今回、1週間ひょいっとロンドンへ飛び、10件あまり物件を見て回って帰ってきてメールや電話で賃貸契約の手続きをしながらふと思ったのですが、これって外国人が日本で同じことやろうと思ってもきっと無理ですよね・・・(日本語ペラペラ、言語の壁はないと仮定)。
初めの壁はズバリ「外国人お断り」の大家さんが多いこと。
ロンドンではまああり得ない。 私たち「何人か?」って聞かれなかった気がするし。 もちろん、「なぜロンドンに来るのか?」(→職を持っていることの確認)、「何の仕事をしているのか?」(→支払い能力の推察)は聞かれました。
そして思い出すのが、私がモスクワに長期出張していた時に東京のアパートを解約せずに行ったときのこと。
東京のアパートは1 – 2ヵ月に1回(3 – 4日)という頻度で戻ってくるという空き家状態でした。 その頃INSEAD後輩のタイ人(日本語ペラペラ)がどうしても日本で働きたくて東京で超薄給の職を見つけ、とにかく安く住めるところを探していたので、私がいない間、住まわせてあげることに。 大家さん(80代夫婦)が隣の家に住んでいたのですが、一時帰国中に説明に行く暇がないまま、タイ人の彼女に合鍵を渡し再びモスクワへ出てしまった私が悪かった。
数日後、私は実家の母親から未明の電話で起こされ「外国人がアパートに居座っていたので、(大家さんから連絡を受けた)不動産屋が追い出し合鍵を取り上げた」ことを知らされたのでした。 大家さんに説明しなかった私が悪いんだけど、彼女、日本語は堪能なので状況説明したはず。 もしこれが日本人だったら追い出すまでするかなー・・・?
次の高い高い壁が「保証人」。
ロンドンの賃貸契約では家賃支払い能力をはかるためリファレンス(信用照会先)を取ります(何を要求するか、厳密度は家主によって異なる)。
私たちの場合は、夫の現在の職場と今住んでいるアパート管理会社をリファレンスとしてあげたところ、さっそく翌日に職場と管理会社に照会(電話で給料や家賃支払い状況など訊いていたのであろう)があったようです。
他にも銀行の残高証明など信用証明の種類はいろいろあるようですが、「今後の家賃支払い能力証明を求める」というのは正当だと思います。 でも日本の賃貸契約のように「保証人」を求めることで「自分の信用リスク評価責任を放棄して、他人の財産にまで踏み込む」コンセプトが嫌いなんですよね・・・
この夏、弟がカナダ留学から帰国し、東京でアパート賃貸契約しようとしたとき、親がすでに引退していたため保証人になれないという事態が発生しました。 弟の勤務先の安定度・過去の家賃支払い履歴など全く考慮に入れず、とにかく誰か保証人を、の一点ばり(夫が「それならボクが保証人に」と名乗り出たけど、外国に住む外国人が認められるわけありませんよね・・・)。 東証一部上場企業の社員で社費留学から帰国した日本人でこれなんだから、この保証人制度で必要のない苦労をしている人は相当多いのではないかと・・・
そこで、賃貸契約での保証人について説明しているブログを発見。 ちょっと長いけど引用。
モジックス Zopeジャンキー日記:日本の賃貸住宅ではなぜ保証人を要求されるのか 「保護」がむしろ「弱者」を生む日本の構造
日本の借地借家法では、賃借人(借りる人)の権利がとても強い。 これは、貸す側の大家の立場から見ると、悪質な賃借人(家賃を滞納したり、迷惑行為をする人など)が入ってしまった場合も、なかなか追い出せないということを意味している。
つまり大家にとって、貸す相手を選ぶことに失敗した場合のリスクが大きい。 だから「入口審査」がキツくなり、保証人を要求することになるのだ。 さらに保証人の問題だけでなく、賃貸住宅は物件自体の質も、売買の物件に比べて一般に低いと言われている。 借りる人を「保護」した結果、そのコストが、大部分は善良な賃借人全員に跳ね返ってきているわけだ。
これはまさに、解雇規制の話とそっくりだ。 解雇規制でも、会社が社員を解雇できないように規制しているために、会社にとって採用失敗時のリスクが高くなり、「入口審査」がキツくなっている。 このために、採用基準で「属性弱者」がはじきだされたり、そもそも正社員採用をせずに、派遣や外注で済ませよう、ということになるわけだ。 企業が採用を絞るので、雇用流動性も下がり、転職も難しくなるので、いま正社員の人ですら、いくら会社に不満でも辞められないということになる。
借地借家法も解雇規制も、賃借人や社員の側を「保護」した結果、大家や会社側にとって失敗時のコストが上昇し、「入口審査」をキツくしてしまっている。 その結果として、賃借人や社員は、規制が本来意図するある種の「保護」も得ていると同時に、善良な人も含めた全体に対して「不利益」が生じている。 特に、入居や採用の「敷居」が高くなってしまっているので、どちらかというと「弱者」のほうがはじきだされてしまうのだ。
なるほどねー・・・ たしかに根本の構造は一緒だなー・・・と暗くなってしまったのでありました。
December 9th, 2009 at 2:52 pm
ちなみにアメリカでも日本同様subletを大家の許可無くしてするのはご法度です〜。roommateも勝手に入れてはダメ。州によって法律が違うかもしれませんがカリフォルニアはそうです。住んでる人は全員(roommate、sublet含む)大家と直接契約を結ぶ必要があります。じゃないと、いろいろトラブルになるからでしょう。。まぁ、数日でいきなり追い出す、ってことは流石にないと思いますが、「3週間友達を泊めていたら本人がevictされた」という事件は聞いたことがあります。(でも事件扱いだったので、さすがにこれは厳しいと判断されてるらしい)。
とはいえ、もちろん「保証人を出せ」とか言われることはないです。ただし、クレジットヒストリーがないと結構大変ですが、ベイエリアだと保証金を入れれば大丈夫になるかな。
December 9th, 2009 at 7:10 pm
こんにちは、はじめまして。twitterを拝見してたどり着きました。
昔はそうだったかもしれませんが、最近は保証人必須ということもないですよ。
むしろ、保証会社加入を必須にしているところが増えて、「きちんとした保証人がいるんだから、保証会社外してくれ!」という人がいるぐらいです。
文中のリンク記事に対してはいろいろ思うところがあり、色々書いたことがありますので、話題からずれますがよろしければお読みください。
http://d.hatena.ne.jp/Lhankor_Mhy/20090403/1238759406
December 10th, 2009 at 5:01 am
前職が不動産管理会社です。最近は保証人ではなく賃貸保証会社を利用される方が増えていますね。管理会社としても非常に滞納催促などが楽なのですが、保証会社に3カ月以上滞納すると保証会社に入居者は退去させられる(家具を担保として押さえるケースもある)等、保証会社は結構強引な業務で問題となるケースがあるようです。加入に関して、保証会社の審査はかなり甘い印象があります(確か破産者以外は通ったと思います)。
エントリーにある通り賃借人の権利が強すぎるために、色々な弊害が生まれているのが日本の不動産賃貸業界ですね。
それにしても入退去に費用が掛かり過ぎる。
December 10th, 2009 at 9:27 am
>chikaさん
>ちなみにアメリカでも日本同様subletを大家の許可無くしてするのはご法度です〜。
まあ悪いのは私なんですが、それにしてもいきなり追い出すかー?と思いました(せめて「3日以内に退去しろ」とnotice出すとか・・・)
>クレジットヒストリーがないと結構大変ですが
前ブログに書かれてましたよね・・・(これか?↓)
http://www.chikawatanabe.com/blog/2005/01/post_6.html
このクレジットヒストリーってUSクレジットカードじゃないとダメなんでしょうか? なら結構厳しいなー
>Lhankor_Mhyさん
ありがとうございます。
>昔はそうだったかもしれませんが、最近は保証人必須ということもないですよ。
保証会社の存在は知ってましたが、そんなに増えているとは知りませんでした。 でもこの保証料って返ってこないんですよね? デポジット(契約終了時に返ってくる)なら納得もいくんですが、家賃をきちんと支払っても返ってこないのは納得いかないですね。
>urahagakureさん
なるほど、ありがとうございます。
>エントリーにある通り賃借人の権利が強すぎるために、色々な弊害が生まれているのが日本の不動産賃貸業界ですね。
シンガポールは賃借人は弱いです、借地借家法にあたるものがないので、家主との契約がすべて。
契約期間中は賃借人から契約解除できないし、契約更改時には家主は家賃をあげ放題でした(少し前は売り手市場だったので)。
December 10th, 2009 at 2:43 pm
そこへいくとla dolce vitaさんがお住まいだったフランスっていうのは
逆の意味で「そこに住み着いた人」の権利が尊重されてて、
すごいものがありますね。
私の相棒(フランス人)によると、極端な例ではアパートの居住者が
バカンスから戻ったら、住む場所を失った移民が不法侵入して
住み着いていることが発覚。
裁判で争った末、結局移民の方に居住の権利が認められたそう。
当時色々とメディアで議論になったと聞きました。いやはや。
December 11th, 2009 at 9:12 am
>Ricoさん
>裁判で争った末、結局移民の方に居住の権利が認められたそう。
な・なぜ住みついた方が勝っちゃうんでしょうか・・・? 「住んでる期間がより長かった」とか?
すごい国ですねー・・・