私たちには、バンカーの友達が多いので、あちらこちらから解雇・リストラの噂が聞こえてきています。
REUTERS:米リーマンとメリルの「激震」、金融業界の雇用に衝撃波
もともと人的流動性の高い業種なので、ロンドン→ニューヨーク→香港、とマーケットを移動することは珍しくもないのですが、数週間ほど前にTemasek(シンガポール政府系投資会社)にいる友人と話したところ、ロンドンとニューヨークから大量に履歴書が送られてきている、と言っていました。
余談ですが、今回のバンカメによるメリル買収でてっきりテマセックは大損したのかと思いきや、$1.5bil.の売却益とか・・・ 随分投資効率のよい買い物でしたね・・・
Bloomberg:Temasek May Reap $1.5 Billion Gain From Merrill Lynch Takeover
今回の金融業界再編でバイサイドにとっては優秀な人材を確保するチャンスという見方がありますが、彼らもそんなに大量に受け皿はありません。 『景気とMBA』に書いたようにMBAを取りに行く人がいたり、中国人やインド人の中にはこれを機会に故郷に帰る人もいるようです(故郷は中長期的には間違いなく成長するので)。 金融業界から流出し始めた人々が落ち着くまでしばらくかかりそうです(その間に現在の金融業界地図は元の面影がないほど塗り替えられているのでしょう)。
友人の1人(ヨーロッパ系ユニバーサルバンクのM&A部門)は、「(まだ)クビにはなってないけど、去年の年収のうち65%がボーナスだったけど、今年はボーナスなし」と嘆いていました。
まあ、「去年の年収( = 7,000万円)が、ベース分だけ( = 2,500万円)になっちゃった」というレベルの話なので、ちっとも同情はしていないですが、このようにハイリスク・ハイリターンのcyclicalな仕事についている、という認識に立った上で急なダウンサイドに対応できるような生活設計をするべきなんだ、と思います。
金融は真っ先に危機の影響が現れた業種ですが、これからは(金融に比べると)ローリスク・ローリターンな業種にも次々影響が及ぶと思います。 私たちもちっとも人ごとではないので、取れる対策を考えてみました。
1. 卵はひとつのかごに盛らない
分散はリスクマネジメントの基本中の基本。 『Diversify! diversify! diversify!』に書いたように夫婦でリスク・プロフィールの異なる仕事につく。
持株会で自分の勤める会社の株を買っている人がいますが、自分の雇用のみならず金融資産まで1つの会社に預けるとは、非常にリスクが高いと思います。
2. 家計のバランスシート(B/S)の負債を軽くする
毎月決まって出ていく固定費(企業でいうとburning rate)は軽ければ軽いほど身動きが取りやすく急な変化に対応しやすいです。 固定費でもっとも家計の首を締めるのがローン(マイホーム、車、カード)。
我が家はマイホームも車も当面持たない主義なので全くローンがないですが、フローのあるうちにさっさと繰り上げ返済してB/Sをできるだけ軽くしておくのがよいと思います。
3. 1年から2年、働かなくてもすむ流動性資産(現金)を確保する
急なリストラにあったとき、1年か2年働かなくてもすむ貯金があれば、支出を少なくしながら(家賃負担が重ければ家賃の低いところに引っ越せばよい)入念に準備しながら次の一手を考えられます。 人間、懐に余裕がないと心にも余裕がなくなるので、今いる場所にしがみついたり(→『米金融、未曾有の危機』に出てくる先輩のように)、長期的な戦略ではなく短期の目先の利益に捕われた決断をしてしまいがちです。 そのために、やはり2. 負債をなくす、ことは重要。
4. 自分のエンプロイヤビリティ(雇用力)を高める
なんだかんだ言って一番大事なのはこれですね。 私もまだまだエンプロイヤビリティを高めている真っ最中であります。
このインタビュー(↓)が結構よかったです。
キャリアコンサルタント・小杉俊哉氏 – 人生を輝かせる、「絶対的キャリア発想」のススメ
どうでしょう? チーズはある日突然なくなるわけではない、ですからねー(→参考)
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