察については明日)に咎められるこの国で、女の子たちが車からレストランまで歩くわずかの距離の間にベールを取って顔が見えるようにしていること(髪の毛だけカバーしている)。 また、女性たちはものすごく濃い化粧と香水、ジュエリーをつけている。 たぶん、おしゃれすることによって自尊心を満足させる目的もあるだろうし、バイクで近づく男の子たちを(わずか20秒の間に)惹き付ける目的もあるんだろう。 携帯番号を交換し合った後、彼らがどうするのかは興味があるが知らない。 (男女の隔離が徹底されているこの国で)どのような類のコンタクトを取ることも極めて危険なのに・・・ 公共の場で家族以外の異性と席を同席することは禁止されており、逮捕され投獄され、最悪死刑なのに。
サウジアラビアにもっと興味を持った方に。
『シンガポール人の国民的娯楽』で紹介したアメリカのトラベル&フード番組、Anthony Bourdain: No Reservationsで何とサウジアラビアのエピソードがありました。 グルメとは程遠い国だと思ってましたが・・・美味しそう・・・
May 18th, 2010 at 6:47 pm
宗教とはすべからくそういうものかもしれませんが、
ここまでくると、人権侵害では、と思うほど厳しいですね。
サウジアラビア、観光地がいっぱいあるのですが、オイルでうるおってるので有害な外国人はそうそう受け入れてくれないです。人数限定で発行されるパックツアー以外だと、オイルビジネスでもするしか個人旅行のチャンスはないのでしょうね。
May 19th, 2010 at 7:58 am
これは面白い。
規制が厳しいほうがいろいろ遠回しにならず
行動が直線的になってかえって(恋愛の)展開が早いかもしれません。
May 19th, 2010 at 10:17 am
何かを検索していたらこちらにたどり着きました。
サウジ(リヤド)在住者です。No Reservationsを見て仰天しました。
ジェッダは開放的だとは思っていましたがここまでオープンな人がいるのか!と・・・
家族の女性達がテレビカメラの前で髪を出して普通の服を着てるなんて、リヤドじゃ考えられません。赤の他人の女性と男性とがファミリーセクションでご飯なんか食べてたら宗教警察に引っ張られます。テレビカメラが入るなんてもってのほかで、多分王族のコネでもなければ無理でしょう。ジェッダだからこそできた撮影だと思いました。
あ、子ラクダのお肉はおいしいですよ(ただし熱いうちだけ。高額で我々にはとても買えません)。
デートはネットで(笑)skype、facebook、ケータイのメール、色々工夫しているようですよ。
May 19th, 2010 at 12:28 pm
臥竜(がりゅう)と申します。よくコメントを書き込んでいる大学時代の同期生からこのブログのことを聞き、半年ほど前から興味深く拝見しております。コメントするのはこれが初めてです。どうぞよろしくお願い致します。
私は最終学歴が「アラビア語学科卒業」という、ちょっと変わった毛色の持ち主なので、大学生の時に初めての海外旅行で行ったサウジアラビアのことが話題になっているのを見て、おもわず書き込んでしまいました。
さて、私がサウジアラビアに行ったのはもう26年も前のことになるので、何の娯楽もないのは当然でした。(もっとも私としては初めての海外であることと、自分の専攻する言語を肌で直に感じられるということで、毎日が驚きと興奮の連続でした)。滞在期間はほんの1ヶ月ほどで、ご主人のご体験とは比べ物にはなりませんが、私も一応、名目上はビジネスマンということにして、当時商社勤めでサウジアラビアの得意先を持っていた父の仕事のお手伝いという名目をでっちあげ(笑)、ビジネスビザで入国しました。
サウジアラビアでの娯楽と言えば、「ラクダレース」「4WD車での砂漠のドライブ」そして「砂漠でのキャンプ」が思い出されます。私がお世話になったリヤドの雑貨商の社長にご厄介になり、これらの娯楽を堪能させてもらいました。
まず「ラクダレース」ですが、これは日本の競馬と同じとお考え頂ければわかりやすいかと思います。砂漠の真ん中にレース場があり、そこで騎手がムチを片手にラクダを乗りこなし、トップを競うわけです。
砂漠のドライブは、現代のサウジアラビアの若者も結構やっている趣味だと聞いたことがあります。砂漠と行っても地勢は平坦ではなく、けっこう起伏に富んでいるので、ここでオフロードよろしく車を操るのはスリルいっぱいの体験と行っていいでしょう。
最後に砂漠でのキャンプですが、これは夜の砂漠で楽しむもので、地表から1mぐらいの穴を掘りそこに鶏肉を一羽まるごと針金でつるして炭で蒸し焼きにします。その鶏はあらかじめ中がくり抜いてあり、そこに香料をたっぷり混ぜた米を詰めてあるのです。1時間ほど蒸し焼きにした後、砂を掘り返して肉を取り出し豪快にかぶりつくのが醍醐味です。サフランなどの香料の匂いがたまらなく食欲を刺激し、今まで味わったことのないおいしさでした。
これらは皆、ある程度の富裕層でないとできないような娯楽となりますが、リヤド現地の一般人の娯楽については私には体験する機会がなかったので、今回のdolce vitaさんの記事はとてもおもしろく拝読しました。
今回のお話はパート1だということなので、これからもしばらく続くということなのですね。引き続き楽しみにしております。
最後に、長々と自分の昔話を語ってしまった上に駄文をさらけ出すことになったことを、お詫び申し上げます。これからも応援しておりますので、興味深い記事をよろしくお願い致します。
May 20th, 2010 at 11:06 am
>大手町さん
>ここまでくると、人権侵害では、と思うほど厳しいですね。
私もそう思いますが、YouTubeのリンクを貼った番組の中で、「サウジアラビアは実際はすごくfamily-oriented societyで、差別されているのは独身男性」とサウジの女性が言ってます。 見方を変えると・・・ですねー
>りっちょさん
>行動が直線的になってかえって(恋愛の)展開が早いかもしれません。
恋愛結婚なんでしょうかねー? お見合いのような気も(全然知りませんが)
>snowshoe-hareさん
リヤドからご訪問ありがとうございます。
>ジェッダは開放的だとは思っていましたがここまでオープンな人がいるのか!と・・・
なるほど、リヤドとジェッダは全然異なるんですね。 それにしても番組見るかぎり「美味しそう〜♪」なんですが、美味しいですか?
>あ、子ラクダのお肉はおいしいですよ(ただし熱いうちだけ。高額で我々にはとても買えません)。
「どこで食べられるのか?」と夫が聞いていますが、ご存知なら教えてください!
>デートはネットで(笑)skype、facebook、ケータイのメール、色々工夫しているようですよ。
face to faceではなくネット恋愛が浸透してるんですねー ネットや携帯のある以前はどうしてたんでしょうね?!
May 20th, 2010 at 11:19 am
>臥竜さん
大変面白いご経験をシェアして頂きありがとうございます。
夫は毎回1週間〜10日、ホテルに籠りきりの出張をしているだけなので(日本の商社と違って接待することもされることもないですし)、こんな楽しそうな娯楽は体験していないようです(笑)。
私には、砂漠キャンプでの鶏の蒸し焼きが一番魅力的です。 美味しそう!
世界各地、砂漠キャンプをうたったツアーはたくさんありますが(私もインドでやったことあります)、完全に方向感覚を失うようなアラビア半島の砂漠は別格だと聞きました。 うーーん、行ってみたい。