ここがすごいよ、クロネコヤマト

Newsweek日本語版サイトに在東京の外国人5人によるリレー・コラムがあって、私はその中の仏フィガロの記者レジス・アルノー氏の主張に共感することが多いです。
ちょっと古いけど、『ユニクロに続け! 隠れた日本のスーパー企業』という記事はまさに私が日々、夫にその素晴らしさをとうとうと語っていた企業が出てきました。
記事にはパリで大成功したユニクロ(*1)の他にも「外国人が評価する日本の企業の中には、世界規模になり得る企業はたくさんある」としてヤマト運輸の「宅急便」、TSUTAYA、ベネッセの「しまじろう」、スープストックトーキョーがあげられていました。
*1・・・JB Press : パリでユニクロに長蛇の列、入場制限も
この中でユニクロの素晴らしさ(あの価格であの品質は他にはない)は十分知られているし、シンガポールでも大成功をおさめ、夫も着々とユニクロファンになっているのでここでは触れません。 が、宅急便とスープストックトーキョーは私が口角泡を飛ばして常々その素晴らしさを語っていたのでした。
宅急便の素晴らしさを懐かしみ、涙を流してうらやましがらない海外在住日本人はいないことでしょう。
午前中から21時まで2時間刻みで時間指定できる、18時(だっけ?)までに連絡すれば当日再配達してもらえる、ウェブで細かく配達状況がわかる、近所のコンビニから手軽に荷物を発送できる、重ければ集荷に来てもらえる・・・
この基本サービスだけで感涙もの。
他の国では知らないけれど、シンガポールでは時間指定どころか午前・午後の指定すらできず配達日を一方的に知らされる業者が多いです。 朝から待てど暮らせど来ず、夜になって「明日でいいか?」と言われたこともあります。


基本サービスに加えて、配達先を変更できたり、旅行先から冷凍・冷蔵サービスで産直品を送れたり、スキー宅急便・空港宅急便など細かい需要にも対応していて、その信頼度は絶大(驚異的な時間厳守のセールス・ドライバーってさぞかし大変な仕事なんでしょうねー ちょっと過剰すぎて心配になるけど→『かゆくないのに掻いてクリームまで塗ってくれる国』)。
ヤマト運輸のおかげか日本の宅配業界は非常に高度なレベルで熾烈な競争が繰り広げられていて、私がその便利さに一時期、人に言いまくっていたニッチなサービスが「JAL手ぶらサービス」
自宅にスーツケースを取りに来てもらうと、なんと成田空港では宅配伝票を見せるだけで、スーツケースをピックアップすることなく荷物がチェックインされ、到着空港のターンテーブルにスーツケースが出てくるというもの。
私はシンガポールに引っ越してくる前、何度も出張で東京とシンガポールをJALで往復していました。 その時に、このサービスを利用してせっせと荷物の重量制限上限まで引っ越し荷物を運べたおかげで本当の引っ越しは段ボール4箱で済みました(もちろん国際宅急便で)。
なお、ヤマト運輸は来月からシンガポールで宅配便事業を開始します。 そしてシンガポールを足がかりにアジア各地へ展開していくのだそう。
FujiSankei Business i : ヤマト、シンガポールで宅配便
うう、なぜ私がいる間に進出してくれなかったのか、クロネコヤマトよ?
イギリスの宅配便事情はシンガポールよりひどいらしいので、UK進出も激しく希望。
クロネコヤマトだけで長くなってしまったので、スープストックトーキョーについては明日。


6 responses to “ここがすごいよ、クロネコヤマト

  • 大手町

    上記に上げられた企業のうち、ユニクロは成功するチャンスがあると思います。理由はプロダクトだから。でも、クロネコは成功するかあやしいと思います、サービスだから。
    日本のサービス産業は言うまでもなく凄いものがあります、レストランから運輸までぶっちぎりで世界最高水準の品質でしょう。ただその見返りとして消費者は知らぬ間に高コストを払っています。またサービス産業に従事している人間は過酷な労働環境におかれています。経営者も利潤の薄い商売に投資し続けています。
    なぜ、評価が高い日本のサービス産業が、これまで海外新進出に成功してこなかったか考える必要があります。単に情報偏在や戦略欠如なのでしょうか。あの過酷なサービスを提供し続けられる従業員がいる国がそうそうあるでしょうか?高コストのために低い利潤であっても投資するには「これまでその産業と地域に投資してきたから」以外の理由が経営者に必要でしょう。消費者は「安かろう悪かろう」を許さずたとえ隠れたコストを払ってでも「安くて良いもの」しか許さない相当なdemandingが要請されるはずです。この従業員・経営者・消費者を三つとも満たす国は日本以外には無い気がします。
    日本の問題は、この手の過剰品質に慣れすぎていて、その品質追求が時として本質的でない方向にまで向かうことです。なぜメガバンクのATMから信用金庫にまで送金が可能である必要があるのでしょう?ヨーロッパの人間が、アジア・北米より幸せな生活をしているのは、過剰品質を提供しないからです。「明日で良いですか?」と運送業者が言ってくるということは、自分もクライアントに「明日で良いですか?」と言う事が許されるチャンスがある風土だということです。過剰品質は提供されるだけではすみません。自分も提供を要請されるようになります。なぜこんなに高品質な国である日本の国民が感じる幸福度が低いのでしょうか。本当にコンビニが24時間空いている必要がありますか。資本主義ではこの手の過酷な労働は一見自由意志であるかのように見えますが、それは発展途上国での売春が本当は自分の意志ではないのと同じ要素が少なからず含まれているのではないでしょうか。追い詰められて選択肢がなく、自由意志での決断であるかのように見えるだけではないでしょうか。
    とはいっても、JALてぶらサービスのように、システムの改善やITの活用で、消費者がちゃんとコストを支払い、便利さを享受できるのであれば、それこそ社会と技術の発展バンザイだと思います。そういうサービスはどんどん増えて欲しいですね。

  • 櫻庭

    クロネコは多分海外は無理だと思います。
    荷物が従業員に取られそうだからです。
    コンビニとかでもそうですが、そのピンハネ率が1パー位なら、
    成り立つと思いますが、日本よりピンハネが低いとは思えないからです。
    シンガポールはいけると思いますが。他のアジアはどうだろう?
    >ヨーロッパの人間が、アジア・北米より幸せな生活をしている
    前にヨーコさんが自殺率高い某ヨーロッパの国指してたときは大差ないねと思いましたよ。
    過剰品質を追求しないのは良いかのかもしれませんが、うちの知ってる限りでは、
    BMWは納車後すぐ壊れてもドイツでは有料のはず、日本では当然タダです。
    どっちが許せます?、の世界ですね。

  • えり

    「しまじろう」を「とらじろう」と何回いいまちがえたことか・・・
    宅急便も素晴らしいが,個人的には,夜8時までに出すと東京23区内なら翌朝10時に着くという驚異の郵便サービスに過去何度となく助けられたことが懐かしい。(ちなみに,今はない)

  • la dolce vita

    >大手町さん
    >ただその見返りとして消費者は知らぬ間に高コストを払っています。 またサービス産業に従事している人間は過酷な労働環境におかれています。 経営者も利潤の薄い商売に投資し続けています。
    まあ、そういう状況は知ってるし、それっぽいエントリーも書いたことありますが(↓)
    http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2009/03/post-154.php
    あんまりこのブログでは「やっぱり日本はダメだ論」は書かないようにしてるんですよ。 もうありとあらゆる人が言いつくしてるし、そんなことばかり言ってても萎えるだけだし。
    >評価が高い日本のサービス産業が、これまで海外新進出に成功してこなかったか考える必要があります。
    別にすべてのサービス業がダメだと思ってないです。 上記にあげたような細かいサービスをすべて持ち込む必要ないし利益率を守るために調整すればいいし。 日本人はとにかく現地の人の使い方が上手くないので、経営はかなり現地の人に任せればよいし、いくらでもやりようがあるのでは、と思います。
    >櫻庭さん
    >クロネコは多分海外は無理だと思います。
    >荷物が従業員に取られそうだからです。
    取られるって盗られるってことですか? 一応、FedexとかDHLとかあるし、逸れはないのでは?(いや、ある程度はあるかもしれないけど)
    >えり
    >個人的には,夜8時までに出すと東京23区内なら翌朝10時に着くという驚異の郵便サービスに過去何度となく助けられたことが懐かしい。
    関西から出してもそうなの? そりゃすごい。 それで思い出したけど、都内は「バイク便」ってのも超便利だけどね、忙ぎの書類があるときは。

  • 大手町

    > ようこさん
    おっしゃる通りなんですが、過剰品質の問題って知ってる人は知ってるけど、日本人の大半は過剰品質は問題だって気付いていない人が大半で、認識共有されていないテーマかなぁと思っています。
    ・サービスはタダ
    ・お客様は神様
    が共有認識の間は、国民の疲弊は続くでしょう。戦艦大和というこだわりの逸品を作って国力を消費した時代がありましたが、それから基本的に変わっていない国民性なんだろうと思います。
    > 櫻庭さん
    BMWのドイツでの保証期間については知りませんが、世界各国で売られる全製品に24ヶ月の国際保証を提供している企業なので、再確認して頂ければと思います。信憑性の高いリンクでは無いですが、目について検索結果でのBMWの海外と日本のそれぞれの販売価格です。
    http://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1026607975
    車の激戦区の米国と日本を比較するのはちょっと厳しいですが、ヨーロッパと比べても内外価格差が歴然とあります。これが品質を要求する日本の消費者が払わされているコストです。外資が日本市場攻略にあたって、いかにこのサービスコストをクライアントに見えなくするかが、日本市場攻略の鍵です。品質追求での改善効果もありますが、払った金額以上のものは手に入らない、払った金額に全ては含まれている、のが基本ではないでしょうか。

  • la dolce vita

    >大手町さん
    >過剰品質の問題って知ってる人は知ってるけど、日本人の大半は過剰品質は問題だって気付いていない人が大半で、認識共有されていないテーマかなぁと思っています。
    それはそうかもしれません。 海外で事あるごとに日本のサービスと比較してケチをつけている人がいますが(・・・と言う私もそうでした)そのために払っている犠牲には気づいていないように思います。 やはり外へ出てみて初めてわかるのでしょう。

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