It is difficult…

日本企業や日本人と仕事をすることがすっかりなくなってしまってから久しいですが、たまたまクライアントのオーストラリア企業が在シンガポールの日系メガバンクと話したいというので、アドバイザーとして同行しました。
クライアント側:全員アングロサクソン系 + 私
日系メガバンク:全員日本人
内容は詳しくは書けませんが、クライアント側からのある取引打診(融資ではない)だったのですが、会議開始後10分で(日本人の私にすれば)銀行から色良い返事はない、とわかる内容のものでした。
銀行側は「(クライアントの条件であれば)It is difficult…」を連発し、理由を述べます。 クライアントは「では、どうすれば可能なのか?」と何度も食い下がります。
本当に、日本人の私から見れば、かなりクリアなNOだったのですが、何度も同種のやり取りがあった後、面談は30分を過ぎてお開きとなりました。
面談が終わった後、クライアントに「日本人の”It is difficult.”は”It is impossible.”の意味だから」と伝えたところ、心底驚いていた様子。 やはり全然通じてなかったか・・・


これはかなりよくあるコミュニケーション・ミスですが、日本人は日本語でもよく「それは難しいですねえ」とよく使いますが、その意味が「社内で善処してみるが、可能性は低い」だろうが「技術的には可能だが、商業的にはペイしない」だろうがどういう背景があっても、英語では”It is impossible.”です。 ”It is difficult.”は「努力すれば可能」の意味で可能性50%以上くらい。
理由が何であれ結果を出せないのであれば、できないことはできないという方が誠実なのです。 「非常に心苦しいのですが・・・」という気持ちを込めたいのであれば、もっと別の表現があります。
“It is difficult.”ではなく”It is impossible.”と言うべきであると知らなかった方はこちらにたくさん「日本人がまちがいやすい危険な言葉」を見つけましたのでご参考まで。
Newsweek:メールと電話のビジネス英語ハンドブック
私も同じミスをおかしたことは何度もあるし、昔すぐ海外の重要顧客に対し(社内リソースや商業条件を考えず)「技術的には可能」と言ってしまう技術出身の上司(部門のトップ)がいて、その後「トップが可能と言ったじゃないか!」と怒り狂う客のフォローに奔走したこともある、思い出の表現です・・・
なお、この種の表現は単語そのものに意味が込められているのではなく経験的に用法を学ぶものなので、日本人でも子供は使い方を知らない、という例。
私の母は「来客に”ちょっとお茶漬けでも”と言うのは”もう帰れ”という意味」と言われる京都生まれの京都育ち(京都で実際にお茶漬けを出されたことはないが)。 以下、母の思い出話(私は覚えてない)。
私が5, 6歳の頃、母に「お母さん、○○買ってー」とねだると、「ちょっと考えとく」という。
2, 3日やきもきした後、再び「お母さん、もう考えたー?」と聞くと「まだ。 もうちょっと考えとく」。
これを何度も何度も繰り返した後、幼児の私は「ちょっと考えとく」= 「NO」の意味だと最終的に悟った、というお話。
「それは難しい」も「考えておく」も、英語に直訳するとものすごくポジティブな表現なので、ぜひご注意を♪


8 responses to “It is difficult…

  • lat37n

    このリンク、いいですね。よくまとまっている。
    こういう、「日本語のニュアンスをそのまま持ち込めない英語」っていうのもそうだし、その中にあった「読みやすい段落構成か」ってすごく大事だと思う。前、ある日本人が米人に向けて書いた「この仕事は残念ながらお引き受けできない」というお断りメールを、英語にしてくれとたのまれて、その過程で、冗長的にだらだら書いてある部分(あちこちに「本当に残念」とか「できない理由(あまり、サポーティブな理由でない)」をばっさばさときってストーリーラインしなおしたら「自分の申し訳ないという気持ちやこちらの事情説明が入っていない」と、依頼してきた人が怒り始めてしまいました。ビジネスレターなんだから、簡潔に事情を書いてストラクチャーされた英語にしないとよんでもらえないから、といったんだけど、まあ、難しかったですね。
    しかし、母上うけます、そんな幼少のころから「京都流おことわり作法」を覚えこませるとは。。。

  • ドイツ特派員

    la dolce vitaさん、
    この点って、最近は逆に問題になりますね。例に挙げられているように、「とにかく白黒はっきりだから、”出来る”か”出来ない”で答えなきゃ」といってとにかく「出来る」と回答してしまうようなことがあります。別に白黒をつける、って意味ではなくて、「灰色を灰色」として説明すれば良いんですけど、中々そういう交渉をしていないと、その説明自体が思い浮かばないみたいですね。「これは今の条件だけでは出来るかどうかわからない、今の状況だけでは判断ができない」と言えば良いだけなんですけどね。
    ただ複数の経験で、どうもヨーロッパの会社と付き合うと、あまりにスパッと言い切るアメリカ企業のやり方は受け入れられないところがあるみたいです。「あいつらはYesかNoかの回答しか求めてこない」「出来る出来ないなんてすぐ分からないじゃないか、お前もそう思わないか?」と文句を言う人たち(イギリス企業に多かった気がする)を見て、へーっと思ったことがしばしば。まあ連中のアメリカ嫌いからみればバイアスが掛かっているのかもしれません。かなりの数の欧州企業と仕事しましたが、最後飲んでいるとアメリカの悪口で終わることが多かったですね。

  • わっきー

    逆に質問なんですが、「できない」内容を日本語で「できない」
    と言ったらやっぱりいけないのですかね・・・。
    やっぱり「難しい・・・」とか、可能性が0ではないけれども実質上0の言葉に
    置き換えるのが、正しい日本語なんでしょうか。
    たまたま日本人のわりと年配の社内の方に、
    私の会話に否定的な断定が多い、と言われ、妙にへこんでいた矢先でした(まさに「できません」とという全面否定語がきっかけ。。。)
    まぁ確かにそんなにポジティブではないのですが・・・。

  • la dolce vita

    >lat37nさん
    >その過程で、冗長的にだらだら書いてある部分(あちこちに「本当に残念」とか「できない理由(あまり、サポーティブな理由でない)」をばっさばさときってストーリーラインしなおした
    わかります、私も軽い通訳でしょっちゅうやりますが、英語に直すとあまりに短いので「本当にそれだけか?」といつも言われます。 まさに”Lost in Translation”(映画観ました?)
    >そんな幼少のころから「京都流おことわり作法」を覚えこませるとは。。。
    父バージョンというのもあります。
    こちらは、私が「みんな持ってるから買って」と言うと「みんなって何人だ?」と言わせ、「○○ちゃんとXXちゃんと△△ちゃん」と答えると、「3人はみんなじゃないな。10人になったら買ってあげる」と言うさらに高度なもの(人数を子供に答えさせた後、達成できなさそうな数字を設定するのがポイント)。
    こうして、私はおもちゃを買ってもらった記憶がありません・・・
    >ドイツ特派員さん
    >「とにかく白黒はっきりだから、”出来る”か”出来ない”で答えなきゃ」といってとにかく「出来る」と回答してしまうようなことがあります。
    交渉の内容を書けないのでわかりにくいかもしれませんが、上記の例は明らかなNOを”It is difficult.”という単語を使ってしまったため、全く伝わっていないという例です。 ”difficult”のニュアンスが日本人とEnglish nativeでは全く違うという話で、クライアント側にアメリカ人はおらず、英・豪・NZ人でしたので、ここはEnglish native共通の理解です。
    >どうもヨーロッパの会社と付き合うと、あまりにスパッと言い切るアメリカ企業のやり方は受け入れられないところがあるみたいです。
    私は昔はアメリカ人との付き合いが圧倒的に多く、今はヨーロッパとオーストラリアが圧倒的に多いので、両方の言い分はわかりますが、まあお互いさまですね。 NYからロンドンに引っ越した友達(ブラジル人)が「イギリス人ははっきり言わないから腹の中で何考えてるかわからず付き合いにくい」って引っ越して4年経った後も言ってました。 気持ちはわかります。
    “different”は”wrong”ではないので、仲良くしてください、って感じです。
    >わっきーさん
    >逆に質問なんですが、「できない」内容を日本語で「できない」と言ったらやっぱりいけないのですかね・・・。
    人によっては婉曲的な物言いをしないときついと感じる人もたくさんいるでしょうねー
    そのへんの社内の立ち回り方は(その年輩の方、日本人ですよね?)、「日経ウーマン」とか読むといっぱい書いてありますよ(紀伊国屋は日経ウーマンはカバーかかってないはず、笑)。 例えば、「できません」ではなく「○○までにはできませんが、XXであればできます」という言い方にしましょう、のような細かーいことがいっぱい特集されてます。
    たかがOB、されどOB、なので(↓)。
    http://www.ladolcevita.jp/blog/global/2008/10/its-all-about-ob.php

  • ゴーダチーズ

    お母様のお話を聞いて、日本にいた頃、主人(オランダ人)が日本に来て しばらくして 覚えたのは 日本では取引先で(特に関西に多いといっていましたが、)「考えときます。」という返事をもらったら ほぼ「NO」と同じ意味だということを言っていた事を 思い出しました。
    彼は 日本に住んでいたので その後は「考えときます=No」と理解をして 取引先と話をしていたようですが、これも 日本に住んでいない 日本人以外の人には理解しがたい表現でしょうね。  

  • la dolce vita

    >ゴーダチーズさん
    >彼は 日本に住んでいたので その後は「考えときます=No」と理解をして 取引先と話をしていたようですが、これも 日本に住んでいない 日本人以外の人には理解しがたい表現でしょうね。
    日本人でも子供には全く理解できませんので、文字通り受け取ってはいけないのですねー
    今、実家にいるので、親の会話を聞いているのですが、母が友達に電話で「あれはちょっと・・・ね・・・」と言ってました。 私は(心の中で)「ちょっと・・・ 何やねん?!」と突っ込んでいましたが、「ちょっと・・・」で言外の意味まで理解を求められているのですね・・・ 日本語は・・・

  • haustin

    遅ればせながらエントリーを読ませていただきました。私は日本人相手の仕事がメインなので、いつもああ、、、とおもうこと多いです。メンタリティーがまったく違うので、いきなりアメリカ人はこう受け止めるから、、、と解釈して会議に及ぶのはむずかしいのでしょうね。
    行間を読む、オブラートで包む(シュガーコーティングする、と英語では言いますよね)ということは、もちろんアメリカでもあって、はっきり断らないことやネガティブなことは言わないことはあるんですよ。遠まわしーな言い方するから、どっちやねん、とおもうことはあります。そういう時は、ダイレクトに聞き返しますが・・・
    そののりで日本人と会話すると、ドン引きされて、立場がしたの日本にいるカウンターパートにずけずけアドバイスしたら、その上司(私と対等)にちくられ、「私に断られた・・悲しい・・」といったことを言われた、と報告されました。仕事なんだからもうちょっとドライにしてほしいとおもうんですが、さくさく言い過ぎてもだめなのが、対日相手の難しいところです。

  • la dolce vita

    >haustinさん
    >仕事なんだからもうちょっとドライにしてほしいとおもうんですが、さくさく言い過ぎてもだめなのが、対日相手の難しいところです。
    言葉だけでなく、そういうメンタリティーを自由に日米行き来できる状態にしておくところが大変ですよね。 私も今回日本で「ああ、日本だなー」と思いました(別に悪い意味でなく)。 ありすぎて、こんな狭い欄には書けませんが(笑)。

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