やはり出てしまった・・・日本の常識は世界の非常識

うーーん・・・やっぱり・・・
2008年秋、リーマンショック直後に野村證券がリーマン・ブラザーズの「アジア太平洋部門」「欧州・中東部門」を買収したとき、『グローバル企業への転身なるか?』というエントリーで次のように書きました。

個人的にはリーマンと野村証券の文化の違いは、(合併して9年の後)失敗に終わったダイムラーとクライスラーの文化の違いより大きいのではないかと思っています。
特に野村証券が獲得したかった(のであろう)リーマンのフロントオフィスのプレーヤーともなれば、自分の腕一本で業界を渡り歩くのは当たり前(時によってはチーム毎ボスについていく)。 前述の記事にも書いてありますが、野村をとりあえずの失業保険代わりにしながら転職活動をするのではないか、と。

今回のエントリーはこのフォローアップですが、リーマンからの人材流出ではなく(流出もしているようだが)、女性差別の話。
ちょっと古いけど(去年7月)、こちらWall Street Journalの記事(黒川清さんのブログで知りました)。
WSJ : Nomura Stumbles in New Global Push

  • 男性と女性を別にして新人研修を実施し、女性だけに髪型や服装、お茶の注ぎ方の研修を行った
  • ジャケットの下に半袖ワンピースを着ていたら「服装がふさわしくない」としてトレーディングルームから家に帰された
  • 旧姓のままのE-mailアドレスを使っていた女性従業員のE-mailアドレスを人事部がどちらを使いたいか本人に確認せず結婚後の苗字に変えた


お次は去年11月の記事。
The Daily Mail : ‘Breasts like honkers’ jibe at City bank: Sacked women sue ‘sexist’ Japanese firm for £3m
ロンドンのカナリーワーフ(金融街)、元リーマンのアジア・エクイティー・セールス部門で働いていた女性バンカー2人がセクハラを受けたと野村を相手取り£3mil.の訴訟を起こした件。

  • 胸のことを意味して”honker”と言われた(辞書引いてください・・・)
  • 家でクリーナー(掃除サービス)を雇おうという話をしていたら、野村の男性同僚に「女なんだから、家で床掃除をするのが仕事でしょ」と言われた
  • 年収£250,000を稼いでいたディレクター女性は「”outspoken”(歯に衣を着せずズケズケ言う)で女性だ」という理由で解雇された

彼らの弁護人からは「組織ぐるみで”racist”で”sexist”」と言われてしまっています。
もちろん原告側の言い分でまだ係争中のようだけど、こういうのが英語で出ちゃうと日本の恥を世界中に撒き散らしているようなもんなので、日本にいる感覚の100倍くらい気をつけて欲しいもんです・・・
“racist”や”sexist”と言われるのは人間としての常識・マナーがないと言われているようで最大限の屈辱だし、普通のまともな人たち & 企業がかわいそうなので。
以前『セクハラの境目』というエントリーにコメントくれたlat37nさんのブログにあったアメリカでのセクハラ研修が時代の先をいってますね、「ハラスメント」は男性→女性の一方通行ではない、という前提に立っていて。 
そういえば昔、北米トヨタの社長が元秘書からセクハラ訴訟を起こされ大問題になってました。
FACTA : 驕る北米トヨタ「セクハラ訴訟」の重症度
あれはどうなったんだろう?


7 responses to “やはり出てしまった・・・日本の常識は世界の非常識

  • chika

    やっほー、ロンドンはどうですか?
    これ、前に元記事読んで笑ったですよwww
    「日本にいる感覚の100倍くらい気を」つける必要はないんじゃないかなぁ。「日本にいる間はセクハラで、外に出たらいい子ぶる」っていうのもちょっと・・・・。日本のままのセクハラを世界でばらまいてボコボコに成敗していただくのが世のため人の為日本の女性のため、じゃないでしょうか。
    かくいう私は、日本でもほとんどセクハラにあったことはありません。実害あるのは皆無です。20代の頃、日本で事務の女性にセクハラする上司をテニスラケットで殴ったことならあります。ガットじゃなくてフレームを垂直に。そしたら、その上司がその後、豪華ランチを私とその女性にご馳走してくれました。

  • ジョージ

    野村は日本的カルチャーを改めないと世界級ビジネスにはなれませんね。
    近しい男性が2004年頃までロンドンの野村に勤めていました。
    彼と一時帰国時に会った際に、僕が着ていたピンク色のワイシャツを見て
    「お前会社にピンクなんか着ていってるのか?うちの会社ではピンク着たら
    『お前ゲイだろ』って馬鹿にされるぜ」と言われ、愕然としたのを思い出しました。
    イギリスにいるのにDiversityを尊重しないんカルチャーなんだな、と。
    記事のQuoteを読む限り、これらの発言をしたのは日本人(だけ)ではなく、
    日本的男尊女卑カルチャーに漬かった現地採用者の印象を受けました。
    “Oh, you don’t have your honkers out today, I see.” → パブでギネス飲んでるイーストエンド出身者が言いそう
    “Well, you’re a woman. That’s where you belong.” → 日本人が言いそう、日本の昭和オヤジに感化されたイギリス人が言いそう
    “‘Don’t listen to her. She is just a Kiwi.” → オージー&ニュージーを侮蔑してるイギリス人が言いそう
    真実は今のところ闇の中ですが、日本名を冠した企業でこのような恥ずべき問題が起きないように、
    トップ層から下の層までWorkplace Harassment Trainingは実施すべきですね。
    根深さとしては、トレーニングがどうっていうよりトップにいる人達の意識の問題な気がしますが。

  • la dolce vita

    >chikaさん
    >ロンドンはどうですか?
    ロンドンは・・・ 苦労してます。 今朝は夫に「この国では笑わないとやってられないよ。 だからイギリス人はあんなユーモアのセンスを持ってるんだ」と言われました。
    >日本のままのセクハラを世界でばらまいてボコボコに成敗していただくのが世のため人の為日本の女性のため、じゃないでしょうか。
    なるほど・・・ それではボコボコにされ方がまだまだ足らないですねー 全然報道もされてない気が。
    >かくいう私は、日本でもほとんどセクハラにあったことはありません。実害あるのは皆無です。
    No one can take advantage of you, unless you let him to. という言葉を思い出しました。
    ぜんっぜんありません? 言葉だけでも?
    私は結婚したとき「仕事辞めないの? でも子供生まれたら辞めるよね?」とフツーに(40歳の人に)聞かれ、「ああ、こういうNG集にのってるようなこと、いまだ言う人がゴロゴロいるんだなー」となぜか感心しました。
    >ジョージさん
    >お前会社にピンクなんか着ていってるのか?
    私は前商社だったので、(若手は特に)柄ありかピンク・ブルーが普通。 白だと「銀行マンか?」って言われてましたよ。 ところ変われば・・・ですね。
    >これらの発言をしたのは日本人(だけ)ではなく、日本的男尊女卑カルチャーに漬かった現地採用者の印象を受けました。
    おお、やっぱり? 私も”honker”って日本人が使うか?って思いました。
    でも日本人以外が言ってるのであれば、なおさら怖いですねー(組織そのものが染まってる、という意味で)。
    バンカーは業界の中を渡り歩くと思っていたのですが、日系にいる人はそうじゃないのか、それとも中途の人もすぐ染まってしまうのか・・・

  • lat37n

    chikaさんのコメントに爆笑。すげー、カッコいいっ!>20代の頃、日本で事務の女性にセクハラする上司をテニスラケットで殴った
    ブログにリンクありがとうございます。そういえば女性上司からのセクハラって、アメリカの映画では大分昔にありましたよね?(誘惑になびかなかった男性部下をところんいじめる話)
    セクハラって、人によって感じ方がちがうから難しいですね。先日、日本の某地方にて会社売買の交渉に立ち会ったら、交渉相手が私だけ名字でよばず「そちらのお嬢さんは。。。」とずっと言われたんだけど、お嬢さんとかいまさらあんまりいわれないのでむしろ面白がってましたw が、人によってはすごく不愉快に感じるだろうな、とも思ったし、私も若いころだったらむっとしたかも。  
    セクハラなんて民度低いことするなんて日本の恥、ってほどの感覚はないんですが、海外で優秀な人を採用したかったらもうすこし本気やらないと無理でしょうね。
    ちなみに上記の証券会社には、プロフェッショナルとして勤務している女友達がかなりいます(海外現法ふくむ)が、本人たちから上記のような愚痴とか、社内の昇進とかでの男女差別について聞いたことは全くないのに今気付きました。事務職と総合職で扱いがちがうのかなあ?今度聞いてみますー。

  • ドイツ特派員

    la dolce vitaさん、
    上でジョージさんが指摘されていたピンクの話、私も指摘をされました。今働いているアメリカ企業の欧州本部長が今日本に来ていて、一緒に客へ行った時、「お前の携帯ってピンクか。ヨーロッパではピンクの携帯なんて女性かゲイしか持たないから、欧州では気をつけたほうが良いぞ」と言われました。もしかすると野村特有の話ではなく、欧州はDiversityやMinorityへの視線がアメリカとは違うのかも(個人的には違うだろうと思っています)。うーん、ピンクだギンガムチェックだロンドンストライプだというワイシャツばかりの私、どう見られてるんだろう?ファッションデザイナーのポールスミス(イギリス人)は、「男はピンクのシャツを着るべし」と言っていますけどね。
    ちょっと良く分からないのは、たかだか数年日本の企業に勤めただけで、現地社員(例えば自分のやり方を変えようとしない欧州の連中)が日本的企業文化に染まっちゃうのかなあ?ということ。むしろ、欧州の場合は階級意識が強いんで、その部分に問題があるんじゃないかという気がします。要は個人の資質でセクハラとかしてしまうんじゃないかな。あと、アメリカでのセクハラ基準を欧州連中はあんまり認めていない、「正直あんなやり取りやってられるか!」という気分がありあり。これ、かなり大きな会社の社長クラスでそういう意識だったので、ちょっとびっくりしました。翻って日本の場合、企業文化が個人行動と強く結びついている(いた)と思われるので、企業がセクハラの増幅装置になりがちなんでしょう。それこそ染まってしまう感じですか。どっちにしてもアホな話ですが。
    ご指摘の通り、大半の人たちは真面目にやっているわけで、これが「日本の常識」と思われないことを祈るばかりですし、その事で他の国で起こっていることが隠れてしまうのも不本意。ただ、この記事の前半についてはまだまだ多くの会社が行なっていることでしょうから、早く止めちゃえばいいのに。さすがに後半の野村の件は「日本の常識」ではなかろうと思いますが、どうなんでしょうか?
    そういえば、以前話題にされていたチークダンス、やっぱりあるみたいですね。私の知り合いの女性が、「この前、横の課の課長から、『チークダンスをしてくれ』って迫られてたんですよ。何でも、私と課長の娘が同じ年で同じ名前で、『娘が出て行って寂しいから』ですって。何なんでしょうねえ?」とこぼしていましたが、どこかで聞いた話です(笑)。

  • mignon1117

    個人的な経験としては、約10年前の就職活動でのインタビューで、上記の証券会社及び日系の金融機関(すでに合併、統合でなくなったところも含め)から、「結婚しても仕事は続けるか?」や「うちでは、女性の応募は一般職のほうが多い」といったようなことを言われ、やはりこういう企業では働けないと思ったのと、折りしも日系弱体化・外資バブルという世相だったこともあり、すんなり外資系証券会社で働くことに決めました。外資系の会社では、インタビューでは、少なくともそういうことは聞かれなかったので。
    しかし、入ってみると、先輩男性社員(言うまでもなく日本人)のセクハラ言動は凄まじく、外国人の存在が抑止力になることなく、「終わってるな」と幻滅したことを思い出しました。
    その人たちは、日系からの転職組で元から居たところでそういう感覚が染み付いてしまったと思われるのですが、この感覚が今でもそのまま輸出されていると思うと、とても恐ろしいですね。
    確かに、セクハラの感じ方は人それぞれで難しいのですが、今となっては、男女問わず、優秀な人たちが、そういう日本的な(?)感覚から離れた所に飛び出す気持ちがよく分かります。

  • la dolce vita

    >lat37nさん
    >上記の証券会社には、プロフェッショナルとして勤務している女友達がかなりいます(海外現法ふくむ)
    ぜひ聞いてみてくださーい! 私の周りひとりもいないです。 リーマン・アメリカ側を買ったBarclaysにはごまんといるんですけどね。
    >ドイツ特派員さん
    >ヨーロッパではピンクの携帯なんて女性かゲイしか持たないから、欧州では気をつけたほうが良いぞ
    ピンクはそうかも。 こっちの子供服は、男の子用 = ブルー、女の子用 = ピンク、とすごく画一的でつまんない、と友達がこぼしてました(日本のもそうじゃないか、って気もしなくもないけど)。
    >欧州はDiversityやMinorityへの視線がアメリカとは違うのかも
    アメリカの方が遥かにpolitically correctなのは確か(前こちら↓に書きました)、過敏すぎる側面もあるけど。
    http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2009/02/post-134.php
    人種に関してもそうですねー(つい最近のエントリー↓にKazさんがコメントしてます)
    http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2010/01/—4.php
    >何でも、私と課長の娘が同じ年で同じ名前で、『娘が出て行って寂しいから』ですって。
    どこかで聞いた話ですねー ほんと「知るか!」って感じなんですが・・・
    >mignon1117さん
    >先輩男性社員(言うまでもなく日本人)のセクハラ言動は凄まじく
    私も新卒で入ったとこはすごかったです(今から思えば)。 
    >今となっては、男女問わず、優秀な人たちが、そういう日本的な(?)感覚から離れた所に飛び出す気持ちがよく分かります。
    今はこっちで慣れてしまってるので、久々にそういうのに出会う(聞く)とギョッとしますねー
    ところで、シンガポールToastmastersに若い女性(一応、私の年代も含む)と話す際にやたらと肩とかタッチしてくる50歳くらいの中国系シンガポール人オヤジがいて、夫がその様子を見ながら(私にタッチしていたわけじゃないのに)激怒してました。 「あんなの日本行ったらいっぱいいるよ」と言ったら、すごいショック受けてました(笑)。
    もうひとつ。
    日本の通勤電車の痴漢の話は昔、世界的に記事になったので知ってる人も多いのですが、どうやらものすごく稀な出来事だと思っていたらしい。 「ラッシュ時だったら一車両に1人はいると思うよ、快速電車なら4人はいるんじゃない?」とどっかで聞いたことを夫に言ったら涙目になってました(笑)。

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