Tag Archives: 転職

一家の大黒柱が無職になった – 3

今日が最終回。

こうして2011年夏に夫婦ともども無職になった私たち、生活は特に変えませんでした。 私が秋から通う予定だった『The Interior Design School』の学費をまだ払っていなかったので「入学を1年延ばそうか?」と夫に聞いてみたのですが、私のキャリアチェンジを心から応援してくれているので1年先にすることは大反対。 「夫婦で無職、子ども1人」から「無職+学生、子ども1人」になりました。

夏休みに予約していたクロアチア旅行もすでにフライト代と宿のデポジットを払い込み済みだから既にサンクコスト(→『サンクコスト』)。 「無職でロンドン」と「無職でクロアチア」だと出て行くお金は変わらなそうだし、後者の方が「明るい無職」って感じなので予定通りに旅行へ(→『アドリア海の休日』)。

夫は息子と過ごす時間が一気に増え、ママっ子だった息子がパパ大好きに戻りました。
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一家の大黒柱が無職になった – 2

昨日の続き。

「こんな体調で出張に行ったら本当に体を壊すから行かないで」と朝3時に過労なのに海外出張に行こうとする夫を止めようとした私。

1. 大事なのは一に自分の健康、二に家族の健康。 仕事は三の次、四の次、五の次である。
あなたが家族のために一生懸命働いているのは知っている。 それならなおさら一家の大黒柱は自分の健康が一番大事。 機内アナウンスで「自分の救命具をつけてから周囲の人が着用するのを手伝ってください」とあるのと一緒。 次に家族の健康が大事。 それ以外のことは何とでもなる。 仕事は辞めたらまた見つければいい、家も今買わずにまた後で買えばいい。

2. 精神の病は、身体の病より、かかっていることに気がつきにくく、回復に時間がかかる。
精神的に参っているなら、休息を取らなくてはいけない。 申し入れても休息を取らせてもらえないなら逃げればいい。 あなたがこの出張に行かなくても、おそらく会社はつぶれない。 でもあなたがつぶれたら回復にはずっとずっと時間がかかる。

3. もし今、この会社から職をオファーされたら受けるか? 答えがNOなら時間と健康を無駄にせず、辞めるべき。
すでに転職が間違った決断だと気づいているなら、この会社に少しでも長くいることで、その決断が正しい決断に変わる可能性はない。 間違った決断をすることは時にはある。 重要なのは、今後同じような間違いを起こさないことであり、行動した自分を責めることではない。
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一家の大黒柱が無職になった – 1

・・・というタイトルをつけたけど、私の夫の話です。

2年前のこの時期、夫は転職しました。 同じ業界内ですが(夫の職業は戦略コンサル)、夫の上にはパートナー(ファームの共同経営者)2人だけという小さいファームにシニアなポジションで入社。 新しく入ったこの会社が、、、ブラック企業でした。

期間の短いプロジェクトを次々こなすため、常に締め切り前で帰宅は私と息子が寝た後、終電やタクシー帰りが多くなりました。 ただ長時間勤務なだけであれば、この業界はよくあることなのですが、パートナーである上司が、、、ブラック上司でした。 マイクロ・マネジメントの典型で部下の行動を監督し、侮辱的な言葉で部下を威嚇し長時間労働を強要、週末も電話やメールでの指示が止みませんでした。 夫はこの上司の右腕として同じように部下をマイクロ・マネジメントするように言われることが本当に心理的に苦痛のようでした。 スケジュールはすべてこの上司が決めアシスタントがアレンジするため、夫にはスケジュールのコントロールの自由がありませんでした。

転職当初は「2年がんばる」と言っていたのが、「1年半は」になり、「1年もつかなー?」になりました。 私が「この会社にいるのはもう長くないな」と思ったのは、夫が珍しく会社を早く出ることができ「今日こそベッドに入る前に息子の顔が見れる!」と喜び勇んで帰ってきた晩のこと。 1歳になるかならないかの息子はパパの帰りを待つことができず、夫の帰宅5分前に寝入ってしまいました。 走って帰ってきてベッドタイムに間に合わなかったと知ったとき、夫はあまりの悔しさに涙を流してしまいました。 
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効率的な労働市場の会社の運命

とあるブティーク系戦略コンサルティングファームのロンドン・オフィスのお話。 業界特化型で(業界名を出すとどこかわかるので控えます)、その業界では名が知られています。
このファーム(Aとします)は2007年にオペレーション系のコンサルティングファームBと合併しました。 ファームAのクライアントは企業のCEO、CxOなど経営陣であり、サラリー(給与)レベルはBig 3(McKinsey、BCG、Bain)を筆頭とする戦略コンサルや会計系Big 4(KPMG、Deloitte、PWC、E&Y)のコンサル部門と同じサラリーレベルでした。 ファームBのクライアントは(オペレーションの改善が主なプロジェクトであるため)経営者ではなく部のトップなどであり、サラリー(給与)レベルはAより一段階低いものでした。
2社の合併によって給与体系の差を是正する必要があり、Aの社員は年収(ベース)+ボーナスからなる給与体系のうち年収(ベース)部分を若干アップする代り業績連動のボーナス部分が大幅に減りました。 2008年、金融危機の発生を機に世界経済が不況に、この影響でボーナスは2009年はゼロになり、ベースアップも据え置かれました。
またファームBは間接部門(経理・人事など非コンサルタント職)の人員を多く抱えていましたが、リーンな(筋肉質な)組織を保っていたファームAと間接部門同士、合併されました。 間接部門のコスト(overhead)は稼ぎ頭のコンサルタントに重くのしかかり、2009年、2010年になってもベースアップやボーナスの原資が出ない大きな要因となりました。

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求職者の心構え

先週のエントリーでmegumeguさんからブログネタのリクエストがあったので、今日は「求職者の心構え」と題し、思うところを書きます(・・・と私がちんたら考えている間に、megumeguさんは採用内定されました。 おめでとうございます!)。
[ 初めにお断り ]
私は日本で2回転職していますが、2回とも人材紹介会社に登録したらすぐ紹介され面接を受けたらすぐ決まったという、余り参考にならない体験をしているので、下に書くことはどちらかというと去年から今年にかけてシンガポールで職を求める中で感じてきたこと、及び周りのケースを見てきた上での総括です。
私としては普遍的なことだと思っているので「日本では参考にならない」とか決め付けずにお読みください。
また人材業界のプロでもなんでもないので履歴書の書き方、面接の心構えなどは他のもっとふさわしい人に聞いてください。
1. 巷に出ている求人だけが企業の人材需要ではない
企業のウェブサイト・人材紹介会社・ヘッドハンター・・・etc.に出ているだけが企業の人材需要ではありません。
「こういう人が欲しいんだけど社内で探そうか、どうしようか?」という顕在化する前の需要、人材が必要ということさえ明確に認識されていない潜在需要。 人材紹介会社はフィーが高いしリスクもあるので採用は信頼する人の紹介に頼るという会社、求職者の熱意に押されて予定していなかったポジションをつくる会社・・・ 世の中にはこんなケースが溢れています。

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