Tag Archives: 金融危機

外資系戦略コンサル vs. 投資銀行

週末なので、閑話休題。 くだらないけど、面白い”Damn, It Feels Good to be a Banker”。
かなり偏った人(業界人及びMBAホルダー)にしか面白くないかも。
ウォール街で働く若手コンサルタント(McKinsey, BCG, Bain, Accenture)と若手インベストメントバンカー(Goldman Sachs, Morgan Stanley, Merrill Lynch, Blackstone, Lazard)が路上でラップのリズムにのせて罵倒し合うビデオで、同名の本『Damn, It Feels Good to Be a Banker』の宣伝だとか。

歌がラップでスピードが速いので歌詞ものせておきます(→コチラ)。
業界の人ならわかる専門用語(jargon)満載(Five Forces3Cなど)で、くすりと笑えるのでは?

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不安定な時代のZEN

週末は香港在住、米系投資銀行勤務の夫の友人(INSEAD同級生)が遊びに来ていました。
シンガポールに住む欧州系ユニバーサルバンクのM&A部門に勤める友人も集まるとなれば、もちろん昨今の金融危機で受けたダメージに悪態をつきながらひとしきり傷のなめ合いです。
以前こちらのエントリーにも書きましたが、ボーナスゼロといえど、「去年の年収( = 7,000万円)が、ベース分だけ( = 2,500万円)になった」とかいうレベルの話なので、あまり同情はしていませんが、アーリーリタイアを夢見て昼夜激務に耐えてきた本人にとってみるとやはりショックなんでしょう。
香港在住の彼はmaterialisticというか非常に生活も遊び方も派手だったのですが、今回の一件が相当こたえたようで「ZEN(禅)の心境に達した」んだそうです。
今までの生活をすべて見直し、意味のない遊びを止め、何人かの有害な人間関係は清算し、2年前にNYで出会った女性が自分にとって大事な人であることに気づきNYまで飛んでお互いの気持ちを確かめ合い遠距離恋愛を始めたんだそう。 2ヵ月と同じ人と続いたところを見たことがなかったので、これだけで奇跡である。
そして、高給に釣られて今の勤務先のオファーを受けシンガポールから香港に引っ越したものの、やっぱりシンガポールがいい、子どもを育てるならシンガポールだ、とまで言い切っていたので私たちは絶句(ちなみにポルトガル人です)。 「子どもを育てる」なんて来世まで言わなさそうな人だったんだが・・・

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ナンピン買いの誘惑

今日も株価は激しく下げましたね・・・
9月2日3日のブログに書いたとおり、8月下旬に新たな投資戦略のもと世界全体に投資を始めたのですが(→投資銘柄はコチラ)このわずかな期間の間に世界の株式市場は暴落してしまいました。 VanguardのETFも8月下旬に購入してわずか1ヵ月半で30%の下落です。
「これから1年かけて4回に分けて投資実行すれば底は拾えるでしょう」と書いたとおり、元々
– 2008年8月から1年かけて3ヵ月ごとに手持ちのキャッシュ1/4ずつを決めたとおりのポートフォリオに機械的に投資し
– 2009年8月から後はコツコツと定額を同ポートフォリオに定期的に投資する
というドルコスト平均法 & インデックス投資 & 30-40年スパンの長期投資(バイ&ホールド)の予定なのですが、昨今の暴落を前にしてナンピン買いをしたい誘惑に駆られています。
Vanguardの創業者John C. Boglueの本『マネーと常識 投資信託で勝ち残る道』に「多くの人が自分はMarket timing(市場のタイミングを読んで投資すること)ができると思っているが、ほとんどの人はできない」とあるのを読み、納得した上で決めた戦略だったんですけどね。
次に投資できるのは8月(初回投資日)から3ヵ月後の11月です。 それまでガマン、ガマン・・・

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アイスランド破綻に思うこと

iceland.jpg先週から北欧の小国アイスランド(注:アイルランドではない)が実質国家破綻状態に陥っています。
NIKKEI NET : アイスランド、民間銀を政府管理下に、金融非常事態を宣言
JBpress:アイスランド、国家破産の危機 銀行救済を巡る厳しい選択
IHT : Isolated Iceland wonders who to turn for help
The Economist : Kreppanomics
アイスランド(人口:31万人)といえば、2007年の1人あたりのGDPがUS$63,800と世界3位(日本はUS$34,300)。 金融自由化で世界中から投資を呼び込み、経済の優等生として国際競争力ランキングでも上位に位置し、大前研一さんが著書『やりたいことは全部やれ!』で絶賛していたことも思い出します。
最近はその神秘的な景観から映画のロケ地としても有名で、ヨーロッパ人の人気観光地として、私の友人も数多く観光で訪れていました。
そのアイスランドの銀行は同国のGDPの12倍(ブルームバーグ試算)に相当する約US$6.1bil.(約6兆1,600億円)の債務を抱えているらしく、到底政府(及び国民)が払える金額ではありません。

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グローバル企業への転身なるか?

ここ数週間、朝起きるたびにウォールストリート(最近はロンドンシティでも)で新たな買収・合併のニュースがあるので、起きるのがこわごわ楽しみな今日この頃。
今回の金融危機の原因分析etc.に関しては、私は専門外なので他の人にお任せするとして、世界でも注目を浴びている邦銀/証券のグローバル金融市場へのカムバックについて。
もちろん野村証券によるリーマン「アジア太平洋部門」「欧州・中東部門」の買収と、三菱UFJによるモルガンスタンレーへのUS$9bil.出資のことです。 The Economistの評価は概ね「お手並み拝見」といった論調(↓)。
The Economist (Sep. 27th, 2008) : The big boys are back
The Economist (Oct. 4th, 2008) : The Japanese are coming (again)
この2つのニュースを聞いた私の感想は、
「はやっ!」
「いやー、これから大変よー」
の2点です。
まず、1点目の「はやっ!」について。
私は前職で企業投資の現場にいたのですが、企業の株式取得には、デューデリジェンス(財務状況、法務リスクの精査)、及びバリュエーション(企業価値評価)を行い、価格を含めた条件交渉を買収候補先と行いながら、同時並行して社内の出資(買収)稟議で社内(今回のようなケースだと間違いなく取締役会)の許可を得ます。
通常のM&Aではデューデリジェンスとバリュエーションに数週間(M&A先の規模によるが、非常に過酷な作業であるため、長過ぎるとチームの体力・モチベーションともに持たない)、並行して進める社内稟議も関係者への根回し、利害調整に数週間、と最低2-3ヵ月はかかるプロセスです。

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漂流し始めた金融移民たち

私たちには、バンカーの友達が多いので、あちらこちらから解雇・リストラの噂が聞こえてきています。
REUTERS:米リーマンとメリルの「激震」、金融業界の雇用に衝撃波
もともと人的流動性の高い業種なので、ロンドン→ニューヨーク→香港、とマーケットを移動することは珍しくもないのですが、数週間ほど前にTemasek(シンガポール政府系投資会社)にいる友人と話したところ、ロンドンとニューヨークから大量に履歴書が送られてきている、と言っていました。 
余談ですが、今回のバンカメによるメリル買収でてっきりテマセックは大損したのかと思いきや、$1.5bil.の売却益とか・・・ 随分投資効率のよい買い物でしたね・・・
Bloomberg:Temasek May Reap $1.5 Billion Gain From Merrill Lynch Takeover
今回の金融業界再編でバイサイドにとっては優秀な人材を確保するチャンスという見方がありますが、彼らもそんなに大量に受け皿はありません。 『景気とMBA』に書いたようにMBAを取りに行く人がいたり、中国人やインド人の中にはこれを機会に故郷に帰る人もいるようです(故郷は中長期的には間違いなく成長するので)。 金融業界から流出し始めた人々が落ち着くまでしばらくかかりそうです(その間に現在の金融業界地図は元の面影がないほど塗り替えられているのでしょう)。
友人の1人(ヨーロッパ系ユニバーサルバンクのM&A部門)は、「(まだ)クビにはなってないけど、去年の年収のうち65%がボーナスだったけど、今年はボーナスなし」と嘆いていました。
まあ、「去年の年収( = 7,000万円)が、ベース分だけ( = 2,500万円)になっちゃった」というレベルの話なので、ちっとも同情はしていないですが、このようにハイリスク・ハイリターンのcyclicalな仕事についている、という認識に立った上で急なダウンサイドに対応できるような生活設計をするべきなんだ、と思います。

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米金融、未曾有の危機

昨日から今日にかけて米金融業界は米証券4位のリーマン・ブラザーズが破産法適用申請、同3位のメリルリンチがバンカメに救済合併され、保険大手のAIGも資産売却を余儀なくされるという未曾有の出来事が続発しています。
REUTERS:米リーマンHD、連邦破産法第11条の適用を申請
REUTERS:米バンカメがメリル買収を発表、500億ドル相当の株式交換で
投資銀行/証券会社はMBA後の人気就職先なのでそれぞれの会社にもれなく友達がいます。 リーマンとメリルリンチにもそれぞれ1人ずつ仲のいい友人がいるのですが、さすがにこういうときに電話はできないですね。 頃合いを見て様子を聞いてみようと思っています。
日本は1997年に証券4位の山一証券と地銀大手の北海道拓殖銀行が破綻していますが、米国では6ヵ月の間に証券3位から5位までが一斉に破綻・救済合併されるという状況のため衝撃の大きさが知れるというもの。
このニュースを朝からおろおろと見ながら思い出すのは新卒で入った会社のこと。
私は1998年4月に新卒入社という、山一証券に就職内定していた同期が内定を取り消されたのを間近に見ている世代です。 この就職氷河期時代に何を考えていたのか総合商社とマスコミしか受けないという無謀な就職活動の結果(強くお勧めしません、笑)、当時9社あると言われていた総合商社のうち下位にいる商社に就職しました。
その新卒就職先であった商社は不採算部門の売却などを経た後、同じく下位にいた総合商社と経営統合し現在に至ります。

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