超富裕層の悩み

HNWIs(High Net Worth Individuals)という人種がいます。
Merrill LynchとCapgeminiが毎年出すGlobal Wealth Reportによると、US$1mil.(約9,000万円)以上の金融資産(居住用不動産除く)を持つ人たちのことで、全世界に860万人いるそうです(2008年)。
Wikipedia : High net worth individual
高給サラリーマンにも手が届く層で、私の同級生でも夫婦どちらかがバンカー(*1)でVPやMDレベル、もしくは夫婦両方バンカーの場合、この層に該当していると思います。
*1・・・一般的に”Banker”という場合、欧米投資銀行のフロント業務(トレーダー、ディーラー、ファンドマネジャー、M&A、セールス etc.)についている人を指し、30代前半(VPクラス)で3,000万 – 1億円、35歳以上(MDクラス)になると6,000万 – 10億円? という高報酬が得られます(過半がボーナスなので年によって大きく異なる)。 その代わり競争は熾烈で激務なので、辞めていく人も多い。 日系銀行の課長・部長とは全く異なる人種。
どんな生活をしているかというと、ロンドンであればセントラルの北・北西の高級住宅街に家賃120万円/月のアパートに住み、住み込みナニーに払う年間コストが1,000万円、私立小学校に通う子供の学費が年間300 – 400万円/人、といった感じ。 いるところにはたくさんいるので、生活は垣間見られます(見たいかどうかは別として)。
普通のサラリーマン(といっても幅広いが)の生活コストすべてにゼロをひとつ足したくらいの生活ですが、基本はサラリーマンなので、この生活を支えるために、少なくとも夫婦どちらかが身を粉にして働く必要があります。
そして、その上にUltra-HNWIs(Ultra-High Net Worth Individuals)という人種がいます。
US$30mil.(約27億円)以上の資産を持つ人たちのことで、全世界に95,000人いるそうです。
このクラスはサラリーマンはなれず、会社オーナー・大企業経営者・トップクラスのアスリートや芸能人・代々の資産家・・・etc.などでしょうか? この層は働かなくてもいい層で、生活はちょっとやそっとで垣間見ることはできませんが、今日はこのUltra-HNWIs(超富裕層)と接した友人から聞いた話。


私の友人Sと友人Pが別々に全く同じ話を私にしてくれました。
Sはロンドンでプライベートバンカーをしており、まさにUltra-HNWIsがクライアントなので日常的に彼らと接しています。 Pは仕事で(どういう文脈だったか忘れたけど)Ultra-HNWIsが出入りする会員制クラブで食事をする機会が何度かあるそうです。
SとPから異口同音に聞いたこと。

Ultra-HNWIsの悩みと私たちの悩みの質が全く同じで驚いた。
ボクたちが子供をベビーシッターに預けようかナーサリー(保育園)に預けようか悩んでいるのと全く同じように、彼らは子供をイギリスのボーディングスクールに入れようかスイスのボーディングスクールに入れようか悩んでいる。
ボクたちが忙しくてせっかく年会費を払ったジム(年会費30万円)に行けないと悩んでいるように、彼らも忙しくて高級会員制クラブ(年会費800万円)に行けないと悩んでいる。
ボクたちが今年の夏は友人家族と一緒に南スペインに行こうか家族だけでギリシャに行こうか決めかねているのと同じように、彼らも今年の夏のクルーズは自分の船があるサントロペに行こうか友人に誘われたモナコに行こうか決めかねている。
ボクたちが最近なんか奥さんとしっくりいかないなー、と悩んでいるのと同じように、彼らも家族のことで悩んでいる。
健康・ワークライフバランス・子供の教育・夫婦関係・・・ 彼らの話を聞いていると、まるで自分と友達との会話を聞いているようで、お金は彼らを何ら幸せにも不幸せにもしていないんだよなー

この話を聞いて、

幸福度がお金に比例するのは、世帯所得1,500万円付近まで、それ以上は所得が上がっても幸福度はあまりあがらない

という以前話題になっていた調査結果を思い出しました。
Livedoorニュース:幸せがお金で買えることが証明された!?
この「世帯年収1,500万円」という数字は、どのくらいあれば衣食住足りるのかという生活コストに影響される数字で場所によって違うのだと思いますが、超富裕層の悩みの話はなかなか示唆に富んだ話でした。


7 responses to “超富裕層の悩み

  • Gen

    それでも、人間って上をみちゃうので、年会費5万円の24 Fitnessの会員は、年会費30万のSports Club LAの会員になりたいと思ってるし、年会費30万の人は、May Fairの会員制クラブの会員になりたいと思ってるんでしょうね(笑。
    でも日本の場合だと、富裕層は叩かれるから、欧米と違い、非常につつましいのが興味深いです。

  • Isao

    ある程度の年収を得られるまで幸福度が上がるというのは、実は不幸の要素が取り除かれることを指しているのかなあ、と思いました(健康保険なし、危険な生活環境、ジャンキーな食生活、パートナーを選択できない、など)。あとはお金を積んでも幸福「度」が増えないのであれば、金で幸福は買えない(でも不幸は避けられる)、は本当に正しいということでしょうか。

  • sunshine

    興味深い内容ですね。
    わたしの友人にも富裕層が約一名います。
    今年の春のバカンスは自己所有の船でカリブ海クルーズをするんだけど、2週間では短いし、3週間だと子供たちの学校を休ませることになるし、困ったとなやんでいます。(私たち庶民はどのクルーズ船に乗るかに悩んでいます)
    一時間100ドルするパーソナルトレーナーについているのに一向に痩せないと嘆き(私たち庶民はアパートにあるエクササイズルームで汗を流すのが関の山)
    優秀はレディ(お掃除をしてくれるメイド)を探すのが大変とか(庶民は自分で掃除します)
    ご主人は子供をイギリスのボーディングスクールに入れたかったのに、妻が子供たちを手放したくないので仕方なく子供たちは妻の国の私立の学校へ行っています。(庶民は、パブリックかプライベートかを真剣に悩みます)
    だけど、
    白髪が増えて。。。(同じ悩み)
    子供が反抗期を迎えたとか(これも同じ悩み)
    一向に痩せない
    老眼になりつつある
    色々と私たち庶民と同じ悩みを持っています。
    だけど、一緒に映画をみて一緒に感動するし(よくおごってくれる)
    一緒に食事しておいしいものをシェアするし(たまにおごってくれる)
    一緒の景色をみて感動するし
    そういった面では人間みな平等なのかな?

  • la dolce vita

    >Genさん
    >年会費5万円の24 Fitnessの会員は、年会費30万のSports Club LAの会員になりたいと思ってるし、年会費30万の人は、May Fairの会員制クラブの会員になりたいと思ってるんでしょうね(笑。
    別に会員になりたいと思うのはいいと思うんですよね、ただそれが幸福感に結びつくかというと別の話、ってだけで。
    >Isaoさん
    >ある程度の年収を得られるまで幸福度が上がるというのは、実は不幸の要素が取り除かれることを指しているのかなあ、と思いました
    おお、そう言えるかもしれません。
    私が学生の頃バックパッカーで世界を旅していたとき、母親に口を酸っぱくして「安全はお金で買える。 安全をケチるな」と言われました。 要は、安いからといって危険地帯にあるユースホステルに泊まったり、安いからといって夜中に公共交通機関にホステルに帰ったりするな、ということなんですが、同じことなのかもしれません。
    >sunshineさん
    >わたしの友人にも富裕層が約一名います。
    sunshineさんにお聞きしたかったのですが、富裕層のご友人とはどうやってこちらが卑屈にならずにお付き合いされているのでしょうか?
    私の同級生にはかなりバンカーがいるのですが、上に書いたとおり、バンカーとその他のサラリーマンとは給料(ボーナス込み)のあがり方が全く違うので、卒業から5年経った今、収入に大幅な差がついて生活レベルが全く異なってきているんですよね。
    それ自体は全く構わないのですが(こちらはバンカーになりたいとも思ってないので)、家に遊びに行った後おいとましようとしたら”Are you driving, or are you taking a cab?”と聞かれたり(いえ、当然地下鉄です)、気軽に会う平日のランチでMichelin starレストランを予約されたり(同級生なのでおごってくれることはもちろんない)、積み重なるとだんだん疲れてきました。
    出会ったときから差があればお互い理解しているのでしょうが、出会ったときは同じ生活レベルだったはずなので、疲れてきました。 お互い理解し合うようにすればいいんでしょうけど・・・

  • まつーら

    そうですか、1500万円までは幸せはお金で買えるんですね。
    この前のようこさんのエントリーでご紹介のあった西水さんの記事を読んでたんですけど、
    その中のブータンの記事が印象的で「国民総幸福量(GNH: gross national happiness)」というのは
    面白くて、価値ある考え方だなぁと思ったのですが。
    そういえば同じぐらいのタイミングでちきりんさんの下記エントリを読んで、
    GDPのみを指標にしている現在の資本至上主義ってどうなんだろう、と思った次第です。
    http://d.hatena.ne.jp/Chikirin/20100202
    ま、でも、やっぱりお金はあるにこしたことないんでしょうねぇ。
    無くてもないなりの楽しみ方はありますけど。ふむむ。

  • Blondy

    Hyper-HNWIの大代表であるオマハの賢人、ウォーレン・バフェットは、好きな仕事を気心の知れたよき仲間とやれることが最大の喜びだと言って、いまでも仕事をしつつ、資産の多くは財団に移して倹しい暮らしを続けています。
    ある一定以上の資産レベルを超えれば、お金の過多が問題ではなく、好きなことが出来ているか、時間の自由があるかどうかがもっとも重要になると思います。
    生活程度を上げてお金に縛られ、それを稼ぐための仕事に縛られ時間を失ったり、あるいはタイガーウッズのように火宅の人になったり、あるいは仕事中毒になったり、稼いだお金を自分自身や社会のために活かさないまま死んだりするのはつまらないことのように思います。
    私は自分の時間を自分で管理する自由と複数拠点生活の自由を得て満足してますが、マイナーなHNWIなのでお金を使い切れない悩みとは無縁ですが、よくいっしょに遊ぶHyper-HNWIの友人は本当に使い切れない悩みを抱えており、口ぐせは「俺は死にたくない!」ですw 

  • la dolce vita

    >まつーらさん
    >そうですか、1500万円までは幸せはお金で買えるんですね。
    上のコメントでIsaoさんが書いてますが、「幸せが買える」のではなく「不幸が取り除ける」と言う方がしっくりくるのかも。
    >GDPのみを指標にしている現在の資本至上主義ってどうなんだろう、と思った次第です。
    GDPの話は以前書いてますが(↓)、この中のGDPを押し下げる要因(家のDIY・・・etc.)の生活って楽しそうじゃないです?
    http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2009/09/gdp.php
    >Blondyさん
    >ウォーレン・バフェットは、好きな仕事を気心の知れたよき仲間とやれることが最大の喜び
    バフェットまでいくと雲の上の人、という感じですが、Ultra-HNWIsにならなくても、それこそ衣食住&教育(←これが高いんだが)足りれば、好きなことを好きな人とやれるのが幸せだと思います。

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