以前『TOEIC965点からの英語』を書いたところ、「TOEIC965までについて知りたい」とのコメントを頂いたので、私が行ったことをご紹介します。
最初にお断り。
1. 私の大学時代の話なので10年以上前の経験です。 今はオンラインやDVD教材などより多くの選択肢があると思いますので、ご自分に合わせてお選びください。
2. 時間に余裕のあった大学生だからできた方法と思われるかもしれません。 社会人の方は方法を工夫する必要がありますが、「短期間に膨大な英語のシャワーを浴びる」ことが必要であることに違いはありませんので、ご自分に合った方法でお試しください。
大学2年、3年の2年間、サイマルアカデミーという会議通訳者養成コースに通いました(京都校)。 通訳の仕事をしていた母に勧められたためですが、通訳にならなくとも結果的に飛躍的な英語力の向上がはかれました。 プロ養成に使用されているメソッド、教材はもちろん素人の英語力向上に役立つのです。
週2回、各2時間のコースでしたが、「授業時間の3倍は予習、復習に当ててください」と言われ、その通り大学の授業そっちのけでサイマルの予習、復習をしていました。
覚えているトレーニング内容は次の通り。
次の1、2、3は順番に行います。
1. シャドーイング
耳から聞こえてくる英語を(初めは内容を理解しなくていいので)口からそのまま音声だけをアウトプットすることを繰り返す練習です。繰り返しているうちに内容がわかるようになってきます。
教室ではCNNニュースを使用していましたが、私はブリティッシュ・イングリッシュをマスターしようと決めていたので家で同様にBBCニュースでやっていました。
この効果は劇的です。 ネイティブが話す英語の「リズム」が身に付きます。
2. ディクテーション
今度は聞こえてくる英語を一語一句書き出す練習です。 自分が書き出した語句を後で配布されるニュース原稿と比較することによって、どこが聞き取れなかったか、どういう単語が強く、どういう単語が弱く発音されるのかわかるようになります。
ノートテイキング(ノート取り、ディクテーションを簡略化したもの)は通訳の必須スキルですが、道具として英語を使いこなしたい人はそこまで必死になってやる必要はないと思います。
3. 暗唱
クラスで一番辛い宿題でした。 3分間ほどのニュースを次回クラスまでに丸々暗唱するのです。 1人ずつ前に立って皆の前で暗唱します、つまれば沈黙です。
嫌でもニュースに使われたボキャブラリーは身に付きます。
4. ボキャブラリー
昔”ボキャ貧”なる番組が流行りましたが、英語も日本語も同じ。 「知らない単語は聞き取れない、書けない」のでボキャブラリー増は果てしなく重要です(私の現在の課題でもあります)。
クラスでは『国際貿易英語』という単語本の中の単語を毎回10ページ覚え、毎クラスでテストがありました。 これもみなの前で結果報告させられるので辛かったです。
どうでしょう?
「こんなの忙しくてできるわけない」と思われたかと思いますが、最も大切なのは自分に適切なゴールを与え(例:1年後にTOEIC ○○○点)、ふさわしい教材を選んだ後(今は選択肢が膨大にありますね!)は、いかに自己の動機付けと進捗管理ができるか、だと思います。
通訳養成コースに通ってよかった点は、レベルが非常に高かった、先生が”鬼”でできないと容赦ない言葉が飛んできた、ので負けず嫌いの自分にはピッタリでした。
ただ最初に書きましたが、人それぞれに合った方法があると思いますので、探してみてくださいね!
December 31st, 2008 at 9:52 am
(過去のコメントは以下)
yome July 8, 2008 10:03 AM
ありがとうございました。とても参考になりました。追い込む力をだれかに借りたほうがいいですね。私に最適な鬼を探してみます。。。
la dolce vita July 8, 2008 11:34 AM
>yomeさん
コメントありがとうございます。
自分が鬼と兼務することは、よっぽど意思が固い人でないと大変だと思うので、外部の力を上手に借りた方がいいですね。
「初めに大きな投資をする(高い授業料を払う)」のも投資を取り戻そうとする意思が続く人にはいいと思います。 私はいつも「1回休むと5,000円の無駄金」と自分に言い聞かせながら通ってました。
quitelovely July 8, 2008 12:51 PM
サイマルやインターの会議通訳コースはほんと厳しいけど、本気で力をつけたい人にはいいと私も思います。
私もイギリス英語が好きで(また共通点発見!)、OL辞めてイギリスに渡りケンブリッジ英検の勉強を3ヶ月しました。帰国1年後に問題集を2冊やって、はじめてのTOEIC945点→その後2回ほど受けて30点ほどUP。結局、包括的な力がついていれば、テストのフォーマットにさえ慣れれば大丈夫なんだなと思いました。
その後通訳学校にちょこちょこ通いましたが、宿題がつらいけどよかったと思います。あとクラスメイトからの刺激も!
今はPodcastでBBCもたくさん聞けるし、教材の幅がずいぶん増えましたよね。
la dolce vita July 8, 2008 8:57 PM
>quitelovelyさん
プロのご意見、ありがとうございます!
そうでした、サイマルの「会議通訳」コースでした(翻訳はやっていないので直しました)。
基礎力がつけば、後はそれぞれのテスト対策を少しやるだけで何とかなりますよね。
私はPodcastなるものについていっていないので調べてみます。 ここ数年は英語の勉強そのものをやっていないのでボキャブラリーの低下が著しいです・・・
オレンジ August 21, 2008 5:33 AM
Excellent!!!努力しなければ何も得られないですよね。有益な情報ありがとうございます。参考になりました。コピー&ペーストさせていただきます。
la dolce vita August 21, 2008 11:25 AM
>オレンジさん
初コメント、ありがとうございます。
参考になると嬉しいです、また結果教えてくださいね〜
オレンジ August 23, 2008 9:20 AM
コメントありがとうございます。現状をお話しますと、ほぼ一年前からやさしいGRで多読を始めて、今はPB32冊目を読んでいます。僕は読み書きを必要としているので、多読を中心に勉強してます。TOEICについては僕は客観的に人に評価される必要がないと思っているので(不快な表現であったならごめんなさい)、あまり関心がないです。たとえば、TOEICがAクラスでもPBが読めない状況では本末転倒しているように思えるからです。だから、僕は実際に読み書きできるよな勉強を中心に勉強しています。
ところで、管理人さんはライティングに関してはどのように勉強なさったのですか?参考までに教えていただけませんか?
la dolce vita August 24, 2008 8:20 PM
>オレンジさん
自分のゴールを知っていることは最も近道なので、素晴らしいと思いますよ。
ライティング・・・受験勉強を除くと(私は京大なので二次試験対策の英作文が必要でした)、サイマルでライティングをやった覚えはないので、職場でのOJTです(メール、ビジネスレターを参考書や人のマネなどで)。
そしてMBA受験のために大量のエッセイを書かなければならなかったので、この時はネイティブに添削をしてもらいました。MBAプログラム中はこれまた大量のレポートを書きました。
ライティングだけのトレーニングはあまりしていなくて、ほとんど必要に迫られて書いてました。
k-ta November 1, 2008 11:53 AM
いつも刺激的なブログ楽しみにしております。
今回も英語についての生の、しかも有用な情報が発信されていて嬉しかったです。
ひとつ、教えてください。
私も英語を欲しています。
専門書(心理学・投資)を難なく読めるようになるのが目標です。
翻訳者、通訳者向けの学校は基礎的な英語力がどれくらい必要になるでしょうか?
私の英語力は主観的に見てもつたないものなので、基準がわかればまずはそれを目標にできるなと思いコメントしました。
いつもありがとうございます。
それでは、また。
la dolce vita November 1, 2008 8:55 PM
>k-taさん
コメントありがとうございます。
通訳者、翻訳者養成コースは入るためにレベルチェックテストがあり、レベルは非常に高いです。 その下の英語コースから始める人が多いです。
こちらのサイト(↓)にレベルの目安がのっていますので、ご参考にどうぞ。
http://www.interschool.jp/course/standard_tokyo.html