惑いのキス

長らく気になっていたものの放っていたことを調べてみました。
それは人によって異なる挨拶の方法。

1. ボディタッチなし（お辞儀、会釈、手を振るだけ、など）
2. 握手
3. 頬にキスする（チュッと音を出すだけ）
4. 頬にキスする（実際、唇をつける）
5. ハグする

と、挨拶を5段階に分けると、文化によって個人によって関係性によって、あまりにも千差万別。

友人同士がその日初めて会ったときの挨拶を対象とします。　カップルはお好きにしてください、だし、ビジネスでは通常2.です（日本は1.もしくは2.）。
主に、女性 x 女性、女性 x 男性の場合を対象とします。　私が女性であるため、自分の状況把握で精一杯、男性 x 男性まで観察対象に入っていません。

Kiss, Shake, Sniff: Greetings Across the Globe
Wikipedia : Cheek kissing
1. 通常のケースの日本人を含めアジア人が当てはまる。　アジアの細かいバリエーションはわかりませぬ・・・
2.以降、すべて主に欧米人が観察対象。　南米人もそうかも、中東・アフリカはよくわからん。
2. 男性 x 男性のケースは普通ですが、女性 x 女性、女性 x 男性のケースで、会うたびに握手って友達はいないような・・・　だいたい1回目は握手で2回目以降は3. 4. 5.に発展する気がします。　
そして、3. 以降がさまざまで大変・・・

3. 4. の場合（主にヨーロッパ）、回数とどちらの頬からスタートするかは場所・場合・年齢・人によって異なります。
スペインとオーストリアとスカンジナビアでは2回、オランダとスイスは3回、フランスに至っては北は大きく2回と4回に分かれるのですが、南は3回のよう。　右はCombien de bises?（何回キスする？）という文字通りのサイトのオンライン投票結果です。　サイトに行き各県にマウスオーバーすると回数の内訳が円グラフで出てくるのですが、場所によっては見事に2回と4回に真っ二つで、こんな複雑な挨拶をこなしているフランス人ってすごい・・・
さらに、3.チュッと音を出すだけ、なのか、4.実際、唇をつける、のかの使い分けは、はっきりいってわかりません。　女友達には、3.をされることが多く、男友達には4.をされることが多いのは私だけでしょうか？
アメリカ人、イギリス人、オーストラリア人などアングロサクソン系は5.が入ってきます。　3.または4.の後続いて、5.というコンビネーションもあります。　友達ではないですが、義母（オーストラリア人）には必ず4.ブチューっと頬にキスした後、5.ハグされるので、見事なキスマーク（内出血じゃない方）がつくんですが・・・
これだけ複雑な友達同士の挨拶ですが、数年前まで私の人生はもっとシンプルでした。
・・・というのも通常、郷に入っては郷に従うので、フランスではみんな3. もしくは4.を2回するだけでよかったのです。　挨拶というのは「頬に2回チュッ、チュッ」と覚えておけばよかった。
ところが、フランスにいた頃から月日も経ち、みなそれぞれ母国に帰ったり第3国に住んだりするうちに、挨拶の仕方がそれぞれバラバラになっていき、今ではてんでバラバラ・・・
違う方式の人が出会った時、失礼にならない方（= ボディコンタクトが少ない方）を採用するのが道理にかなっている気がするのですが（フォーマルはカジュアルを兼ねる、みたいな感じ）、実際は正反対で思い込みの激しい方にそうではない方が合わせる、ことで運用されているようです。
ほとんど「まな板の上の鯉」状態の私はされるがまま（笑）。
なお、ビジネスの場面と男性 x 男性のケースは、あまり触れませんでしたが、右の写真は1964年にフランスのド・ゴール大統領とアルゼンチンのイリア大統領が頬にキスの挨拶をしているところ（wikipedia : cheek kissingより）。　こちらも複雑そうです・・・