日本の景況感が急激に悪化しているとのこと。
新卒学生の内定取り消し、自動車メーカー数千人削減、といったニュースが次々と飛び込んでくるのですが、私は7月以来日本に帰っていないので、肌身で感じられないのですが、実際どうなんでしょう?
私が今まで肌身で感じた最大の不況はやはり拓銀と山一証券が破綻した1997年。 当時、大学4年生だった私は同級生の内定が取り消されるのを見て「エラい時代に就職になってしまったなー」と思ったものです。 かろうじて内定取り消しもされず就職した会社は、その数年後、同業他社と再編合併となりリストラが起ったことは以前書きました。
内定を取り消された学生は気の毒だとは思いますが、別に就職できたからといって将来安泰が約束されている訳でもないし、「内定取り消さざるをえないような会社は経営不安なのだから、早めにわかってよかったのでは?」と思ってしまいます(この点は『問題は内定取り消しより新卒偏重では』の記事に極めて同意)。
ところで、新卒学生の内定取り消しにせよ、正社員で人員整理の対象になったにせよ、人件費の変動費化が進むアメリカはもちろんのこと日本でももはや”unknown unknown”ではなく”known unknown”では?
つまり、自分の内定が取り消される、人員整理の対象になる、という将来はその事実が起る直前までは不明(unknown)なのですが、不明である(ありうるかもしれない)ということは既に知っていた(known)では?ということです。
不確実な将来があると知っていると(= known unknown)、それに対する備えができるので、そのような不確実性があるとも知らず、まさに青天の霹靂、寝耳に水な場合(= unknown unknown)より経済的・精神的な心構えができると思うのですが、実際対象となった方はどうだったんでしょう?
(注:内定取り消しを肯定しているわけではありません。 個別の事情はわかりませんが、企業破綻などやむを得なかったケースもあると思いますので、内定契約書に取り消し時の取扱を定める、この時期に取り消された4年生が再チャレンジできるように採用市場を柔軟にする、など単純に当該企業を非難したり100万円の補償金を支払って終わるのではなく、「有事への備え」が社会システムとして必要なのではないかと思う次第。)
冷たく聞こえるかもしれませんが、実は自分に向けた問いかけです。
私は6月に財閥系総合商社(東京勤務)を退社し、シンガポールに移住。 ハネムーンだ何だと1, 2ヵ月浮かれた後、以前の仕事のツテで誘ってくれた会社を断って、ほぼベンチャーキャピタル(VC)に絞って就職活動開始(ベンチャー投資経験が活かせ、かつ起業家が好きなので)。
VCは、そもそも圧倒的に少ない人数で回しており、新規採用はあまりない業界。 あれよあれよという間に9月にリーマンショックが起こり、VC業界は強烈な打撃を受けました。 友人にも「新規採用なんかあるわけないじゃん、景気を読んでから結婚しなよね」などと言われつつ(「景気を読んで結婚しろ」、うーん、名言だ)、某米系VCで何とかインターンのポジションを得たのが10月。
10月、11月と働き、パートナー(VCの共同経営者)にも気に入ってもらえたのですが、予定よりファンドレイジングが遅れるとのことで新規採用は一旦凍結と通達されたのが11月下旬。
「えーい、やってられねー、旅に出てやるー」と急遽、中国一人旅に出かけ、現在何とかショックから立ち直ったところです。
これも、
– 今回の金融危機でVC業界は大打撃を受けていること
– インターンという形で数ヶ月コミットしても正規採用に結びつかない可能性もあるということ
すべて事前にリスクを理解した上での”known unknown”だったのだ、と納得しています。
・・・という訳で、私と同じく憂き目に合っている皆さん、年内はゆっくり休んで来年からまた気を取り直してがんばりましょう!
なお、引用した”known unknown”etc.は、ラムズフェルド元米国防長官が、イラク戦争を正当化して有名になった名言(迷言)です。
The Unknown
As we know,
There are known knowns.
There are things we know we know.
We also know
There are known unknowns.
That is to say
We know there are some things
We do not know.
But there are also unknown unknowns,
The ones we don’t know
We don’t know.
–Feb. 12, 2002, Department of Defense news briefing
「イラクに大量破壊兵器があるかどうかもわからない(= unknown unknown)んだから」と米国の武力行使を正当化したので、大いに批判を浴びましたが、この「物事には”known known”と”known unknown”と”unknown unknown”がある」という考え方自体はその後も様々な識者に引用されていることからも的を得ているのだと思います。
December 24th, 2008 at 7:43 pm
今の時代、変化に対応できるものが生き延びると言いますが、
企業も個人も同じかもしれませんね。
「この世に生き残る生き物は、最も力の強いものか。そうではない。最も頭のいいものか。そうでもない。それは、変化に対応できる生き物だ」by ダーウィン
December 24th, 2008 at 7:47 pm
それと、ご存知かもしれませんんが、
作者不明ですが、アメリカで語り継がれている作者不明の詩
次のステップに行くとき行きづまった時にでも。
“DONT’T QUIT”
When things go wrong, as they sometimes will,
When the road you’re trudging seems all uphill,
When the funds are low amd debts are high,
And you want to smile, but you have to sigh,
When care are is pressing you down bit,
Rest, if you must, but don’t you quit.
Life is queer with its twists and turns,
As everyone of us sometimes learns,
and many a failure turns about
When he might have won had he stuck it out;
Don’t give up though the paceseems slow
You may succeed with another blow.
Success is failure turned inside out,
the silver tint of the clouds of doubt,
And you never can tell just how close you are,
It may be near when it seems to so far;
So sick to the fight when you’re hardest hit,
It’s when things seem worse that you must not quit.
「なげたら、ダメ」
ものごとは、いつだって、そう、うまくいかない。
とぼとぼ歩く道が、この先もずっと上り坂に見えたり、
手もとに資金はなく、借金だけがかさ高かったり、
笑いたいのに、ため息しか出てこなかったり、
苦労があなたを少し落ち込ませる。
そんな時、休みが入るなら休みなさい、でも途中で投げたら、ダメ。
だいたい人生はあっちにいったり、こっちにいったり、ねじくれてばかり。
でもだからこそ、失敗と見えたことが成功にくるりと転じたり、
終わりまで粘り続けた人が、勝ったりする。
ものごとが進む速度は遅くても、途中であきらめないこと。
あきらめなければ、もうひと押しで、思いをとげられるかも知れない。
成功と失敗は表裏一体。
行き先をはばむ雲の中に、銀の輝きはひそむ。
けれど、人は、それがいかに近くにあるのかわからない。
ものすごく遠くに見える輝きでも、もしかしたらすぐ近くにあるかもしれない。
だから、打たれ、へこまされている時ほど、戦い続けるべき。
ものごとが最悪に見える時こそ、絶対、途中で投げてはいけない。
December 24th, 2008 at 11:36 pm
>しんさん
>作者不明ですが、アメリカで語り継がれている作者不明の詩
>次のステップに行くとき行きづまった時にでも。
ありがとうございます〜(涙)
この詞は知りませんでした。 しんさんはinspirationalなものの宝庫ですね。
私、ビジュアル系なので(L’Arc~en~Cielとかのビジュアル系ではなく、目で見えたものに反応する)、この詞を使ったビデオを探してまたら、YouTubeにありましたよ(↓)。
http://uk.youtube.com/watch?v=VkCFeNeqyHk
Steve Jobsのスタンフォード卒業式スピーチと一緒に、落ち込んだときに観ることにします。
ありがとうございました♪
December 26th, 2008 at 1:18 am
>私、ビジュアル系なので(L’Arc~en~Cielとかのビジュアル系ではなく、目で見えたものに反応する)、この詞を使ったビデオを探してまたら、YouTubeにありましたよ(↓)。
おお~、youtubeにあったんですね。その手がありましたか。
この手の名言をビジュアルで探すと言う習慣がなかったので(無いのが大前提)
ご紹介ありがとうございます。
実は私もビジュアル系だったりします(何か覚えるときなどはビジュアル系です。イメージや場所で覚えます)。
Steve Jobsのスタンフォード卒業式スピーチ、起業家精神のいっぱいで私も好きです。
スタンフォードねたですが、
Oprah Winfreyのスピーチも良かったです。
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/51070243.html
December 26th, 2008 at 10:14 pm
>しんさん
Oprah、弾さんのブログは読んだ記憶があるのですが、はじめてちゃんとまともに聞きました。
いいですね、彼女らしくて。 スタンフォードの学生がうらやましい。