そろそろ決着を、年金問題

発表されて以来、理解しようと試みているが、「だから何なんだ?」とやっぱり白けてしまうこのニュース。

公的年金制度を維持するには、65歳以上の高齢者が受け取る厚生年金の水準を段階的に引き下げ、2038年度以降は現在よりも20%低くする必要がある。厚生労働省は23日、こうした年金財政の長期見通しを公表した。現役世代の手取り収入に対する厚生年金の割合は50.1%で、政府が約束した5割を維持できると説明している(asahi.com : 30年後、厚生年金給付2割減 政府見通し、年収の5割)。

要約すると、「2038年(年金給付開始年齢が変わらなければ、今の30代が受給し始める頃)の年金受給額は随分減るけど、一応約束した水準は守りますよ」と政府が(給付額に大きな影響を与えるさまざまな前提条件をいじった上で)発表した、ということらしい。
いつまで先延ばしにするのかねー、この議論。
私が海外移住することを決めたのは、日本語を話さない夫が日本で満足な仕事が見つからないであろうから、というのが直接の原因だけど、「この国(の制度)、マジメにやってられない」と国を出る遠因となったのは、やはり2007年のこのニュースだったと思う。

厚生年金や国民年金などの公的年金を一元的に管理するための「基礎年金番号」が何らかの理由で付されていない年金加入記録が、昨年6月時点で5,000万件もあることが、社会保険庁の内部調査で明らかになった。加入記録に同番号がないと、保険料を払っていても加算されず、年金の受取額が減る恐れもある。(NIKKEI NET : 基礎年金番号漏れ、記録に不備5000万件・社保庁調査

最初にニュースを見たのは日経の朝刊だった気がするけど、5,000万という数字に目を疑い何度も何度も読み直したことを思い出します、だって日本の人口の40%じゃん・・・(注:5,000万人ではなく5,000万件なので正確には人口の40%ではない)
それに増して驚いたのは、このニュースを受けて暴動が起きなかったこと。 まあ暴動という暴力手段に訴えるかどうかは別として、メディアではそれなりに騒がれたけど身近な人の反応はあきらめに似たものでした。


私が初めて日本の年金制度がいかに、若者に、都市部のサラリーマンに、単身者に不利なものになっているかを知ったのは『世界にひとつしかない「黄金の人生設計」』を読んだときだったと思います。 若者・都市部・サラリーマン・単身者・・・私、全部に当てはまるんですけど・・・
(橘玲さんの本は過激なので、今私が読んでどう思うかわかりませんが、少なくとも当時目を覚ますきっかけになりました。 年金とか保険とか難しくて・・・と犬猿している若い人にお薦め。 最近よく読む池田信夫 blogではこちらの本が推薦されています。)
自分がいかに社会保険、年金、所得税、相続税など重要なことを知らないかに気づき、ファイナンシャル・プランナーの基礎知識を勉強したことは『FP技能士3級のススメ』に書きました。 FPになるためではなく、知っておくべきことを知っておくため。
その後、5,000万件紛失事件には驚愕し、私の中では年金は社会保障ではなく税金というコスト勘定に入れることで気持ちの処理がついています。 25年以上加入しないと受給資格がないとか言うことで柔軟性がないことこの上ない。
なお、現在の記録照合の進捗条件は社保庁のサイトでどうぞ→社会保険庁:年金記録問題への対応策の進捗状況
シンガポールでは『社保庁は見習ってほしいCPF』に書いたように、個人の積立預金で相互扶助ではないので、自分で積み立てたものは自分のものになります。 国を出るときに解約し持って出ることもできます。
オーストラリアでも積立式なので、わずか3年しかオーストラリアで加入期間のない夫でも受給できます(受給は受給開始年齢まで待つ必要あり)。
『この国を作り変えよう 日本を再生させる10の提言』では「現在の公的年金制度を解散、保険料は全額返還して賦課方式から積立方式にしよう」と提言されています。
『「知の衰退」からいかに脱出するか?』でも大前研一さんが「5,000万件の年金データ照合なんて無理」と言い切っており「一時金と生活保護で解決する」と提言されています。
どの方法がいいのかまで、まだ思考が及んでいませんが、発覚から2年経って現状のような有様。 だらだらと照合を続けるより(この作業の費用も国民の税金から)、ばっさり白紙から年金制度を設計し直す方が将来世代はハッピーでしょうねー
ついでに新しい制度には転職の際だけでなく、海外居住も対象にした年金ポータビリティーも含めてください。


4 responses to “そろそろ決着を、年金問題

  • Junya

    日本人って税金や保険で散々ひかれた可処分所得をどうやって細々使うかに興味はありますが、そもそもそういった税金や保険を何とかしようとする発想がそもそもないですよね。自分の所得税がどう計算されていくらとられているかなんて突き詰めている人ってほとんどいない気がします。
    年金に関して暴動が起きない点を書かれていましたが、お上に対する従順さはある意味日本人ならではのDNAなんですかね・・・・

  • la dolce vita

    >junyaさん
    >そもそもそういった税金や保険を何とかしようとする発想がそもそもないですよね。 自分の所得税がどう計算されていくらとられているかなんて突き詰めている人ってほとんどいない気がします。
    これはサラリーマンの源泉徴収がよくないと思います、年末調整まで会社がやるので税金について考える機会が全くない。 そもそも手取り収入(Net income)を計算の出発点にしていて、給与所得(Gross income)を出発点にしている人なんてほとんどいないのでは? 確定申告が必要な人(自営業者etc.)は意識が高いと思いますけどね。
    >年金に関して暴動が起きない点を書かれていましたが、お上に対する従順さはある意味日本人ならではのDNAなんですかね・・・・
    昔は百姓一揆とかあったと思うので(←いつの話だ?笑)、やっぱり食べるものにそこまで困ってないからですかねー 本気で飢えたら変わるのかな? ちょっと解がありません・・・

  • Y.S

    先ほど初めてこちらにコメントをさせて頂き、今、こちらのエントリーを拝見して(新しいものから見ているので)、衝撃を受けました。そうでしたか、この事件がキッカケだったんですね。そして、海外に出られたのは、つい最近、ということでしょうか。
    自分も口癖のように、フツウ暴動だろ、と言っておりました。
    >若者・都市部・サラリーマン・単身者
    ばっちり当てはまります。

  • la dolce vita

    >Y.S.さん
    >この事件がキッカケだったんですね。そして、海外に出られたのは、つい最近、ということでしょうか。
    「やってられない」と思ったことは確かですが、何かひとつがキッカケということはないし、全く帰るつもりがないということでもないです。
    私の略歴はAboutページに書いてますし、もっと詳細は過去エントリーにたくさん書いているので、ご興味あればそちらをどうぞ。

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